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【最新】金利上昇局面に突入した2025年首都圏マンション市場(2025年まとめ)

この記事で分かること

  • 金利上昇で鮮明になった、上昇を続ける「東京都」と停滞する「周辺3県」の市場乖離
  • 価格高騰で「築浅・広め」が限界を迎え、資産性や実用性へ二極化したエリア別の需要シフト
  • 2026年に加速する物件選別の動きと、不透明な市場を読み解くための多角的な分析視点
目次

はじめに

2026年を展望するための構造的整理

2025年末、日本の政策金利は0.75%へと引き上げられ、実に30年ぶりの水準に到達しました。

長らく続いた超低金利環境は明確な転換点を迎え、「金利がある世界」を前提とした経済・不動産市場の再構築が求められる局面に入っています。

とりわけ住宅ローン金利の上昇は、マンション購入を検討する家計に直接的な影響を与えるため、今後のマンション市場動向にはこれまで以上の注目が集まっています。

本稿では、こうした金融環境の変化を踏まえつつ、2026年の首都圏マンション市場を展望するために、2025年までの中古マンション市場の実情を多角的に整理します。

単なる価格動向にとどまらず、どのような物件が選ばれ、どのセグメントから需要が離れつつあるのかを明らかにすることで、市場の本質的な構造変化を読み解いていきます。

首都圏中古マンション成約坪単価の推移

東京都と周辺3県に生じた明確な乖離

以下のグラフ1は、首都圏における中古マンションの成約坪単価の推移を示したものです。この推移を見ると、東京都と埼玉県・千葉県・神奈川県の間で、明確なトレンドの違いが確認できます。

グラフ1:首都圏(一都三県)の中古マンション成約坪単価推移【福嶋総研調べ】
グラフ1:首都圏(一都三県)の中古マンション成約坪単価推移
【出典:福嶋総研

東京都では、現在に至るまで成約坪単価が一貫して右肩上がりで推移しており、金利上昇局面に入った後も価格上昇が継続しています。特に東京23区を中心としたエリアでは、立地の希少性や再開発による将来期待、流動性の高さといった要因が重なり、高価格帯であっても需要が維持されています。

一方、埼玉県、千葉県、神奈川県では、2024年中盤以降、成約坪単価が微減もしくは横ばいで推移しています。

これらのエリアは過去10年以上にわたり上昇基調を続けてきましたが、その流れがここに来て一服し、転換点を迎えつつあるようにも見受けられます。

この段階で重要なのは、首都圏全体を一律に評価するのではなく、エリアごとに異なる需要の質や価格許容度を正確に捉える視点を持つことです。

東京都におけるセグメント別成約動向

「築浅・高面積帯」からの需要後退

次に、中古マンションを以下の6つのセグメントに分類し、成約件数の構成比を確認します。

1982年以前築
50平米以上1983年~2005年築
2006年以降築
1982年以前築
50平米未満1983年~2005年築
2006年以降築
グラフ2:東京都の面積別・築年帯別成約坪単価推移【福嶋総研調べ】
グラフ2:東京都の面積別・築年帯別成約坪単価推移
【出典:福嶋総研
グラフ2:東京都の50平米以上・築年帯別成約坪単価推移【福嶋総研調べ】
グラフ2:東京都の50平米以上・築年帯別成約坪単価推移
【出典:福嶋総研
グラフ2:東京都の50平米未満・築年帯別成約坪単価推移【福嶋総研調べ】
グラフ2:東京都の50平米未満・築年帯別成約坪単価推移
【出典:福嶋総研

東京都では、50平米以上・2006年以降築、いわゆる「築浅・高面積帯」のセグメントにおいて、成約件数の割合が▲4.8%と大きく減少しました。このセグメントは、東京都内で最も坪単価が高く、これまで市場を牽引してきたゾーンです。

一方で、それ以外のセグメント、とりわけ50平米未満の各セグメントで成約件数の割合が大きく上昇している点が特徴的です。

東京都ではすべてのセグメントで成約坪単価が上昇しているため、最も坪単価の高い50平米以上・2006年以降築の成約割合が低下したにもかかわらず、全体としての平均成約坪単価は上昇する結果となりました。

