大阪駅北の関西最後の一等地を舞台に、総事業費1兆数千億円超の「うめきた再開発」が佳境を迎えています。
第1期の「グランフロント大阪」から第2期の「グラングリーン大阪」へつながるこのプロジェクトは、緑豊かな都市公園の誕生や高層複合施設・住宅の新設、交通インフラの整備で梅田の街を一変させてきました。
本記事では、再開発の背景や目的から1期・2期を通じて起こる街の変化に加え、不動産への影響について解説します。
うめきた再開発の背景と目的
うめきた地区の再開発は大阪・梅田駅周辺で行われていますが、「なぜ関西有数の商業エリアの再開発が今頃まで行われているのか」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
まずは、うめきた再開発が計画された経緯と、再開発で目指す姿について解説します。
うめきた再開発の背景
うめきた地区の再開発は、大阪駅北側に位置するかつて梅田貨物駅があった約24haの跡地を対象エリアとして行われています。
梅田駅はかつて国鉄時代に貨物専用駅として誕生し、138年にも及ぶ運用ののち、民営化に伴う貨物ターミナルの移転により周辺エリアが解放されました。
周辺駅も含めると一日の乗降客数が約240万人という、西日本最大のターミナル駅前という希少な立地に出現した広大な空き地は、「関西最後の一等地」とも呼ばれています。
この希少な立地を活かすべく、1期・2期をあわせると1兆数千億円にものぼる総事業費を投入した「うめきたプロジェクト」が2002年から始動しました。
うめきた再開発の目的
2004年に策定された「大阪駅北地区まちづくり基本計画」では、うめきたプロジェクトの目標として以下の5つが挙げられています。
| 1.質の高い都市空間の創出 | 国際的拠点としての機能強化と地域同士のネットワーク化による賑わいのある空間の形成 |
| 2.良好な都市景観の形成 | 公民連携した整備による「大阪の顔」として人が集う魅力ある街並みづくり |
| 3.華やかで賑わいのある歩行者空間の創出 | 広幅員の歩道空間を有効活用した商業施設などとの一体感のある魅力的な演出 |
| 4.歩行者・自動車交通の円滑化 | 最新のIT技術を活用した案内情報提供システムなどによるシームレスでスムーズな移動のサポートやバリアフリーでゆとりある歩行者環境の創出、円滑なアクセス動線の確保による自動車交通量の低減 |
| 5.安心・安全な都市環境の維持 | セキュリティ強化や、豊かな都市空間の提供と災害対策を兼ねたオープンスペースの確保 |
うめきた再開発は、2025年の大阪・関西万博と連動しつつこれらの目標を実現することで、うめきた地区を「大阪・関西の発展をけん引し国際競争力を強化する新拠点」とするためのまちづくりを目指すものです。
うめきた1期と2期の違いとは?プロジェクト全体像
うめきた地区は先行開発区域(グランフロント大阪)と2期区域(グラングリーン大阪)とに分かれ、現在は第2期が進行中です。
出典:国土交通省近畿地方整備局 大阪駅前の新たな拠点 「うめきた」のまちづくり
次に、1期と2期それぞれの概要と全体のスケジュールについて見てみましょう。
うめきた1期|グランフロント大阪(2013年開業)

出典:大阪市
「うめきた1期」として先行開発され、2013年にまちびらきを迎えたのが通称「グランフロント大阪」です。
グランフロント大阪はうめきた地区の約24haのうち7haにあたり、エリア内の4つのタワーを中心に以下の施設が開発されました。

| <南館>タワーA:地上38階/地下3階 | ショップ&レストランオフィス |
| <北館>タワーB:地上38階/地下3階タワーC:地上33階/地下3階 | ナレッジキャピタル(ショールーム・ラボ・シアター・コンベンションセンターなど)ショップ&レストランオフィスインターコンチネンタルホテル大阪 |
