浜松町の再開発とは?進化する街とマンション市場への影響を徹底解説

浜松町では、長きにわたりシンボルとして親しまれてきた「世界貿易センタービルディング」の建替えを中心に大規模な再開発が進行しています。
大規模タワーマンション「WORLD TOWER RESIDENCE」も入居を開始し、ますます注目の集まるエリアです。

鉄道3駅5路線、バス、タクシーが乗り入れており、羽田空港へのアクセスも良好な浜松町は、再開発により「交通結節点」「国際的な観光拠点」として進化を遂げます。

この記事では、浜松町の再開発の内容とマンション市場の流れについて解説します。

目次

浜松町再開発の概要

浜松町再開発は、主に西口エリアで進められています。隣接する竹芝エリアでも開発が行われており、相互にアクセスできる歩行者空間も整備されます。

出典:JR東日本

浜松町エリアの再開発とは?背景と目的

浜松町エリアは、JR浜松町駅、モノレール浜松町駅、地下鉄大門駅の3駅5路線に加え、バスやタクシーなどが乗り入れる「交通結節点」です。

羽田空港にもアクセスしやすく交通利便性が高い一方で、各交通機関の乗り換えが複雑でわかりにくいという課題を抱えていました。

また浜松町エリアでは、かつて由緒ある大名屋敷や大名庭園、演芸文化の栄える町人町があり、江戸の観光地として賑わいを見せていました。

1970年になると、東洋一の高さを誇る超高層ビルとして「世界貿易センタービルディング」が建設され、最上階の展望台には多くの観光客が訪れるようになります。

現在でも、旧芝離宮恩賜庭園や増上寺、芝大神宮、浜離宮恩賜庭園など観光スポットが点在しています。

このような「交通結節点」「国際的な観光拠点」としての魅力を高めるべく始動したのが浜松町エリアの再開発です。2013年に東京都および港区によって都市計画が決定され、「交通結節機能の強化」「国際交流拠点の形成」「交通結節点における防災機能の強化と環境負荷低減」を目的にプロジェクトがスタートしました。

浜松町再開発の進行状況と主なプロジェクト

浜松町駅の西口エリアでは、約18 万㎡のオフィス、ホテル、商業施設、カンファレンス、医療施設、観光プレ体験施設、住宅、芸術センターなどを整備する再開発が進行しています。

このエリアは、A街区、B街区、C地区の3つに分かれています。

出典:JR東日本

中でも注目を集めているのが、A街区における「世界貿易センタービルディング建替えプロジェクト」です。

出典:JR東日本

「世界貿易センタービルディング」は、1970年に竣工した約152mの超高層ビルです。当時、東洋一の高さを誇り、浜松町駅に直結した総合ビルとしてランドマークとなっていました。

今回の建替えでは本館と南館、さらにその2つを結ぶターミナルに生まれ変わります。地上40階建て、高さ約200mの南館は2021年に先行開業しました。地上46階建て、高さ約235mの本館、およびターミナルは建設中で、2027年から順次開業する予定です。

南館は主にオフィスで構成されていますが、本館にはオフィスに加えて、日本初進出のラグジュアリーホテル「ラッフルズ東京」、多言語対応のメディカルセンターやキッズセンター、観光プレ体験施設が設けられます。

さらに、浜松町駅の北口から歩行者ネットワークが開発中の竹芝エリアでは、「東京ポートシティ竹芝」が2020年に開業しました。

「東京ポートシティ竹芝」はオフィスタワーとレジデンスタワーから成り、約500mのバリアフリー歩行者デッキである「ポートデッキ」により浜松町駅とつながっています。

オフィスタワーは地上40階建て、高さ約208m、レジデンスタワーは地上18階建て、高さ約60mの大規模開発です。

オフィスタワーには店舗や展示室・ホール、スタジオなどの多様な施設が備わっており、リアルタイムデータと最先端のテクノロジーを活用により、新たな国際ビジネス拠点を創出しています。

再開発がもたらす浜松町の街の変化

ビジネスと観光の両立する街へ

出典:JR東日本

浜松町エリアはビジネス層と観光客をどちらも取り込む街へ進化をとげます。

まず「世界貿易センタービルディング」の本館には、東京湾、東京タワー、旧芝離宮恩賜庭園などの景色を望むオフィスが整備されます。

さらにビジネス機能の目玉となるのが、ターミナル6階~7階に入る大規模なMICE施設です。
国際会議に対応した大規模な国際ホールとカンファレンス機能が整備されます。

浜松町は再開発により「ビジネスと観光の両立する街」としての機能が磨かれ、「羽田空港へのアクセス強化」「景観・歩行者空間の整備」が行われます。

観光客の玄関口としてつくられる「観光プレ体験施設」も注目ポイントです。「観光プレ体験施設」は、観光や名産品をテーマにした体験型のコンテンツです。

日本各地の魅力を紹介し、現地への訪問意欲や日本への再訪意欲をかき立てることを目指しています。

本館 36 階~ 46 階には、レストラン、プール、フィットネス施設を備えたホテル「ラッフルズ東京」が日本に初進出します。ターミナル3~5階およびモノレール浜松町駅2,3階に、商業施設「アトレ」も入る予定です。

