マンションリサーチ株式会社(東京都千代田区神田美土代町5-2)はホームローンドクター株式会社(東京都中央区八丁堀2-19-6)代表取締役 淡河範明(おごう のりあき)氏への聞き取り調査による住宅ローン金利の推移の予測と、マンションリサーチ株式会社保有データを用いて中古マンション市場の現況について調査しました。
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DHローン指数:ダイヤモンド不動産研究所とホームローンドクター株式会社が共同で作成している住宅ローン金利の参考指標。主要な銀行の住宅ローン商品をもとに、変動金利・固定金利・全期間固定型などの代表的な金利水準を算出したもので、市場の金利動向を把握するための目安として用いられています。
金利上昇下でも堅調な中古マンションの流動性
2024年にマイナス金利政策が解除され、日本は本格的な利上げ局面に入りました。金融環境の変化は住宅市場にも影響を及ぼすと考えられますが、首都圏の中古マンション市場全体を見ると、現時点では流動性が大きく低下しているとは言えず、依然として比較的高い水準を維持しています。
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【出典:福嶋総研】
特に東京都の1億5,000万円未満の中古マンションに注目すると、政策金利が0.25%となった2024年7月前後以降、「販売日数」および「値下げ回数」は継続的に減少しています。これは、売却時に価格調整を行わなくても比較的短期間で成約に至る状況が続いていることを示しており、需要の強さが市場の流動性を下支えしていると言えます。この価格帯は実需層の主戦場であり、居住ニーズに基づく安定した需要が、金利上昇局面においても市場を支えている構造が浮き彫りになっています。
高価格帯市場に生じる需要シフトと調整圧力
一方で、1億5,000万円以上の高価格帯マンション市場では、異なる動きが見られます。
この価格帯は、パワーカップルや経営者層といったハイエンド実需層に加え、投資家も多く参入する市場であり、需給バランスの変化が価格に反映されやすい特性があります。景気や金融環境が良好な局面では価格が急騰しやすい反面、割高な物件が増えやすくなる傾向も否めません。加えて、金利上昇による調達コストの増加は、借入を伴う購入者の負担を重くし、これまで高価格帯を選択していた一部の実需層が、より現実的な価格帯である1億5,000万円未満の物件へと購入対象を切り替えた可能性が高いと考えられます。
その結果、高価格帯市場では成約までに時間を要するケースが増え、流動性の低下と価格調整圧力が徐々に表面化しています。
湾岸エリアに見る流動性低下と今後の市場構造
こうした傾向は、これまで極めて高い流動性と急激な価格上昇を示してきた東京都湾岸エリアにも表れています。同エリアは再開発の進展や利便性の向上、眺望や共用施設といった付加価値を背景に、長らく強い需要を集めてきました。
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【出典:福嶋総研】
しかし、「金利のある時代」と明確に意識されるようになった2024年7月前後以降、「販売日数」および「値下げ回数」はともに増加に転じており、「価格を下げても売れない」物件が増え始めている状況がうかがえます。
もちろん、こうした動きを金利上昇だけで説明するのは適切ではなく、過去数年の価格高騰や供給構成の変化、購買層の価値観の多様化といった要因も影響しています。しかし、調達コストの上昇が購買力を制約し、結果として流動性が低下しやすくなる構造には一定の妥当性があります。今後の市場動向を見極める上では、金利動向のみならず、価格帯別・エリア別の需給構造の変化を総合的に捉える視点が一層重要になると言えるでしょう。
変動金利
金利推移
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【出典:ホームローンドクター株式会社】
2026年1月のDH住宅ローン指数における変動金利は0.902%となり、前月の0.875%から小幅に上昇しました。また、前年同月の0.616%と比べても明確に高く、長らく続いていた低金利局面から、ようやく本格的な上昇トレンドに入ったと評価できます。
銀行の動き
1月時点では、実際に金利を引き上げたのは一部の銀行にとどまり、多くの銀行は様子見の姿勢を維持しています。
ただし、メガバンクは2月から短期プライムレートを0.25%引き上げると発表しており、三菱UFJ銀行のように毎月金利を改定する銀行では3月以降に金利上昇が反映される見通しです。半年ごとに金利を見直す銀行が多いため、全体としては4月以降に本格的な上昇が広がる可能性が高いと考えられます。
政治経済の背景
