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住宅ローンを組んでマイホームを購入する方にとって、大きな後押しとなる「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」。住宅ローン控除は改正が多く、これまで幾度となく控除期間や控除率が変わってきました。
現在は控除期間が最長13年間、控除率は一律0.7%となっていますが、いつまで受けられるのか?新築住宅と中古住宅で控除額の違いはあるのか?住宅性能による違いはどの程度なのか?……など、気になる点が多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、2024年以降の住宅ローン控除の詳細について解説します。
住宅ローン控除(減税)とは、年末の住宅ローン残高の0.7%を上限に、所得税と一部住民税が控除される制度です。
住宅ローン控除が創設された目的は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人の金利負担軽減。これまで原則「10年間」にわたって所得税や一部住民税が控除されてきましたが、増税時や経済が不安定な時期にはこれまでも特例による期間延長措置が取られてきました。
新型コロナウイルスの影響がいまだ大きい昨今の状況を受け、2022年税制改正では、住宅ローン控除の期間を再び最長「13年」に延長するとの発表がありました。控除される額は、物件の条件や入居する時期、減税を受ける方の所得税額などによって異なります。
住宅ローン控除の期間が「13年」なのはすべての住宅ではなく、期日も定められています。住宅ローン控除の控除期間が「13年」となる条件は、次の通りです。
控除期間が13年になる条件の1つは、新築住宅であること。中古住宅は、基本的に控除期間が「10年」となります。
中古住宅の中でも、不動産業者が買い取って再販した中古住宅においては、控除期間が「13年」となります。
新築住宅や再販住宅の控除期間が「13年」となるのは、現状、2025年までの措置とされています。今後の税制改正で延長される可能性もありますが、住宅ローン控除という制度自体が2025年までとされています。
住宅ローン控除自体は、2025年までとされています。しかし、2024年からは対象となる住宅が変わり、借入限度額も縮小となりますのでご注意ください。
2023年までは、省エネ基準に適合していない新築住宅も、借入額3,000万円を限度に13年間にわたり毎年住宅ローン残債の0.7%が控除されていました。しかし、2024年以降の入居の場合、原則的に省エネ基準に適合していない新築住宅は控除額がゼロに。つまり、住宅ローン控除の対象外となります。
ただし、2023年末までに建築確認を受けた住宅で、入居が2024年以降になった場合の借入限度額は2,000万円となります。
省エネ基準に適合している住宅は控除額がゼロとなりますが、省エネ基準に適合している住宅も2024年に借入限度額が引き下がります。控除額は、その年の住宅ローン残債および借入限度額の0.7%が上限となるため、2024年以降、一部の方は控除額が引き下がるということです。
中古マンションや中古戸建は、基本的に住宅ローン控除を受けられる期間は10年間です。その他にも、中古住宅の購入で住宅ローン控除を受けるときには次の点をあらかじめ認識しておきましょう。
まず、すべての中古住宅が住宅ローン控除の対象ではありません。
2021年までは、築20年以内の木造住宅および築25年以内の非耐火構造住宅が適用要件となっていました。しかし、2022年度税制改正によって、この築年数要件は撤廃。2022年より、原則的に「昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅」が適用要件となっています。
旧耐震基準で建築された中古住宅は、耐震基準適合証明書などで耐震性を証明できなければ住宅ローン控除の対象とはなりません。
中古住宅は、基本的に控除期間「13年」の特別措置の対象にならないことはお伝えさせていただきました。
さらに「借入限度額」についても新築住宅より低くなり、それに伴って最大控除額も新築住宅とは異なります。また中古住宅の中でも、住宅性能によって最大控除額には差が生じます。
下記「早見表」で、新築住宅と性能による控除額の差を確認してください。
2024年以降も控除期間が「13年」なのは、省エネ基準に適合している新築住宅および不動産業者が再販した消費税課税中古住宅です。新築住宅および消費税課税住宅は、上記のように住宅の性能によって最大控除額は異なります。
再販住宅以外の中古住宅の控除期間は、一律「10年」です。一定の省エネ性能が認められている中古住宅は、2025年まで最大控除額が「210万円」、それ以外の一般住宅は「140万円」となります。
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2020年および2021年に控除期間が「13年」に延長した際には、延長した3年間の控除額はそれまでの10年間と比較して小さくなりました。
しかし、2022年以降については、控除率は13年通して一律「0.7%」。たとえば、以下の条件の場合、控除期間「10年」と「13年」の差額は次のようになります。
赤い四角が、その年の控除額です。10年の総控除額は「263万円」、13年の場合は「329.5万円」となります。総控除額の差額は「66.5万円」となりました。
上記の図で「限度額」が控除されている年もあれば「残高×0.7%」や「所得税額+控除対象住民税額」が控除される年もあるのは、この3つの金額のうちもっとも小さい金額がその年の控除額となるからです。
よって、住宅ローン控除を受ける際には、必ずしも「ローン残高の0.7%」や「限度額」が控除されるわけではないということを併せてご注意ください。ローン残高は返済していくにつれて減っていくものであり、所得税や住民税は収入が上がれば基本的に増えていくものです。