羽田空港へのアクセス強化

浜松町エリアの再開発ではモノレール浜松町駅も建替えられ、羽田空港へのアクセスがより便利になります。

モノレール浜松町駅から羽田空港は、最も距離のある第2ターミナルへも約20分とアクセス良好です。隣接する大門駅から地下鉄を使っても約30分で到着します。

今回の再開発では、ステーションコアと呼ばれる吹き抜け空間の整備によって、モノレール、JR、地下鉄、バス、タクシーなどをスムーズに乗り換えられるようになるのが大きな魅力です。JR浜松町駅の改札位置も変更され、JRからモノレールにもフラットにアクセス可能となります。

整備前

出典:Impress Watch

整備後

出典:Impress Watch

乗り換えが容易になることで、各地から浜松町で乗り換えて羽田空港へアクセスしやすくなります。羽田空港を利用するビジネス層や観光客にとっての「都心の玄関口」としての役割が一層強くなるでしょう。

景観・歩行者空間の整備

再開発のもう一つのポイントは、景観と歩行者空間の整備です。
ステーションコアは各交通機関の乗り換え利便性を向上させるだけではなく、都心の玄関口として歩行者に憩いを提供する空間となります。古くから浜松町で培われてきたおもてなしの精神が感じられるデザインとなる予定です。

その他、周辺エリアをつなぐ歩行者空間も構築されます。

線路をまたぐ自由通路が整備され、北口は竹芝・汐留方面と芝大門方面、南口は浜松町二丁目エリアと芝浦エリアにつながります。

浜松町駅東側には旧芝離宮庭園に沿って、緑をふんだんにあしらった歩行者専用道路が整備されます。

出典:Impress Watch

庇が設置されるため、雨に濡れることなく通行が可能です。
浜松町駅を中心地として、隣接するエリアに歩いてアクセスしやすい空間が生まれます

浜松町再開発とマンション市場の関係

浜松町エリアのマンション市場を再開発を鑑みながら紐解きます。

マンション価格への影響

マンションナビ

浜松町が属する東京都港区のマンションの平均売買㎡単価は、年々上昇しています。

特に2024年4月から2025年4月の1年間で+29.4%(+49.0万円/㎡)と跳ね上がりました。
これは東京都全体の+13.1%(+11.7万円/㎡)を大きく上回る伸び率です。港区のマンションは市場価値がより高まっていることが伺えます。

再開発による交通利便性の向上や周辺環境の改善など複数の要素が重なり、今後も価格上昇が見込まれます。

浜松町の新築・既存マンションの特徴

以下は、浜松町駅周辺にある中古マンションの売出状況を、築年数および駅からの徒歩距離ごとに整理した表です。

浜松町駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別2024年4月~2025年3月の中古マンション新規売出数

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分000000
~徒歩3分2500095
~徒歩5分91615123528
~徒歩7分812760642
~徒歩10分016301630160
マンションリサーチ調べ

浜松町駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別中古マンション坪単価

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分
~徒歩3分2334万円/坪522万円/坪367万円/坪
~徒歩5分998万円/坪1162万円/坪511万円/坪463万円/坪950万円/坪444万円/坪
~徒歩7分721万円/坪714万円/坪1486万円/坪438万円/坪371万円/坪
~徒歩10分695万円/坪727万円/坪592万円/坪456万円/坪851万円/坪
マンションリサーチ調べ

浜松町駅周辺800m駅徒歩×築年帯別中古マンション単価(60㎡換算)

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分
~徒歩3分4億2369万円9481万円6669万円
~徒歩5分1億8115万円2億1085万円9275万円8407万円1億7236万円8055万円
~徒歩7分1億3079万円1億2956万円26976万円7954万円6740万円
~徒歩10分1億2613万円1億3187万円1億0751万円8271万円1億5438万円
マンションリサーチ調べ

上記のデータから、浜松町駅周辺で築1年以内のマンション新規売出数は限られており、その希少性から価格が高騰していることがわかります。

駅から徒歩5分~10分圏内には築21年以上の古い物件が多いものの、リノベーション需要により市場価値を保っています。築21年以上の物件でも、立地や眺望などの条件次第では1億円を超える価格が付くことも珍しくありません。

投資用としての魅力と将来性

前述したとおり、浜松町は羽田空港へのアクセスが良く東京都心にも出やすいエリアです。
再開発によって交通利便性がさらに高まれば、出張や短期滞在者の賃貸ニーズが高まることが期待できます。

さらに港区の人口推計によると、港区は各地区で人口が増加傾向にあります。
浜松町エリアのある芝地区は、全5地区の中、麻布地区に次いで2番目の増加率です。

年少人口、生産年齢人口、老齢人口とすべての年代で令和18年まで人口が増え続けると見込まれています。
人口が増加し続けることからも、浜松町のマンションは資産価値が向上すると考えられます。

