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高値で投資マンションを購入も、複数社への査定依頼を機に損失を最小限に~マンション売買失敗談

マンションの売却は、多くの方がそう何度も経験するものではありません。とはいえ、高額な資産であるマンションの売買で失敗すると、大きな損失と後悔が生じてしまうおそれがあります。そこで、すみかうる編集部は実際にマンションを売買されて後悔している方のインタビューを敢行。包み隠さず、売主様のリアルな声をお届けします。

今回は、首都圏の投資用マンションを売却されたDにお話をお伺いしました。D様は、3年間所有していた投資用マンションのご売却に際し、マンションナビの一括査定を利用しました。複数社に査定してもらったことで、相場を大きく上回る金額でマンションを買わされていたことが発覚。サブリース契約も結ばれていましたが、交渉により販売元の不動産会社にローン残債相当額で買い取ってもらい、損失を最小限に抑えられたといいます。

この記事で分かること
  • 投資マンション購入時の注意点
  • マンション投資に不安や不信感を覚えたときに取るべき行動
  • 複数社に査定を依頼する重要性
お話を伺った方

40代女性D様 

  • 物件種別:マンション
  • 査定種別: 売却
  • 所在:首都圏
  • 築年: 2015年(平成27年)

失敗談の概要

  • 強引な勧誘により新築投資マンションを購入も、相場を大きく上回る金額だったことが発覚
  • 100社以上の不動産会社に査定を依頼
  • ローン残債相当額で販売元の不動産業者に買い取ってもらい、損失を最小限に
目次

強引な勧誘により新築投資用マンションを購入

編集部

投資マンションを購入された理由をお聞かせください。

D様

本意ではなく、一方的に勧誘され、訳も分からず強引に契約させられてしまった形です……。不動産投資をする認識はありませんでした。

編集部

具体的にはどのような経緯だったのでしょうか?

D様

勧誘を受けたのは社内でした。ファーストコンタクトは、会社にかかってきた「年金対策や節税対策について案内したい。社内にいるので来てくれないか」という電話です。私が務めている会社はセキュリティが厳しく、入出管理も徹底しているため関係者かと思い、指定された社内の場所に行きました。

話を聞いたところ、悪い話ではないと思いつつも「結構です、やめておきます」とお伝えしました。ただその後も「途中で嫌になったら辞められる」「損はしない」と説得され、不動産を購入するという意識もなく契約してしまいました。

編集部

購入に際して収支シミュレーションなどはされましたか?

D様

シミュレーションは提示されましたね。ただ、今思えばほぼ家賃収入とローンの支払いのみの収支シミュレーションやローン完済後の収入など非常にざっくりしたものでした。

実際には管理費や修繕積立金がかかり、これらの費用は徐々に上がっていきます。確定申告には税理士費用がかかりますし、金利変動もあります。減価償却費が計上できるため多少税金も還付されますが、計上額は年々減っていきます。こうしたことが一切考慮されていないシミュレーションでした。

編集部

「これはおかしいぞ……」と感じたのはどのようなタイミングでしたか?

D様

毎月数万円の支出があったのでなんのために支払っているのだろう……」とは感じていたんですよ。ただ直接的なきっかけとなったのは、全く知らない不動産業者から私の社内の外線番号に突然電話がかかってきたことです。私の名前も、私がマンションを所有していることも知っていて不審に思いました。話を聞くと、私の氏名や電話番号が名簿に載っていたのだとか。

おそらく、私にマンションを売りつけた不動産会社が個人情報を流出させたのでしょう。電話をかけてきた不動産業者から勧誘を受け、しまいには罵倒に近い言葉を浴びせられたことで、不動産会社に対する不信感が強くなりました。

不信感を覚えてから100社を超える不動産会社に査定依頼

編集部

不信感を覚えられてからどのような行動を取ったのでしょうか?

D様

まず、インターネットで不動産投資について色々検索してみました。コンサルティングをしている方を見つけて相談したところ「騙されていますよ」と言われ、やっぱりそうだったんだ……と落胆しました。

続いて行ったのは査定です。マンションナビの一括査定などを利用して複数の不動産会社に査定依頼を出したところ、相場を大きく上回る金額で買わされていたことが初めてわかりました。査定依頼した不動産会社の数は、100社を優に超えていたと思います。

編集部

どれくらい高く購入されたんですか?

D様

相場の1.3〜1.5倍ほどでしょうか。騙されていたことに気づいたのは、マンションを購入して3年ほど経ったころです。査定額は、購入金額を1,000万円以上下回る金額でしたね。

編集部

購入されたのは新築時ですか?

D様

はい、新築マンションです。新築って、買った瞬間に価値が大きく落ちてしまうんですよね。登記簿謄本を取って、同じマンションの他の部屋の所有者の抵当権の金額を見てみたのですが、多くの方が概ね私と同じくらいの金額で購入されていたことがわかりました。

ですから、おそらく私にだけ法外な金額で売りつけたのではないのでしょう。大前提として、深く考えずにマンション投資に手を出してしまったことが大きな失敗でしたが、「新築」を買ってしまったこと、そして購入時に相場を確認しなかったことが追い打ちをかけたように思います。

自分で住む分には新築でもいいと思いますが、投資においてはそこまで大きなメリットはありません。もちろん入居者がつきやすいということはあるでしょうが、新築といえるのは最初の入居者に対してだけですからね。

編集部

管理方法は「管理委託」でしたか?それとも「サブリース」だったのでしょうか?

