マンション購入と住宅ローンの基礎知識|初めてでも安心のポイント解説ガイド

マンション購入は人生の中でも大きな決断のひとつ。住宅ローンをどう選ぶかは、将来の家計や暮らし方に直結します。「どのくらい借りられるの?」「どんなローンを選べばいいの?」と不安になる方も多いでしょう。

本記事では初心者の方でも理解できるよう、マンション購入時の住宅ローンについて、選び方から注意点まで解説します。

目次

住宅ローンとは?マンション購入時の基本を押さえよう

住宅ローンは単なる「お金の借り入れ」ではなく、いくつかの特徴があります。

住宅ローンは「購入目的」に制限がある

住宅ローンは、原則として「自分が住むための住宅」を購入する場合に限って利用できるローンです。自己居住用のマンションには金利の優遇や住宅ローン控除などの制度が適用されますが、投資用物件やセカンドハウスを購入する際は、条件が大きく異なります。

たとえば投資用マンションには「アパートローン」などの専用商品があり、金利が高めに設定されていたり、審査基準が厳しかったりします。また、別荘やセカンドハウスについても、居住用ローンよりも金利が高く、住宅ローン控除の対象外となることが一般的です。

「実際は投資目的なのに、自己居住用として申請する」といった虚偽申告は契約違反となるため、正しい申告を心がけましょう。

購入手続きと同時進行でローン審査が行われる

物件探しと並行して仮審査を申し込み、借入可能額を把握します。その後、売買契約→本審査→融資実行の流れが一般的です。

本審査では詳細な書類が必要となるため、契約には「住宅ローン特約(融資特約)」をつけておきましょう。

金利タイプと返済方法を正しく理解しよう

住宅ローンを選ぶ際、最も迷うのが金利タイプと返済方法です。それぞれの特徴をしっかり理解して、自分のライフプランに合った選択をしましょう。

金利のタイプは主に3つ

住宅ローンを選ぶ際、重要なポイントのひとつが「金利のタイプ」す。金利はローン返済額に大きく関わるため、自分のライフプランやリスク許容度に合わせて、適切なものを選ぶ必要があります。

住宅ローンの金利タイプは、大きく分けて以下の3つです。

①固定金利型とは?メリット・デメリット

固定金利型は、借入時に決めた金利が返済終了までずっと変わらないタイプです。

メリットデメリット
・毎月の返済額が一定なので、家計の見通しが立てやすく安心感がある
・将来的に市場金利が上昇しても、影響を受けない
・借入時の金利は、変動金利よりもやや高めに設定されている
・市場金利が下がっても、自分の金利は変わらないため恩恵が受けられない

将来の金利変動リスクを避けたい人や、長期的に安定した返済計画を立てたい人に向いている選択肢といえるでしょう。

②変動金利型とは?金利上昇リスクへの注意

変動金利型は、半年ごとに市場金利の動向に応じて金利が見直されるタイプです(返済額の見直しは5年ごとが一般的)。

メリットデメリット
・借入時の金利が低く、返済開始時の負担が少ない
・市場金利が下がれば、返済額も抑えられる可能性がある
・金利が上昇すれば、将来的に返済額が増えるリスクがある
・返済額が読みにくく、家計が不安定になるおそれがある

金利の変動を柔軟に受け入れられる人や、短期的に返済額を抑えたい人に向いています。ただし、将来の変動に備えて余裕のある資金計画が必要です。

③固定金利期間選択型とは?選び方のコツ

固定金利期間選択型(固定期間選択型)は最初の一定期間だけ固定金利で、その後は変動金利に切り替わるタイプです。固定期間は2年・3年・5年・10年などから選べるのが一般的です。

メリットデメリット
・当初の固定期間中は返済額が変わらないため、ライフプランに応じて安心して返済できる
・固定金利型よりも、当初金利が低めに設定されているケースがある
・固定期間が終了した後は金利が変動するため、返済額が増える可能性がある
・固定期間が長くなるほど、金利も高くなる傾向がある

