過熱する中古マンション価格のトレンドはこう作られる!市場を動かすのは誰?

近年、首都圏の中古マンション価格が急激に高騰しています。特に2025年2月には新規売出価格が過去最高水準を記録し、注目を集めています。

この記事では最新データや専門家の分析をもとに、価格高騰の背景や市場動向について詳しく解説します。

目次

首都圏中古マンション市場の急激な価格高騰

グラフ1:東日本不動産流通機構レインズタワー月例レポート
【引用:東日本不動産流通機構レインズタワー月例レポート】

首都圏全体の価格推移と特徴

首都圏全体では、中古マンション成約単価が前年比で上昇傾向にあります。特に東京都区部では、成約単価が58カ月連続で前年同月を上回っています。

2025年2月の中古マンション新規売出価格の状況

2025年2月の首都圏中古マンション市場では、新規売出価格が過去最高水準を記録しました。この背景には、東京都23区を中心とした富裕層向け物件の需要増加が挙げられます。特に都心部では、高額物件が市場全体の平均価格を押し上げる要因となっています。

価格高騰の背景と要因

価格高騰の主な要因として、新築マンション供給不足と富裕層向け物件への需要集中があります。また、外国人投資家による資金流入や、都心部の希少性も影響しています。さらに、「チャレンジ価格」と呼ばれる期待値を上乗せした売出価格設定も、市場全体の価格上昇に寄与しています。

データから見る中古マンション市場の動向

グラフ2:東京都23区中古マンション|一般向けマンションの新規売出坪単価と成約坪単価推移
【出典:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研

東京都23区の価格帯別市場分析

東京都23区内では、一般向けマンション(9,000万円未満)と富裕層向けマンション(9,000万円以上)で市場動向に大きな違いがあります。前者は比較的横ばいで推移している一方、富裕層向けマンションでは、新規売出坪単価と成約坪単価の乖離が拡大しています。

富裕層向けマンション(9,000万円以上)の市場動向

グラフ3:東京都23区中古マンション|富裕層向けマンションの成約坪単価と新規売出坪単価推移
【出典:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研

東京都23区における富裕層向けマンション(9,000万円以上)の市場は、中古マンション市場全体の価格動向を大きく左右する要因となっています。成約坪単価は全体のトレンドに沿って推移する一方で、新規登録坪単価は常に成約価格を上回り、その乖離が拡大しています。

これは、富裕層向けマンション(9,000万円以上)の価格高騰が市場全体の価格を押し上げていることを示唆しています。

この傾向は、富裕層向けマンションが市場の価格形成に大きな影響を与えており、新規登録坪単価が成約価格を上回る状況は、富裕層向けマンションという局所的な要素によって「首都圏マンション価格が高騰している」ように見せています。

グラフ4:東京都23区中古マンション|売出時9,000万円以上築年帯別新規売出割合
【出典:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研

築年数別の新規売出状況

築浅(2006年以降築)の物件が新規売出物件全体の7割を占めています。東京都23区では、比較的築年が浅くかつ高価格帯のマンション価格が高騰していると言えます。

富裕層向けマンション市場の特殊性

新築マンション供給不足の影響

グラフ5:東京都23区|年次別新築マンション竣工棟数
【出典:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研

新築マンションは2000年から減少し続けています。新築マンションの供給が不足しているため、その代替として中古マンションの中でも築年の浅い富裕層向けマンションに対する需要が高まっていると考えられます。

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シティタワー麻布十番から読み解くトレンド

グラフ6:シティタワー麻布十番|成約坪単価時系列推移
【出典:マンションリサーチ株式会社 福嶋総研

成約坪単価の特徴

シティタワー麻布十番の成約坪単価は、都心部の富裕層向け物件の代表例として、市場動向を反映する重要な指標となっています。この価格帯は、一般的な中古マンション市場と比較して極めて高額であり、富裕層向け物件市場の特殊性を如実に表しています。

チャレンジ価格の影響

注目すべき点として、成約坪単価の推移が近似曲線を大きく上回る傾向にあります。これは、富裕層向け物件市場における「チャレンジ価格」の影響が顕著に表れていると考えられます。

チャレンジ価格とは、中古マンション売出時に設定される期待値込みの初期価格です。この手法は特に富裕層向け物件で多く見られ、市場全体の価格上昇要因となっています。

チャレンジ価格がさらなる高騰を招く

通常は近似曲線に沿って価格形成されるはずが、富裕層向けマンションでは近似曲線を大きく上振れしながら価格形成が行われている事例が見られます。これは、富裕層向けマンションがチャレンジ価格で成約することで、特徴的なグラフの推移として表れていると言えます。

さらに、このチャレンジ価格での成約単価が、その後のチャレンジ価格を引き上げる要因となり、結果として価格がさらに高騰するというトレンドが生まれています。 

まとめ

2025年の首都圏中古マンション市場は、価格高騰が顕著になっています。

  1. 都心5区を中心とした価格高騰
    • 東京都心5区、特に富裕層向け物件で急激な価格高騰が見られます。
    • この高騰が首都圏全体の平均価格を押し上げる要因となっています。
  2. 価格高騰の主な要因
    • 富裕層向けマンションのチャレンジ価格での成約
    • 築年の浅いマンションへの需要の高まり
    • 都心部の希少性と高い需要。

これらの要素を踏まえ、中古マンション市場では慎重な判断が求められる一方で、特定エリアや価格帯への注目が市場動向を把握する鍵となります。

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この記事を書いた人

福嶋 真司のアバター 福嶋 真司 マンションリサーチ株式会社 不動産データ分析責任者

【保有資格】宅地建物取引士
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて中古マンション市場調査を行い、顧客に情報の提供を行っている。

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