D様

サブリースです。購入と同時にサブリース契約をしました。

販売元への交渉によりローン残債相当額で買い取り

編集部

サブリースとなると、売却も苦労されたのではないですか?

D様

サブリース契約を解除してから売却するのが一般的なようですが、私の場合はサブリース契約を維持したまま、マンションを売りつけた不動産会社に買い取ってもらいました。

編集部

買い取ってもらえたのですね!交渉などされたのでしょうか?

D様

交渉して不動産会社とは和解し、ローン残債相当の金額で買い取ってもらいました。相場を500万円ほど上回る金額です。

編集部

相場より500万円も高く!弁護士などには相談せず、ご自身で直談判したのでしょうか?

D様

弁護士には相談し、委任もしたのですが、委任翌日に不動産会社から「希望どおりローン残債相当額で買い取ります」という連絡が来たので、交渉には入ってもらっていません。以降のやり取りを弁護士に委任した形です。

具体的には、買い取り条件や和解についての書面化、買い取るまでの期間の返済や売却にかかる税金の負担などの交渉をしてもらいました。結果として、買い取りまでのローン返済や税金は負担してもらえました。

編集部

素晴らしい行動力ですね。同じような立場になると、泣く泣く市場価格で手放さざるを得ない方もたくさんいらっしゃると思います……!

D様

弁護士さんいわく、私のように交渉してできる限り良い条件で買い取ってもらう人も少なくないようですが、やはり直談判しても買い取りを拒否されたり、市場価格に近い金額でしか買い取ってもらえなかったりするケースもあるようです。私は被害が小さいほうだとおっしゃっていましたね。

自分にとって本当にメリットのある投資なのか見極める

編集部

ローン残債相当額で買い取ってもらい、売却にかかる税金なども負担してもらったとはいえ、トータルで見ると損失が出てしまったのではないでしょうか……?

D様

弁護士費用、購入時の諸費用、所有中の負担などを合わせると、300万円近くの損失です。

編集部

ただ、売却金額がもっと低く、売却の諸費用も負担して……ということを想定すると、D様の判断力、行動力が奏功し、最小限の損失に抑えられたのかもしれませんね。

D様

そうですね。販売元の不動産会社がまだ良心的だったということも大きいと思います。

編集部

D様のように、100社以上に査定依頼して自ら販売会社に交渉し、コンサルタントや弁護士に相談するという行動力を持てない方も多いことと思います。身動きが取れず後悔している方に向けてアドバイスをいただけますか。

D様

黙っていたら搾取され続けるだけ。嫌なものは嫌だと言う勇気が必要です。勧誘された時点で「迷惑です」「買いません」ときっぱり伝えることも大切ですね。「検討します」などと濁すと、畳みかけられる隙を与えることになります。

マンションを購入してしまった後なら、まずは査定をして相場を知ることが大切だと思います。相場がわからなければ、そもそも騙されているかもわかりませんからね。ただ相場は変化するものですので、購入時の金額とかけ離れていたからといって詐欺とは限りません。明確な基準はありませんが「こんな金額で買わせたなんて!」「詐欺だ!」と思うのであれば、販売元に抗議する必要があります。

行動を起こさない限り状況は変わりません。今、赤字なのであれば、黒字に転換することはまずないと思います。被害が小さいうちに売却するという判断力、決断力も必要です。

編集部

実際にマンション投資をしてみて「これは盲点!」と思ったことはありますか?

D様

盲点だったのは「譲渡所得税」です。所有期間は3年程度、売値はローン残債相当額ですから、本来、譲渡益は出ないはず、むしろ譲渡損が出るはずでした。
所有期間中の「土地:建物」の割合が「1:9」ほどで建物の比重が高く、減価償却費が大きかったため結果的に譲渡益が出てしまったんです。

私の場合、弁護士費用を経費に計上できたので課税は避けられました。建物の比重が高いと減価償却費を多く計上できるため、運用中は所得税等の節税になります。一方、売却時には譲渡所得税が課される可能性が高まります。

建物には消費税が課され、土地には課されないため、契約時に税額を見れば建物の金額がわかります。ただ、私が購入したマンションの売買契約書には消費税額の記載がありませんでした。こうしたケースもあるので、十分注意していただきたいと思います。

とはいえ、年収が高い方は節税を重視するでしょうし、実際に利益を得ている方もいますから、不動産投資そのものや節税目的の不動産投資を否定するわけではありません。ただ、自分にとって本当にメリットのある投資なのかどうかは見極めていただきたいですね。

まとめ

この事例のポイント
  • 強引な勧誘による新築投資マンションの購入は大きなリスクを伴う
  • 複数社に査定依頼し、相場を正しく把握することが被害を最小限に抑える第一歩
  • マンション投資に不安や不信感を覚えたら、査定依頼や弁護士や専門家への相談、販売元の不動産会社への交渉などの行動を起こすことが大切

D様のケースでは結果として300万円ほどの損失は出ましたが、100社以上に査定を依頼し、自ら販売元に交渉した行動力が功を奏し、損失を最小限に抑えることができました。一方、相場を大きく上回る金額で投資用マンションを購入してしまうと、結果として相場以下での売却に追い込まれたり、泣き寝入りせざるを得なくなったりすることも少なくありません。また、年月が経つにつれ、損失が膨らんでしまうおそれもあります。こうした状況を防ぐためには、購入時および売却検討時に相場を把握することがなにより大切です。

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この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

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