出典:港区

投資用としても魅力的な選択肢といえるでしょう。

浜松町で注目されるエリアとマンション情報

浜松町周辺の再開発で注目されるエリアとおすすめのマンションをご紹介します。

再開発エリアの中心地とその魅力

浜松町エリアの再開発の中心地は、「世界貿易センタービルディング」の建替えをはじめとした浜松町駅西口のプロジェクトです。交通結節点として、国内外のビジネス層や観光客を受け入れる拠点に生まれ変わります。

2020年に「東京ポートシティ竹芝」や「WATERS takeshiba」が開発された竹芝も注目のエリアです。

「WATERS takeshiba」はアトレ竹芝と劇場、ホテルがある複合施設です。

東京湾に面したテラス・広場からは汐留、月島・勝どきエリアの高層ビル群や勝どき橋など、東京ベイエリアの景色を堪能できます。

芝浦エリアも再開発によって注目を集めるエリアです。約10年間におよぶ大規模複合開発「BLUE FRONT SHIBAURA」の竣工が迫っています。約230mのツインタワーで構成され、S棟は2025年に、N棟は2030年に竣工予定です。

有明、豊洲、月島などのベイエリアと東京都心部をつなぐ結節点となることが目指されており、浜松町駅と緑豊かな歩行空間でつながります。

浜松町エリアは再開発によって、各所への交通結節点およびベイエリアとつながる中心地としてさらに魅力的な街となるでしょう。

浜松町エリアのおすすめマンション

浜松町エリアでおすすめのマンションを2つ挙げます。

WORLD TOWER RESIDENCE

まず目玉となるのが「WORLD TOWER RESIDENCE」です。

浜松町西口エリアの再開発のC街区に建てられた地上46階建ての大規模タワーマンションです。

2025年3月から入居を開始し、推定売買価格相場は6億2,550万円〜6億2,950万円と浜松町エリアでも群を抜いて高価格となっています。

その分、浜松町駅直結で徒歩2分と交通利便性に優れています。カフェラウンジ、パーティールーム、バー、フィットネスラウンジ、ゴルフラウンジなど充実した共用施設が魅力のマンションです。

パークコート浜離宮ザ・タワー

「パークコート浜離宮ザ・タワー」は2020年3月に利用開始された地上37階建ての大規模タワーマンションです。

浜松町駅の北側に位置する浜松町一丁目街区に、複合再開発施設としてつくられました。

推定売買価格相場は3億3,760万円~3億4,160万円で、上昇傾向にあります。

エネルギーや防災の面で、集合住宅とオフィスを一体開発するメリットを示した物件と評価され、2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。

敷地内緑化などまちづくりに配慮したデザインと、地域の防災拠点としての機能向上を追及しています。

浜松町再開発に関するよくある質問

最後に、浜松町再開発に関して気になるポイントをまとめます。

浜松町の再開発はいつ完了する予定?

メインである浜松町駅西口エリアの再開発は段階的に進行しており、2029年度に完了する予定です。南館はすでに2021年に開業済みで、本館やターミナルは2027年以降に順次オープンが予定されています。

再開発で浜松町近辺の住みやすさはどう変わる?

これまでもJR、地下鉄、モノレール、バス、タクシーなどが乗り入れる交通利便性の高い街でしたが、それらがさらにシームレスにつながります。さらに、隣接する竹芝・汐留、芝大門、芝浦エリアへ歩いて移動しやすくなります。

浜松町エリアのマンション価格は今後さらに上がる?

2029年に再開発が完了し街の交通利便性と魅力が高まること、人口が増加することから、浜松町エリアのマンション価格は今後も上がることが見込まれます。

まとめ

浜松町では、四半世紀に渡ってランドマークとなっていた「世界貿易センタービルディング」の建替えをはじめとし、主に浜松町駅西口エリアで再開発が進んでいます。

JR浜松町駅、モノレール浜松町駅、地下鉄大門駅の3駅5路線のみならず、バスやタクシーなどが乗り入れる「交通結節点」である浜松町は、再開発を経てよりスムーズに乗り換えができるようになります。

羽田空港へアクセスしやすいという特性を生かし、国際的な観光の玄関口として進化を遂げる構想です。芝浦、竹芝エリアでも開発が進み、浜松町とつながる歩行者空間も整備されます。

浜松町のマンション価格は高騰しており、再開発および人口増加によってさらに上昇するでしょう。

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この記事を書いた人

ライター/ショッピングセンター偏愛家

商業デベロッパー2社での勤務を経て、ライターとして独立。宅地建物取引士試験合格、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。「人生が明るい方向に進むきっかけをつくる」ことを目指して活動している。趣味はショッピングセンター巡りと街歩き。数多くの街を歩いて培った知見と実務経験を生かし、不動産や街に関する記事を執筆している。

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