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「共有持分とは何?売却できるの?」と、共有持分について知りたい人は多いことでしょう。
共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有するときに各所有者に割り振られる所有権の割合です。共有持分は所有権であるものの完全な権利ではないため、所有権の売買よりも売りにくい傾向にあります。
本記事では共有持分とは何か、売却の流れや相場について解説します。記事の後半では共有持分を売却するときの法的な課題の解決方法も紹介していますので、共有持分をスムーズに売却した人は最後までぜひご覧ください。
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共有持分など不動産トラブルでお困りの際はぜひご相談ください
共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有するときに共有者が取得する所有権の割合です。
共有持分の分け方に決まりはなく、1つの不動産を2人で所有したとしても持分を半々にする必要はありません。たとえば、1人が100分の99、もう1人が100分の1という分け方でも大丈夫です。
共有者がいる場合、所有している不動産を1人の意思で自由に使えなくなるケースがあります。不動産をどこまで自由に使えるかは、共有持分の所有している割合によって決まるため注意しなければなりません。
民法では、共有持分について次のように定められています。
行為の名称 | 共有持分 | 例 |
保存行為 | 共有者1人の独断で実行可能 | ・建物の簡易的な補修・不動産の不法占拠者に対する立ち退き請求 など |
管理行為 | 共有持分の過半数の同意が必要 | ・第三者に賃貸する・建物の形状を変更しない程度の工事 など |
変更行為 | 共有者全員の同意が必要 | ・不動産の売却・建物の取り壊し・抵当権の設定 など |
上記の表のように、共有者がいると不動産を自由に利用できなくなります。共有持分は完全な不動産の利用ができない権利であるため売買するのは難しく、どのように売ればいいのか、どのような対策をしなければならないのか理解しておく必要があります。
共有持分を売却する流れは、次のように通常の流れと異なります。
STEP①共有持分の相場を調査する
STEP➁共有持分を売却することを共有者に伝える
STEP③共有持分の買取業者に連絡する
STEP④共有持分を売却する
どのようなステップで、共有持分を売却したらいいのかみていきましょう。
共有持分を売却するときには、まず売却相場を調べます。
共有持分は通常の不動産相場では売却できないため、相場を理解しておかないと不動産会社から提示された金額が高いか低いかわかりません。共有持分の売却で損をしないためにも、相場はしっかりと確認しておきましょう。
なお、共有持分の相場については、後で詳しく解説していきます。
共有持分は単独の意思で処分できるため、本来は売却することを共有者に伝える必要はありません。
しかし、共有持分を売却すると、他人が不動産の共有者の1人となってしまいます。もともと不動産を所有している共有者からすると「なぜ勝手に共有持分を他人に売却したんだ」と感じてしまい、大きなトラブルに発展してしまうおそれがあります。
共有者どうしのトラブルを避けるためにも、必ず共有者に共有持分の売却を伝えておきましょう。売却を伝えたときに、共有者が共有持分を買取りしてくれる可能性もあります。
共有者に共有持分の売却を伝えたら、買取業者に連絡しましょう。
買取業者に連絡するときには、複数社の不動産会社に買取査定を依頼します。買取金額は買取業者によって異なり、1社だけに買取査定を依頼してしまうと提示された金額が相場なのか確認できません。
また、複数社に買取査定を依頼した際には、金額だけでなく買取条件まで比較しましょう。買取金額が高くても、買取条件が悪いと最終的に手取りの金額が減ってしまいます。
買取金額も買取条件も納得できる買取業者が見つかったら、共有持分の売買契約を締結します。
共有持分の売買契約書にサインする際には、買取条件が契約書に網羅されているか確認しましょう。提示された買取条件と違ったり、条件が記載されていなかったりしたら、はっきりとそのことを買取業者に伝えなければなりません。買取条件が違っていたとしても、売買契約書にサインしてしまうと解約や内容の変更に応じてもらえなくなってしまいます。