| グランフロント大阪オーナーズタワー:地上48階/地下1階 | 分譲マンション(525戸) |
| うめきた広場(1700㎡) | ショップ&レストランうめきたSHIP HALL |
エリア内には約260店舗のショップ&レストランのほか多目的ホールと一体化して利用できる広大な広場もあり、都会と自然双方の魅力を満喫できます。
さらに、インターコンチネンタルホテル大阪や知的創造の場である「ナレッジキャピタル」など、交流や集客のための機能もそろっています。

うめきた2期|グラングリーン大阪(2024年~順次開業)
出典:大阪市
うめきた1期に続き、残りの17haを対象としたうめきた2期区域、通称「グラングリーン大阪」では「みどりとイノベーションの融合」をテーマに再開発が進められています。
以下の通り、うめきた2期エリアは北館と南館に加え、その中間に広がる都市公園「うめきた公園」から構成されています。

| <北館>ノースタワー:地上26階/地下3階 | ショップ・レストランJAM BASE(共創施設)キャノピーbyヒルトン大阪梅田 |
| <南館>パークタワー:地上39階/地下3階ゲートタワー:地上18階/地下3階サウスタワー:地上28階/地下3階 | ショップ・レストランホテル阪急グランレスパイア大阪ウォルドーフ・アストリア大阪うめきた温泉コングレスクエア グラングリーン大阪(MICE施設)オフィスラウンジTime Out Market OSAKA(フードマーケット) |
| グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE:地上46階 | 分譲マンション(484戸) |
| グラングリーン大阪 THE SOUTH RESIDENCE:地上47階 | 分譲マンション(600戸※未完成) |
| うめきた公園(約45,000㎡) | PLAT UMEKITA(インフォメーション・イベントスペース) |
「みどりとイノベーションの融合」という、うめきた2期のテーマが色濃く表れているのが「うめきた公園」です。
大阪都心部駅前一等地の45,000㎡もの面積を贅沢に使ったうめきた公園は、大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の規模を誇ります。
同時に、交流・共創施設「JAM BASE」やMICE施設「コングレスクエア グラングリーン大阪」など、イノベーションを生み出す素地となる「人」と「交流」を生み出す施設もそろっています。
それに加え、最上級ラグジュアリーホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪」を含む3つの宿泊施設を有し、観光・ビジネスいずれのニーズにも対応可能です。
うめきた2期再開発では、施設だけではなく人を集める「動線」作りとしてインフラの整備も行われました。
その最たるものが、2023年3月のJR大阪駅「うめきたエリア」開業です。
地下ホームの新設により関空特急「はるか」や和歌山方面行き特急「くろしお」が停車することで、和歌山方面はもとより、関西国際空港から直接アクセスが可能になり交通利便性が格段に向上しました。
うめきた2期再開発では魅力あふれる緑と各種施設で訪れる人々を惹きつけ、完成済みの1期と併せて、新しい価値を生み出し国際競争力を強化する拠点の形成を目指します。
出典:大阪市
各エリアの竣工予定・再開発スケジュールまとめ
現在進行中のうめきた2期も再開発は終盤を迎え、2025年までに大部分のエリアが完成しています。
全体のスケジュールと今後の予定は以下の通りです。
| 2002年7月 | 都市再生緊急整備地域に指定 |
| 2004年7月 | 「大阪駅北地区まちづくり基本計画」を策定 |
| <1期(先行開発区域)> | |
| 2004年12月 | 土地区画整理事業、道路、駅前広場の都市計画決定 |
| 2010年3月 | 工事着工 |
