区分所有法とは? 基本概要と最新の改正ポイントを徹底解説

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分譲マンションは、建物の一部分を所有する形態です。これを「区分所有」といいます。区分所有マンションは、一つの建物を一人の個人や一法人が所有する形態ではないため、建物を複数の区分所有者共同で維持・管理していく必要があります。加えて、一つ屋根の下で生活する人がストレスなく、豊かに暮らすためにはルールも必要です。区分所有法は、これらを規定した法律です。

この記事では、区分所有法の基礎的な情報と2025年に改正される内容のポイントについて解説します。

目次

区分所有法の基本概要

区分所有法は、一つの建物につき一人の所有者が所有する一戸建てだけでなく、マンションなどの集合住宅やビルなどが誕生したことにより、民法だけではまかなえない部分を補うために制定された法律です。

区分所有法とは何か?

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)は、マンションのような一棟の建物を複数の人が区分して所有する場合の権利関係や管理方法を定めた法律です。制定は、1962年。マンションやオフィスビルなどの区分所有建物における所有者の権利や義務、共同生活のルール、建物の管理・運営方法などを規定しています。

区分所有法は、一つの建物に多くの人が居住するマンション特有の複雑な権利関係を整理し、住民の共同生活を円滑に進めるための基盤です。マンション管理においては、この区分所有法を理解することがトラブルの防止や適切な管理運営の第一歩となります。

区分所有法が適用される物件の種類

区分所有法
出典:総務省「マンション管理組合について

区分所有法が適用される代表的な建物は、分譲区分マンションです。他にも、構造上、区分されていて、区分所有登記された住居や店舗、事務所、倉庫などが入居するオフィスビルや商業ビルなども区分所有法の対象となります。

一方、一棟を一人のオーナーや一つの法人が所有する一棟マンションや一棟ビルなどは、区分所有法の対象ではありません。

区分所有者と管理組合の役割

区分所有者と管理組合の役割
出典:国土交通省

区分所有者は、専有部の管理責任を負います。一方、管理組合は共用部の管理責任を負います。管理組合と区分所有はまったく別というわけではなく、すべての区分所有者で構成されるのが管理組合です。

マンションの維持・管理は、すべての住人が自分意識を持って計画・実施していかなければなりません。区分所有者には、管理費や修繕積立金の支払いや管理規約の遵守、総会への参加なども求められます。

区分所有法の主な内容とポイント

マンションを所有している人やこれからマンションを購入する人は、まず区分所有法の次のポイントを押さえておきましょう。

専有部分と共用部分の違い

専有部分というのは、マンションであれば各住戸を指します。他の区分所有者の同意なく、自由に使用・処分できる部分です。一般的には、住戸内の壁・床・天井の内側(壁芯から内側)が該当します。

一方、共用部分とは、区分所有者全員で共有する部分で、建物の構造上主要な部分や共同で使用する設備・施設が該当します。たとえば、エントランスや共用廊下、エレベーター、ゴミ置き場、駐車場などが共用部分に該当します。区分所有者は共用部分に対して、持分割合(通常は専有面積比)に応じた権利を持ちます。

勘違いしやすいのが、専用庭や各住戸のベランダ、バルコニーです。これらは各住戸の専用部のようにも思えますが、共用部にあたります。共用部ではありますが「専用使用権」によって各住戸の区分所有者が独占的に使用することができます。

管理規約と使用細則の違い

管理規約はマンションの「法律」ともいえる規約です。マンションの管理規約の基盤となる「標準管理規約」には、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とするという記載があります。

管理規約で定められている主なものは、以下のとおりです。

  • 専有部分と共用部分の範囲
  • 管理組合の組織と運営方法
  • 管理費・修繕積立金の額と徴収方法
  • 総会・理事会の運営方法
  • 共用部分の使用ルール
  • 管理組合の会計

一方、使用細則は、管理規約を補完し、より具体的な日常生活のルールを定めたものです。定められている主なものは、以下のとおりです。

  • ペットの飼育ルール
  • ゴミ出しのルール
  • 駐車場・駐輪場の使用方法
  • バルコニーの使用方法
  • 騒音に関するルール
  • 共用施設の利用時間