共有持分は、通常の不動産よりも売却金額が下がります。
通常の不動産と比べてどの程度、売却金額が下がるのか、共有持分の評価に影響を与える要因は何なのか確認していきましょう。
共有持分の価格は、一般的に次のように計算します。
共有持分の価格 = 不動産価格 × 持分割合 |
たとえば、不動産価格5,000万円、共有持分5分の1を所有していた場合、共有持分の価格は1,000万円です。
ただし、上記の計算方法は目安であり、共有持分の価格は持分割合の多さや不動産そのものの価値に影響されます。あくまで目安として考え、正確な共有持分の価格が知りたい場合は不動産会社の査定を受けるようにしましょう。
共有持分は、次の要因によって評価が変わります。
共有持分の売却にはほかの共有者の売却同意は必要ないものの、同意を取り付けていないと共有持分の購入者と既存の共有者とでトラブルになるおそれがあります。
たとえば、購入者が共有不動産の維持管理をおこなった際に、既存の共有者から勝手に維持管理しないでほしいといわれるかもしれません。既存の共有者からすると、新参の人が自由に不動産を利用しないでほしいという感情があるからです。売却同意をあらかじめ取り付けておけば、感情的にならずに話し合いできる可能性が高まり、買い手にとって共有持分を利用しやすくなります。
また、共有持分を過半数あると、共有不動産の変更行為まで独断で実行が可能です。売却する共有持分が過半数あれば、買い手は変更行為をおこなえるため価値が上がります。
当然ながら、不動産そのものの価値も共有持分の評価に影響します。価値の高い不動産ほど、共有持分を高く売却することが可能です。
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共有持分を購入しても自由に不動産を利用できず、一般の人が買い手になるケースは少なく、基本的に買取業者に買い取ってもらいます。
しかし、買取業者に買い取ってもらうと金額が低くなるため、買取業者の選び方や効果的な交渉戦略をあらかじめ知っておかなければなりません。
ここからは、買取業者の選び方と交渉戦略を解説します。
共有持分を買い取ってもらう場合、共有持分の買取実績が豊富な不動産会社に依頼しましょう。
買取業者は数多くあるものの、共有持分を買取りしている不動産会社は限られます。共有持分は特殊性が高く、実績のある買取業者に買取査定を依頼しないと売却価格が低くなるおそれがあります。
買取査定を依頼する際には、買取業者に対して共有持分の取引実績を確認しましょう。訳あり物件を得意としている買取業者でも、共有持分の売買は不得意というケースもあるため注意しなければなりません。
買取査定を依頼する買取業者を決定したら、次の方法で交渉してみましょう。
複数の買取業者に買取査定を依頼し、それぞれの提示金額を交渉材料に使います。ほかの買取業者に購入されてしまうなら、少し高くても自社で買い取ろうという心理を利用します。ただし、買取業者は交渉のプロでもあるため、過度な交渉は控えることが大切です。
共有持分の売却が決まったら、売買契約の段取りに入ります。通常の不動産と売買契約の内容が異なるため、共有持分の売買契約に必要な知識を確認しておきましょう。
また、売買契約を締結する際には、多くの書類が必要になります。どのような書類が必要なのか紹介しますので、参考にしてみてください。
共有持分は特殊性が高いため、通常の不動産売買契約書とは記載する事項が異なります。
具体的には、次のような事項を記載します。
項目 | 備考 |
契約不適合責任の免責 | ・物件に法的瑕疵や心理的瑕疵、物理的瑕疵があった場合に負う売主の責任を免責にする ・共有持分の売買は権利の売買であり、不動産の状態の責任を明確にできないために免除する |
確定測量の未実施 | ・一戸建てや土地の売買時には、土地面積の確定のために確定測量を実施する ・共有持分の売買は土地の売買ではないため、確定測量はおこなわないと記載する |
設備の修復義務の免除 | ・引渡し後すぐに設備が壊れた場合、売主の責任で修復しなければならない ・共有持分の売買は権利の売買であり、設備の修復責任を明確にできないために免除する |
共有持分の売買は権利の売買であり、実物を取り引きするわけではありません。権利の売買の内容は、実物の売買の内容にそぐわない条文を変更する必要があります。
