居住用・投資用問わずマンションの売却・購入を考えている方にとって、タイミングを判断するのに重要なのが、現在のマンション売却相場と推移の傾向でしょう。
そこで、本記事では不動産会社が売却物件データを登録するレインズ(不動産流通標準情報システム)のデータと当社独自データを基に、東京都各エリアのマンション売却相場について具体的に解説します。
東京都マンション市場の最新動向
東京都の中古マンション市場は、堅調な成約件数と継続的な価格上昇を背景に、安定成長局面を維持しています。
過去9年間でレインズ成約平米単価は約1.4倍に上昇し、都心を中心に高値圏での取引が定着しました。一方で、金利上昇や人口構造の変化、再開発の進展などが新たな価格形成要因として浮上しています。
需給の逼迫と構造変化が同時に進む複層的な市場環境が、東京都の現在の姿といえます。

(2025年10月時点)(すみかうる)
※平均売買平米価格とはマンションナビの売買価格相場を基に算出
参考:レインズ 表1-② 中古マンションの基本指標[東京都]http://www.reins.or.jp/pdf/trend/nmw/NMW_2024/NMW_2024_1_1.pdf
レインズデータの成約平米単価は2021年以降、マンションナビデータの平均売買平米単価を上回る傾向が続き、実需の強さと人気物件への集中が際立っています。
とくに2021年以降は、成約平米単価が平均売買平米単価を上回る年が続いており、「価格相場よりも高く売れる物件」がより明確になった市場といえるでしょう。
| 順位 | 上位5区 | 平米単価(万円) | 下位5区 | 平米単価(万円) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 港区 | 239.0 | 足立区 | 57.0 |
| 2 | 千代田区 | 201.0 | 葛飾区 | 60.0 |
| 3 | 渋谷区 | 186.0 | 江戸川区 | 65.0 |
| 4 | 中央区 | 170.0 | 板橋区 | 69.0 |
| 5 | 目黒区 | 133.0 | 練馬区 | 73.0 |
都心5区が高水準を維持する一方、下位区でも上昇傾向が続き、都内全域で資産価値の底上げが進んでいます。
この背景には、以下の3つの要因が挙げられます。
- 金利動向:長期金利の上昇局面にあるものの、実質金利は依然として低水準。住宅ローン需要を支えている。
- 人口動態:単身・DINKS世帯の増加により、都心および駅近物件へのニーズが継続。
- 再開発・交通網の拡充:高輪ゲートウェイや渋谷などで大規模再開発が進む一方、金町・立石・小岩の東部エリアや交通整備が進む練馬区でも、今後の資産価値向上が期待される。
特に2025年は、高輪ゲートウェイシティの開業や有楽町線延伸構想など、SNSでも注目を集めた大型再開発が相次ぎ、エリアごとの資産価値が再評価される年となっています。
東京都マンション市場は、成約価格の上昇・都心部の高値安定・郊外エリアの再評価という“三層構造”の強気相場が続いており、今後も再開発と交通利便性の向上を軸に「選ばれるエリア」への価格集中が進むと見られます。
東京都の地域別マンション売却相場
東京都全体におけるマンション売却の現状の次は、マンションナビ独自のデータから都内各エリアのマンション売却相場について見てみましょう。
ここでは、以下の4つのエリアに分けてデータを基に解説します。
- 都心プレミアムエリア
- 都心近接エリア
- 都心近郊エリア
- 23区外エリア
都心プレミアムエリア
「都心プレミアムエリア」は、東京都心部に位置し、極めて高い利便性と希少性を持つ以下のエリアを指します。また、その利便性・希少性から都内でも最高水準の価格帯を形成するエリアでもあります。
| 【対象エリア】港区、千代田区、渋谷区、中央区、目黒区、新宿区、品川区、文京区 |
| 区名 | 平均売買価格(万円) | 平米単価(万円) | 平均築年(年) | 3年前からの上昇率(%) |
|---|---|---|---|---|
| 港区 | 16,517〜16,917 | 236.0〜241.7 | 1996 | 66.3 |
| 千代田区 | 13,881〜14,281 | 198.3〜204.1 | 1997 | 49.5 |
| 渋谷区 | 12,846〜13,246 | 183.6〜189.3 | 1992 | 50.1 |