| 2013年4月 | まちびらき(グランフロント大阪開業) |
| <2期> | |
| 2009年7月 | 大阪駅北地区2期開発ビジョンを策定 |
| 2015年3月 | まちづくりの方針を決定 |
| 2020年12月 | 民間による賃貸棟着工(南街区・北街区) |
| 2023年2月 | JR東海道線支線地下化切換 |
| 2023年3月 | 大阪駅地下ホーム(うめきたエリア)開業 |
| 2024年9月 | 先行まちびらきグラングリーン大阪北館(ホテル、中核機能施設、商業施設)うめきた公園のサウスパーク全面・ノースパークの一部区域うめきたグリーンプレイス内歩行者デッキ |
| 2025年3月 | 開業範囲拡大グラングリーン大阪 南館(ホテル、オフィス、中核機能施設、商業施設)うめきたグリーンプレイス(商業施設、駅前広場) |
| 2025年12月下旬 | 北街区分譲棟完成 |
| <今後の予定> | |
| 2027年春頃 | 公園全面開園 |
| 2027年度 | 全体まちびらき |
| 2028年7月頃 | 南街区分譲棟完成 |
| 2028年度 | 基盤整備完了 |
現在うめきた2期は街としての主要な骨格が形成されており、2027年〜2028年度のまちびらきを待つ状態です。
うめきた再開発で変わる梅田の街と暮らし
周囲の景色が一変するような大規模な再開発によって、梅田エリアの暮らしは大きく変わりました。
ここでは、3つのポイントに絞って街に起こった変化について解説します。
都市公園と水辺空間の整備による憩いの場の創出
うめきた2期再開発に触れる上で欠かせないのが、テーマでもある「みどり」を象徴する「うめきた公園」です。
うめきた2期は「環境共生型都市」として敷地全体で一体的な設計がされており、防災力向上を兼ねてエリア全体の約半分を緑地化しています。
しかし、機能面だけでなく魅力ある大阪の「名所」としてのまちづくりにも重点が置かれている点が大きな特徴です。
都市的な「南公園」と自然豊かな「北公園」から成る同公園には池や滝、水盤を石段の観客席で囲んだ「リフレクション広場」などの水景が設けられ、「水の都」大阪のイメージをデザインの各所に落とし込んでいます。
高層マンション・オフィス・ホテルの新設ラッシュ
再開発エリアを中心に、周辺では高層マンションやオフィス、ホテルが一気に増えています。
エリア内だけでも、完成済の2棟に加え、2028年には「グラングリーン大阪 THE SOUTH RESIDENCE」が竣工し、3つの高層分譲マンションが建てられます。
また、グラングリーン大阪の南館には総面積約11万1000㎡もの大規模オフィス、北館にもオフィス・ショールームのフロアが用意されており、住戸だけでなく駅周辺のビジネスエリアも一気に拡大しました。
さらに、北館・南館で最上級ラグジュアリーホテルを含む3ホテルが開業し、合計1,000室超と宿泊キャパシティーが一気に拡大しました。
大阪駅と直結する交通インフラ強化
前述の通り、2023年3月のJR大阪駅地下ホームの開業で大阪駅へのアクセスは以下のように大幅に強化されました。
- 特急「はるか」が1日計60本停車、関西国際空港から直通になり所要時間が20分短縮
- 特急「くろしお」の停車で、和歌山駅からの所要時間が90分から1時間弱に短縮
- 「おおさか東線」の直接乗り入れで奈良方面からのアクセスも向上
また、2031春には新線「なにわ筋線」が地下ホームに接続する計画となっており、市内南北軸の移動も強化されます。
さらに地下ホーム開業に合わせて地上部とつながる新改札口が整備され、うめきた公園や商業施設、周辺街区と一体的につながりました。
300万円以上差がつくことも!?
査定は比較することが重要!
最短わずか60秒の無料一括査定で、あなたのマンションを高く評価してくれる不動産会社にまとめて査定依頼。


うめきた再開発が不動産価格に与える影響とは?
