住宅ローン控除は中古住宅でも可能?13年に再延長する条件や注意点を解説

住宅ローン控除4コマ①
住宅ローン控除4コマ②
住宅ローン控除4コマ③
住宅ローン控除4コマ④
住宅ローン控除4コマ

2019年の消費税増税、そして2020年以降の新型コロナウイルス蔓延を受け、住宅ローン控除(住宅ローン減税)は近年、控除期間を、原則である「10年」から「13年」に延長する措置が取られています。

2022年度税制改正により、2022年も「13年」の控除期間延長措置は継続することとなりました。

ただし、控除期間が13年となる物件は「新築+一部の中古住宅」と限定的です。

本記事では、住宅ローン控除が13年となる条件とともに、中古マンションや中古戸建の購入で住宅ローン控除を受ける際の注意点を解説します。

目次

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高の0.7%を上限に、所得税と一部住民税が控除される制度です。

住宅ローン控除が創設された目的は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人の金利負担軽減これまで原則「10年間」にわたって所得税や一部住民税が控除されてきましたが、増税時や経済が不安定な時期にはこれまでも特例による期間延長措置が取られてきました。

新型コロナウイルスの影響がいまだ大きい昨今の状況を受け、2022年税制改正では、住宅ローン控除の期間を再び「13年」に延長するとの発表がありました。控除される額は、物件の条件や入居する時期、減税を受ける方の所得税額などによって異なります。

住宅ローン控除(住宅ローン減税)が13年に延長する条件

住宅ローン控除の期間が13年になる条件

住宅ローン控除の期間が「13年」なのは、すべての住宅ではありません。住宅ローン控除の控除期間が「13年」となる条件は、次の通りです。

要件1.新築住宅

控除期間が13年になる条件の1つは、新築住宅であること。中古住宅は、基本的に控除期間が「10年」となります。

要件2.不動産業者が再販する中古住宅

中古住宅の中でも、不動産業者が買い取って再販した中古住宅においては、控除期間が「13年」となります。

要件3.原則「2025年」まで

新築住宅や再販住宅の控除期間が「13年」となるのは、原則的に2025年までの措置です。

ただし、新築住宅の中でも一定の省エネ性能が認められないものについては、2024年以降の入居から控除期間延長措置がなくなります。そして、2024年以降に建築確認を取った省エネ性が認められない一般住宅は、住宅ローン控除の対象外となりますのでご注意ください。

中古マンション・中古戸建で住宅ローン控除を受けるとき条件と注意点

中古マンションや中古戸建は、基本的に住宅ローン控除の期間延長措置の対象になりません。

その他にも、中古住宅の購入で住宅ローン控除を受けるときには次の点をあらかじめ認識しておきましょう。

2022年度税制改正で築年数要件は撤廃

まず、すべての中古住宅が住宅ローン控除の対象ではないということ。

2021年までは、築20年以内の木造住宅および築25年以内の非耐火構造住宅が適用要件となっていました。これ以上の築年数の住宅は、次の3つの書類いずれかで耐震性を証明できなければ住宅ローン控除は受けられなかったのです。

  • 耐震基準適合証明書
  • 既存住宅性能評価書
  • 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書

しかし、2022年度税制改正によって、この築年数要件は撤廃。2022年より「昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅」が適用要件となっています。旧耐震基準で建築された中古住宅は、住宅ローン控除の適用外です。

借入限度額は新築と比較して低い

中古住宅は、基本的に控除期間「13年」の特別措置の対象にならないことはお伝えさせていただきました。

さらに「借入限度額」についても新築住宅より低くなり、それに伴って最大控除額も新築住宅とは異なります。また中古住宅の中でも、住宅性能によって最大控除額には差が生じます。

下記「早見表」で、新築住宅と性能による控除額の差を確認してください。

【早見表】新築・中古・性能で変わる住宅ローン控除の期間・控除額を確認しよう

控除期間が「13年」になるのは、2022年、2023年は新築住宅と不動産業者が再販した消費税課税中古住宅。そして2024年、2025年は一定の省エネ性能があると認められた新築住宅および不動産業者が再販した消費税課税中古住宅となります。

