現在注目を集めている東京都の再開発といえば、2026年3月28日に「TAKANAWA GATEWAY CITY」が全面開業した高輪エリアが代表的でしょう。ほかにもトヨタ新東京本社が入る複合ビルを中核に約15ha規模で行われる品川駅西口エリアや、2034年の完成予定に向けて進行中の渋谷エリアなど、話題に上る再開発は都心部や人気の湾岸エリアが中心です。
しかし、東京都の再開発は都心部や湾岸エリアのみならず、郊外部や中規模な生活拠点駅も含め至る所で行われています。
そこで今回の記事では、東京都で行われている再開発の全体像と主なプロジェクト、注目エリアについて解説します。
【2026年版】東京都の主要再開発エリアマップ&プロジェクト一覧表(全体像)

まずは、東京都でここ数年に完了〜現在進行中の主な再開発について全体マップと一覧表、各エリアの主なプロジェクトから大まかに把握していきましょう。
ここでは、東京都を以下の4ブロックに分けて解説します。
- 都心エリア
- 湾岸エリア
- 生活拠点エリア
- 郊外拠点エリア
都心エリア

都心エリアは、新宿・渋谷・品川などに代表される、いわゆる「都心六区」と呼ばれるような需要の高いエリアです。
元々賃貸・売買ともに人気の高いエリアであるとともにターミナル駅も多く、国内周辺地域との連携だけでなく国際拠点としても意識した街づくり方針のもとに再開発が行われています。
都心エリアにおける近年〜現在の主な再開発プロジェクトは以下の通りです。
| エリア | プロジェクト | 主な内容 | 完成(予定)時期 |
|---|---|---|---|
| 高輪ゲートウェイ駅 | 「TAKANAWA GATEWAY CITY」 | 4街区・5棟の複合ビル(オフィス、商業施設、保育園、コンベンション・カンファレンス、教育施設、ホテル、クリニック、イベントスペース) | 2025年3月 |
| 品川駅 | 高輪三丁目品川駅前地区第一種市街地再開発事業 | 2街区2棟(事務所、店舗、住宅、MICE、産業支援施設、地域交流施設) | 2028年度 |
| 八重洲・日本橋 | 東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業「TOFROM YAESU TOWER」 | 複合ビル(地上51階建て:オフィス、商業施設、医療施設、劇場・カンファレンス施設) | 2026年2月 |
| バスターミナル東京八重洲第2期 | – | 2026年3月 | |
| 八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業 | 複合ビル(店舗、事務所、宿泊施設、駐車場) | 南街区:2029年度/ 北街区:2032年度 | |
| 大手町駅 | 大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業 | 広場、地下交通結節空間複合ビル(事務所、店舗、ホテル、ホール、展望施設、会議室、駐車場) | 2028年度 |
| 新宿駅 | 新宿駅西南口地区開発事業(南街区) | 複合ビル(地上37階建て:商業施設、オフィス、ホテル、駅施設) | 2029年3月 |
| 京王線新宿駅総合改善事業 | 京王線新宿駅の地下2階ホームの延伸、改札の新設 | 2031年度 | |
| 渋谷駅 | 道玄坂二丁目南地区再開発 | 複合ビル2棟(地上30+11階建て:オフィス、店舗、ホテル) | 2027年度 |
| 「Shibuya Upper West Project (渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」 | 複合ビル(地上36階建て:高級賃貸住宅、ホテル) | 2029年度 | |
| 渋谷駅西口駅ビル開発「渋谷スクランブルスクエア(第Ⅱ期)」 | 複合ビル2棟(地上10+13階建て:店舗、駐車場) | 2031年度 | |
| 東口4階スカイウェイ (仮称) | ヒカリエデッキ(宮益坂方面)~JR渋谷駅~渋谷マークシティ(道玄坂方面)を結ぶ空中回廊 | 2031年度 |
このなかで現在注目したいのが、「高輪エリア」と「渋谷エリア」です。
高輪エリアでは、「高輪ゲートウェイ」駅の新設に続き、2026年3月に総敷地面積約9.5ha、総事業費6,000億円超の「高輪ゲートウェイシティ」が全面開業しています。オフィス、商業施設、文化施設に加え外国人ビジネスワーカーに対応した高級賃貸レジデンスが統合された国際ビジネス拠点の誕生は今後も注目を集めるでしょう。
また、高輪・品川エリアの再開発は今後のリニア中央新幹線や羽田空港アクセス線(仮称)の開通も見据えて行われています。交通結節点としての役割が増すとともに、企業の集積と国内外からの投資を促進し、周辺不動産の資産価値向上に大きく寄与すると見込まれます。

