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東京オリンピック選手村の跡地に建設が予定されている“晴海フラッグ”。住宅のみならず、商業施設や教育機関をもつ商業・住宅を複合したビッグプロジェクトとして注目を集めています。
しかし、世界規模の新型コロナウィルス蔓延により、2020年7月24日開催予定だった東京オリンピックは、「2021年7月23日開催」と約1年の延期が決定。これを受け、晴海フラッグも、引き渡し・入居時期を後ろ倒しにしなければならない状況です。
東京オリンピック延期が決定するまでに、晴海フラッグの4,000戸以上ある分譲部分の一部エリアは第一期販売を終え、1/5ほどにあたる約900戸が契約済みだということです。
第二期以降の販売は見送られていますが、すでに契約済みの住戸については、引き渡し延期を受けどうなってしまうのでしょうか?
オリンピックの選手村として使われる晴海フラッグは、大会が延期すれば住宅への改修工事等も延期となり、引き渡しについても1年前後遅れると見られています。
そもそも、当初の晴海フラッグの引き渡し時期は2023年。つまり、オリンピックが今の予定通り2021年に開催された場合、普通に考えれば引き渡しは2024年になるということです。
ここでまず疑問に思うのが、「引き渡し遅延に対して、買主は契約を解除できないのか」ということ。これについては、基本的には難しいでしょう。
不動産の売買契約の解除は、売主の都合によるものであれば、売主の「手付金の倍返し」となります。つまり、手付金の2倍の金額を売主から買主に渡すことで解除可能だということです。しかしながら、今回の遅延については「売主都合」とは言い難く、契約を終えた人が契約を解除したいのであれば、手付金を放棄しなければならないと考えられます。
手付金は、売買金額の5~10%ほどが一般的。晴海フラッグの第一期販売は6,400万円台が最多で、2億円を超える住戸もありました。とするならば、これまで分譲された住戸の手付金は300~650万円ほどが最多で、中には1000万円以上の手付金を入れている方もいると推測されます。
なんらかの救済策が取られないとすれば、契約者はこの手付金を放棄しなければ、現状、契約解除はできません。
引き渡し時期が1年も遅れるとなると、思い描いていたライフプランが変わってきてしまうこともあるでしょう。とくに晴海フラッグはファミリー向けの間取りが中心なので、お子さんの進学等に合わせて購入を決めた方々も多いはずです。
さらに問題になるのは、住宅ローンのこと。住宅ローン金利は、引き渡し時のものが適用となります。昨今では非常に低い水準で住宅ローン金利は推移していますが、コロナショックを受け、日銀はさらなる追加緩和を決めています。
4年後の金利水準など予想できませんが、時期的にも、金融引き締めによる住宅ローンの金利上昇は十分考えられるシナリオです。
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オリンピックの延期は晴海フラッグの契約者のみならず、東京湾岸エリアに、東京全体に、そして日本全体に深刻な影響を与える可能性があります。
晴海フラッグの立地は、勝どき駅徒歩16分~20分(棟による)と、決して良いわけではありません。しかし、東京オリンピック開催に合わせて運行開始される「BRT=バス高速輸送システム」という新交通システムの導入により、わずか10分ほどで新橋にまで行けるといいます。
ただこのBRTプロジェクトについても、新型コロナウィルスやリンピック延期の影響が出ないとも限りません。BRTは晴海フラッグのためだけに運行されるのではなく、都心と東京湾岸エリアをつなぐ新たな交通網として期待されています。BRTの運行開始時期にも遅れが生じれば、湾岸エリアの不動産価格に影響を与える可能性も否めません。
コロナショック以前の“不動産バブル”ともいえる不動産市場の好景気は、“オリンピック特需”ともいわれていました。
(出典:国土交通省)
まさに、東京オリンピック開催が決まった2013年から不動産価格は右肩上がり。2013年は金融緩和政策による住宅ローン金利の低下が始まった起点の年でもありますが、やはりオリンピックによる高揚感は大きかったといえるでしょう。開催エリア付近の不動産価格高騰が東京中に、日本中に広がっていったわけですが、今度は逆に、東京湾岸エリアの価格暴落が各地に広がっていくことも考えられます。
晴海フラッグは、1万人以上の人が住まう“街”になるはずの場所。そして、日本の主要デべロッパーのほとんどが携わっているといっても過言ではないビッグプロジェクトです。
価格崩壊やプロジェクト自体の変更が起きれば、晴海フラッグが、「コロナショック」「東京オリンピック延期」が不動産市場に与える悪影響の象徴的な存在になってしまいかねません。
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