| 中央区 | 11,677〜12,077 | 166.9〜172.6 | 2002 | 56.2 |
| 目黒区 | 9,107〜9,507 | 130.1〜135.9 | 1990 | 23.7 |
| 新宿区 | 8,778〜9,178 | 125.4〜131.2 | 1993 | 31.6 |
| 品川区 | 8,669〜9,069 | 123.9〜129.6 | 1994 | 29.2 |
| 文京区 | 8,340〜8,740 | 119.2〜124.9 | 1994 | 21.8 |
※2025年10月時点
都心プレミアムエリアの平均売買価格は最も高い港区で1億6,000万円台、最も低い文京区でも8,000万円台であり、1平米あたりでも100万円超〜200万円超となっています。
この高価格でも上昇傾向は続いており、前月比でも1%前後の上昇率です。
平均築年数が20年〜30年以上にもかかわらず、3年前と比較して20%超〜65%と高い上昇率で価格が推移している点も需要と人気の高さを裏付けています。
都心隣接(23区東部・西部)エリア
「都心近接エリア」は、都心プレミアムエリアに隣接した以下のエリアを指します。
都心へのアクセスが良好でありながら、落ち着いた住環境と充実した生活利便性を兼ね備え、幅広い層から人気を集める高価格帯のエリアです。
| 【対象エリア】江東区、豊島区、台東区、世田谷区、中野区、墨田区 |
| 区名 | 平均売買価格(万円) | 平米単価(万円) | 平均築年(年) | 3年前からの上昇率(%) |
|---|---|---|---|---|
| 江東区 | 7,399〜7,799 | 105.7〜111.5 | 1997 | 34.4 |
| 豊島区 | 7,376〜7,776 | 105.4〜111.1 | 1993 | 25.1 |
| 台東区 | 7,051〜7,451 | 100.8〜106.5 | 1998 | 24.1 |
| 世田谷区 | 6,884〜7,284 | 98.4〜104.1 | 1992 | 20.2 |
| 中野区 | 6,341〜6,741 | 90.6〜96.3 | 1991 | 17.0 |
| 墨田区 | 6,068〜6,468 | 86.7〜92.4 | 1998 | 16.4 |
※2025年10月時点
都心近接エリアの平均売買価格は6,000万円超〜7,000万円台、1平米あたりでも80万円超〜110万円超となっています。
同エリアの平均築年数はすべて1990年代と築30〜35年程度です。
それにもかかわらず、都心プレミアムエリアと比較すると緩やかなものの、平均売買価格も3年前から約16%〜34%上昇、前月比でもわずかに上昇しています。
都心近郊エリア
「都心近郊エリア」は、23区のうち都心への中位アクセス圏にあたる以下のエリアです。
都心プレミアムエリアや都心隣接エリアよりも価格が落ち着いた中位価格帯でありながら、隣接県を含めた広域交通利便性と生活利便性を有するエリアでもあります。
| 【対象エリア】杉並区、北区、荒川区、大田区、練馬区、板橋区、 江戸川区、 葛飾区、足立区 |
| 区名 | 平均売買価格(万円) | 平米単価(万円) | 平均築年(年) | 3年前からの上昇率(%) |
|---|---|---|---|---|
| 杉並区 | 5,904〜6,304 | 84.4〜90.1 | 1991 | 14.7 |
| 北区 | 5,770〜6,170 | 82.5〜88.2 | 1997 | 16.9 |
| 荒川区 | 5,519〜5,919 | 78.9〜84.6 | 1997 | 17.1 |
| 大田区 | 5,493〜5,893 | 78.5〜84.2 | 1993 | 10.9 |
| 練馬区 | 4,892〜5,292 | 69.9〜75.6 | 1994 | 12.5 |
| 板橋区 | 4,660〜4,960 | 66.6〜70.9 | 1993 | 12.6 |
| 江戸川区 | 4,369〜4,669 | 62.5〜66.7 | 1994 | 15.6 |
| 葛飾区 | 4,065〜4,365 | 58.1〜62.4 | 1995 | 17.3 |
| 足立区 | 3,851〜4,151 | 55.1〜59.3 | 1995 | 14.8 |
※2025年10月時点
都心近郊エリアの平均売買価格は3,000万円台後半〜6,000万円超、1平米あたりでは50万円台〜80万円台後半です。