一方、渋谷エリアでは東横線の地下化による未利用地の活用を契機に、東急グループ主導のもと都内最大規模の再開発が「渋谷ヒカリエ」や「渋谷ストリーム」など複数の商業施設の開業とともに各所で進められてきました。
2030〜2031年度の「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)」や駅東西を結ぶ歩行者デッキの完成、そして2034年の全面開業に向けて街の姿を一新させます。

湾岸エリア

豊洲・晴海などに代表される湾岸エリアは東京沿岸の埋立地を指し、タワーマンションが多く特にファミリー層に人気が高いエリアです。湾岸エリアの再開発の特徴は、東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地にできた「HARUMI FLAG」に代表されるように、工場やふ頭などの広大な跡地を利用している点です。一体化した整備が可能なことによる洗練された街並みも人気の理由の一つでしょう。
湾岸エリアにおける最近の主な再開発プロジェクトは以下の通りです。
| エリア | プロジェクト | 主な内容 | 完成(予定)時期 |
|---|---|---|---|
| 豊洲駅 | 「豊洲セイルパーク(TOYOSU SAIL PARK)」 | 複合施設(商業、クリニック、インキュベーション施設、シェア企業寮) | 2025年7月 |
| 勝どき駅 | 豊海地区第一種市街地再開発事業「THE TOYOMI TOWER」 | 住宅(地上53階建て総戸数2,046戸:店舗、公共施設、診療所、保育所) | 2026年11月 |
| 勝どき東地区第一種市街地再開発事業「パークタワー勝どきイースト」 | 住宅(地上29階建て総戸数464戸:店舗、公共施設) | 2029年5月 | |
| 月島駅 | 月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業「グランドシティタワー月島」 | 住宅(地上58階建て約1,280戸:店舗、公共施設、駐車場) | 2026年 |
| 有明駅 | 「minamoni Ariake(ミナモニ有明」 | 複合施設(店舗、産後ケアホテル、教育施設) | 2026年春 |
このなかで現在注目したいのが、「豊洲エリア」です。
2025(令和7)年7月に開業した「豊洲セイルパーク(TOYOSU SAIL PARK)」が記憶に新しいようにこれまで豊洲1~3丁目を中心に行われてきた豊洲の再開発ですが、今後は「新豊洲」駅周辺の豊洲4~6丁目の開発が主軸になってきます。2022(令和4)年に開業した大規模複合街区「ミチノテラス豊洲」だけでなく、今後東京ガスの工場跡地で計画されている街づくりにも期待が寄せられています。

生活拠点エリア

生活拠点エリアは東京都心部からは少し外れているものの、都心へのアクセスと生活利便性に優れたエリアで、東陽町・大井町・赤羽・中野などがこれにあたります。
生活拠点エリアにおける現在進行中の主な再開発プロジェクトは以下の通りです。
| エリア | プロジェクト | 主な内容 | 完成(予定)時期 |
|---|---|---|---|
| 東陽町駅徒歩圏 | (仮称)三井リンクラボ東陽町1 | 賃貸ラボ&オフィス(敷地面積約9,800㎡) | 2026年夏 |
| 大井町駅 | OIMACHI TRACKSCROSS PLAZATRACKS PARK | ホテル、シネマ、スパ・サウナ、レストラン、ショップ、広場 | 2026年3月 |
| 広町二丁目土地区画整理事業 | 駅改良・新改札・交通広場・歩行者デッキ | ||
| 赤羽駅北東側 | 赤羽一丁目第一地区第一種市街地再開発事業 | 複合ビル(住宅・店舗、敷地面積約1,610㎡) | 2029年6月 |
| 中野駅 | 西側南北通路・橋上駅舎等 | – | 2026年 |
| 囲町西地区 | 住宅棟(地上25階建て、約490戸) | 2027年 | |
| 新北口駅前広場整備 | – | 2029年 | |
| 小岩駅 | JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業 | 住宅(地上30階建て、731戸)、店舗、業務、保育所) | 2027年度 |
| 南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業「FARSTA koiwa(ファスタ小岩)Ⅲ」 | 住宅(地上33階建て、367戸)、店舗、業務、保育所) | 2026年3月 |
今回の記事ではこの「生活拠点エリア」に重点を置いて、後で詳しく取り上げます。
郊外拠点エリア

