マンションリサーチ株式会社(東京都千代田区神田美土代町5-2)はホームローンドクター株式会社(東京都中央区八丁堀2-19-6)代表取締役 淡河範明(おごう のりあき)氏への聞き取り調査により、住宅ローン金利の推移を予測しました。
変動金利
変動金利の今後の動向
2024年10月は「金利のある世界」に復帰し、多くの銀行が変動金利を引き上げました。
しかし、わずか1ヶ月で金利を引き下げる銀行が複数現れたことは印象的でした。
今月のDH住宅ローン指数における変動金利は、前月の0.615%から0.001%の下落となりました。1年前の0.478%と比較すると、金利上昇をはっきりと感じられます。
前月は金利を上げた銀行が3社、下げた銀行は0社でしたが、今月は金利を上げた銀行が1社、下げた銀行が4社と逆の動きが見られました。特に、金利を下げた銀行のうち4社はトップ5に入る大手で、営業方針を大胆に転換したと考えられます。
12月に金利を下げたのは、auじぶん銀行、りそな銀行、SBI新生銀行、PayPay銀行でした。これらの銀行は10月に金利を引き上げたばかりでしたが、りそな銀行のみ11月に先行して金利を下げています。りそな銀行は三菱UFJ銀行やみずほ銀行との差を埋めようとしたと見られます。
変動金利の今後の動向
日銀の植田総裁は11月末の金融政策決定会合で、経済、物価、賃金が予想通り推移しているとし、再利上げの時期が近付いているとの見通しを示しました。
一方で、国内の賃金動向や米国経済の先行きを慎重に見極めながら、拙速な利上げは避ける方針も表明しました。
今後は、円安の動向を注視しながら、金利の調整が進むと考えられます。
10年固定金利
10年固定金利の現況
固定金利選択型の中で、10年固定を主軸にする銀行は少なくありません。
しかし、10年が最長の固定金利となる銀行を除き、全期間固定金利を有する銀行は、10年固定の金利設定にそこまで積極的ではなくなってきているようです。
10年固定金利は日本国債10年物の金利を参考に設定されると言われています。11月の国内債券金利は、石破新総裁の誕生後、財政拡大懸念や米国のインフレ懸念による米国金利上昇を受け、一時1.1%を超えましたが、その後は落ち着きを見せました。
今月のDH住宅ローン指数の10年固定は1.394%となり、前月の1.342%、1年前の1.241%よりも上昇しました。10年国債が上昇したためか、ウォッチしている13行のすべてが金利を上げました。みずほ銀行は、先月久々にトップに返り咲いた後、今月も首位を維持しました。同行の10年固定金利は1.5%と高水準ですが、変動金利を0.375%に据え置いている点が評価され、トップを保っています。
ただ、この優位性も来年4月の金利更新までの「半年天下」にとどまる可能性があります。
10年固定金利の今後の動向
現在、ドル円が150円前後で推移しており、為替介入や国内利上げの圧力は限定的と見られます。当面、日銀の再利上げが焦点となるでしょう。予想通り、10年国債金利は1%を超えましたが、米国での利上げがなければ、さらなる金利上昇の余地は小さいと考えられます。
全期間固定金利
全期間固定金利の現況
全期間固定金利は、変動金利との相対的な割高感から敬遠されてきました。
しかし、変動金利の上昇が始まったことで、全期間固定金利を検討する人も増えています。ただし、金利差が依然大きいため、多くの人は引き続き変動金利を選んでいるようです。
今後、変動金利の上昇が本格化すれば、どちらを選ぶべきか迷う人が増えるでしょう。
全期間固定金利は、日本国債10年物に加え、超長期国債の動向も反映されているとされています。
今月のDH住宅ローン指数による全期間固定金利は2.120%と前月の2.029%よりも上がり、1年前の1.978%よりも上昇しています。ここ数年の上限を突破したことから、超長期金利はこれから上値を模索する展開になると予想します。
対象とする14行のうち、フラット35を含む13行が金利を引き上げました。低金利を提示している銀行も徐々に2%に近づいており、このまま推移すれば、来年中にすべての対象銀行が2%を超えると予想されます。
全期間固定金利の今後の動向
日本の景気が上向きという前提のもと、超長期金利の上昇も始まっており、住宅ローン金利も上値をおっていく展開になると予想しています。
注意点は、米国の景気や為替動向です。トランプ政権下で、米国金利の上昇が起きれば住宅ローン金利上昇は加速し、円安から円高に転換すれば、住宅ローン金利上昇は一服することも考えられます。
まとめ
変動金利
先月とは逆の動きで、わずかに下落しました。今後は、円安の動向を注視しながら、金利の調整が進むと考えられます。
10年固定金利
2024年12月初めのDH住宅ローン指数の10年固定は1.394%となり、前月の1.342%よりも上昇しました。11月の国内債券金利は、石破新総裁の誕生後、財政拡大懸念や米国のインフレ懸念による米国金利上昇を受け、一時1.1%を超えました。この影響が金利上昇に寄与したと考えられます。
しかし米国での利上げがなければ、さらなる金利上昇の余地は小さいと考えられます。
全期間固定金利
今月のDH住宅ローン指数による全期間固定金利は2.120%と前月の2.029%よりも上昇しています。
注視すべき点は、米国の景気や為替動向です。
トランプ政権下で、米国金利の上昇が起きれば住宅ローン金利上昇は加速し、円安から円高に転換すれば、住宅ローン金利上昇は一服することも考えられます。