池袋の再開発とは?西口エリアを中心に街の変化と不動産市場を徹底解説

池袋は東京の副都心として位置づけられる、日本を代表とする繁華街です。

繁華街の中心部にある「池袋駅西口」では大規模な再開発が予定されており「どのような町並みに変化していくのだろう?」と気になる人も多いのではないでしょうか。

三菱地所株式会社と東武鉄道株式会社が共同し、池袋駅西口周辺を再開発する予定となっており、町並みは大きく変貌すると考えられています。

本記事では池袋再開発の概要や開発がもたらす街の変化と魅力、マンション市場に与える影響について解説します。

池袋駅周辺で物件探しを検討している方は、住環境やマンション価格の変化を理解する材料として活用してみてください。

目次

池袋再開発の概要

引用:三菱地所株式会社・東武鉄道株式会社「都市再生特別地区(池袋駅西口地区)都市計画(素案)の概要

池袋再開発は、池袋駅周辺でおこなわれています。

とくに「池袋駅西口地区再開発計画」では再開発面積約33,430平方メートルにいくつもの建築物が建設される注目エリアです。

このような広大な土地で再開発する場合、背景と目的があり、計画を立てたうえで進められます。

ここでは、池袋再開発がどのような背景と目的でおこなわれるのか解説します。

池袋再開発とは?背景と目的

池袋駅は周辺の百貨店を利用する人や、乗り換えだけのために利用する人が多いため、一部の人から「駅袋」といわれているのをご存知でしょうか。

池袋駅から人が流れ、町の活性化につながるよう、池袋再開発では「ウォーカブルなまち・池袋に生まれ変わる『脱・駅袋』の実践」を目的としています。

そして、脱・駅袋を目指すため、池袋駅周辺には以下の4つ要素が必要であるとしています。

4つの要素概要
アート・カルチャー都市機能の集積やアート・カルチャー・スポットを育成する
歩行者空間・ネットワーク東西都市軸を強化して歩行者中心の都市基盤を整備する
みどり四季の彩りで憩える空間を形成する
防災・環境防災性の向上と環境へ配慮して安全・安心なまちづくりを推進する

4つの要素を取り入れれば駅袋の解消以外にも、西口と東口との人の流れが円滑となり、東西エリアの活性化につながります。

また、アート・カルチャー施設の建築により、豊島区が目指す「世界中から人を惹きつける国際アート・カルチャー都市のメインステージ」としても機能を果たすようになると考えられています。

参考:三菱地所株式会社・東武鉄道株式会社「都市再生特別地区(池袋駅西口地区)都市計画(素案)の概要

再開発の進捗状況と主な計画

池袋再開発はすでに実施されており、以下のように多くの施設が完成しています。

施設名整備完了年度
Hareza池袋2020年度
西武鉄道池袋ビル2019年度
西口公園再整備2019年度
中池袋公園再整備2019年度
池袋駅ホームドア整備2019年度

このように池袋駅周辺では、いくつもの再開発がおこなわれてきました。

そして、2027年度からは「池袋駅西口地区再開発計画」として、大規模な再開発がおこなわれる予定です。

引用:三菱地所株式会社・東武鉄道株式会社「都市再生特別地区(池袋駅西口地区)都市計画(素案)の概要

池袋駅西口地区再開発計画の概要は、以下のとおりです。

A街区B街区C街区D街区
約6,010㎡約20,570㎡約6,850㎡
約139,900㎡約301,200㎡約141,600㎡
事務所/商業/情報発信施設/駐車場等事務所/商業/宿泊施設/駅施設/駐車場等事務所/商業/宿泊施/人材育成支援施設/住宅/駐車場等公園
地上41階、地下4階地上50階、地下5階地上33階、地下6階