住宅ローン控除は、マイホームを取得すれば必ず適用される制度ではありません。控除を受ける前には、住宅ローン控除と併用できない特例や適用要件を確認しておきましょう。
住宅ローン控除には、併用できない特例があります。居住した年およびその前2年、その後3年の計6年間、下記の特例の適用を受けている場合は住宅ローン控除が適用されません。
住宅ローン控除は、物件の条件次第で適用の可否や最大控除額、控除期間が異なります。不動産を取得した後に「適用されない」「もっと控除されると思っていた」ということのないように、物件選びの段階から次の条件を認識しておくことが大切です。
新築と中古で、控除期間や最大控除額は大きく異なります。一方、中古物件の中でも「再販住宅」は、新築物件と同等の期間・最大控除額が適用されます。
再販住宅かどうかを見極めるポイントは、売主。中古物件だとしても、売主が不動産事業者であれば再販住宅です。また物件情報に「フルリフォーム済」などの文言が見られる場合も、多くの場合、再販住宅です。判断がつかなければ、不動産会社の担当者に再販住宅かどうか聞いてみましょう。
中古住宅の場合は、築年数も確認しておきましょう。前述通り、2022年より「昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅」が適用要件となっています。
新築住宅は、認定住宅(長期優良住宅・脱炭素住宅)・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅・その他の住宅によって控除上限額が異なります。一方、中古住宅は、省エネ基準適合住宅(認定住宅・ZEH水準省エネ住宅含む)かその他の住宅かによって控除額の上限が異なります。
物件選びの際には、住宅の省エネ性能にも着目しましょう。
住宅ローン控除は、基本的に床面積50㎡以上の住宅、かつ床面積の2分の1以上を自己居住の用に供していなければ適用されません。ただし、40㎡以上50㎡未満の住宅であっても、合計所得金額が1,000万円以下であれば適用となります。
面積要件で気をつけなければならないのは、マンションの床面積の計測方法です。上記の面積要件は、登記簿上の面積で判断されます。
しかし、販売されているマンションの多くは、登記簿上の面積より広い「壁芯」で計測された面積。マンションの登記簿上の面積は、壁の内側の面積を計測する「内法」の面積です。広告等に表記されている面積とは異なるため、購入時には必ず登記簿上の面積を確認しましょう。
住宅ローン控除の物件に関するもの以外の適用要件は、次のとおりです。
住宅ローン控除は、10年以上の住宅ローンを組んでいなければ適用になりません。また、繰り上げ返済によって返済期間が10年未満になった場合にも、その後の住宅ローンの適用がなくなりますのでご注意ください。
住宅ローン控除を受ける年の合計所得は、原則的に2,000万円以下でなければなりません。2022年税制改正で、3,000万円から2,000万円に引き下げられていますのでご注意ください。
なお、先述通り40㎡以上50㎡以下の住宅で住宅ローン控除を受ける場合のその年の合計所得は、1,000万円以下でなければなりません。
住宅ローン控除を受けるまでの流れは、次の3STEPです。
住宅ローン控除は、減税を受ける人が、住宅の引き渡し、または工事完了から6ヶ月以内に入居することが要件の1つとなっています。住宅を取得した後は、半年以内に転居しましょう。
住宅ローン控除を受けるには、確定申告が必要です。申告の期間は、例年、入居した翌年の1月1日〜3月15日まで。自営業の方は、2月16日〜3月15日までとなっています。
還付金は、申告から1ヶ月〜1ヶ月半ほどで指定の口座に振り込まれます。なお、所得税から控除しきれず住民税からも控除される場合は、還付ではなく控除額が減額された分の納税通知書が届きます。
会社員は、2年目以降、年末調整で住宅ローン控除の手続きができます。確定申告は不要です。ただし、自営業者など自身の所得などを申告している方に関しては、2年目以降も確定申告によって住宅ローン控除の手続きを取る必要があります。
年末調整に必要な書類は、下記の通りです。
残高証明書は、毎年10月頃に送付されます。住宅借入金等特別控除申告書兼証明書は、確定申告をした年に以後の申告に使う分がまとめて郵送されますので、お手元に取っておくようにしましょう。
昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅で、その他の要件も満たしている場合は住宅ローン控除が受けられます。
新築住宅および再販される中古住宅は、13年間、住宅ローン控除が受けられます。
住宅の性能によって異なります。詳しくは、本記事を参照ください。
住宅ローン控除は、2025年まで受けられます。控除特例は、新築住宅および不動産業者が再販する中古住宅が13年、一般の方が売主の中古住宅は10年です。
2024年からは、省エネ基準に適合していない新築住宅および再販住宅が住宅ローン控除の対象外となります。加えて、すべての住宅の借入限度額が引き下げられるのでご注意ください。
住宅ローン控除は、不動産を購入する人だけが得をする制度ではありません。中古住宅の控除額も大きいことから、不動産を売る人にとっても大きな追い風となる制度だといえるでしょう。不動産を売却される方についても「自分の物件の控除額」を知ることで、より適切な売却戦略が練れるものです。自分のマンションがいくらで売れるか知りたい方は、どうぞマンションナビをご活用ください。
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大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。
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