売り出し価格と成約価格の違いって?

中古マンションの売買を行う際、物件の価格は最終的には、売主と買主の交渉によって決まります。物件を売り出すときに、売主が最初に「この価格で売りたい」と希望して出すのが「売り出し価格」、買主との間で実際に成約した価格が「成約価格」となります。

「売りたい価格」と「売れた価格」

マンションの売主側としては「売り出し価格」=「成約価格」となるのが最も理想的ですが、実際は成約価格が売り出し価格よりも下がることがあります。

また、中古マンションを売る際には不動産会社で物件を査定してもらう場合が多いのですが、この査定価格は媒介契約期間の3か月間で売れると予想される価格で提示を受けます。したがって、売主の希望価格と査定価格には差が出る場合が多くありますので、その辺りは含んで考えておくのがよいでしょう。

それでは、どのような場合に成約価格が下がってしまうのかを見てみましょう。

売り出し価格と成約価格の乖離(かいり)率

中古マンションにおいて売り出し価格と成約価格の差額の比率を「かい離率といいます。

これを算出する場合、次のような計算式で表すことができます。

かい離率=(取引価格-売り出し価格)÷売り出し価格×100%

となり、このかい離率が正の値であれば、取引価格が売り出し価格を上回っており、反対に負の値であれば、取引価格が売り出し価格を下回っているということを表します。

しかし、バブル期のような取引価格が売り出し価格を上回るということは、現状ではほぼないため、かい離率は負の値となるケースが多く、この値が0に近いほど売主にとっては思い通りの売却ができたと言えるでしょう。

かい離率が小さいのは?

さて、このかい離率、どのようなときに小さな値が出ているでしょうか?(株)東京カンテイの調査資料で2017年5月に出された「首都圏の中古マンションの売出・取引事例に基づく価格かい離率」の資料をもとに検証してみましょう。

この資料では、首都圏における2007~2016年の10年間での価格かい離率を算定したもので、売却期間が1カ月以内の場合では-3.8%だったのが、2カ月以内で-6.7%と徐々に下がり、12カ月以内の売却では-19.5%までかい離率が拡大しています。

こうした数値から、「売却期間が長くなるほど価格かい離率が拡大する」という傾向が理解できます。

また、2006年から2008年のミニバブル期には、価格かい離率は-7.8%から-5.6%まで縮小しています。これは、新築マンションの価格が上昇したため相対的に中古マンションの割安感が強まり、中古マンション市場は売り手市場となったことを示しています。
これは、価格かい離率が景気の状況に大きく影響されたことを表しています。

参照:株式会社東京カンテイ「中古マンションの価格かい離率(首都圏)2017年5月9日」
https://www.kantei.ne.jp/report/91kairi_syuto.pdf

売り出し価格と売却期間のバランス


売却期間が長くなるほどかい離率が大きくなる」。これは、どのようなことを意味しているのでしょうか?一般的に、居住用の中古マンションの価格は市況における価格からある程度は決まってしまい、成約価格は市況の価格に近いものになります。

売却期間による価格への影響

そういった視点から、相場市況よりも高い価格を当初から売り出し価格に設定してしまうと買い手はなかなか見つかりにくく、そうこうしているうちに、売却期間が長くなってしまいます。そうなると、足元を見られてしまい、相場以下の取引価格になってしまうことも考えられます。

「売却時間がどれだけ長くなっても構わない」という場合は別ですが、市況とかけ離れた価格で売り出し価格を設定するということは、それなりにリスクを背負うことにもなります。したがって、売却期間が長くなるほど、価格的には市況の価格を下回る可能性が高く、結果的にはかい離率が大きくなってしまうのです。

まとめ

売り出し価格を決めるにあたっては、不動産会社の査定価格や市況の近隣物件の売り出し価格や成約価格を参考にして決めていくようにしましょう。売主の希望で高めに出した売り出し価格では問合せすら来ない場合があり、そういった場合には価格の見直しが必要になります。

不動産会社も市況とはかい離した売り出し価格では販売活動も疎かになりがちです。したがって、売り出し価格の設定には査定価格を中心にしてプラスいくらかで売り出し価格を決めた方が早く売却に結びつく可能性が高くなります。また、査定価格に基づく価格であれば値下げ交渉も比較的少なくて済む場合が多いようです。

できるだけ高く売りたいのが売主の本音ですが、売り出し価格をどのように決めたらいいのか、仲介の不動産会社のアドバイスを受けながら冷静に考えてみることが大切です。

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寺岡 孝
寺岡 孝
不動産コンサルタント / アネシスプランニング株式会社 代表取締役
大手ハウスメーカーに20数年勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。
生涯に一度とも言われる住宅建築や不動産購入において、「納得」や「安心」を実感できるようにしていただくためには、「中立的な立場の専門家によるアドバイスが必要」と考え、関東近郊を中心に住宅建築や不動産購入など、住まいにまつわること全般のコンサルティングを行う。