再販住宅以外の中古住宅の控除期間は、一律「10年」です。一定の省エネ性能が認められている住宅においては、2025年まで最大控除額が「210万円」、それ以外の一般住宅は「140万円」となります。

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住宅ローン控除「3年」延長の効果をシミュレーション!控除率は一律「0.7%」

2020年および2021年に控除期間が「13年」に延長した際には、延長した3年間の控除額はそれまでの10年間と比較して小さくなりました。

しかし、2022年以降については、控除率は13年通して一律「0.7%」。たとえば、以下の条件の場合、控除期間「10年」と「13年」の差額は次のようになります。

  • 省エネ基準適合住宅を新築で購入
  • 4,300万円借り入れ
  • 「残高×0.7%」「所得税額+控除対象住民税額」は表のように推移

赤い四角が、その年の控除額です。10年の総控除額は「263万円」、13年の場合は「329.5万円」となります。総控除額の差額は「66.5万円」となりました。

上記の図で「限度額」が控除されている年もあれば「残高×0.7%」や「所得税額+控除対象住民税額」が控除される年もあるのは、この3つの金額のうちもっとも小さい金額がその年の控除額となるからです。

よって、住宅ローン控除を受ける際には、必ずしも「ローン残高の0.7%」や「限度額」が控除されるわけではないということを併せてご注意ください。ローン残高は返済していくにつれて減っていくものであり、所得税や住民税は収入が上がれば基本的に増えていくものです。

住宅ローン控除を受ける前に確認すべきポイントとは

住宅ローン控除は、マイホームを取得すれば必ず適用される制度ではありません。控除を受ける前には、住宅ローン控除と併用できない特例や適用要件を確認しておきましょう。

住宅ローン控除と併用できない特例

住宅ローン控除には、併用できない特例があります。居住した年およびその前2年、その後3年の計6年間、下記の特例の適用を受けている場合は住宅ローン控除が適用されません。

  • 居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円特別控除)
  • 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
  • 特定の居住用財産の買い替えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
  • 財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
  • 既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買い替え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例

物件の確認ポイント:売主・築年数・住宅性能・広さ

住宅ローン控除は、物件の条件次第で適用の可否や最大控除額、控除期間が異なります。不動産を取得した後に「適用されない」「もっと控除されると思っていた」ということのないように、物件選びの段階から次の条件を認識しておくことが大切です。

売主

新築と中古で、控除期間や最大控除額は大きく異なります。一方、中古物件の中でも「再販住宅」は、新築物件と同等の期間・最大控除額が適用されます。

再販住宅かどうかを見極めるポイントは、売主。中古物件だとしても、売主が不動産事業者であれば再販住宅です。また物件情報に「フルリフォーム済」などの文言が見られる場合も、多くの場合、再販住宅です。判断がつかなければ、不動産会社の担当者に再販住宅かどうか聞いてみましょう。

築年数

中古住宅の場合は、築年数も確認しておきましょう。前述通り、2022年より「昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅」が適用要件となっています。

住宅性能

新築住宅は、認定住宅(長期優良住宅・脱炭素住宅)・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅・その他の住宅によって控除上限額が異なります。一方、中古住宅は、省エネ基準適合住宅(認定住宅・ZEH水準省エネ住宅含む)かその他の住宅かによって控除額の上限が異なります。

物件選びの際には、住宅の省エネ性能にも着目しましょう。

広さ

住宅ローン控除は、基本的に床面積50㎡以上の住宅、かつ床面積の2分の1以上を自己居住の用に供していなければ適用されません。ただし、40㎡以上50㎡未満の住宅であっても、合計所得金額が1,000万円以下であれば適用となります。