東京都市場に特有の価格構造

「広くて新しいほど高い」という例外性

東京都、特に23区では、「面積が広く、築年が浅いほど坪単価が高くなる」という、他のエリアでは必ずしも当てはまらない価格構造が成立しています。

その結果、50平米以上・2006年以降築のマンションは、ここ数年で価格が急激に上昇し、実需層にとっては購入ハードルが大きく高まりました。これにより、価格が上昇し過ぎたセグメントから一部の需要が離れ、他のセグメントへと移行する動きが顕在化したと考えられます。

特に注目すべきは、50平米未満・2006年以降築の成約割合が上昇している点です。これは、「広さ」よりも「立地」や「築年数」を優先し、多少狭くても都心部の築浅マンションを選択する需要が強まっていることを示しています。

この動きは、居住目的でありながらも、将来の流動性や資産価値を重視する資産性志向の購入行動が東京都心で一層強まっていることの表れと言えます。

周辺3県における需要シフト

居住性・実用性を重視する市場構造

一方、埼玉県、千葉県、神奈川県では、東京都とは異なる明確な需要構造の変化が見られます。

グラフ3:埼玉県の面積×築年帯の推移【福嶋総研調べ】
グラフ3:埼玉県の面積×築年帯の推移
【出典:福嶋総研
グラフ3:埼玉県の面積×築年帯の推移【福嶋総研調べ】
グラフ4:千葉県の面積×築年帯の推移
【出典:福嶋総研
グラフ5:神奈川県の面積×築年帯の推移【福嶋総研調べ】
グラフ5:神奈川県の面積×築年帯の推移
【出典:福嶋総研

いずれのエリアにおいても、50平米以上・2006年以降築の成約件数割合が大きく減少する一方で、50平米以上・1982年以前築、または50平米以上・1983年~2005年築の成約割合が大きく上昇しています。

すなわち、これらのエリアでは、「築浅・高価格帯」から「広さを確保できる築年の古い物件」へと需要が移行していることになります。

この動きは、東京都のような資産性重視の選別とは異なり、居住性や生活利便性、価格の現実性を優先した選択が進んでいる結果と考えられます。

成約坪単価が伸び悩むメカニズム

平均値に隠れた市場の実態

周辺3県(埼玉県・千葉県・神奈川県)の成約坪単価の推移を見ると、面積の大小にかかわらず、2006年以降築のセグメントのみが価格上昇しており、1982年以前築、1983年~2005年築のセグメントでは横ばい、もしくは下落傾向が確認できます。

しかし、その価格が上昇している2006年以降築の成約件数割合が低下し、価格が上がっていない、あるいは下落しているセグメントの割合が増加したことで、エリア全体の平均成約坪単価は低下したように見えます

これは市場全体が弱含んでいるというよりも、需要の中心が価格上昇を伴わないゾーンへ移動した結果と捉えるのが適切です。

2025年市場が示す共通点

「築浅・高面積帯」が直面する壁

2025年は、東京都・周辺3県のいずれにおいても、築年が浅く、かつ面積が広いマンションの成約件数割合が減少し、それに代わるセグメントが台頭した一年でした。

特に埼玉県、千葉県、神奈川県ではその傾向が顕著であり、首都圏全体として、築浅・高面積帯のマンションが「容易には手の届かない存在」になりつつあることが浮き彫りになっています。

裏を返せば、これは給与所得者にとって、現行の築浅マンション価格水準が一つの購入限界点に近づいていることを示唆しています。金利上昇が進行する中で、この傾向は今後さらに明確になる可能性が高いと考えられます。

2026年に向けた不確実性と市場を見る視点

2026年は、金利上昇による購入者の負担増に加え、為替動向や海外経済の不透明感など、不動産市況を押し下げる、あるいは不確実性を高める要因が増大する一年となることが想定されます。

このような局面において、不動産市場の価格動向のみを見ることは非常に危険です。
金利、所得環境、人口動態、賃貸需給、為替、金融市場といった関連指標を網羅的に捉え、市場を立体的に理解する視点が、これまで以上に重要になります。

2026年の首都圏マンション市場は、「一律の下落」でも「全面的な上昇」でもなく、エリア・築年・面積による選別と分化がさらに進む局面に入ると考えられます。今後の市場分析においては、その構造変化を見誤らないことが何より重要です。

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この記事を書いた人

福嶋 真司のアバター 福嶋 真司 マンションリサーチ株式会社 不動産データ分析責任者

【保有資格】宅地建物取引士
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて中古マンション市場調査を行い、顧客に情報の提供を行っている。

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