【2023年4月号】一都三県中古マンション価格改定レポート
マンションリサーチでは、独自の指標を用いて中古マンション価格のトレンドを予測しています。
本レポートでは、2023年3月までの次のエリアの価格推移・在庫数・在庫回転率※・価格改定数※から、今後の中古マンション価格を考察。次のような兆候がみられました。
- 東京都23区▶︎短中期的には高騰維持も最も価格下落の懸念が高い
- 神奈川県横浜市▶︎緩やかな高騰もしくは高止まり
- 神奈川県川崎市▶︎緩やかな高騰もしくは高止まり
- 埼玉県さいたま市▶︎緩やかな高騰もしくは高止まり
- 千葉県千葉市▶︎緩やかな高騰もしくは高止まり
※サンプルデータ:50㎡以上の中古マンション
トレンドを示す数値。その時の「売り手」の数からみて「買い手」がどのくらい多いかを示す指標です。この数値が高ければ高い程、需要が高いといえます。
価格改定数は、不動産仲介担当者の行動を示す数値。売り出してから売却されるまでに、平均何回価格調整が行われたかを示す指標です。この数値が高ければ高い程、売り出しからの価格下落幅が大きくなります。
【2023年3月】東京都23区 中古マンションの今後の価格予想
東京都23区の中古マンション価格は、いまだ高い水準で推移。しかし、ここ数ヶ月は高止まり感があり、在庫数も増えています。
在庫数と在庫回転率

上記グラフの青色の棒グラフは在庫数を、灰色の折れ線グラフは在庫回転率を表しています。
在庫数はコロナ禍になってから減少傾向が続いていましたが、2021年下半期からは上昇に転じ、2022年3月末時点はコロナ禍以前の水準に近づいています。
一方、在庫回転率は、コロナ禍以前と比べるとやや高い水準で推移していますがが、こちらもコロナ禍前の水準に戻りつつあります。
在庫件数と価格改定数

上記グラフのオレンジの棒グラフは在庫数を、青色の折れ線グラフは価格改定数を表しています。
価格改定数は、基本的に在庫件数と連動するものです。しかし、2022年下半期から在庫数が増えているにもかかわらず、価格改定数は大きく減少しています。
販売価格の推移と今後の予測

東京都23区の中古マンション価格は、依然として高水準で推移しているものの、2022年下半期から高止まりの様相を見せています。
- 在庫数・在庫回転率はコロナ禍前に戻りつつある
- 在庫数増加に反して価格改定数は大きく減少
- 価格は高止まり
在庫数・在庫回転率に鑑みれば下落圧力が強いマーケットにあるのに対し、実際には価格は高騰基調こそ見られなくなったものの高水準を維持。価格改定数も少ないことから、強気な取引姿勢が見られます。
市場原理と反する動きを見せている要因として考えられるのは、成約数が減少する中で駅近など好条件の物件の比率が高まったということ。市場が活性化していくときには好条件の物件から価格が上がり、逆に停滞していくときには条件が悪い物件から先に動きが鈍くなるものです。2022年下半期からこの傾向が始まり、2023年3月時点ではさらにこの動きが加速しているものと推測されます。
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【2023年3月】首都圏その他の主要都 中古マンションの今後の価格予想
首都圏の中で東京都23区を除く神奈川県横浜市、川崎市、埼玉県さいたま市、千葉県千葉市の4つの主要都市では、同様の動きを見せています。
在庫数と在庫回転率




いずれのエリアも在庫数は増加傾向にあるものの、コロナ前の水準にまでいたっていません。在庫回転率もまた、コロナ前と比べると高い水準にあります。よって、いまだ需要が強いマーケットだといえるでしょう。
在庫件数と価格改定数




いずれも平均価格改定数は変動があるものの増加傾向にあり、売主側の強気な姿勢が軟化していることが伺えます。
これは、東京都23区とは異なる動きです。とはいえ、本来であれば、在庫数が増えれば価格改定も増えるのが市場原理。横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市はトレンドに即応した動きが見られます。
販売価格の推移と今後の予測




販売価格は、各エリアともに緩やかな上昇から維持。これまでの高騰率と比較すると逓減しています。
- いまだ需要が強いマーケット
- 売主の強気な姿勢が軟化
- 価格は緩やかな上昇から維持
神奈川県横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市では、東京都23区と異なる動きが見られています。23区は価格改定数が大きく減少している中、同エリアはいずれもじわじわ増加傾向に。売主の強気な姿勢が軟化しています。とはいえ、在庫数と在庫回転率に鑑みれば、まだ価格上昇の余地はあるものと考えられます。
東京都23区だけが異なる動きを見せる
一都三県都市圏の中古マンションは、いずれのエリアも在庫数が増加している中、販売戸数は減少傾向に。需要と供給の観点で見れば、価格下落の圧力が働いているといえるでしょう。しかし、価格はいずれも横ばい基調にあるものの高い水準で推移。これは、コロナ禍以降の売主側の強気な取引姿勢が大きく作用しているものと考えられます。
在庫数の増加に伴い、このような強気な取引姿勢は軟化しつつありますが、東京都23区だけでは依然として価格改定数が少なく、売主側の強気な姿勢が続いています。トレンドを見る限り、今後も短中期的に価格が下落局面に入ることは考えづらいものの、他のエリアと比較して最も価格下落の懸念が高いのが、在庫数・在庫回転率ともにコロナ前の水準に戻りつつある東京都23区です。とくに、条件の悪い物件はすでに動きが鈍くなっている可能性があります。
“アフターコロナ”が垣間見える昨今。中古マンション市場にも、変化が見られ始めています。今後もマンションリサーチは、中古マンションの価格推移および価格変動の予兆を定期的に発信してまいります。