子どもの進学や転職など、将来のライフイベントにあわせて支出が変化する時期が見えている人には、柔軟性のある選択肢といえるでしょう。

返済方法は2種類から選べる

住宅ローンの返済方法には、大きく分けて「元利均等返済」「元金均等返済」の2種類があります。

どちらを選ぶかによって、月々の返済額や総支払額に違いが出るため、自分の家計やライフプランに合った方法を選ぶことが大切です。

元利均等返済|毎月一定額で安心型

元利均等返済とは、毎月の返済額(元金+利息)が、返済期間を通じて一定になる返済方法です。

たとえば「毎月10万円返済」と決まっていれば、返済開始から完済まで、基本的にはその金額を払い続けることになります(※金利変動時を除く)

メリットデメリット
・毎月の返済額が変わらないため、家計管理がしやすい
・収入が安定していれば、計画的に返済を進めやすい
・返済開始からしばらくは利息の割合が大きく、元金の減りが遅い
・同じ借入額・金利・期間でも、総返済額は元金均等より多くなる

安定的な返済を重視したい人や、月々の支出を一定に保ちたい人に向いています。

元金均等返済|総返済額を抑えられるが初期負担は大

元金均等返済は、毎月返済する元金の金額が一定で、そこに利息を加えた金額を支払う方式です。

返済が進むにつれて元金が減るため、利息も徐々に下がり、毎月の返済額がだんだん軽くなっていくのが特徴です。

メリットデメリット
・返済初期の金額は高いが、毎月の返済額が徐々に減少する
・早い段階で元金が減るため、総支払利息が少なくなる
・結果として、総返済額を抑えられる
・返済開始直後の月々の支払いが重くなるため、初期負担が大きい
・収入に余裕がない場合は、月々の支払いが厳しく感じることも

早期に返済負担を減らしたい方や、トータルコストを抑えたい方には適した方法ですが、家計に余裕があることが前提になります。

【金利タイプと返済方法の比較表】

項目元利均等返済元金均等返済
月々の返済額一定徐々に減る
初期負担小さい大きい
総返済額多くなりがち抑えられる
向いている人家計を一定に保ちたい人総コストを抑えたい人

借りすぎ防止!無理のない返済計画の立て方

住宅ローンで最も重要なのは、無理なく返済を続けられる計画を立てることです。安易に借りすぎて生活が圧迫されないよう、しっかりとした返済計画を考えましょう。

毎月返済額は「手取りの25〜30%」が目安

住宅ローンで最も大切なのは、借りられる額より返せる額を基準にすることです。

一般的に、月々の住宅ローン返済額は「手取り収入の25〜30%以内」に収めるのが理想とされています。たとえば手取り月収が40万円なら、返済額は10万〜12万円が目安となるでしょう。

ただしこれはあくまで目安であり、家族構成や生活スタイル、将来的な教育費・老後資金・収入減少リスクなども考慮する必要があります。また、住宅ローン以外にも管理費・修繕積立金・固定資産税など、意外と見落としがちな費用がある点に注意が必要です。

借入可能額の目安は「年収の5〜7倍」

金融機関が提示する借入可能額の目安は、「年収の5〜7倍」とされることが大半です。たとえば年収600万円の場合、おおよそ3,000万円〜4,200万円が目安になります。

ただし、実際の審査では「返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)」が重視されます。これは概ね30〜35%以下が基準とされており、フラット35などの一部ローンでは最大40%まで許容されるケースもあります。

また、クレジットカードやマイカーローンなど、他の借入の有無や延滞歴といった信用情報も審査結果に影響するため、心当たりがある場合は早めに整理しておくと安心でしょう。

頭金の考え方と準備のヒント

頭金の準備は住宅ローン計画の重要なポイントです。頭金の金額によって、ローン審査の通りやすさや返済の負担が大きく変わってきます。

頭金が多いとローン審査で有利になる理由

頭金を多く用意できると借入額が減るため、金融機関からの信用度が高まり、審査が通りやすくなります。また、借入額が少ないほど金利優遇を受けられる可能性もあり、総返済額の軽減につながります。

たとえば4,000万円の物件で頭金を800万円(20%)用意すれば、借入額は3,200万円となるでしょう。これにより、毎月の返済額や利息負担も抑えられ、家計への圧迫が少なくなります。