このエリアの平均売買価格は、3年前の平均売買価格と比較して約11%〜約17%と全体的にばらつきが少ない上昇幅になっています。
23区外エリア
「23区外エリア」は多摩地域に位置する主要都市群にあたる以下のエリアを指します。
都心からはやや離れるものの、豊かな自然と充実した地域生活が魅力のエリアです。
| 【対象エリア】 八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、多摩市、稲城市、羽村市、西東京市 |
ここでは、平均売買価格の上昇率が高かった上位5市を中心に紹介します。
| 市名 | 平均売買価格(万円) | 平米単価(万円) | 平均築年(年) | 3年前からの上昇率(%) |
|---|---|---|---|---|
| 武蔵野市 | 6,076〜6,476 | 86.8〜92.6 | 1990 | 17.5 |
| 町田市 | 3,168〜3,468 | 45.3〜49.6 | 1996 | 18.8 |
| 多摩市 | 2,764〜2,964 | 39.5〜42.4 | 1991 | 16.9 |
| 昭島市 | 2,692〜2,892 | 38.5〜41.4 | 1995 | 16.6 |
| 福生市 | 1,837〜2,037 | 26.3〜29.1 | 1991 | 16.7 |
※2025年10月時点
23区外エリアで平均売買価格の上昇率が高かったのは、町田市・多摩市・昭島市・武蔵野市の5市でした。
武蔵野市のように価格・上昇率ともに高い市がある反面、福生市のように価格が比較的低く上昇率が高い市もあり、必ずしも価格と上昇率が比例していないことが分かります。
上位5市以外でも同様の傾向が見られ、価格・上昇率ともに上位5市に次ぐ国分寺市の一方で、上昇率は10%未満でも平均売買価格が町田市を上回る国立市・府中市・立川市などがありました。
また、調布市や三鷹市など平米単価が60万円を超える都心近郊エリアとあまり変わりない市も多く、都心から距離がある分ばらつきも大きい点が特徴的です。
マンション価格への影響が高い注目駅をピックアップ
東京都内すべてのエリアでマンション価格は上昇傾向にあるものの、上昇率には大きな違いがあることが分かります。
次に、都心プレミア・都心近接・都心近郊・23区外各エリアのなかで平均売買価格の上昇率が高かった区や市から、代表的な注目駅を1駅ずつピックアップしてご紹介します。
【都心プレミアムエリア】高輪ゲートウェイ駅
都心プレミアムエリア内で最も平均売買価格の上昇率が高い港区で注目されるのが、面積約7万4,000平米にも及ぶ「品川車両基地跡地」を利用して行われた再開発により開業した「高輪ゲートウェイ」駅です。
2025年3月には、高輪ゲートウェイ駅の全面開業にあわせ、商業、ホテル、複合文化施設、レジデンス、コンベンションホールなどを備えた国際交流拠点「TAKANAWA GATEWAY CITY」がまちびらきを迎えました。
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高輪ゲートウェイ駅は、その名の通り「羽田空港から約15分」「新幹線停車駅の品川駅から1駅」という、国内外からのアクセスの「玄関口」としての優れた立地を有しています。
国際拠点としての再開発により、居住目的だけでなく、商業施設やオフィスの増加に伴う賃貸需要の増加を見込んだ投資目的の需要も増えると考えられるでしょう。
駅周辺の三田三丁目・四丁目、泉岳寺駅地区でも再開発工事が進められており、現在だけでなく、再開発完成後の売買価格上昇も期待されます。

【都心近接エリア】豊洲駅
都心近接エリア内で最も平均売買価格の上昇率が高い江東区で注目されるのが、湾岸エリアでファミリー層・投資家層どちらにも非常に人気が高い「豊洲」駅です。
豊洲駅周辺では、すでに「アーバンドックららぽーと豊洲」「豊洲ベイサイドクロス」などの商業・複合施設や、「ブランズタワー豊洲」をはじめとした大型タワーマンションの建設などの再開発が行われてきました。
その集大成として2025(令和7)年6月に開業したのが、オフィス・店舗・インキュベーション(起業・事業拡大支援)施設・シェア企業寮などから成る「豊洲セイルパーク」です。
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さらに、2022(令和4)年に開業した「ミチノテラス豊洲」を皮切りに、今後は「新豊洲」駅周辺の豊洲4〜6丁目の開発も続きます。