23区外、いわゆる「都下」と呼ばれるエリアのなかでも、発展が進み周辺地域の核となっている立川・町田などが郊外拠点エリアにあたります。23区内からは大きく離れているものの、新宿などの都内主要駅にアクセスしやすい割にマンション価格が割安なため、都内のマンション価格高騰により近年需要が高まってきています。
郊外拠点エリアにおける現在の主な再開発プロジェクトは以下の通りです。
| エリア | プロジェクト | 主な内容 | 完成(予定)時期 |
|---|---|---|---|
| 八王子駅南口(八王子医療刑務所跡地) | 八王子ミライテラス | 公園・ライブラリ・交流スペース・ミュージアム(敷地面積約52,047㎡) | 2026年10月 |
| 調布駅南側・北側 | 駅前広場の整備 | -(敷地面積16,615㎡) | 2026年3月 |
八王子では2026年10月に「八王子ミライテラス」が完成予定のほか、立川エリアでは2020年4月に誕生したJR立川駅北側の約3.9万㎡の敷地にホテル・オフィス・店舗などからなる新街区「GREEN SPRINGS」がリニューアル予定です。

また、町田駅周辺では2024年に「町田駅周辺開発推進計画」を策定しており、多摩モノレールの延伸も含め今後さらに大きな発展の可能性を秘めています。
注目すべきは「生活拠点駅」!今後の成長が期待される東京都の再開発エリア4選

冒頭のマップの通り、東京都では至る所で再開発が行われてると言っても過言ではありません。
なかでも注目したいのが、前述の「生活拠点エリア」です。生活拠点エリアは都心部と比較してマンション価格が抑えられている上に、再開発による価値上昇、いわゆる「伸びしろ」に期待できるためです。
そこでここでは、生活拠点エリアのなかから前述の「東陽町・大井町・赤羽・中野」の4駅の再開発の概要についてそれぞれ解説します。
東陽町|「東の副都心」へ変わる江東区の拠点駅

東陽町は東京23区東部にある江東区の中央あたりに位置しています。この東陽町では、2030年代半ば完成予定の有楽町線の延伸(豊洲〜住吉間)を見据えた開発の動きが起こっています。
まだ具体的な動きは少ないですが、現在三井不動産が賃貸ラボ&オフィスを建設しており、2026年夏の竣工予定です。
東陽町駅は延伸部分の中間駅にもなり、開業後は現在の東西線と合わせて2路線利用可能になります。また、周辺に新たに2駅新設されることで周辺地域の鉄道不足や混雑も解消し、交通アクセス性アップが見込まれます。
もともと東陽町駅周辺にはオフィスや住宅、生活施設が集まるだけでなくすぐ近くに川や緑もあり、良好な住環境が魅力です。今後新線の整備に合わせて周辺開発が進むことで、職住近接も叶う東京都東部の中核エリアとしての発展も期待されます。

大井町|品川エリア拡張の中核となる再開発

大井町エリアの再開発は、土地の有効利用により防災力の向上も含めた都市機能の再編を行い、品川エリア全体の国際競争力を強化する狙いのもと行われています。
JR東日本でも浜松町〜大井町駅間を「広域品川圏」と位置づけており、羽田空港国際化やリニア中央新幹線などによる交通基盤の進化に合わせ品川周辺の一帯を国際交流拠点とするための街づくりを目指しています。
2026年3月には大井町駅直結の大規模複合施設「OIMACHI TRACKS」が開業し、それに合わせ大井町駅東口駅舎の改良や広場・歩行者デッキの整備が行われました。ほかにも2029年秋ごろには品川区新庁舎の整備が完成予定、駅の西口でも今後再開発が計画されています。

