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日本で新型コロナウイルスが蔓延しだしてから、1年以上。東京都23区の中古マンション市場は、2020年1回目の緊急事態宣言の発出時に大きく価格を落としましたが、2020年後半からは前年比を大きく上回る形で上昇基調にあります。
価格が高騰している大きな要因となっているのは、供給数の減少。つまり売り出されている中古マンションの数が減少し、需給バランスが需要に傾いたことも価格高騰に大きく影響していると考えられます。
ただ2021年4月には、コロナ禍で初めて中古マンションの供給数が前年比で大きくプラスとなりました。
上記は、東京23区で成約した中古マンション平均坪単価の推移を表したものです。2019年から2021年にかけて高騰基調にあることがおわかりいただけると思います。
とくに2021年に入ってからの伸び率は著しく、3月、4月の平均成約坪単価は前々年、前年と比較して1割以上高騰しています。
コロナ禍で価格を伸ばしている大きな要因となっているのは、供給数の減少です。
上記グラフは、東京23区の中古マンションの売り出し数推移を表したもの。2020年4月、第一回目の緊急事態宣言が発出されたときに大きく供給数が落ちこみ、その後、回復はしたものの、コロナ前と比較すると供給数は少ない状態が継続していることがわかります。
そして2度目の緊急事態宣言が発出された2021年1月にはまた、供給数が大きく落ち込んでいます。
こちらの表に中古マンションの平均坪単価の推移を加えてみると、供給数と価格はほぼ反比例で推移していることがわかります。株価などにも共通することですが、市場の動向によって価格が変わる中古マンションは、基本的に「需要>供給」となれば価格は上がり「需要<供給」となれば価格が下がるものなのです。
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マンションリサーチ株式会社は、2020年から2021年にかけて、東京23区コロナ禍の中古マンション売り出し戸数の「前年比増減率」を城東・城西・城南・城北のエリアに分けて調査。
先述の通り、売り出し戸数自体は東京都23区全体で減少基調にあるものの、コロナ禍での売却ニーズの動きを検証し、今後の中古マンション価格の動向を考察していきます。
まずは、中央区・墨田区・葛西区・台東区・江東区・江戸川区・千代田区の「城東」エリアから。上記グラフのように、2020年、2021年ともに供給数は2019年に及びません。
しかし売り出し戸数の「前年同月比増減率」で見てみると、2021年4月はコロナ禍で初めてプラスに。それも「+22.9%」と大幅増となっています。
成約価格についてはコロナ禍でも水準を大きく落とすことなく、上昇基調にあります。
続いて、新宿区・渋谷区・杉並区・世田谷区・中野区・練馬区の「城西」エリア。城東エリアと同様に、コロナ禍の供給数は2019年の売り出し戸数を大きく下回っているようです。
ただこちらも前年同月比増減率でみれば、2021年4月は大きく上昇。増減率は「+23.2%」と城東エリアを上回っています。
成約価格に関しては、2020年4月の下落幅が大きかったのがこのエリアの特徴です。ただ同年5月にはコロナ前の水準に戻り、現在にかけて高騰基調にあります。
港区・品川区・目黒区・大田区を含む「城南」は、東京都23区の中でも中古マンション価格が高いエリアです。先の2つのエリアと異なるのは、2020年、10月だけですが売り出し戸数が2019年を上回っています。
前年同月比増減率の推移からも、2020年は10月のみプラスとなっていることが見て取れますね。
そして2021年4月に大幅増となっているのは、他のエリアと同様です。「+23.3%」と、上昇率は城東・城西を上回っています。
1度目の緊急事態宣言下でも大きく価格が落ち込まなかった城南エリア。2021年4月現在の平均成約価格は1坪あたり350万円以上と、2019年と比較して2割以上、高騰しています。
最後は、文京区・豊島区・荒川区・足立区・北区・板橋区の「城北」エリア。こちらも他の3つのエリアと同様にコロナ禍で売り出し戸数が減少していますが、減少率は一番小さかったエリアです。
前年同月比増減率の推移は他エリアと同様ですが、上昇率は「+11.3%」と4つのエリアの中で最も小さくなっています。城北はコロナの影響が最も少なかったことから、2021年4月の反動も小さかったものと推測されます。
コロナ禍での価格の変動についても、他のエリアと比較して大きくないことが見て取れます。とはいえ、価格は緩やかながらも高騰基調にあるといえるでしょう。
総じて、東京都23区すべてのエリアで2021年4月の前年同月比の売り出し戸数増減率は大きくプラスに転じています。
ただ中古マンション流通マーケットにおいて、コロナの影響が大きく出始めたのが2020年4月だったことを考えれば、2021年4月の増減率はプラスになりやすいといえるでしょう。
とはいえ、当時より感染者数は圧倒的に多く、2度目、3度目の緊急事態宣言が発出される中での供給数の増加は、回復の兆しであるとも捉えられます。
そしてやはり2020年と比較して供給数は上昇基調にあるとはいえ、コロナ前と比較すればまだまだ供給数は依然として少ない状態が継続しています。
今後の懸念点としては、コロナが収束した後にこれまで売却を控えていた中古マンションが一気に市場に流れ出し、供給過多から価格が下落することでしょう。
城東・城西・城南エリアでは、2021年3月、4月、直近27ヶ月間で平均成約坪単価が最高値を更新しています。城北エリアに関しては、2021年2月、3月に直近26ヶ月間での最高値を更新。2021年4月は昨年9月の水準に落とすも、高水準を維持しています。
当メディアでは、昨年末より価格下落を示唆してきましたが、いつまでも終焉の予兆すらないコロナとそれに伴う供給数不足により、価格上昇圧力はしばらく継続するものと推測されます。
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大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。
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