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【データ分析編】3A+Rの価格はなぜ歪む?六本木高騰を「取引構造」で読み解く

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近年の都心マンション市場では、価格水準そのもの以上に、「価格の出方」に注目が集まっています。
特に麻布・赤坂・青山・六本木からなる3A+Rエリアでは、2023年後半以降、六本木だけが明確に高騰しているように見える状況が続いています。

しかし、不動産価格はエリア単位で均等に動くとは限りません。
どのような住戸が、どのタイミングで、どれくらい取引されたのかによって、数値の見え方は大きく変わります。
この記事では、面積帯や築年条件といったデータを手がかりに、六本木高騰を「エリア評価」ではなく「取引構造」という視点から読み解いていきます。

この記事は、福嶋総研が分析した3A+Rエリアの価格動向を「数字の見え方」という観点から、初めての方にも分かりやすく解説しています。
「なぜ六本木だけが高く見えるのか」「価格の数字はどう作られているのか」といった基本的な考え方から知りたい方は、『なぜ六本木だけマンションが高く見えるのか?|3A+Rエリアの価格を「平均の罠」からやさしく読み解く』記事から読むのがおすすめです。

目次

六本木の高騰は「エリア上昇」か「取引の偏り」か

麻布・赤坂・青山・六本木における中古マンション成約坪単価の推移を比較したグラフ。2023年後半以降、六本木の坪単価が他エリアを上回る動きを示している
出典:福嶋総研

結論から言うと、今回の六本木の価格上昇は、エリア全体の価値が一段引き上げられた結果というよりも、取引内容が高価格帯に偏ったことによる影響が大きいと考えられます。

理由は、2023年中盤まで3A+Rの各エリアは多少の差こそあれ、概ね同水準で推移していたからです。
麻布・赤坂・青山・六本木はいずれも「都心最高水準」として横並びで評価されており、突出した動きは見られませんでした。

ところが2023年後半以降、六本木のみが明確に上方向へ振れています。
このタイミングで六本木に大規模な再開発や交通インフラの改善があったわけではありません。
むしろ、麻布では麻布台ヒルズが完成し、都市機能は大きく向上しています。それにもかかわらず、価格データ上は六本木が突出している点から、「街の価値上昇」以外の要因を考える必要があります。

ここで重要なのが、マンション価格が「エリア平均」ではなく、「実際に取引された住戸の集合体」であるという事実です。高額住戸の取引が増えれば、平均や坪単価は一気に押し上げられます。
六本木では、まさにこの現象が起きていた可能性が高いのです。

面積帯別データで見る“上がった住戸”の特徴

3A+Rエリアにおける中古マンションの面積帯別坪単価推移を示したグラフ。80㎡以上の住戸で価格上昇が大きい傾向が確認できる
出典:福嶋総研

結論として3A+R全体の価格上昇は、特定の面積帯、特に80㎡以上の住戸が強くけん引している構造になっています。

理由は、面積帯別の坪単価推移を見ると、住戸面積が大きくなるほど坪単価が逓増する傾向がはっきり表れているためです。
特に80㎡以上の高面積帯では、2020年時点で坪600万円前後だった水準が、現在では坪1400万円前後まで上昇しています。
これは約2倍超という、都心市場でも例外的な伸びです。

この動きは、単純な地価上昇やエリアブランドの強化だけでは説明しきれません。
近年の富裕層市場では、「立地が良い」だけでは不十分で、「十分な広さ」「築浅であること」「眺望やプライバシー性」「共用部の質」「建物全体のブランド性」といった複数の条件が重なった住戸が、強く評価される傾向があります。

こうした条件を満たす住戸は供給が極めて限られるため、取引が発生するたびに価格が大きく跳ねやすく、結果として市場全体の数値を押し上げる役割を果たします。

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築浅×大型住戸が平均を押し上げる仕組み

3A+Rエリアにおける2006年築以降かつ80㎡以上の中古マンション成約割合の推移。六本木で割合が大きく上昇している様子を示す
出典:福嶋総研

結論として、六本木の価格上昇が際立った背景には、2006年築以降かつ80㎡以上の住戸の取引割合が、六本木で急増した点が挙げられます。

理由は、築浅マンションが持つ評価軸にあります。築浅物件は、耐震性能、設備水準、セキュリティ、共用部の充実度などが現行基準に近く、同じ立地・広さであっても築古物件より高い価格が付きやすい傾向があります。

具体的には、同じ六本木でも、築20年以上の50㎡住戸が中心に取引される場合と、築10年未満の100㎡住戸が中心に取引される場合では、平均坪単価は大きく変わります。後者の取引が増えれば、エリア全体の価格水準が急上昇して見えるのは自然な結果です。

六本木では、2024年中盤以降、この「築浅×大型住戸」の成約比率が他エリアと比べて明確に高まっています。
1件あたりの価格インパクトが大きいため、少数の取引であっても、統計上の平均や坪単価を大きく押し上げる要因となります。

なぜ六本木に資金が集まりやすいのか(国際認知と流動性)

結論として、六本木は3A+Rの中でも、国際市場における認知度と流動性の高さという点で、特異な立ち位置にあります。

理由は、六本木が外資系企業の拠点、高級ホテル、国際色豊かな商業施設、ナイトライフ、アート施設などを抱え、「東京を象徴する街」として世界的に認識されているためです。日本の地理や不動産事情に詳しくない外国人投資家であっても、「六本木」という地名だけで立地価値やステータス性を直感的に理解しやすいという特徴があります。

この分かりやすさは、投資マネー、とりわけ再販を前提とした資金にとって重要です。
再販時にも説明がしやすく、買い手が付きやすい立地は、出口戦略を描きやすくします。
その結果、六本木では実需による居住目的の購入に加え、値上がり期待を前提とした投資・投機マネーが重なりやすくなります。

さらに円安局面では、日本の都心不動産は外貨ベースで割安に見えやすく、国際的に認知度の高い六本木には資金が流入しやすくなります。
こうした複数の要素が重なり、「築浅×大型住戸」という高額帯に取引が集中する環境が整ったと考えられます。

まとめ | 本当のエリア評価に必要な視点と注意点

結論として、現在の六本木を含む3A+Rの価格動向は、居住価値やエリアの成熟度そのものを直接表しているとは限りません。

理由は、特定の物件タイプに取引が集中すると、表面的な数値が歪められる可能性があるためです。加えて、都心市場には一定数の投機的取引や短期売買が含まれており、必ずしも実需に基づく価格形成だけが反映されているわけではありません。

本来、エリア評価は単なる価格水準では測れません。交通利便性、生活利便性、教育・医療・文化インフラ、治安や街の落ち着き、将来の都市計画、住民コミュニティの質、エリアブランドの持続性といった要素を多角的に捉える必要があります。

麻布は麻布台ヒルズの完成によって都市機能が向上し、青山・赤坂は長年にわたり高級住宅地としての品格を維持してきました。短期的な価格指標だけを見ると六本木が突出して見えますが、中長期の視点では評価軸は一様ではありません。

数字に振り回されるのではなく、その背後にある取引構造や需要層の変化を丁寧に読み解くこと。それこそが、これからのマンション選びやエリア評価において、最も重要な視点と言えるでしょう。

監修:福嶋総研

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この記事を書いた人

すみかうるの企画・編集・運営を行う編集部です。マンション売却や購入にまつわる情報に加え、不動産市況調査や街の再開発に関する記事も執筆。独自の不動産データを掛け合わせ、不動産初心者から上級者まで関心を持っていただける記事を目指しています。不動産会社への取材や売却体験者へのインタビューなど、生の声を届けることを大切にしています。

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