赤羽|北の玄関口として再評価される都市拠点

赤羽は23区の北側中央に位置し、北側は荒川を挟んで埼玉県に接する立地です。下町情緒あふれる繁華街である赤羽は、同時に5路線利用可能、空港へのアクセスも良好な交通の要衝でもあります。
赤羽エリアの再開発は、駅周辺の老朽化した建物の建て替えや都市基盤の整備を通じて、地域の防災性向上と生活利便施設の充実を図ることを主な目的としています。
赤羽駅周辺の再開発プロジェクトの一つが、UR都市機構の団地建替え事業として2024年に完成した「ヌーヴェル赤羽台」です。約4,500戸の住宅と商業・公共施設が整備され、美しい街並みが形成されています。

また、現在進行中の再開発プロジェクト「赤羽駅西口地区第一種市街地再開発事業」では、地上26階の住宅・商業複合ビルの建設が計画されており、2029年6月の竣工を目指しています。
下町風情と良好な交通アクセス性という魅力を残したまま、都市としての機能が強化される赤羽は、住居としてだけでなく投資対象としても今後注目しておきたいマンションエリアです。

中野|「サブカルの街」から都市拠点へ進化する再開発

「中野ブロードウェイ」に代表される「サブカルの街」のイメージが強い中野ですが、「100年に一度」ともいわれる大規模再開発により、多様な都市機能を持つ都市拠点への進化を目指しています。
駅周辺だけでも11もの再開発が計画され、2024年4月には中野区役所が屋上庭園や区民交流スペースを持つ地上11階建てのデザイン性ある建物へと建替えられています。
ほかにも駅の北口の再整備が2029年に完了予定、西側南北通路や橋上駅舎の工事が2027年完了予定です。
再開発により、住宅も供給されています。囲町東地区では2025〜2026年にかけて三井不動産の「パークシティ」シリーズのマンションが2棟、中野二丁目では2024年に住友不動産の「中野ステーションレジデンス」が竣工しています。
2023年にランドマークともいえる複合施設「中野サンプラザ」が閉店し、新たな姿へと生まれ変わりつつある中野エリアは、大規模再開発によりマンション価格もさらに一段上がる余地を残しています。

東京都の再開発で今後注目すべき3つのトレンド
各所で行われている再開発ですが、これまでの再開発の多くには共通する傾向があります。
今後の東京都の再開発で注目すべきポイントとして、ここではその傾向について解説します。
駅中心型の再開発の増加
多くの再開発では、交通結節点である「駅」を核としたプロジェクトが顕著です。駅周辺の整備は地域住民の利便性に大きく影響するとともに、周辺からのビジネス需要や訪問する人を増やし街の活性化につなげるものとして戦略的に行われています。
例えば渋谷の再開発では駅を中心に地上とデッキ階で東西南北を結ぶ多層的な歩行者ネットワークが2030年度に完成予定です。現在の複雑に入り組み雑然とした街並みが一新され、移動のしやすさが格段にアップします。