池袋駅西口地区再開発計画の再開発は、A〜D街区の4つのエリアに分けられています。

建築される建物はすべて30階以上の高層建築物であり、オフィスやホテル、ショッピング施設ができる予定です。

今からどのような町になるのか楽しみですね。

参考:豊島区「池袋駅周辺地域整備の進捗状況」・三菱地所株式会社・東武鉄道株式会社「都市再生特別地区(池袋駅西口地区)都市計画(素案)の概要

池袋再開発がもたらす街の変化と魅力

池袋再開発が進むと周辺エリアの環境が変化し、より魅力的な町になるのではないかと期待されています。

とくに西口エリアの再開発は、周辺エリアに大きな影響を与えると考えられています。

ここからは、西口エリアの再開発による景観・機能の変化、住環境・治安・利便性の改善など、町の移り変わりについて解説します。

西口エリアの再開発による景観・機能の変化

引用:三菱地所株式会社・東武鉄道株式会社「都市再生特別地区(池袋駅西口地区)都市計画(素案)の概要

西口エリアの再開発ではさまざまな施設が整備され、景観や都市機能に変化が出ると考えられます。

池袋駅西口エリアでは「みずき通り」沿いに「交通広場」が整備されます。

バスやタクシー乗降場を集約化して、交通機関の分散化が問題となっている池袋駅西口の利便性を高めてくれるはずです。

そして、交通広場の南側の「アゼリア通り」は歩行広場として活用されます。

高層建築物の建設により行き交う人が増える可能性も高く、憩いの場として機能するのではないかと期待されています。

B街区とC街区の高層建築物の間には「大屋根広場」が整備され、景観が一変するだけでなく、徒歩での回遊性を高める役割を果たすはずです。

このように空間をうまく活用し、池袋駅西口エリアは景観から変わっていくと予測されます。

住環境・治安・利便性の改善

池袋駅周辺は商業施設が多く建ち並び、昼夜問わず人の流れが活発なエリアです。

そのため、犯罪が発生する頻度も高く、以下のように豊島区内の発生件数の上位をすべて池袋駅周辺が占めています。

順位地名犯罪発生件数
1位南池袋1丁目506
2位西池袋1丁目433
3位東池袋1丁目362
4位池袋2丁目224
5位東池袋3丁目120

現状は犯罪発生件数が多いものの、再開発により、治安の改善や住環境の向上が期待されています。

再開発によって治安の改善、住環境の向上が期待される理由は以下のとおりです。

  • 見通しのよい広場の設置
  • 老朽化した建物の撤去
  • 居住者層の変化
  • 防犯設備の設置

再開発では商業施設やオフィスが建築されるため、より多くの人が流入します。しかし、治安への対策が実施されれば、今までよりも利便性が高まるうえに、安心してショッピングが楽しめる地域となるでしょう。

参考:警察庁「区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数

若者・外国人にも魅力的な街へ

引用:三菱地所株式会社・東武鉄道株式会社「都市再生特別地区(池袋駅西口地区)都市計画(素案)の概要

池袋駅の東口方面にある「サンシャインシティ」の向かい側には「乙女ロード」という、アニメ関連ショップが建ち並ぶエリアもあります。

アニメ関連ショップには、連日、若者が多く集まり、年々その数を増やしています。

近年は海外からの観光客の数も増加しており、池袋のアニメ文化が世界に認識され始めているといえるでしょう。

池袋西口エリアの再開発もアニメ文化の発展に寄与すると考えられており、今後もより多くの若者、海外観光客を呼ぶと予測されています。

もちろん、海外観光客を呼ぶために必要なインバウンド対応施設も建設予定です。

西口エリアの高層建築物には、グローバルブランドホテルやライフスタイルホテルが建設されます。

宿泊者が滞在できる施設が増えれば、観光客の増加にも対応できる町となるでしょう。

そして「アート・カルチャー情報発信施設」や「アート・カルチャー育成支援施設」が整備され、池袋に根差した文化がより発展すると期待されています。

池袋が「国際アート・カルチャー都市」としてどのような発展を遂げるのか、今から楽しみですね。

池袋再開発とマンション市場の関係

池袋再開発の進捗は町並みの変化だけでなく、マンション市場にも大きな影響を与えると予測されています。

住環境の向上や利便性の改善が図られると、不動産の需要が高くなり、価格の上昇につながります。

西口エリアのマンション市場は上昇すると考えられているため、池袋駅周辺でマンション探ししている人にも影響を与えるかもしれません。

ここからは、西口エリアのマンション価格動向や新築 vs 既存マンションの選び方、投資用マンションとしての将来性について解説します。

西口エリアのマンション価格動向

現在の西口エリアのマンションの築年数・駅までの距離、価格の関係性は以下のとおりです。

池袋駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別2024年4月~2025年3月の中古マンション新規売出数(マンションリサーチ調べ)