次に、通算20年近くの長年に及ぶうめきた再開発は、これまでと今後、不動産価格にどのような影響を与えるのかについて解説します。
地価・マンション価格の上昇傾向
再開発は、対象エリアのブランドイメージや利便性の向上と不動産価値上昇への期待感から、地価上昇に大きく寄与します。
一例として、令和2年の地価公示によると東京都港区では「高輪ゲートウェイ駅」開業や周辺の再開発の影響を受け、住宅地の地価が14%上昇しています。
参考:国土交通省 令和2年地価公示 49.特徴的な地価の上昇が見られた各地点の動向
再開発が進むうめきたエリアがある大阪市北区も例外ではありません。
令和7年は+7.9%、令和6年は+4.8%と住宅地の地価上昇が続き、マンションナビのマンション価格も9年間で+130.1%と約2.3倍になっています。

また、うめきたエリアの中古マンション価格は今後10年間でさらに50%程度上昇するとも予想されています。
賃貸・商業需要の高まりと利回りの変化
梅田駅周辺エリアでは、オフィス物件の空室率が4%程度と減少傾向であり、賃料の上昇率も世界首位となっています。
再開発により一層増した交通利便性と「グラングリーン大阪」による大規模オフィスの供給による大企業の移転の動きも見られ、賃貸需要は高まっています。
しかしその一方で大阪府不動産鑑定士協会によると、投資需要を中心に賃貸住宅の需要も高いものの取得競争の激しさから、ここ数年で期待利回りは4%台前半から3%台後半へと低下傾向だとしています。
参考:公益社団法人 大阪府不動産鑑定士協会 第29回大阪圏エリア別不動産利回り調査(2025年1月調査)
エリア内にオフィスや住民が増えれば、それに伴う商業需要も高まりでの相乗効果も期待されます。
再開発エリア内の物件は買いか?投資観点での注意点
最上階は「25億円」という超高額物件となった「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」ですが、竣工前に全484戸が完売しています。
「THE SOUTH RESIDENCE」の販売時期は未定ですが、同じく非常に高い人気となるでしょう。
また、「グランフロント大阪オーナーズタワー」は中古物件が出ているものの数億の値が付いています。
投資物件としての観点から見ると利回りが低くなりやすい上に、3棟合計で1,500戸を超えるマンション供給は、今後周辺マンションも含めた供給過多による価格低下リスクがないともいえません。
関西最後の一等地であるうめきたエリア内のマンションというブランドと立地がもたらす高い需要は投資物件として「買い」といえる魅力が十分にあります。
しかし、取得価格も高いため出口戦略を慎重に検討する必要があるでしょう。
狙い目のマンション・再開発エリア外の注目ポイント
居住用としても投資用としても非常に魅力的な再開発エリア内の新築分譲マンションですが、高い人気による取得競争と高額な価格がネックです。
そこでここでは、再開発エリア内・エリア外双方のマンションについて解説します。
再開発エリア内の高層タワー(駅直結・希少性重視)
「希少性」を重視するなら、再開発エリア内の分譲タワーマンションは欠かせません。
再開発エリア内のマンションで特筆すべきなのは、何といっても高い利便性です。
「グランフロント大阪オーナーズタワー」は徒歩6分、「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」は徒歩7分と、3棟が建つのはいずれも大阪駅から徒歩10分未満という絶好のロケーションです。
さらに、「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」は大規模ターミナル駅直結かつ目の前に美しい都市公園が広がる利便性と快適性を極めた暮らしが手に入ります。
エリア外でも資産性が見込める梅田周辺エリア
うめきた再開発エリア内の分譲マンションは、需要が非常に高く資産性が見込める反面、価格の高さと人気の高さから購入が難しいのが実情です。
そこで検討したいのが、うめきたエリアから少し外れたエリアでのマンション購入です。
マンションナビのデータによると、同じ大阪市北区でも梅田エリアの中古マンション売買価格相場が1億3,000万円台なのに対し、阪急・大阪メトロで1駅と徒歩圏の中津では6,000万円前後と大きな差があります。
また、「天六」と呼ばれる天神橋筋六丁目駅周辺も、梅田駅から大阪メトロで2駅の近さと高い生活利便性の割に、中古マンション売買価格相場は5,000万円台と割安です。
(※【専有面積/70平米(21.18坪):平均築年数2002年】の場合)
これらのエリアでは、うめきた再開発の波及効果から資産性も見込めながら、再開発エリア内よりマンション取得難易度が下がります。
うめきた再開発に関してのよくある質問
最後にまとめも兼ねて、うめきた再開発に関するポイントについていくつか簡単にまとめました。
まとめ
「うめきた再開発」はこれまで大型商業施設の開業や富裕層向けの高額分譲マンションの発売が話題となってきました。
しかしうめきた再開発は単なる施設整備ではなく、20年以上かけて大阪・梅田エリアという希少な立地を国内外の拠点都市として一体化して再生する壮大なプロジェクトです。
うめきた再開発により、大阪・梅田エリアは観光やビジネスのみならず、住む街としての価値も大きく飛躍します。
周辺エリアも含めて、今後もマンション市場への大きな影響が注目されます。