2030年代半ば開通予定の有楽町線の延伸、そして再開発に伴う大規模オフィスビルの増加で、オフィス移転の動きも増えると予想されます。
今までのファミリー層中心の需要に加え、職住隣接を求める単身者や賃貸需要の増加を見込んだ投資家からの需要増が今後も価格にプラスの影響を与えるでしょう。


【都心近郊エリア】赤羽駅
都心近郊エリア内で最も平均売買価格の上昇率が高い北区で注目されるのが、東京北部の活気あふれる繁華街「赤羽」駅です。
赤羽の「飲み屋街」「庶民の街」といったイメージが、再開発によって下町の魅力と都市の利便性を併せ持つ魅力的な街に変わろうとしています。
赤羽駅周辺の再開発プロジェクトの中心「赤羽駅西口地区第一種市街地再開発事業」では、約0.7ヘクタールの区域で2029年6月の竣工を目指し、地上26階の住宅・商業複合ビルの建設工事が始まります。
また、「赤羽台団地再整備事業」では、最終的には約4,500戸の住宅と商業・公共施設、公園などが整備された新しい街並みが完成する予定です。
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赤羽駅はJR埼京線・京浜東北線・湘南新宿ライン・宇都宮線・高崎線のほかに、徒歩圏内で東京メトロ南北線「赤羽岩淵駅」が利用可能な東京北部の交通の要所でもあります。
現在の北区全体の売買価格上昇は中心となる赤羽エリアの将来性への期待感の現れともいえ、今後も再開発の完了後まで上昇傾向が見込まれます。

【23区外エリア】町田駅
23区外エリアで最も平均売買価格の上昇率が高い町田市で注目されるのが、中核となる「町田」駅です。
大部分が神奈川県に接しているため「神奈川県町田市」と揶揄されることもあるエリアですが、小田急線の1日の平均乗降人員では新宿駅に次ぐ、大型商業施設や商店街が集中する人口の多いエリアです。
その町田駅で今後実現が期待されているのが、現在東京都西部を縦断する「多摩都市モノレール」の延伸です。
実現すれば現在の小田急線、JR横浜線に加え3路線が利用可能になり、ますます交通利便性が向上します。
現在は活気がある反面、建物や施設の老朽化も進み雑然とした印象も強い町田駅周辺ですが、街の高い交通・生活利便性に反して駅周辺から少し外れると落ち着いた住環境が広がるエリアでもあります。
今後計画されている再開発とモノレール延伸の相乗効果による街の発展やイメージ向上が期待され、将来性から現在より売買価格の上昇率が高まることが考えられます。

体験談から見る「早く」「高く」売れるマンションの傾向
「すみかうる」に寄せられたマンション売却体験談を見ると、平均より早く・高く売れる物件には以下のような特徴がありました。
- 人気のエリア
- 築浅(~築10年以内)
- ブランド・タワーマンション
- 居住用でも投資用でも需要が高い好立地
例えば以下のケースでは、都心プレミアムエリアの築15年のブランドマンションが売り出しからわずか数日で、しかも購入時よりも高く売却できています。

しかし、このような条件がそろっていなくても、戦略や物件を高く評価してくれた不動産会社の販売活動により平均より早く・高く売れているケースも見られます。
高く売れるマンションの傾向をデータで読み解く
体験談で挙げられた“人気の条件”を裏づけるように、明確な傾向が見えてきます。
レインズの統計(2022〜2024年平均)によると、築10年以内の物件は全体平均より約32%高く成約しており、築21年以上では約19%低くなるなど、築年数によって価格差がはっきり表れています。
参考元:レインズ表15-② 中古マンションの築年帯別状況[東京都](http://www.reins.or.jp/pdf/trend/nmw/NMW_2024/NMW_2024_1_15.pdf)を基にすみかうる調べ
また、駅徒歩10分以内の物件は全体平均より約66%高く、徒歩20分を超えると約30〜40%低い水準にとどまるなど、アクセス性の違いも価格に大きく影響しています。
参考元::レインズ表21 中古マンションの駅からの交通別成約状況[首都圏](http://www.reins.or.jp/pdf/trend/nmw/NMW_2024/NMW_2024_1_21.pdf)を基にすみかうる調べ
築年や立地に加えて、ブランド力や物件規模も価格形成に大きく影響しています。
