2025(令和7)年度税制改正大綱公表! マンションに関わる主な3つの改正点
2024年末、2025年度税制改正大綱が公表され、閣議決定しました。「103万円の壁」の引き上げなどが注目されていますが、マンションを所有している方やこれからマンションを購入する方にも少なからず影響する改正も見られます。
この記事では、2025(令和7)年度税制改正のうち、マンションに関わる主な3つの改正点について解説します。
1.住宅ローン減税における子育て世帯・若者夫婦世帯の優遇措置延長

住宅ローン減税は、2024年度税制改正で子育て世帯および若者夫婦世帯の借入限度額が引き上げられました。2025年度税制改正大綱では、この措置の1年延長が決定しています。
引き上げ幅は?
子育て世帯および若者夫婦世帯は、新築住宅・買取再販住宅の借入限度額が住宅性能に応じて500万円〜1,000万円引き上げられます。
- 長期優良住宅・低炭素住宅:4,500万円→5,000万円
- ZEH水準省エネ住宅:3,500万円→4,500万円
- 省エネ基準適合住宅:3,000万円→4,000万円
中古住宅の借入限度額については引き上げがなく、その他の世帯の同じです。
子育て世帯・若者夫婦世帯とは?
子育て世帯とは19歳未満の子を有する世帯、若者夫婦世帯は夫婦のいずれかが40歳未満の世帯を指します。
子育て世帯および若者夫婦世帯は、物価高騰の影響を受けやすいことから、近年、補助金制度や減税制度で優遇されることが多くなっています。2024年11月に閣議決定された「子育てグリーン住宅支援事業」も、主に子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とした補助金制度です。
床面積要件の緩和措置も延長
2025年度税制改正では、面積要件の緩和措置の延長も決まっています。住宅ローン減税の床面積要件は基本的に「50㎡」ですが、2025年までに建築確認を受けた新築住宅は40㎡に緩和されます。ただし、この緩和措置を受ける場合、所得要件は3,000万円から1,000万円に下がります。

2.老朽化マンションの再生等の円滑化税制の創設・拡充

近年、高経年マンションが急増していることから、老朽化マンションの建て替えなどを円滑にするための仕組みの創設が検討されています。具体的には、マンション建替円滑化法に「マンション取壊し敷地売却事業(仮称)」と「マンション更新(一棟リノベーション)事業(仮称)」などが新設される見込みです。
これらの事業の円滑化のため、2025年度税制改正大綱では事業の施工者に係る以下の特例措置(恒久措置)の創設が決定しました。
【法人税・法人住民税・事業税・事業所税】
・収益事業以外の所得の非課税措置
【消費税・地方消費税】
・資産譲渡等の時期、仕入税額控除及び申告期限の特例
この特例により、マンションの建て替えや更新をする組合の費用負担が軽減され、合意形成の円滑化が期待されます。
3.マンション長寿命化促進税制の延長

2025年度税制改正では、高経年マンションの増加を受けて創設された「マンション長寿命化促進税制」の延長も決定しました。
マンション長寿命化促進税制とは、長寿命化に資する大規模修繕工事を実施したマンションの固定資産税を6分の1から2分の1の範囲内で減額する制度です。減額割合は、市区町村の条例で定められています。
対象となるマンションは、築20年以上かつ10戸以上で、管理計画の認定を取得したマンションです。これまで同制度の期限は2025年3月31日でしたが、2027年3月31日まで延長します。加えて、申請を受けるまでの流れも簡略化されました。

2025年度税制改まとめ
2025年度税制改正大綱に盛り込まれた「住宅ローン減税の子育て世帯・若者夫婦世帯の優遇延長」「老朽化マンションの再生等の円滑化税制の創設・拡充」「マンション長寿命化促進税制の延長」について解説しました。
いずれも物価高騰や高経年マンションの増加など今の時流を受けた改正ですが、これらの税制は自動的に適用されるものではなく、申告して始めて適用されます。制度の内容に加え、適用要件や申請方法を確認し、マンションの購入や維持・管理に役立てましょう。