~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分000000
~徒歩3分0000417
~徒歩5分008262871
~徒歩7分18941157126
~徒歩10分011274643249

池袋駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別中古マンション坪単価(マンションリサーチ調べ)

築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分
~徒歩3分419万円/坪393万円/坪
~徒歩5分472万円/坪549万円/坪531万円/坪352万円/坪
~徒歩7分779万円/坪831万円/坪710万円/坪432万円/坪412万円/坪319万円/坪
~徒歩10分562万円/坪734万円/坪517万円/坪602万円/坪311万円/坪

池袋駅周辺800m駅徒歩×築年帯別中古マンション単価(60㎡換算)(マンションリサーチ調べ)

~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分
~徒歩3分7,598万円7,125万円
~徒歩5分8,561万円9,960万円9,634万円6,388万円
~徒歩7分14,133万円15,091万円12,881万円7,841万円7,483万円5,796万円
~徒歩10分10,197万円13,331万円9,389万円10,922万円5,641万円

東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」によると、東京23区の中古マンションの平均成約坪単価は約381.72万円でした。

池袋駅西口エリアのマンション坪単価は、東京23区平均よりも高いことがわかります。

西口エリアの再開発が完了すると住環境や利便性が向上すると考えられており、池袋駅周辺に住みたいと考える人も増加するでしょう。

需要が高くなればマンション価格も上昇するため、中古・新築を問わず、今後はよりいっそう値段が上がると予測されます。

新築 vs 既存マンションの選び方

新築か既存マンションかどちらを選択すればよいのか迷ったときは、検討しているマンションの立地に着目しましょう。

池袋駅周辺は西口エリアと東口エリア、南池袋と分かれており、それぞれに特色があります。

特色に応じて住みやすさや利便性、将来性が異なります。

各エリアの特色とおすすめの人の特徴は、以下のとおりです。

エリアエリアの特色とおすすめの人の特徴
西口エリア・再開発で町並みが大きく変化するエリア
・将来性や資産性を重視する人におすすめ
東口エリア・大型ショッピングセンターが建ち並ぶエリア
・休日もアクティブにすごしたい人におすすめ
南池袋・南に下ると閑静な住宅街が広がる
・利便性の高さと住環境のよさを両立したい人

もちろん、エリア内でも特色が異なる場所もあるため、気になっている物件があれば、周辺を散策して確認してみましょう。実際に物件周辺を歩くことで、道路の横断が危険な場所や外灯がない箇所などを発見できる可能性があります。

エリアごとの特徴は目安として捉え、物件周辺の特性をきちんと確認しておくことがマンション探しのポイントです。

投資用マンションとしての将来性

池袋駅周辺は乗り入れ路線が多く通勤に便利なうえに、ショッピング施設も充実していることから賃貸需要の高いエリアです。

西口エリアの再開発が終わると、池袋駅の利用者がよりいっそう多くなり、賃貸需要が高まると予測されます。

このことから、池袋駅周辺の投資用マンションの将来性は高いといえるでしょう。

また、西口エリアの再開発は「国際アート・カルチャー都市」を目指したものであり、海外の投資家の注目を集めるはずです。

国内外の投資家が西口エリアに投資すれば、投資用マンションの価値が上昇すると考えられます。

池袋で注目されるエリアとおすすめ物件

再開発が進む西口エリアだけでなく、落ち着いた住宅街として人気の東口エリア・南池袋も注目されています。

ここからは、西口エリアと東口エリア・南池袋がなぜ注目されているのか解説します。

また、池袋駅周辺のおすすめマンションも紹介しますので、物件探しにお役立てください。

再開発が進行する西口エリア

池袋でもっとも注目されているのは、再開発が進行する「西口エリア」です。

西口エリアでは、地上50階・地下5階の建物をはじめ、3棟もの高層建築物が完成する予定です。

各建物には事務所や商業施設、ホテルのほかにも住宅が整備されます。

そして、再開発のコンセプトである「アート・カルチャー施設」も整備され、子ども向けの教育プログラム、アーティスト等の練習・交流、アート・カルチャー人材育成などさまざまな場となることが期待されています。

