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【2025年6月最新】金利水準は上がるも、東京都23区マンション需要に未だブレーキはかからず!?

マンションリサーチ株式会社(東京都千代田区神田美土代町5-2)はホームローンドクター株式会社(東京都中央区八丁堀2-19-6)代表取締役 淡河範明(おごう のりあき)氏への聞き取り調査による住宅ローン金利の推移の予測と、マンションリサーチ株式会社保有データを用いて中古マンション市場の現況について調査しました。

目次

金利から見る、中古マンション市場

グラフ1:DH住宅ローン指数の推移【出典:ホームローンドクター株式会社】
グラフ1:DH住宅ローン指数の推移
【出典:ホームローンドクター株式会社

以下のグラフ2では東京都23区の一般向け中古マンションの「販売日数」と「値下げの回数」の推移を示しており、販売日数が長いほど購入需要が弱いことを示し、値下げの回数が少ないほど売却姿勢が強気であることを示します。

グラフ2:東京都23区中古マンション:販売日数と値下げ回数【出典:福嶋総研】
グラフ2:東京都23区中古マンション:販売日数と値下げ回数
【出典:福嶋総研

東京都23区中古マンションの「販売期間」も「値下げ回数」(グラフ2)も微増したものの非常に低い推移で推移しています。従って需要が強く、売り手も強気のマーケットという事が分かります。更にグラフ1を見ると全体的に金利が上がっている為、買い手には不利な状況になるのですが、現行の金利水準でも東京都23区マンション需要にブレーキをかける程の影響はないという事が想定されます。

一方で必ず臨界点が来ることも想定されるので、引き続き定点観測を行っていきます。

変動金利

変動金利の現況

2025年4月・5月ともに大きな動きは見られず、多くの銀行が金利を据え置いています。

6月1日時点のDH住宅ローン指数における変動金利は1.056%となり、前月の0.855%から大幅に上昇しました。しかし、これは優遇制度の適用方法の変更によるものであり、実際には金利はほぼ横ばいです。多くの銀行が、金利の上昇に対して慎重な姿勢を取っているようです。

グラフ3:DH住宅ローン指数の推移(変動金利)【出典:ホームローンドクター株式会社】
グラフ3:DH住宅ローン指数の推移(変動金利)
【出典:ホームローンドクター株式会社

6月に金利を上げたのはauじぶん銀行であり、金利を下げたのは三井住友信託銀行、PayPay銀行、楽天銀行の3行です。みずほ銀行は表面金利0.525%と、依然として非常に低い金利を維持しています。なお、まだDH指数の対象外となっているUI銀行は0.495%と、みずほ銀行を下回り、確認可能な中では最も低い水準となっています。

6月初旬には、auじぶん銀行が優遇幅を縮小して金利を引き上げた一方、PayPay銀行は優遇幅を拡大し、金利を引き下げました。ただし、これらの動きは微調整の範囲内であり、大きな方針転換とは言えないようです。

変動金利の今後の動向

政策金利の引き上げについては、当面見送られるという見方が大勢を占めていますが、植田総裁は「経済・物価情勢の改善に応じて利上げを続けていく」との姿勢を示しており、年内に利上げが行われる可能性はあると見られています。

10年固定金利

10年固定金利の現況

多くの銀行が、固定金利選択型商品の中でも10年固定を主力としてきましたが、金利の上昇により取り扱いは減少傾向にあるようです。特に、全期間固定金利を提供している銀行では、10年固定を積極的に展開する動きは見られません。

グラフ4:DH住宅ローン指数の推移(10年固定金利)【出典:ホームローンドクター株式会社】
グラフ4:DH住宅ローン指数の推移(10年固定金利)
【出典:ホームローンドクター株式会社

6月初旬のDH住宅ローン指数では、10年固定金利が1.818%となり、前月の1.615%から0.2%超の上昇となりました。これは、1年前の1.298%と比較しても明らかに上昇しており、完全に上昇局面に入ったように見受けられます。

10年国債の上昇を受け、ウォッチ対象の13行のうち12行が金利を引き上げました。5月は一時的な調整の動きが見られましたが、6月に入り再び金利は上昇傾向に戻っています。

10年固定金利の今後の動向

5月には、FRB(米連邦準備制度)がスタグフレーションを懸念していることが明らかとなり、米国をはじめ各国で金利が上昇しました。世界的な金利上昇の可能性が高まる中、日銀の早期利上げ観測は後退しており、今後も比較的狭い範囲での金利変動が予想されます。

全期間固定金利

全期間固定金利の現況

全期間固定金利は、変動金利と比較して割高と感じられるため、これまでは敬遠されがちでした。しかし、変動金利の上昇が本格化し始めたことにより、全期間固定を選択する方が増えてきているようです。ただし、現在も変動金利を選ぶ方が多数派であり、今後は迷った末に変動金利と(全期間固定金利)のミックスプランを選択する方も増えてくると予想されます。

全期間固定金利は、日本国債10年物に加え、超長期国債などの動向も参考にして設定されるとされています。特に5月には、20年以上の国債利回りが大きく上昇し、金利上昇への懸念が一気に高まりました。

今月のDH住宅ローン指数による全期間固定金利は2.429%となり、前月の2.193%から上昇しています。これは国内金利の上昇をそのまま反映していると見られます。1年前の1.994%から上昇が続いていますが、上昇幅は徐々に縮小しており、当面は上限金利付近にあると考えられます。

グラフ5:DH住宅ローン指数の推移(全期間固定金利)【出典:ホームローンドクター株式会社】
グラフ5:DH住宅ローン指数の推移(全期間固定金利)
【出典:ホームローンドクター株式会社

対象となっている14行のうち7行、およびフラット35すべてが金利を引き上げました。もちろん、金利の上昇幅は銀行ごとに異なりますが、3行では金利が3%を超える水準となっています。 ここ数カ月にわたり、全期間固定の最有力候補とされているフラット35ですが、今月は買取型の基準金利が1.94%へと上昇したものの、相対的には依然として魅力的な水準にあります。

全期間固定金利の今後の動向

全期間固定金利も10年固定金利と注目すべきポイントは共通しています。金利の方向性が明確にならない状態がどれほど続くかは不透明ですが、少なくとも今後数カ月間はレンジ内での動きが続くと見込まれます。

まとめ

変動金利

政策金利の引き上げについては、当面見送られるという見方が大勢を占めていますが、植田総裁は「経済・物価情勢の改善に応じて利上げを続けていく」との姿勢を示しており、年内に利上げが行われる可能性はあると見られています。

10年固定金利

5月には、FRB(米連邦準備制度)がスタグフレーションを懸念していることが明らかとなり、米国をはじめ各国で金利が上昇しました。世界的な金利上昇の可能性が高まる中、日銀の早期利上げ観測は後退しており、今後も比較的狭い範囲での金利変動が予想されます。

全期間固定金利

今後については、全期間固定金利も10年固定金利と同様のポイントに注視すべきです。金利の方向性が明確にならない状態がどれほど続くかは不透明ですが、少なくとも今後数カ月間はレンジ内での動きが続くと見込まれます。

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この記事を書いた人

福嶋 真司のアバター 福嶋 真司 マンションリサーチ株式会社 不動産データ分析責任者

【保有資格】宅地建物取引士
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて中古マンション市場調査を行い、顧客に情報の提供を行っている。

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