ただし、共有持分の売買契約書は、不動産仲介会社か買取業者が作成してくれるため、売主はまず作成しません。どのような変更点があるのかだけ、覚えておくといいでしょう。
共有持分の売買で必要な書類は、次のとおりです。
書類名など | 内容 |
身分証明書 | 本人確認に必要運転免許証やマイナンバーカード |
実印・認印 | 名義人の実印・認印 |
印鑑証明書 | 発行3ヶ月以内のもの |
住民票 | 登記上の住所と売主の現住所が違うときに必要 |
登記済書(登記識別情報・権利証) | 所有権移転登記時に必要 |
固定資産税納税通知書 | 税額確認や所有権移転登記時に必要固定資産税評価証明書で代用可能 |
土地測量図・境界確認書 | 一戸建てや土地の売買のとき売却範囲の確定に必要 |
建築確認済証・検査済証 | 建築基準法に適合し建築されているか確認するのに必要 |
建築設計図書・工事記録書など | どのような建物なのか確認するために必要 |
マンション維持費がわかる書類や管理規約 | 不動産売買契約書に記載しなければいけない事項 |
共有持分の売買に必要な書類と、通常の不動産の売買で必要な書類は同じです。ただし、建築確認済証や工事図書など、一部の書類は代表者にしか発行されないケースがあります。もし必要な書類の中にもっていないものがあれば、買取業者に保有していないことを伝えましょう。
必要な書類の中には紛失しても取り引きできるものや、代用が利くものがあり、買取業者のアドバイスを聞きながら手続きを進めれば大丈夫です。
共有持分を売却する際には法的課題があり、解決策を講じておかなければなりません。また、法的課題の保険のために専門家との連携を図る必要もあります。
ここからは、共有持分の売買をスムーズに進めるため、法的課題とその解決策、連携したほうがいい専門家について解説します。
共有持分の売却後、買取業者が共有物分割請求訴訟を起こす可能性があります。
共有物分割請求訴訟とは、裁判所を通じて共有状態の解消を目的とした訴訟です。訴訟を起こされた場合、共有者は全員、共有不動産の共有状態を解消する方法を検討しなければなりません。
つまり、買取業者は共有物分割請求訴訟を起こして、共有者に共有持分を買い取ってもらうか、共有者の共有持分をすべて買い取ろうとするわけです。強制的に共有持分の解消を迫られる共有者にとって、共有物分割請求訴訟は非常に迷惑であり、共有持分を買取業者に売却した人に不満をぶつけるケースもあるため注意しなければなりません。
買取業者の共有物分割請求訴訟を止めることができないため、共有持分を売却する際には、共有者に買取業者に売却することを伝えるしかありません。あらかじめ共有物分割請求訴訟を起こされる危険性を伝えておけば、共有者も訴訟の準備をすることが可能です。
共有物分割請求訴訟を起こされる前にできる準備として、法律の専門家に相談する方法があります。
共有物分割請求は訴訟であるため、相談先は弁護士です。相談したくても弁護士に知り合いがいない場合は「日本弁護士連合会」に相談するといいでしょう。
日本弁護士連合会では法律相談や弁護士紹介もおこなっています。全国にある弁護士会へ紹介してくれるため、どの地域に住んでいる人にも対応してくれます。
共有持分とは、1つのものを複数人で所有するときにそれぞれの共有者が取得する権利です。
共有持分がある不動産は1人で自由に使えず、売却や建物を解体するときなどは共有者全員の許可が必要となります。制限を受ける権利であるため、売却価格は通常の不動産よりも低くなってしまいます。
売却するのに時間がかかることもあり、基本的に売却先は買取業者です。買取業者に売却する際には、共有持分の相場や買取業者の選び方を理解しておくことが大切です。
満足いく売却ができるよう、共有持分について理解してから買取りを進めていきましょう。
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大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などを行う。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。
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