頭金の目安は物件価格の20%が基本

一般的に頭金は物件価格の20%が目安です。理由は、不動産価格が下落してもローン残債の方が高くなる「オーバーローン状態」を避けやすくなるからです。最近は頭金0円でも購入可能なローン商品もありますが、借入額が増えることで、金利上昇時の影響や将来の売却リスクが大きくなります。

頭金を貯める方法としては、積立NISAや財形貯蓄の活用、親からの贈与なども検討するとよいでしょう。

マンション購入にかかる「住宅ローン以外の費用」も要チェック

マンション購入には、物件価格と住宅ローン以外にも様々な費用がかかります。これらの「諸費用」を事前に把握しておかないと、予想外の出費に困ることになりかねません。

諸費用の総額は物件価格の6〜8%が目安

住宅ローンとは別に、登記や仲介手数料、保険などの費用がかかります。目安は物件価格の6〜8%で、頭金とあわせて資金計画を立てる必要があります。

諸費用の内訳と具体例

諸費用は主に以下の通りです。

登記費用・印紙税・仲介手数料などの「物件取得にかかる費用」

内訳
登記費用(約0.5〜1%)所有権や抵当権の登記に必要
印紙税売買・ローン契約書に貼付する印紙代
仲介手数料上限は「物件価格の3%+6万円+税」
不動産取得税購入時に発生、住宅用には軽減措置あり
固定資産税等の精算金売主と日割りで清算

事務手数料・保証料・火災保険などの「住宅ローン利用時の費用」

内訳
事務手数料借入額の1〜2%ほど
保証料一括払いや金利上乗せで支払い
団体信用保険金利に含まれるケースが多い
火災・地震保険料セットでの加入が一般的

住宅ローンを選ぶときの比較ポイント

住宅ローンは各金融機関によって様々な特徴があります。単純な金利の高低だけでなく、総合的に比較することが大切です。

金利だけでは選ばない!保証料・繰上返済手数料も比較を

住宅ローンを比較する際は、金利だけでなく、保証料や繰上返済手数料、団体信用生命保険(団信)の保障内容もチェック。実質的な負担に直結します。

ネット銀行とメガバンク、どちらを選ぶべき?

住宅ローンを提供する金融機関は大きく「ネット銀行」「メガバンク」に分けられます。それぞれに特徴があるため、自分のニーズに合った選択をしましょう。

ネット銀行の特徴
  • 金利が低めに設定されていることが多い
  • インターネット上で手続きが完結するため、来店不要で便利
  • 繰上返済手数料が無料の場合が多い
  • 審査基準がメガバンクに比べてやや緩やかなケースも
メガバンクの特徴
  • 対面でのサポートが充実している
  • 住宅ローン以外の金融サービスも含めた総合的な提案が受けられる
  • 地域密着型の金融機関では地元物件の相場に詳しい
  • 金利優遇幅が大きいケースもある(給与振込や各種取引で優遇)

どちらが良いかは一概には言えませんが、金利の低さを重視するならネット銀行、手厚いサポートを求めるならメガバンクという選び方が一般的です。

マンション購入と住宅ローンによくある質問

ここでは、マンションを購入する際の住宅ローンについて、よくある質問を3つ取り上げてみました。

年収いくらでマンションは買える?

目安は年収の5〜7倍程度ですが、他の借入や家族構成、勤務状況によっても変わります。返済負担率(年収の35%以下)を基準に、仮審査で確認をするとよいでしょう。

頭金ゼロでも住宅ローンは組める?

可能ですが、借入額が増えて返済総額も多くなり、物件価値下落時のリスクも高まります。できる限り頭金を用意するのが安心です。

団体信用生命保険って何?加入は必須?

団信はローン契約者が死亡・重度障害になった際に残債を肩代わりする保険で、多くの金融機関で加入必須です。健康に不安がある場合は緩和型もあります。

まとめ

住宅ローンは人生設計に関わる大切な選択です。

金利タイプや返済方法、頭金、諸費用などを理解し、手取り収入の25〜30%以内で返済計画を立てることが安心の第一歩となるでしょう。無理のない資金計画が、将来の暮らしの安定につながります。

住宅ローンは長期にわたる負担となりますが、知識と準備があれば、家計を圧迫せずに理想の住まいを実現できます。本記事を参考に、自分に合った選択肢を見つけてください。

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この記事を書いた人

元信託銀行員。宅建士・ 2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。

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