日銀は2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げ、約30年ぶりに0.5%を超える水準となりました。金利は上昇したものの、円安傾向が続いていることから、輸入物価の上昇による家計負担への配慮も必要とされており、利上げペースは慎重に進められるとの見方もあります。
一方で、日銀が想定する名目中立金利は1.0~2.5%とされており、現状の0.75%はまだ低水準であることから、市場では今後も金利が上昇する可能性が高いと受け止められています。
10年固定金利
金利推移
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【出典:ホームローンドクター株式会社】
2026年1月のDH住宅ローン指数における10年固定金利は2.086%となり、前月の1.916%から大きく上昇しました。前年同月の1.385%と比べても上昇幅は顕著であり、10年固定金利は明確に上昇局面の真っただ中にあるといえます。この背景には、日本国債10年物利回りが2%台に到達するなど、長期金利全体が上昇していることがあります。
銀行の動き
10年固定金利は、これまで多くの金融機関で主力商品として位置付けられてきましたが、金利上昇に伴い、取り扱いを抑制する姿勢が目立ち始めています。観測対象となっている13行すべてが金利を引き上げ、auじぶん銀行を除くすべての銀行で2%を超える水準となっています。特に、全期間固定金利も取り扱う銀行では、10年固定金利を積極的に積み上げる意欲が低下しているように見受けられます。
一方で、auじぶん銀行は1.505%と依然として低水準を維持しており、相対的な競争力を保っています。
政治経済の背景
高市新政権による積極財政政策のもとで、国債増発への懸念が強まり、日本国債10年物金利には上昇圧力がかかっています。このため、10年固定金利についても、もう一段の上昇余地があるとみられています。ただし、市場では利上げ余地はあと0.25%程度との見方も多く、金利上昇が無制限に続くわけではなく、当面は一定の上限を意識した動きになるとの予想もあります。
全期間固定金利
金利推移
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【出典:ホームローンドクター株式会社】
2026年1月のDH住宅ローン指数における全期間固定金利は2.868%となり、前月の2.664%から上昇しました。前年同月の2.111%と比較しても上昇基調が続いており、全期間固定金利も依然として金利上昇局面にあるといえます。また、フラット35は約12年ぶりに2%台に達し、長期固定金利全体の水準が一段と切り上がったことを示しています。
銀行の動き
全期間固定金利は、変動金利との相対的な割高感から敬遠されがちでしたが、変動金利が上昇し始めたことで、徐々に注目度が高まっています。とはいえ、「5年ルール」や「125%ルール」により、変動金利利用者が急激な負担増を実感しにくいことから、依然として変動金利を選択する人が多数派です。
一方で、フラット35は他の全期間固定商品と比べて割安であり、さらに「子育てプラス」と組み合わせることで最大1%の金利引き下げが可能となるため、変動金利に匹敵する競争力を持つ商品として積極的に検討する価値があります。
政治経済の背景
全期間固定金利は、日本国債10年物だけでなく、20年・30年・40年といった超長期国債の動向も反映して設定されます。直近では40年国債の利回りが低下するなど、金利の上限が意識される場面もありましたが、全体としては上昇基調が続いています。
今後についても、世界経済の好調さが続けば、全期間固定金利はさらに上値を追う展開が想定されますが、景気の揺り戻しが生じた場合には、上昇ペースが鈍化する可能性もあります。
金利動向のまとめ
変動金利
2026年1月の変動金利は0.902%となり、前月および前年同月より上昇しています。2025年12月の日銀利上げ(0.75%)を受け、上昇基調が本格化しています。現時点で金利を引き上げている銀行は一部にとどまりますが、メガバンクの短期プライムレート引き上げを受け春以降は多くの銀行で金利上昇が見込まれます。
10年固定金利
10年固定金利は2.086%となり、前月から大きく上昇し、1年前と比べても上昇幅が拡大しています。国債10年物利回りの上昇を背景に、すべての銀行が金利を引き上げ、2%超が常態化しています。銀行は10年固定を主力商品とする姿勢を弱めつつあります。
全期間固定金利
全期間固定金利は2.868%となり、前月から上昇し、1年前からの上昇基調が続いています。フラット35は12年ぶりに2%台へ到達し、他の全期間固定商品と比べ割安感があります。変動金利より割高感はありますが、長期安定志向の選択肢として再評価されています。
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