面積要件で気をつけなければならないのは、マンションの床面積の計測方法です。上記の面積要件は、登記簿上の面積で判断されます。

しかし、販売されているマンションの多くは、登記簿上の面積より広い「壁芯」で計測された面積。マンションの登記簿上の面積は、壁の内側の面積を計測する「内法」の面積です。広告等に表記されている面積とは異なるため、購入時には必ず登記簿上の面積を確認しましょう。

その他の確認ポイント:返済期間・合計所得

住宅ローン控除の物件に関するもの以外の適用要件は、次のとおりです。

返済期間

住宅ローン控除は、10年以上の住宅ローンを組んでいなければ適用になりません。また、繰り上げ返済によって返済期間が10年未満になった場合にも、その後の住宅ローンの適用がなくなりますのでご注意ください。

合計所得

住宅ローン控除を受ける年の合計所得は、原則的に2,000万円以下でなければなりません。2022年税制改正で、3,000万円から2,000万円に引き下げられていますのでご注意ください。

なお、先述通り40㎡以上50㎡以下の住宅で住宅ローン控除を受ける場合のその年の合計所得は、1,000万円以下でなければなりません。

控除を受けるための流れ

住宅ローン控除を受けるまでの流れは、次の3STEPです。

STEP1.取得した住宅に入居する

住宅ローン控除は、減税を受ける人が、住宅の引き渡し、または工事完了から6ヶ月以内に入居することが要件の1つとなっています。住宅を取得した後は、半年以内に転居しましょう。

STEP2.確定申告

住宅ローン控除を受けるには、確定申告が必要です。申告の期間は、例年、入居した翌年の1月1日〜3月15日まで。自営業の方は、2月16日〜3月15日までとなっています。

STEP3.還付金を受け取る

還付金は、申告から1ヶ月〜1ヶ月半ほどで指定の口座に振り込まれます。なお、所得税から控除しきれず住民税からも控除される場合は、還付ではなく控除額が減額された分の納税通知書が届きます。

2年目以降は年末調整でOK

会社員は、2年目以降、年末調整で住宅ローン控除の手続きができます。確定申告は不要です。ただし、自営業者など自身の所得などを申告している方に関しては、2年目以降も確定申告によって住宅ローン控除の手続きを取る必要があります。

年末調整に必要な書類は、下記の通りです。

  • 住宅ローンの残高証明書
  • 住宅借入金等特別控除申告書兼証明書

残高証明書は、毎年10月頃に送付されます。住宅借入金等特別控除申告書兼証明書は、確定申告をした年に以後の申告に使う分がまとめて郵送されますので、お手元に取っておくようにしましょう。

よくある質問

中古住宅でも住宅ローン控除を受けられますか?

昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅で、その他の要件も満たしている場合は住宅ローン控除が受けられます。

住宅ローン控除が13年間受けられる要件は?

新築住宅および再販される中古住宅は、13年間、住宅ローン控除が受けられます。

中古住宅はどれくらい控除されるのでしょうか?

住宅の性能によって異なります。詳しくは、本記事を参照ください。

住宅ローン控除が13年に延長中!ただし中古住宅は基本的に対象外

2022年度税制改正により、2022年以降も住宅ローン控除の期間が「13年」に延長することが決まりました。しかし、延長するのは新築住宅および不動産業者が再販する中古住宅に限られます。一般の方が売主の中古住宅は、控除期間が「10年」となります。

控除期間のみならず、最大控除額も新築か中古かで大きく異なります。また、住宅性能による差も、2022年から広がります。住宅ローン控除を受けることを前提にマイホームを購入される方は「この物件を購入したらいくらの控除が受けられるのか?」という視点も持ってお住まい選びをされてみると良いでしょう。

また、不動産を売却される方についても「自分の物件の控除額」を知ることで、より適切な売却戦略が練れるものです。2022年からは、これまで住宅ローン控除の対象とはならなかった築古物件も対象となる可能性があります。自分のマンションがいくらで売れるか知りたい方は、どうぞマンションナビをご活用ください。

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この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

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