近年、ブランドマンションの資産価値や流動性に関する関心が高まっています。高級感や信頼性を売りにするブランドマンションですが、実際の資産性や市場での評価はどうなのでしょうか。一般的な中古マンションと比べて本当に優位性があるのか、また、ブランドごとでどのような違いがあるのかなど、多くの疑問が浮かびます。
この記事では、福嶋総研が実施した最新の調査結果をもとに、ブランドマンションの実態について詳しく解説します。
・調査期間:2023年1月~2024年12月
・調査機関:福嶋総研
・調査対象:以下東京都23区ブランドマンション各種(2000年以降築/タワーマンションは除く)
プラウド 、パークホームズ 、ザ・パークハウス、シティハウス、ブリリア、ブランズ、グランドメゾン
この調査では、ブランドマンションを評価するために「流動性」「希少性」「資産性」の3つを主要な基準として設定しました。これらの基準を用いることで、マンションの市場での動きや価値を多角的に分析することが可能となります。
評価基準の詳細
「流動性」は、販売開始から売却までにかかる期間を示します。つまり、どれだけ早く売れるかという指標です。
「希少性」は、総戸数に対する1年間の売り出し戸数の割合を表します。これは市場への出回りやすさを示す指標となります。
「資産性」は、1年間の価格高騰率と価格上昇したマンションの割合で評価されます。この指標は文字通り、資産としての強さを表しています。
これらの基準を用いることで、各ブランドマンションの特徴や強みを客観的に評価することができます。例えば、流動性が高ければ売却しやすく、希少性が高ければ価値が保たれやすいと考えられます。また、資産性が高ければ投資対象としての魅力が増すでしょう。
ただし、これらの指標は相互に影響し合う場合もあります。例えば、希少性が高すぎると流動性が低下する可能性もあります。そのため、バランスの取れた評価が重要となります。
ブランドマンションの「資産性」を検証
【引用元:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研調べ】
一般中古マンションとの比較結果
ブランドマンションは一般的に資産性が高いと考えられていますが、東京都23区全体の中古マンションの価格高騰率が13%であるのに対し、ブランドマンションの中にはこの数字を下回るものもありました。
このことは、ブランドマンションが必ずしも一般の中古マンションよりも資産性が高いとは限らないことを示しています。
東京23区平均を上回るブランド
調査結果によると、一部のブランドマンションは東京23区の平均を上回る資産性を示しました。具体的には、シティハウス、ブランズ、グランドメゾンなどが挙げられます。これらのブランドは、価格高騰率や価格上昇したマンションの割合が高く、資産としての魅力が際立っています。例えば、これらのブランドのマンションを購入した場合、将来的な価値上昇が期待できる可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、高い資産性は必ずしも安定性を意味するわけではありません。価格変動のリスクも考慮する必要があります。
東京23区平均を下回るブランド
一方で、東京23区の平均を下回る資産性を示したブランドもありました。具体的には、ザ・パークハウス、プラウド、ブリリアなどが挙げられます。これらのブランドは、価格高騰率や価格上昇したマンションの割合が相対的に低く、純粋な資産性の観点からは他のブランドや一般の中古マンションに劣る結果となりました。
しかし、資産性が低いからといって、これらのブランドマンションが劣っているわけではなく、流動性やリスク評価の面で優れた特性を持っている可能性があります。また、居住性や立地など、他の要因も考慮する必要があります。
この結果は、ブランドマンションの選択において、単純に「ブランド」という名前だけで判断するのではなく、多角的な視点から評価することの重要性を示唆しています。
ブランドマンションの流動性分析
東京23区平均との比較
調査によると、すべてのブランドマンションが東京23区の平均販売期間である107日を下回っていました。これは、ブランドマンションが一般の中古マンションと比較して、より早く売却できる傾向にあることを示しています。具体的には、販売開始から売却までの期間が短いということです。
この結果は、ブランドマンションの大きな利点の一つと言えるでしょう。売却の必要が生じた際に、比較的スムーズに取引が行える可能性が高いということは、所有者にとって大きな安心材料となります。
ブランドマンションのリスク評価
期待価格高騰率と価格変動率の意味
ブランドマンションのリスク評価において、重要な2つの指標があります。それは「期待価格高騰率」と「価格変動率」です。
期待価格高騰率は、各年度の平均的な価格の変化率を示しており、価格の上がりやすさを表します。つまり、この数値が高いほど、将来的に価値が上昇する可能性が高いと言えます。
一方、価格変動率は、各年度の価格変化率のばらつきを示しており、価格の変動リスクの大きさを表します。この数値が大きいほど、価格の上下動が激しく、不安定な傾向にあると言えます。
これらの指標を組み合わせることで、各ブランドマンションのリスクとリターンの特性を把握することができます。期待価格高騰率が高く価格変動率が低いマンションは、理想的な投資対象と言えるでしょう。
ブランド別のリスク特性
【引用元:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研調べ】
調査結果によると、ブランドによってリスク特性に大きな違いがあることが分かりました。
- シティハウス、ブランズ、グランドメゾン:これらのブランドは、期待価格高騰率が高い一方で、価格変動率もやや高い傾向にあります。つまり、高いリターンが期待できる反面、安定性に欠けると言えます。
- プラウド:東京都23区全体の中古マンションと同程度の特性を示しており、標準的なリスク・リターン特性を持っています。
- パークホームズ、ザ・パークハウス:期待価格高騰率は標準的ですが、価格変動率はやや低く、安定性が強い傾向にあります。
- ブリリア:期待価格高騰率はやや低いものの、価格変動率も低く、非常に安定性が高いという特徴があります。
調査結果から見えるブランドマンションの実態
「資産性が高い」という認識への疑問
この調査結果は、ブランドマンションに対する一般的な認識に大きな疑問を投げかけています。多くの人々が「ブランドマンションは資産性が高い」と考えがちですが、実際にはそう単純ではないことが明らかになりました。確かに、シティハウス、ブランズ、グランドメゾンなど、東京23区平均を上回る資産性を示すブランドもあります。
しかし、ザ・パークハウス、プラウド、ブリリアは下回ったことから、資産性だけでなく他の要素も考慮する必要があることを示唆しています。
ブランドマンションの特徴と選び方
ブランドマンションには、それぞれ資産性、流動性、安定性といった強みがあります。例えば、「ブリリア」は安定性が高く、「シティハウス」は資産性が高いなど、ブランドごとに異なる特徴を持っています。
マンション購入時には、資産性だけでなく、流動性や安定性、さらには立地や設備など、総合的な判断が重要です。ブランドの特性を理解し、自身のライフスタイルや将来の計画に合った選択をすることが大切です。
また、購入目的に応じたブランド選びも重要です。長期保有を考えている場合は安定性の高いブランド、短期間での売却を視野に入れている場合は流動性の高いブランドを選ぶなど、目的に応じた検討が必要です。
まとめ
以上の調査結果と分析から、ブランドマンションの実態は一般的な認識とは異なる面があり、ブランドごとにそれぞれ特徴があることが分かりました。購入を検討する際はブランド名だけでなく、具体的なデータや特徴を踏まえた慎重な判断が必要です。また、不動産市場の変化に注目しながら長期的な視点で選択することが重要です。
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