
文京区は学校・大学が多く、教育水準の高い文教地区として知られています。犯罪件数が低く治安が良いこともあり、子育て世帯に人気のエリアです。
JR山手線の内側に位置しており、東京メトロ丸の内線や千代田線、都営地下鉄大江戸線など多数の路線が乗り入れているため、都心へのアクセスも優れています。
「文京区に住みたい」「文京区でマンションを購入したい」とお考えの方は、いくら必要なのか気になるのではないしょうか。
そこでこの記事では、文京区でマンションを購入して暮らすために必要な世帯年収を、家計支出やマンション価格から分析します。
文京区の世帯年収データをチェック
LIFULL HOME’Sが集計したデータ(2022年4月末時点)によると、文京区の平均世帯年収は684万円です。
年収階級別世帯数では、300万円未満が27.0%、300万円〜500万円未満が24.8%、500万円〜700万円未満が14.0%、700万円〜1,000万円未満が14.4%、1,000万円〜1,500万円未満が11.2%、1,500万円以上が8.6%です。
文京区の世帯年収の特徴は、中間層以上が厚いことです。500万円以上が48.2%と約半分を占め、年収の高い世帯が多いといえます。
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下記は、東京都および東京23区と、文京区の平均世帯年収を比較した表です。
比較対象 | 平均世帯年収 比較対象の | 文京区と 比較対象の差 | 比較対象内の順位 文京区の |
東京都 | 564万円 | +120万円 | 4位/66市町村 |
東京23区 | 593万円 | +91万円 | 4位/23区 |
文京区の平均世帯年収は、東京都平均+120万円、23区平均+91万円です。東京都全体と23区の平均よりも非常に高く、千代田区・中央区・港区に次いで、4位の高水準となっています。
東京都総務局が発表している課税状況の調査を見ても、2024年度における文京区「給与所得に係る収入金額」の平均は、東京都全体や23区の数値を大きく上回っています。東京都平均609万円、23区平均636万円に対して、文京区は795万円です。
このデータは世帯年収ではなく1人あたりの収入、かつ給与に限ったもの(給与以外で得た収入は含まれない)ではあるものの、本データからも、文京区は東京23区の中でも上位に位置する”高所得区”であると読み取れます。
参考:LIFULL HOME’S「住まいインデックス」
参考:東京都総務局行政部区政課「令和6年度市町村税課税状況等の調(特別区関係)令和6年7月1日現在」
単身・ファミリー別の支出モデル
次に、文京区に住むとどのくらいの費用が必要なのか、1人暮らしと2人以上世帯で支出モデルを確認しましょう。
ここでは、LIFULL HOME’Sが2022年4 月時点で集計している支出データをもとに、2022年から2025年の物価上昇を加味してまとめました。
日本全国の世帯が購入するモノやサービスの価格変動を示す消費者物価指数が、2022年から2025年で約8%上昇していることを考慮し、LIFULL HOME’Sのデータの数値に8%をかけて算出しています。
1人暮らしの支出モデル
文京区に住む1人暮らし世帯の平均年間支出は、約319万円です。東京23区の中では6位で、年収が高い分、支出も多くなっています。ただし、平均世帯年収の順位と比べると支出の順位は低く、収入に対して支出は少なめであるとわかります。
支出の内訳目安は下記のとおりです。
内訳 | 支出額 |
---|---|
食費 | 88.6万円 |
水道光熱費 | 19.3万円 |
住居費 | 54.6万円 |
医療費 | 15.2万円 |
被服費 | 13.4万円 |
教育費 | 0.1万円 |
交通・通信費 | 30.2万円 |
趣味・娯楽費 | 42.1万円 |
家具・家事用品 | 9.5万円 |
その他諸雑費 | 46.3万円 |
2人以上世帯の支出モデル
続いて、2人以上世帯の支出モデルを紹介します。
文京区の2人以上世帯の年間支出額は、平均約565万円です。1人暮らし世帯と同じく、東京23区での支出ランキングは6位です。以下に内訳目安の表を記載します。
内訳 | 支出額 |
---|---|
食費 | 161.0万円 |
水道光熱費 | 36.4万円 |
住居費 | 44.8万円 |
医療費 | 27.6万円 |
被服費 | 25.4万円 |
教育費 | 33.9万円 |
交通・通信費 | 62.9万円 |
趣味・娯楽費 | 66.5万円 |
家具・家事用品 | 20.4万円 |
その他諸雑費 | 86.1万円 |
この内訳において、教育費は支出合計の6%として算出されています。しかし文京区は教育志向の高い人が多く、塾代や私立学校の受験費、学費などの教育費が高い傾向にあるでしょう。
参考:LIFULL HOME’S「住まいインデックス」
参考:総務省「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)8月分(中旬速報値)」
マンション相場と家計のバランス感
マンションナビのデータによると、文京区におけるマンション売買価格相場(2025年8月時点)は8,252万円〜8,652万円、㎡単価は117.9万円/m²〜123.6万円/m²です。
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これは、東京23区や周辺エリアと比べるとどのくらいの水準なのでしょうか。23区での順位を、隣接する6区(千代田区・新宿区・豊島区・台東区・北区・荒川区)と比較してみます。

