【東京都23区の再販マンション市場】売主企業が減少?価格上昇と市場縮小のリアル

近年、東京都23区の再販マンション市場に大きな変化が訪れています。価格の高騰が続いているにもかかわらず、供給数は減少しており、これまで市場を支えてきた売主企業の撤退も見られるようになりました。

この記事では、再販マンション市場の現状を詳しく解説していきます。

目次

東京都23区の再販マンション市場の現状

再販マンションとは?

再販マンションとは、不動産会社が一度購入し、リフォームやリノベーションを行った後に再販売する中古マンションのことです。一般の中古物件と違い、プロの手によって設備や内装が整えられているため、購入後すぐに住めるのが特徴です。

価格高騰と供給数の減少

再販マンション市場では、価格が上昇し続けています。その一方で、新規供給数は減少傾向にあります。

グラフ1:東京都23区:50㎡以上中古マンション売出数に対する再販マンションの割合
【引用元:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研調べ

グラフ2:東京都23区:50㎡以上買取再販(リノベ)マンションの成約坪単価
【引用元:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研調べ

具体的には、2023年をピークに中古マンションの新規売出し数に対して、再販マンションの新規売出し数は減少しています。このデータは、市場の供給縮小を裏付けるものであり、今後の動向を予測する上で重要です。

この傾向は、消費者にとって選択肢が限られる一方で、マンションの希少価値が高まるため、さらに価格が上昇する要因となっています。

売主企業数の減少と市場撤退の動き

グラフ3:東京都23区の売主会社数
【引用元:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研調べ

再販マンション市場では、売主企業の数も減少しています。2021年から2023年にかけて売主企業数が増加しましたが、2023年から2024年にかけて約21%減少しています。この変化は、供給縮小のタイミングと一致し、価格高騰の要因となっています。市場に参入する企業の減少は、供給縮小をさらに加速させています。

競争が少なくなることで、価格が一層高騰する悪循環が生まれ、消費者は選択肢が減り、高価格帯の物件を購入せざるを得ない状況が増えています。プレイヤーの減少は、市場全体の多様性を失わせるというデメリットもあります。

再販マンション供給縮小の背景

供給が縮小している理由については、複数の要因が絡み合っています。ここでは、主な要因として仕入れ価格の高騰について解説します。

仕入れ価格高騰による企業の保守的姿勢

仕入れ価格の高騰も、再販マンション市場において大きな課題となっています。土地価格や建材費が上昇する中、企業はリスクを避けるために仕入れを控える傾向にあります。

具体的な例として、湾岸エリアでは高級タワーマンションの価格が大幅に上昇しており、これにより再販市場に参入するハードルが高くなっています。このような状況では、企業が保守的な姿勢を取るのも無理はありません。

築浅再販マンション市場の動向

グラフ4:東京都23区50㎡以上/2005年以降築中古マンション売出数に対する再販マンションの割合
【引用元:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研調べ

一転して、築浅再販マンション市場では活発な動きが見られます。特に2005年以降に建築された物件や湾岸エリアの高級タワーマンションが注目されています。

富裕層向けの市場が活発化する一方で、中価格帯の物件は供給が減少しており、市場の二極化が進んでいます。この傾向は、今後も継続すると予測されています。

まとめ

東京都23区の再販マンション市場は、価格が上がり続ける一方で、売られる物件の数が減ってきています。土地や建材のコストが高くなっているため、マンションの価格が高くなり、売主企業も市場から撤退するケースが増えています。そのため、消費者は選べる物件が少なくなり、価格がさらに上がる可能性があります。

手ごろな価格の物件は減少している一方で、特に高級な築浅マンションの需要が高まっており、市場が二極化しています。今後もこの傾向が続くと予想されるため、物件を購入しようと考えている人は、早めの情報収集が重要です。

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この記事を書いた人

福嶋 真司のアバター 福嶋 真司 マンションリサーチ株式会社 不動産データ分析責任者

【保有資格】宅地建物取引士
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて中古マンション市場調査を行い、顧客に情報の提供を行っている。

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