駅を軸とした整備は、高度経済成長期に建設された建物の老朽化や後発的な発展による交通動線の悪さという課題を解消し、利便性を高めることを狙いとしています。
住宅と商業の複合開発が主流に
東京都の多くの再開発では、駅周辺の整備とともにランドマークとなるような高層の複合ビルの建設プロジェクトが実施されています。エリアによって、商業施設のほかに国際交流施設や宿泊施設、オフィスが入るものや中層~上層階がマンションになっているタイプも多く見られます。
駅至近に建てられた複合ビル内のマンションは日常の買い物や娯楽が身近に完結し、居住者の利便性が大幅に高まることから特に新築~築浅マンションの流通が少ないエリアでは高い需要を生み出しています。
また、オフィス・住宅問わず「交流」を目的としたスペースを設けている複合ビルが多いのも特徴です。例えば再開発中の「虎ノ門一丁目東地区」では、官民が交流できる拠点「TORANOGATE」が2027年10月に完成予定です。
建物の複合化・高層化による機能集約や交流の場の創出は、将来の人口減少に合わせたコンパクトな街づくりや地域の活力向上による都市の競争率向上を目指す東京都の方針でもあります。
防災・環境を重視した街づくり
近年の再開発では、街の活性化とともに防災面の強化も行われています。多くの再開発計画で見られるのが、駅周辺の密集・老朽化した建物群の建て替えや、広域避難場所にもなる都市公園・駅前広場の新設です。
さらに進んだ災害に強い街づくりの一例として挙げられるのが、今後東京ガスが豊洲ふ頭の約18haの土地で今後予定している「循環型未来都市」再開発構想です。この計画では、街づくりの一環としてICT(情報技術)を活用した省エネルギーと省CO2を実現するスマートエネルギーネットワークにより、停電などの非常時にも電気・熱を継続供給できる防災面からも優れたインフラの構築を行うとしています。

