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マンションリサーチでは、独自の指標を用いて中古マンション価格のトレンドを予測しています。
本レポートでは、2023年5月までの次のエリアの価格推移・在庫数・在庫回転率※・価格改定数※から、今後の中古マンション価格を考察。一部エリアを除き、主要都市の中古マンション価格に頭打ち感がみられました。
※サンプルデータ:50㎡以上の中古マンション・1990年以降築
トレンドを示す数値。その時の「売り手」の数からみて「買い手」がどのくらい多いかを示す指標です。この数値が高ければ高い程、需要が高いといえます。
価格改定数は、不動産仲介担当者の行動を示す数値。売り出してから売却されるまでに、平均何回価格調整が行われたかを示す指標です。この数値が高ければ高い程、売り出しからの価格下落幅が大きくなります。
東京都23区の中古マンション価格は、いまだ高い水準で推移。しかし、ここ数ヶ月は高止まり感が見られます。
上記グラフの青色の棒グラフは在庫数を、灰色の折れ線グラフは在庫回転率を表しています。
在庫回転率は、2021年中頃をピークに減少傾向に。コロナ禍前の水準に近づきつつあります。在庫数は、直近では2022年末をピークに上昇基調にありましたが、2023年に入ってから減少しています。2023年5月は、大きく在庫数を減らしました。
上記グラフのオレンジの棒グラフは在庫数を、青色の折れ線グラフは価格改定数の平均を表しています。
平均価格改定数は、コロナ禍以降から2023年5月にいたるまで大幅に増加しています。価格改定が増えているということは、売り出し価格と実際の成約価格の乖離が大きくなっていることを示しています。
東京都23区の中古マンション価格は、2023年11月を頂点に高水準で推移しているものの、ここ数ヶ月は上昇基調は見られずほぼ横ばいです。2023年5月の平均価格も、前年同月とほぼ同水準となっています。
在庫数が減少していれば、本来であれば価格は上昇するのが市場の原理です。しかし、在庫数が減っても価格が高騰してない状況を見ると、価格上昇が限界に達し、頭打ち感があるものと推測されます。
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神奈川県横浜市、川崎市、埼玉県さいたま市、千葉県千葉市の4つの主要都市でも、東京都23区とほぼ同様の動きを見せています。
いずれのエリアも東京都23区と同様、在庫回転率はコロナ禍前と比べるとやや高い水準にあるものの、コロナ禍前の水準に近づいています。在庫数についても増加から下落基調への転換が見られます。
いずれのエリアも、平均価格改定数は変動があるものの増加傾向にあります。2023年5月時点、コロナ禍前と同水準なのは横浜市、川崎市。さいたま市と千葉市については、コロナ禍前を上回る改定数となっているようです。
横浜市を除くエリアが東京都23区と同様、ここ数ヶ月は上昇基調が見られません。アフターコロナが見据えられた昨今、価格高騰に頭打ち感があるように見えます。
横浜市のみ価格の伸長が見られる要因は、在庫数の減少幅がその他のエリアと比較して大きいことにあると推測されます。その他のエリアに関しては、2023年5月の価格水準とほぼ同じです。
横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市の主要都市でも、東京都23区と同様、在庫回転率の増加、在庫数の下落基調への転換が見られます。一方、横浜市は3月以前まで価格は横ばいでしたが、4月、5月に在庫数の減少が他のエリアより顕著だったことが、5月の価格上昇につながったものと考えられます。
一都三県都市圏の中古マンションの在庫数は総じて減少してている中、価格については横浜市を除き横ばいにあります。まさに「高止まり」という状況です。
市場原理的には、在庫数が減れば価格は上がるものです。「コロナ禍で価格が落ちる」「東京オリンピックが終われば暴落する」このように言われていた中でも、価格の高騰を続けたコロナ禍。市場原理に反して価格の伸びが見られない理由は、市場の加熱が限界に近づいていることにあるとも考えられます。
その一方で、昨今は日経平均株価が高騰を続け、6月には33年ぶりの高値を記録しました。日本はいまだ金利も極めて低いことからも、もう一段、市場が加熱し、中古マンションの価格ももう一段、上昇する可能性があります。
世界情勢、日本情勢の大きな変革期である今、引き続き市場の動きには敏感になっておきましょう。今後もマンションリサーチは、中古マンションの価格推移および価格変動の予兆を定期的に発信してまいります。
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早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて中古マンション市場調査を行い、顧客に情報の提供を行っている。
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