郊外タワーマンションの代表格「武蔵小杉」と、都心湾岸エリア「勝どき・月島」。
どちらが資産性が高く、住み心地はどう違うのでしょうか?
再開発で街の価値を高め続け、共働き世帯やファミリー層の売買検討で比較されることが多いエリアです。冠水や湾岸の液状化など、災害リスクを不安視する声もありますが、実際のデータではどちらのエリアも一定の値持ち力を保ち続けています。
今回はマンションナビの最新データをもとに、価格相場・アクセス性・街の住み心地・災害リスクまで、リアルに比較していきます。
- 武蔵小杉は9年前から約1.8倍の㎡単価上昇、勝どき・月島は約2倍で堅調に推移
- ㎡単価の差は30〜60万円、70㎡で約2100万〜4200万円の総額差がうまれる
- 災害リスクはあるが、どちらも将来的な売却がしやすく、資産性を維持しやすいエリア
調査期間: 2016年6月~2025年6月
調査機関:マンションナビ
調査対象:神奈川県川崎市中原区と東京都中央区の各一部エリアのマンション
データ基準:専有面積70㎡換算、築年数20年前後
9年前と6年前の相場推移も参照し、短期的な相場だけでなく長期で見た資産性の動きも把握します。
価格相場をマンションナビで比較
武蔵小杉
武蔵小杉駅がある川崎市中原区小杉町の売買価格相場からみる㎡単価は129.2〜134.9万円となっており、9年前は㎡単価70.5〜76.2万円だったため、約1.8倍の伸びを見せています。

冠水被害がニュースになった2019年以降も、下水整備の進展で相場は回復基調。新規売出物件数も多く、将来的な住み替えが視野に入れやすい点も強みです。
勝どき・月島
中央区勝どきの売買価格相場の㎡単価は190.7〜196.4万円、中央区月島の売買価格相場の㎡単価は155.7〜161.4万円と、武蔵小杉より30~60万円/㎡ほど高い水準にあります。


同じ70㎡で比較すると、物件価格でおおよそ2100万〜4200万円の差が出る計算です。70㎡で換算すると、物件価格で約2100万〜4200万円の差になります。
9年前の㎡単価は約80万円/㎡だったため、こちらも約2倍に成長。
都心直結の利便性と湾岸ブランドの眺望資産が、価格の底堅さを支えています。
アクセス性と通勤のしやすさを比較
武蔵小杉
- 複数路線を活かし渋谷・新宿・品川・東京駅に直通
- 渋谷:約16分、新宿:約18分、品川:約12分
- 西側オフィス勤務や横浜方面にも強い交通ハブ
勝どき・月島
- 銀座・東京駅・大手町に強く、都心直結型
- 勝どき→銀座一丁目:約5分、月島→東京駅(有楽町経由):約8分
- 通勤時間の短さが資産価値にも影響
街の住み心地+代表タワーマンション
武蔵小杉
武蔵小杉は、近年の再開発でタワーマンションが林立する一方で、昔ながらの商店街や個人店が残っているのも特徴です。「グランツリー武蔵小杉」など大型商業施設が揃っており、普段の買い物や休日の過ごし方にも困りません。
代表的なタワーマンションとしては、
パークシティ武蔵小杉 ザ グランドウイングタワー(推定売買価格相場12,890万円〜13,290万円[㎡単価170万円前後])や、シティタワー武蔵小杉(推定売買価格相場11,200万円〜11,600万円[㎡単価180万円前後])があり、どちらも駅近・大規模・管理体制が安定している点が支持されています。
勝どき・月島
勝どき・月島は、湾岸ならではの開放感と夜景資産が大きな魅力です。高層階から東京タワーやスカイツリーを望める眺望は、タワーマンションならではの価値と言えるでしょう。
代表的な物件としては、
THE TOKYO TOWERS(推定売買価格相場18,330万円〜18,730万円[㎡単価185万円前後]や、リバーシティ21スカイライトタワー(推定売買価格相場16,110万円〜16,510万円[㎡単価160万円前後])が湾岸の象徴的存在で、高層階の眺望資産と充実した共用施設が特徴です。
災害リスクと資産性の現実
武蔵小杉は多摩川氾濫による冠水被害の印象がまだ残っていますが、駅周辺の大規模マンションでは管理組合主体で浸水防止や設備の耐水化対策が進められています。
特に総戸数300戸以上の大規模マンションの新規売出物件も流通量が多く、中古市場の流通数が安定しているのが強みです。

大規模物件は修繕積立金を効率的に分担できるため、災害後も修繕計画が滞りにくく、将来的な資産性を守りやすい点でも選ばれています。
一方、勝どき・月島は湾岸エリア特有の液状化・高潮リスクは残るものの、地盤改良や防災対応が進み、9年前と比較して相場は約2倍に成長しています。
武蔵小杉と同様に、総戸数300戸以上の大規模マンションの新規売出物件数が安定して多く、中古市場での流動性が高いのが特徴です。

大規模物件は管理費・修繕積立金を効率的に分担しやすく、ハザードマップでリスクが指摘されるエリアでも、修繕計画と防災力を維持できる点が資産性の底堅さにつながっています。加えて、都心直結エリアとしての需要と眺望価値が、万が一のリスクがあっても価格を下支えしています。
自然災害はどの立地でもゼロにはできませんが、出口戦略を考えるなら流通量の多さと管理組合の防災力は大きな保険になります。
武蔵小杉のように大規模マンションが多い街や、勝どき・月島のように「都心直結×眺望×ブランド性」を持つ湾岸エリアでは、万が一のリスクがあっても資産性を保ちやすい傾向が強いと言えるでしょう。
どちらを選ぶべき?|まとめ
結論として、どちらもタワーマンションエリアとして資産性の底堅さがデータで裏付けられています。
渋谷・新宿・品川勤務が多いなら ▶ 武蔵小杉
銀座・東京駅・大手町勤務が多いなら ▶ 勝どき・月島
そして、70㎡換算では2100万〜4200万円ほどの価格差が出ます。
都心直結のブランド料を払ってでも湾岸を選ぶのか、郊外の交通利便性と街の多様性を取るのか――
あなたのライフスタイルと資産性を総合して選んでくださいね。