火災や風水害だけでなく首都直下地震などの大規模災害リスクを抱えている東京都は、「東京防災アクションプラン」のなかで2035年に向けて都市の強靭化、すなわち「安全・安心な街づくり」を進めています。
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東京都の再開発で何が変わる?生活・街・不動産への影響
再開発は各種施設の新設や建て替えのような単なる物理的な変化に留まらず、そこに住まう人々の生活様式や街の経済活動、ひいてはエリア内の不動産の資産価値に多大な影響を与えます。
次に、再開発で対象エリアに起こる変化について解説します。
住みやすさの向上(交通・買い物・医療など)
再開発計画は大抵、駅周辺の交通インフラの整備が中心となります。駅周辺の整備は地域住民の住みやすさ向上に加え、周辺地域からの移動を促し地域の活性化につながることが期待されているためです。
具体的には複数路線間の乗り継ぎや上下の移動動線の改善、駅前ロータリーの整備、バス乗り場の再編、歩道の確保による人と車の分離などが挙げられます。これによりどの年代でも移動しやすい駅前が実現するとともに、他エリアとのアクセス性も向上します。
また、駅周辺に商業・公共施設などが入った複合ビルが新設されることで日々の買い物や病院通い、行政手続きも格段に便利になるでしょう。
商業・公共施設の集積による街の活性化
商業・公共施設の集積がもたらす効果は、地域住民の利便性を上げるだけではありません。再開発で多くみられるオフィスビルや商業施設、文化施設などが入る複合ビルの建設による昼間人口の増加は周辺にもビジネスチャンスを与え、結果として雇用の創出に寄与します。
昼間人口の増加と創出された雇用に伴う地域住民の増加は地域の活性化につながります。地域が活性化すれば、さらに各種施設や店舗が充実する経済の好循環にも期待できるでしょう。
防災・安全性の向上
東京都の都市計画において重点を置かれているポイントの一つが、首都直下地震などの大規模災害に備えた防災性の強化です。再開発計画では、各所で建て替えによる防火性の強化や広域避難場所となる大規模公園やオープンスペースの整備が組み込まれています。
また、緊急車両の通行をスムーズにするための道路の拡幅や、車と歩行者との分離による安全性の向上を目的とした歩道の整備なども行われています。これらの取り組みは住民の生命を守るだけでなく、結果として整った街並みが生まれることで街のブランドイメージの向上にもつながります。
地価・マンション価格の上昇
再開発による生活利便性や街のブランドイメージ向上、将来の街の活性化への期待から、再開発エリア内では地価やマンション価格が上昇する傾向にあります。
一例を挙げると、2025年に全面開業した高輪ゲートウェイがある港区のマンション売却・購入相場の上昇率は、3年前と比較して+70%以上、9年前と比較すると+140%以上です。
また、地価公示の対前年平均変動率でも令和8年で+16.6%、令和7年で+12.7%の上昇率を示しています。
再開発による「エリアの住みやすさ=売りやすさ・貸しやすさ」は、結果として資産価値の安定や向上につながります。
再開発エリアは本当に住みやすいのか?
再開発によってエリア全体の価値が向上するのは事実ですが、期待していたような「住みやすさ」が得られないケースもあります。
そこで、再開発エリアのメリット・デメリットが住みやすさに与える影響とマンション購入の際に考慮すべきポイントについて考えてみましょう。
再開発エリアのメリット
再開発エリアのメリットは、「利便性の向上」と「安全性・快適性の向上」がもたらす「資産価値の向上」です。
再開発の多くは交通動線の改善などに代表される旧来の駅前周辺の課題解決と、駅周辺の再構築によるエリア全体の活性化を目的として行われています。従って、商業施設の増加や駅周辺の混雑緩和、乗り継ぎルートの改善など地域住民にとっての利便性が大きく向上します。
また、道路拡充や古い建物の建て替え、避難場所にもなる都市公園の設置などによる防災力の強化や、都市としての魅力向上のための緑化や憩いのスペース創出による駅周辺を中心とした安全性と快適性の向上も大きなメリットです。
これらの利便性や安全性・快適性の向上はエリア全体の資産価値を向上させ、住み替えの際のリセールバリューにも期待できます。
再開発エリアのデメリット
その一方で、住みやすさに影響する再開発のデメリットも存在します。
再開発エリアの不動産は資産価値向上への期待から物件価格が高騰しやすく、住宅ローン返済の負担の大きさが生活を圧迫するリスクも考えられます。
また、再開発計画の遅延や変更も考えられます。例えば神戸・三宮の再開発で予定されている「税関前歩道橋」は当初2023年完成予定でしたが、施工計画の複雑さから受注先の再選定になり、完了予定は未定です。
ほかにも鉄道新路線開通に合わせた再開発などの場合には、新線の開通が遅れれば周辺の商業施設の開業も遅れることも十分に予想されます。
その場合には期待していた再開発のメリットを享受できるのが遅くなるだけでなく、工事の遅れは迂回ルートの利用や振動・騒音など住みやすさに影響する不自由をこうむる期間が延びることにもつながります。
失敗しないためのチェックポイント
再開発エリアのマンション購入で、失敗しないためには以下の3点を考慮して検討するようにしましょう。
- 再開発計画の内容と完了予定時期
- マンション価格
- エリア内不動産の資産価値の持続性
自分や家族のライフスタイルが該当エリアの再開発のメリットを享受できるのか、単に「再開発エリア」というだけでなく、計画の概要についても購入判断の材料にするとよいでしょう。
例えば再開発の方向性が「国際競争力のある拠点づくり」などでコンベンションセンターや宿泊施設の増強が中心の場合、地域住民への直接的なメリットは少ないと考えられます。また、「複数路線間の乗り換え動線の改善」が中心の再開発で、自分は車移動が中心のような場合にもやはり享受できるメリットは少ないでしょう。
再開発の完了予定時期も重要です。完了予定時期が先であるほどマンション価格の値上がりは抑えられやすくなりますが、メリットを得られるのが遅くなる上に計画変更のリスクも発生します。
その反面、再開発の完了が間近になってくるとある程度完成状態の予想がつく半面、マンション価格は値上がりしやすくなりローン返済が厳しくなるかもしれません。場合によっては、定期借地権マンションを購入し契約期間満了までに住み替える選択肢もあります。
最後に、再開発エリア自体の将来性も重要です。周辺エリアの人口動態や周辺マンションの供給状況から、将来にわたって資産価値が維持・向上する見込みがあるかについても検討しましょう。
まとめ
再開発は駅周辺を中心とした効率よい土地利用を可能にし、地域住民の生活・交通利便性を大きく上昇させます。エリアの住みやすさとイメージ向上は賃貸・購入問わず不動産の需要を後押しし、マンション価格にも大きな影響を与えます。
しかし再開発は良い影響ばかりではなく、ただでさえも需要の高さからマンション価格が高騰している、特に23区内都心部は再開発により購入難易度が上がる側面もあるでしょう。すでに人気の高いエリアだけでなく、生活拠点エリアのような今後再開発によって「化ける」可能性のあるエリアにも注目してみてはどうでしょうか。