また、建物以外にも交通利便性の改善、歩行者の回遊性の向上を目的として工事が進められる予定です。

現状、西口エリアのタクシー乗り場が分散していたり、アゼリア通りで歩行者の回遊性が分断されたりしています。

これらの問題を解決するために交通広場を設け、アゼリア通りの一部が歩行者専用道路として生まれ変わります。

人気の東口・南池袋エリアもチェック

池袋駅東口エリアはアニメ文化発信の地、充実したショッピング施設の数など、多くの人で賑わう人気エリアです。

また、南池袋の南方は落ち着いた住宅街として多くの人が居住しています。

どちらの地域も人気エリアですが、西口再開発が終わるとより人の流れが多くなると期待されています。

西口エリアでは高層建築物内に住宅が整備されるため、東口エリアでショッピングを楽しむ人も増加するでしょう。

また、事務所や商業施設が完成すると雇用機会の増大につながり、南池袋に居住したいと考える人も増えるはずです。

東口エリアや南池袋はすでに人気のあるエリアですが、西口エリアの再開発の影響を受け、より人気が高まるのではないでしょうか。

池袋エリアのおすすめマンション

池袋駅周辺には多くのマンションが建築されており、それぞれに特徴があります。

池袋エリアのおすすめマンションは、以下のとおりです。

マンション名価格池袋駅からの距離築年数
ザ・タワー・グランディア21,010万円〜21,410万円徒歩6分2004年3月
グランドミレーニア14,180万円〜14,580万円徒歩6分2015年3月
ブリリアタワー池袋27,430万円〜27,830万円徒歩6分2015年2月
ブリリアガーデン池袋14,500万円〜14,900万円徒歩9分2005年10月
池袋パークタワー13,000万円〜13,400万円徒歩9分1999年12月
※2025年5月17日現在

池袋エリアには比較的新しいマンションが多く、駅から10分以内の物件もみられます。

マンションは駅から近く、新しいほど資産性が高くなります。

西口エリアの再開発にともない、より資産性が向上することを考えれば、資産として保有しておくという考えもよいでしょう。

池袋再開発に関するよくある質問

池袋の西口再開発はいつ完了する予定?

池袋の西口再開発は、2043年度の予定です。

ただし、2043年度はすべての工事の完了予定年月日です。C街区は2034年度、B街区は2040年度に完成する予定であるため、順次まちびらきがおこなわれていくと考えればよいでしょう。

そのほかにも、駅前広場と周辺道路等の整備は2041年度、都市計画駐車場の整備は2040年度、池袋西口公園の再整備と周辺道路等の整備は2034年度に完了する予定です。

再開発で池袋の雰囲気や住みやすさはどう変わる?

再開発で池袋の雰囲気や住みやすさはよくなると考えられています。

池袋駅は「駅袋」といわれるように、乗り換えだけで利用する人が多くいます。駅周辺に魅力ある施設が増えることで、駅の外に出る人が増加してよりいっそう賑わって雰囲気がよくなるでしょう。

また、池袋駅周辺は豊島区内でも治安の悪い地域とされていますが、町並みの変化によって改善が期待されています。防犯設備の増加、見通しのよい広場の整備などにより、治安が改善されれば住環境の向上が見込めます。

池袋のマンション価格は今後どうなる?

池袋のマンション価格は、今後上昇すると考えられています。

池袋駅西口エリアの再開発は、現在の池袋駅が抱える問題の解決や国際都市に必要な施設の整備を目的に進められています。

再開発が終われば交通利便性の向上や治安の改善が期待でき、インバウンドによって地域がより活性化することでしょう。住みやすくなり、世界的に注目されたりすれば、居住用・投資用物件の需要が高くなり、マンション価格上昇につながります。

池袋 再開発 まとめ

池袋駅周辺では再開発が進むにつれて徐々に町並みが変化しているものの、2027年度から始まる「池袋駅西口地区再開発計画」によって周辺環境が一気に変わることでしょう。

大規模高層建築物の建設により、オフィスやホテル、商業施設が入居し、環境が一変することで不動産需要が高まると考えられます。

現状でもマンション価格は東京都の平均よりも高く、今後はよりいっそう上昇していくと考えておくべきでしょう。

池袋駅周辺でマンション探しするのであれば、価格の上昇が起きていないか常にチェックし、できる限り早く行動を起こすことが大切です。

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この記事を書いた人

保有資格:宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター
大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などを行う。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。

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