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建築費高騰で新築マンションの供給はどう変わった?供給制約時代に資産価値を保つ大規模開発マンションの条件

建築費高騰で新築マンション価格と供給はどう変わった? 供給減少時代に資産価値を保つ大規模開発マンションの条件記事のサムネ

近年、新築マンションを取り巻く状況は大きく変化しています。
新築マンションの価格が高止まりしている背景には、需要の増加だけでなく「建築費の高騰」という構造的な要因があります。

実際、以前のように「新築ならどこでも売れる」市場ではなくなり、売れるマンションと売れにくいマンションの差がはっきりしてきました
なぜ新築マンションの供給は減っているのか、なぜ一部のマンションだけが高値でも選ばれ続けるのか。
これらを理解することは、これからマンション購入を考える方にとって非常に重要です。

この記事では、建築費高騰が新築マンション市場に与えた影響を整理しながら、供給制約の時代において資産価値を保ちやすいマンションの特徴を、専門的な視点も交えて分かりやすく解説します。

国土交通省のデータ「建設工事費デフレーター」をもとに、2000年代前半築マンションの資産価値がなぜ再評価されているのかを、わかりやすく解説している記事も公開しています!

目次

建築費高騰が新築マンション価格・市場に与えた影響

2022年以降、資材高騰や人手不足により建築費が急上昇していることと、それに伴い首都圏の新築マンション供給戸数が減少傾向にあることを示したグラフ
グラフ 1:建築工事費デフレーターと首都圏新築マンション供給戸数の推移
出典:福嶋総研

2022年以降に建築コストが急上昇した理由

結論から言うと、現在の新築マンション価格は一時的に高いのではなく、構造的に高くなっています
2022年以降、日本の建築コストは急激な上昇局面に入りました。

背景には、世界的な資源価格の高騰があります。鉄やセメント、木材といった主要な建材価格が上昇し、建築コスト全体を押し上げました。

加えて、物流費の上昇も大きな要因です。燃料価格の上昇や輸送人員の不足により、建材を運ぶだけでも以前より高いコストがかかるようになりました。
さらに円安の進行によって、輸入資材の価格は円ベースで一段と上昇しています。

人手不足と賃金上昇による建築費の構造的上昇

建設業界では、慢性的な人手不足も続いています。職人の高齢化が進む一方で若手人材は不足し、結果として賃金は上昇しています。
この人件費の上昇も、建築費を押し上げる要因の一つです。

これらの要因はいずれも短期間で解消されるものではありません。
そのため、建築費高騰は一時的なインフレではなく、今後も続く前提で考える必要がある構造的な変化と言えます。

新築マンション供給はなぜ減った?供給制約時代の到来

建築費だけでなく、用地取得費も上昇しています。特に都市部では土地の希少性が高く、土地価格そのものが下がりにくい状況です。
この「土地」と「建築」の両方が高くなる構造が、新築マンション供給を強く制限しています。

中小規模マンション開発が成立しにくくなった理由

結論として、中小規模のマンション開発は採算が合いにくくなっています。
戸数が少ない物件では、一戸あたりにかかる建築費や土地代の負担が大きくなります。
その結果、販売価格を十分に上げられないエリアでは、事業そのものが成立しなくなってしまいます。

実際に首都圏全体を見ると、新築マンションの供給戸数は明確に減少しています。
計画の中止や延期が相次ぎ、「売りたいが物件が出せない」という供給制約の状態が広がっています。

かつては供給過剰が問題視されていましたが、現在は完全に状況が逆転しました。
新築マンション市場は、供給量よりもどんな物件が供給されるかが問われる時代に入っています。

建築費高騰時代に重視されるマンションの質と資産性

供給が限られるからこそ、購入者は慎重になります。
新築であること以上に、立地の良さ、開発規模、共用施設や街づくりまで含めた商品力が重視されるようになりました。

この結果、市場では「選別」が進みます。
条件の整ったマンションは高値でも選ばれ、そうでない物件は苦戦する。
この差が、以前よりもはっきり表れるようになっています。

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大規模開発マンションが生き残る理由と供給構造

2022年以降、エリア別に見た新築マンションの一棟あたり平均戸数を示し、大規模開発が都市部に集中していることが分かるグラフ
地図 1:首都圏で大規模新築マンションが集中するエリア
出典:福嶋総研

建築費高騰下でも供給を維持できる理由

結論として、建築費高騰下でも供給を維持できているのは大規模開発(1棟当たり平均戸数が多い=大規模開発)マンションです。
戸数が多いため、建築費や用地費を分散しやすく、価格転嫁もしやすい構造を持っています。

一般的に、一棟あたり150戸以上の物件は大規模開発とされます。
こうした物件は、東京都・神奈川県・千葉県の都市部を中心に供給が続いています。

駅前再開発や複合用途開発といった形で、自治体や大手企業が関与するケースが多く、立地そのものに希少性があります。

駅前再開発・複合用途開発が中心となる理由

大規模開発マンションは、住宅単体ではなく、商業施設や公共施設、業務機能を組み合わせた形で計画されることが多いです。

こうした開発は利便性を高めるだけでなく、街全体の評価を底上げします。
結果として、マンション単体ではなくエリア全体の価値向上につながります。

建築費を価格転嫁できるマンションの条件

価格が高くても選ばれるマンションには共通点があります。
それが、立地の希少性、商品企画の完成度、そしてブランド力です。

購入者は価格そのものより、「将来売れるか」「価値が残るか」を重視しています。
この視点が、価格転嫁を可能にしています。

価格上昇でも需要が減らない理由

供給が少ないため、条件の良い物件は価格が上がっても需要が維持されます。
「価格が上がれば需要が減る」という単純な関係は成り立たなくなっています。

これが、現在の新築マンション市場の大きな特徴です。

新築競合が少ないことで生まれる価格維持力

新築の競合物件が出にくいため、中古になっても価格が下がりにくい傾向があります。
結果として、大規模開発マンションはエリア内の基準価格となりやすく、資産価値の安定につながります。

総武本線(東京〜千葉)に見る成熟市場の再成長

千葉県の総武本線沿線では、成熟したエリアでも再開発により大規模マンション供給が進んでいることを示すグラフ
地図 2:成熟した総武本線沿線で進むマンション供給
出典:福嶋総研

千葉県の総武本線沿線は、早期に住宅地化が進んだ成熟エリアです。
一方で近年は駅前再開発を中心に大規模開発が進み、供給の質が高まっています。

成熟市場であっても、再開発によって資産性を再強化できる好例と言えるでしょう。

まとめ | 建築費高騰時代におけるマンション資産性の結論

結論として、建築費高騰は新築マンション市場の構造を大きく変えました。
「どこでも売れる時代」は終わり、立地・規模・商品力による選別が進んでいます。

今後のマンション選びでは、過去の価格データだけでなく、なぜこのマンションは価格を維持できるのかという構造的な視点が、これまで以上に重要になるでしょう。

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この記事を書いた人

福嶋 真司のアバター 福嶋 真司 マンションリサーチ株式会社 不動産データ分析責任者

【保有資格】宅地建物取引士
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて中古マンション市場調査を行い、顧客に情報の提供を行っている。

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