マンションナビの分析では、「プラウド」や「シティタワー」などのブランドシリーズが、築年を経ても再販価格の下落が緩やかであることが確認されています。共用施設や管理体制が整う大規模マンションほど流通性が高く、築後10年以上でも高値で取引される事例が多く見られます。
こうした要素が重なる物件は、資産価値を長期的に維持しやすいタイプといえるでしょう。


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売却価格の傾向を掴んでも、実際に自分のマンションがどのくらいで売却できるかを知るためには直接査定を行うのが近道です。
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東京都でマンションを高く売るための実践的なコツ
自分が売却を考えている物件が、前述の「早く・高く売れるマンション」に当てはまっている方ばかりとは限りません。
また、当てはまっていたとしても、なるべく高額で売却できるに越したことはないでしょう。
そこで次に、マンションを少しでも高く売るためのポイントについて解説します。
売却のベストタイミングを見極める
マンションを売却する際、時期に制約がなければ需要が高い「売れやすい時期」に売却すると「なかなか売れずに値下げする」ことを防ぎやすくなります。
一般的にマンションの需要が高いのは転勤・進学などの環境変化が起こりやすい2月~4月、次いで9月・10月ですが、レインズの成約データから見ると意外にも6月・7月も成約件数が多くなっています。
また、注意したいのが「売却までには平均3か月以上かかる」という点です。
したがって、実際には11月・6月あたりに売り出しを開始できるように動く必要があります。
ただし、ほかの時期が著しく成約件数が少ないというわけではないため、「タイミングを合わせられれば合わせる」くらいで考えておくとよいでしょう。
相場に基づいた売り出し価格を設定する
なるべくマンションを高く売るためには、「高額すぎて内見につながらないことを避けつつも、投げ売りにならない」程度の適正な価格設定をする必要があります。
適切な価格設定の参考になるのは、マンションの近隣エリアの売買価格相場のデータです。相場を基に、自分の物件の条件や売却を目標とする時期によって金額を調整していきましょう。売却期間に余裕があるなら、最初は価格を高めに設定してみるのもよいでしょう。
ただし極端に価格を高くすると内覧数が減り、長期化して逆効果になる可能性もあるため最大1割程度がおすすめです。
複数社査定のメリットを活用する
不動産価格はおおむねその物件の需要や条件に基づいて決まっているものですが、不動産会社によって大きく差が出るケースがあります。
売却相場を正しく知るために有効なのが、複数社にまとめて依頼できる「一括査定」です。
不動産は1つ1つ異なるため、一般の売主が相場を正しく把握するのは難しいでしょう。また、同様に売却に適したタイミングを掴むのも大変です。
一括査定を利用することで、大体の相場と時間経過による推移を手軽に知ることが可能です。
実際に「すみかうる」を利用してマンションを購入された方たちも、体験談で一括査定によって「数百万円高く売却できた」「売却に適したタイミングを知れた」と話されています。

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東京都でのマンション売却時に注意するポイント
続いて、マンション売却を決めた場合に注意すべき点についても知っておきましょう。
住宅ローン残債と売却価格の関係
築年数が浅いほど売却価格が高くなりやすいとはいえ、価格以外にも考慮しなければならない点があります。
特に比較的築年数が浅いマンションの場合に注意すべきなのが「ローンの残債」です。売却価格で住宅ローンを完済できる「アンダーローン」ならば問題はありません。
しかし、残債が多く売却価格を上回る「オーバーローン」の場合には、売却代金と残債の差額を自己資金で補填して抵当権を抹消しないと実質売却が難しくなってしまいます。
住宅ローン残債を一括返済できない場合には、「住み替えローン」の利用を検討する必要があるでしょう。
税金(譲渡所得税・住民税)の確認
マンション売却で、忘れてはならないのが売却益に対してかかる税金です。
売却益に対してかかる譲渡所得税は所有期間によって異なり、所有5年超なら「長期譲渡所得」として税率約20%、5年以下は「短期譲渡所得」として約39%が課税されます。