管理組合の運営方法

管理組合は、総会・理事会・監事を中心に運営されるのが一般的です。総会には、管理組合の最高意志決定機関としての役割があり、管理組合の収支決算や予算、理事の選任などを決定します。「通常総会」と「臨時総会」があり、通常総会は区分所有法では少なくとも年1回開催するように規定されています。臨時総会は、必要性が生じたたタイミングで開催されます。

総会決議には「普通決議」と「特別決議」があり、議案の内容によって必要な多数決の割合は次のように異なります。

  • 普通決議(活動報告・会計報告・使用細則の改訂・管理費、修繕積立金の改定など):総会出席区分所有者の議決権の過半数
  • 特別決議(管理規約の改定・建て替え・共用部分の敷地や付属の変更など):組合員総数の4分の3以上の出席かつ議決権総数の4分の3以上の賛成(建て替えのみ組合員総数および議決権総数の割合が5分の4となる)

一方、理事会は、総会の決定事項を遂行したり、総会に上げる議題などを討議したりするのが主な目的となります。理事は、区分所有者の中から選任される理事で構成されるのが一般的です。理事の中からさらに、理事長や副理事長などが選任されます。監事は、管理組合の監査機関です。理事会の業務執行や会計をチェックする役割を担い、不正や問題を防止します。

外部管理者方式
出典:国土交通省

ただ近年では、区分所有者の中から理事や理事長を選任してマンションを管理していく「理事会方式」ではなく、管理業者などを管理者として選任して管理組合の意志決定に沿ってマンションを管理していく「外部管理者方式」を採用するマンションも増えつつあります。

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2025年の区分所有法改正のポイント

区分所有法は2025年、次のように改正される見通しです。

最新の改正概要と背景

区分所有法の制定は1962年のことです。制定からの半世紀以上で、私たちの暮らしやマンションを取り巻く環境は大きく変化してきました。これらに伴って、区分所有法も何度も改正されています。

加えて、区分所有法の他、次のようなマンションの管理や建て替えに関する法律も施行されています。

  • 2001年「マンション管理適正化法」施行:マンションにおける良好な居住環境の確保の重要性・国によるマンション管理適正化指針の策定義務・管理組合等の努力規定などを規定
  • 2002年「マンション建替法」施行」マンション建替事業・マンション敷地売却事業に関するもの

近年は、高経年マンションも増加傾向にあります。2025年の区分所有法改正は、高経年マンションの増加、所有者の高齢化、管理組合の担い手不足といった社会問題への対応を目的としています。

改正による影響

2024年2月現在の情報では、2025年の区分所有法改正のポイントは次の2つです。

  • 所在不明等の区分所有者の議決権を除外
  • 多数決要件の緩和

近年、空き家問題が社会問題化していますが、マンションも例外ではなく、相続などにより所在不明、所有者不明となる区分所有者も少なくありません。とくに建て替えや共用部分も大幅な改修には区分所有者の5分の4、あるいは4分の3の総会出席および賛成であることから、決議が取りにくくなっています。これが、マンションの更新や建替が進まない要因の一つです。

この状況を改善するため、管理組合などから請求があったとき、裁判所は所在等不明の所有者とその議決権を総会決議から除外することができるようにし、以下のいずれかが認められる場合に建て替え決議の賛成が3分の2に緩和される見通しです。

  • 耐震性が不足している
  • 火災に対する安全性が不足してる
  • 外壁などの剥落により周辺に危害を生ずるおそれがある
  • 給排水管などの腐食などにより著しく衛生上有害となるおそれがある
  • バリアフリー基準に適合していない

区分所有法 まとめ

区分所有法とは、マンションの円滑な維持・管理に加え、居住者が豊かな暮らしを送れるようにするための法律です。マンションや暮らしを取り巻く環境の変化に応じ、これまで区分所有法は改正を繰り返しており、2025年にも大きく改正される見込みです。

分譲マンションは、建物の一室を所有する形態ですが、共用部の一部の所有権も有しており、建物の維持・管理についてはすべての区分所有者で構成される管理組合が意志決定していきます。「マンションは管理を買え」といわれるほど、管理状態が資産価値に与える影響は大きいものです。区分所有者には、他人事のようにマンションの維持・管理を管理組合に任せるのではなく、当事者意識を持ってマンションの資産性や居住快適性を維持・向上するため尽力することが求められます。

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この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

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