順位(23区内) マンション㎡単価 | 順位(23区内) 平均世帯年収 | |
---|---|---|
千代田区 | 2位 | 1位 |
新宿区 | 6位 | 15位 |
文京区 | 8位 | 4位 |
豊島区 | 9位 | 19位 |
台東区 | 11位 | 10位 |
北区 | 16位 | 20位 |
荒川区 | 17位 | 18位 |
上記の表を見ると、文京区のマンション㎡単価は、周辺7区の中で3位、東京23区で8位と高い水準です。
ただ、平均世帯年収の順位よりもマンション㎡単価の順位が低くなっています。新宿区は平均世帯年収15位に対してマンション㎡単価6位、豊島区は平均世帯年収19位に対してマンション㎡単価9位です。これを鑑みると、文京区は平均世帯年収が高いわりにマンションの㎡単価はやや低めであるとわかります。
文京区は、緑豊かな小石川植物園から、子連れで楽しめる東京ドームシティまで、ファミリーにうれしいスポットが点在しています。教育環境や都心へのアクセスも良く、マンション相場は高いものの、ファミリー層を中心に支持されているエリアです。
参考:マンションナビ「東京都文京区のマンション売却・購入価格相場」
参考:LIFULL HOME’S「住まいインデックス」
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共働き or 片働きの家計モデル
文京区でマンションを購入するには、どのくらいの世帯年収が必要なのかイメージできるように、住宅ローンのシミュレーションを提示します。
まず、文京区のマンション平均価格から、以下の条件で月々の支払額を算出します。※数値はすべて概算です。
- マンション価格:8,450万円
- 頭金:1,270万円(マンション価格の約15%)
- ローン金利:0.6%
- ローン返済期間:35年
- ボーナス払い:0円
この条件だと、月々の支払額は19万円となります。
月々19万円の支払は、世帯年収がどのくらいであれば可能なのか、共働きと片働きのイメージで家計モデルを見ていきましょう。
共働きの家計モデル(世帯年収800万円)
共働きで年収800万円と想定します。この場合、手取り額は年間600万円、月額50万円です。前述の「2人以上世帯の支出モデル」も参考に、住居費以外の生活費を月額40万円と設定すると、月々の家計モデルは以下のイメージです。
- 手取り:50万円
- 生活費:40万円
- 住宅ローンの支払額:19万円
- 残り:▲9万円
文京区における平均価格8,450万円のマンションを購入するには、世帯年収800万円でも厳しいといえます。
しかし、マンションナビのデータで文京区のマンション販売価格の中央値を見ると、3LDKは8,980万円ですが、2LDKだと6,580万円、1LDKだと4,480万円に抑えられます。
月々の住宅ローン支払額の目安は、2LDK6,580万円で約15万円、1LDK4,480万円で約10万円です。築年数40~50年程度であれば、4,500万円前後で2LDKのマンションも存在します。
つまり、世帯年収800万円で文京区マンションを購入するには、4,000万円台の1LDKか築古の2LDKが無理のない水準といえます。
片働きの家計モデル(世帯年収600万円)
次に、片働きで世帯年収600万円の想定でシミュレーションします。手取り額は年間460万円、月額38万円が目安です。
世帯年収800万円よりも生活費を低めに設定し、30万円として家計モデルを作成します。
- 手取り:38万円
- 生活費:30万円
- 住宅ローンの支払額:19万円
- 残り:▲11万円
生活費を抑えたとしても、世帯年収600円の場合、文京区における平均価格帯のマンションを購入するのは難しいでしょう。
先ほど述べた、2LDK6,580万円で約15万円、1LDK4,480万円で約10万円の住宅ローン支払であっても、月々の家計が赤字になってしまいます。月々の住宅ローン支払額の目安が約7万円まで抑えられる、3,000万円程度のマンション購入が適正ラインです。
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文京区にも3,000万円程度のマンションはありますが、1LDKだと築年数40~50年くらいの物件が大部分を占めます。
世帯年収が600万円の場合、文京区でマンションを購入するには、1R・1K、もしくは築古の1LDKが現実的なラインとなります。
参考:マンションナビ「東京都文京区のマンション売却・購入価格相場」
文京区に住んでいる方の声
文京区に実際に住んでいる方からは、次のような声が寄せられています。

学校が多く学生が多い街。教育に力を入れたい家庭にはぴったり。公園も多く、治安も良いため安全に暮らせるそのため一人暮らしにもおすすめ。



電車やバスでの都心へのアクセスに優れており、都内で勤務している方にはおすすめです。 また、駅自体も比較的に都心部なので、どの方面から来ても上り電車になることが多く、ラッシュ時でも酷い混雑は無いと思います。



主要駅までの利便性が高く、治安の良さもおすすめポイントです。マンションも多く、高所得者が多く住んでいる印象があるので、街もきれいで安心感があります。都心の喧騒から離れて暮らしたいが、アクセスの利便性は捨て難い…という人向けです。また、文京区には学校も多く子育て支援も積極的に行なっているようなので、子供の教育に力を入れているご家族にもおすすめできます。



教育熱心な家庭が多く、落ち着いた街であるのにも関わらず交通機関は発達している落ち着いた街。
出典元:マンションレビュー



家賃は高めだけど、その分アクセスや住みやすさ、治安の良さがしっかり揃った街、という印象の声が多いですね!
教育環境も良くて落ち着けるところが、文京区らしい魅力として実感されているようです。
まとめ
文京区は、東京23区の中でも世帯年収が高いエリアです。教育志向の高さや治安の良さ、都心へのアクセスなどが魅力の文京区で、マンションを購入して暮らしたいとお考えの方も多いでしょう。
文京区のマンション価格相場も8,000万円台と非常に高く、ファミリーで暮らすには、世帯年収が800万円であっても選択肢が限られます。
ただし、今回紹介した家計モデルのシミュレーションはあくまでひとつの目安です。家計支出や負担できる頭金、ローンの返済年数などは各世帯によって違います。
文京区でのマンション購入を検討している方は、この記事を参考に、ご自身の年収やライフスタイルを踏まえて検討してみてください。


住みやすさや治安、特徴を解説 春日駅ってどんな街? 複数路線利用可能なマルチアクセスで優れた交通利便性を誇る「春日」駅。 区役所施設のほか商業施設や文化ホール、飲食店、展望台などを複合した…


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