実際には売却金額から購入時の取得費と譲渡に要した費用を引いて、さらに居住用物件なら3,000万円特別控除などの特例も利用できるため、売却益すべてに対して課税されるわけではありません。
しかし、売却金額が高額になりやすいマンションの売却は、翌年の税金への備えも考慮しておく必要があります。
媒介契約の選び方(専任媒介 vs 一般媒介)
マンションを売却する際には不動産会社に依頼しますが、契約形態には大きく分けて「一般」と「専任」の2種類があります。
専任媒介はその名の通り依頼できるのは1社のみですが、一般媒介では複数の不動産会社に依頼が可能です。
一般媒介の場合、多くの会社に営業活動を行ってもらえる反面、自社で成約できるとは限らないため専任と比較して注力の度合いが下がりやすくなります。
その点専任媒介は自社で決まる可能性が高いため営業に力を入れてもらえる可能性が高くなりますが、その会社や担当者の営業力に大きく左右されます。
それぞれメリット・デメリットがありますが、一般媒介の場合には売れやすい物件に力を入れやすいため、マイナス条件があるような物件は専任媒介にするのも一つの方法です。
東京都のマンション売却に関するよくある質問(FAQ)
最後に、東京都のマンション売却で気になる質問について、簡単にまとめました。
東京都のマンション売却価格の相場は今後どうなる?
すでに長らく上昇傾向が続く東京都のマンション売却価格ですが、建設コストの上昇や東京都への人工集中傾向から今後も上昇が続くと予想されます。
ただし、すでに都心部を中心にかなり高騰しているため、上昇幅は下がる可能性もあるでしょう。
また、現在兆候が見られるように、価格高騰が周辺地域の穴場エリアに拡大すると考えられます。
東京都でマンションを売却するなら早い方が良い?
一般的に築年数が経つほど価格の低下が起こりやすいため、売却するなら早い方が良いともいえます。
しかし、東京都のマンション価格は上昇が続くと考えられているのに加え、築30年前後から下落幅も緩やかになってきます。
そのため、下落幅の大きい築20年程度までの物件は早めの売却を検討するとよいでしょう。
東京都で築30年以上の古いマンションは売れない?
新築マンションの価格高騰が続いていることもあり、築30年以上のいわゆる「築古」マンションの成約数は上昇傾向です。
東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」によると、2024年に成約したマンションのうち築30年以上の物件が占める割合は3割を超えています。
特にマンション需要の高さに対して新築マンションの価格が非常に高い東京都では、築30年以上でも買い手がつく可能性は十分にあります。
マンションの売却価格に影響する要因は?
マンションの売却価格を左右するポイントは、大きく分けて以下の4つです。
- 立地(駅からの距離、利用可能路線の数)
- 生活環境(店舗・教育施設の近さ・治安)
- 建物の状況(築年数・耐震基準・施工会社)
- 専有部分(階数・開口部の向き・日当たり・間取り)
これらに加え、周辺相場や市況によって査定価格がおおむね決まります。
類似物件の売却価格の相場を知る方法は?
売り出し価格は不動産情報ポータルサイトでも知ることができますが、以下のサイトでは実際に成約した物件の情報を調べられます。
レインズマーケットインフォメーション

国土交通省 不動産情報ライブラリ

まとめ
東京都のマンション売却相場は全域で上昇傾向にあり、最も高いエリアではわずか3年間で60%以上もの上昇率を示しています。
また、どのエリアでも上昇率が高かった市区は中核となる駅で再開発が行われており、新線開通の計画がある市区もいくつか見られました。
再開発や新線開通による利便性や資産価値向上の期待感が、マンションの売却価格に大きな影響を与えていると考えられるでしょう。マンションの売却相場は上昇を続けると今後も予想されますが、所有するマンションのエリアだけでなく周辺エリアの動向や経済状況にも影響を受けます。
また、一般的に築年数が経過するにつれてマンションの売却価格は下がっていくため、売却を遅らせたほうが高く売れるとは限りません。
そのため、市況や周辺エリアの動向とあわせて定期的に自分のマンションの売却相場をチェックし、高く売却できるタイミングを見つけることが重要です。
マンションナビのAI査定、一括査定を相場の把握に役立て、満足いくマンション売却を実現しましょう。
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