板橋の再開発とは?注目エリアとマンション市場への影響を徹底解説

板橋駅周辺は下町情緒あふれる地域が残っており、暮らしやすいと人気があるエリアです。

古きよき町ともいえる板橋ですが、駅前では再開発の計画が進行中であり「新旧が混在するエリアはどう発展するのか?」と気になる人も多いのではないでしょうか。

板橋再開発は2ヵ所でおこなわれ、2つの大規模高層建築物と1つの中規模建築物が建設される予定です。

本記事では板橋再開発の概要や開発がもたらす街の変化、マンション市場に与える影響について解説します。

板橋駅周辺で物件探しを検討している方は、マンション価格の変化を理解する材料として活用してみてください。

目次

板橋再開発の概要

板橋再開発は板橋駅「西口エリア」と「板橋口エリア」の2ヵ所でおこなわれます。

2つの再開発エリアの合計開発面積は10,000平方メートル弱の広い土地に、3つの建築物が完成する予定です。

この3つの建物は再開発の背景と目的をもとにした計画によって建築されます。

それでは、まず板橋駅の再開発がどのような背景と目的で行われるのかみていきましょう。

板橋エリアで進む再開発の背景と目的

板橋再開発は、以下の3つの目的をもって進められています。

  • 板橋区の玄関口にふさわしい複合市街地の形成
  • 周辺市街地との連携を高める歩行者ネットワークの構築
  • 駅前広場の機能強化に資する空間整備

このような目的が設定された背景には、板橋駅やその周辺の建物や設備の老朽化、交通利便性の低さや防災面での不安の解消があります。

また、板橋は旧中山道の宿場町として栄えた歴史がある街です。

西口エリアの再開発の北に接する道は旧中山道であり、中山道の歴史を伝えるサインが整備されます。

新旧を大切にしながら進められるのも、板橋再開発の魅力といえるでしょう。


参考:東京都都市整備局「板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業の施行を認可します

再開発の進行状況と今後の予定

板橋再開発では板橋駅西口エリアと板橋口エリア以外にも「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業」や「大山町クロスポイント再開発」などもおこなわれています。

主な再開発の進行状況と今後の予定は、以下のとおりです。

再開発名称開始完了概要
板橋駅前地区市街地再開発西口エリア2025年度2029年度地上37階と6階建ての建物の建築が予定されている
板橋口エリア2019年2027年地上34階の建物の建築が予定されている
上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業2004年未定交通広場の新設や4棟の建築物の建築が予定されている
大山町クロスポイント再開発2014年2024年4棟の建築物の建設や道路の整備を実施

板橋駅前の再開発以外にも、板橋区全体が抱える問題を解消するために必要な開発が進行しています。

板橋区では駅前の老朽化した町並みや、過去に敷設された交通利便性の低い道路などが問題になっています。

これらの問題を解決するために、板橋区各地で再開発が進められているわけです。

板橋再開発がもたらす街の変化

板橋区各地で実施されている板橋再開発が完了すれば、さまざまな変化が起こると予測されています。

とくに板橋駅西口エリアと板橋口エリアの再開発が終わると、町並みや住環境に大きな影響が出ることでしょう。

ここからは、板橋駅でおこなわれる再開発の影響について解説します。

生活利便性の向上と商業施設の拡充

引用:板橋区「板橋駅西口周辺地区のまちづくりの状況について

板橋駅の西口エリアと板橋口エリアでは、以下のような高層建築物が建設され、多くのテナントが入居する予定です。

計画名板橋駅西口地区第一種市街地再開発事業板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業
A街区B街区
用途住宅/店舗/事務所/公益施設店舗/事務所住宅/商業施設/公益施設/子育て支援施設
敷地面積3,275平方メートル540平方メートル3,860平方メートル
延床面積44,030平方メートル1,495平方メートル51,190平方メートル
階数地上37階/地下2階地上6階地上34階/地下3階

板橋駅前の再開発だけでも商業施設や公益施設、子育て支援施設などが整備されます。

板橋口エリアの建物の地下1階〜3階は「アトレ」の入居が決定しており、生活に必要なものが駅前で揃うようになります。また、子育て施設の入居も予定しており、仕事があって忙しい人でも子どもの送迎時間の短縮が可能です。

駅周辺の交通インフラの改善

引用:板橋区「板橋駅西口周辺地区のまちづくりの状況について

板橋駅周辺の再開発では、建物の建設以外にも駅前広場の整備や歩行者空間の拡充、自転車通行ネットワークの改善などがおこなわれます。

板橋駅の西口にある「駅前広場」は設置から約50年経過しており、核施設の老朽化が問題になっています。西口エリアと板橋口エリアの開発を機に、板橋駅の玄関口としてふさわしい駅前広場に再整備される予定です。

駅前広場の整備と同時に、歩行者空間の拡充や自転車通行ネットワークの改善もおこなわれます。

ただし、2025〜2027年にかけて基本構想がまとまる予定であり、どのような工事がおこなわれるか詳細は未定です。

参考:板橋区「板橋駅西口周辺地区のまちづくりの状況について

板橋らしい下町情緒と都市機能の共存

引用:板橋区「板橋口地区公益エリア整備計画検討状況について

板橋駅周辺には商店街文化が根付いており、再開発で新たに完成する都市機能との共存が不可欠です。

板橋駅周辺の再開発を実施するにあたっては周辺の店舗との打ち合わせを重ね、地域コミュニティと共存できるよう進められています。

たとえば、魅力的な商店やサービスと「駅前広場」や「公益施設」でのオープンイベントとの連携などにより地域活性化を目指しています。

そして、イベントでは板橋区全体を象徴するエリアネーミングを設定し、地域全体の統一感とブランド力を高め、地域と再開発地域との連帯感の強化が図られる予定です。

板橋再開発とマンション市場の関係

板橋駅の再開発により町並みは変化し、住環境や交通利便性の向上につながると予測されています。

住環境や交通利便性が高くなると、その地域に住みたいと考える人も増加し、マンション市場の高騰につながります。

板橋区でマンション購入を検討されている人は、現状のマンション市場や再開発エリア内外のマンションの選び方、投資用マンションとしての板橋の可能性などを理解しておきましょう。

マンションに関連する情報を得ておけば、物件探しに役立つはずです。

板橋駅周辺のマンション価格の推移

現在の板橋駅周辺のマンションの築年数・駅までの距離、価格の関係性は以下のとおりです。

板橋駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別2024年4月~2025年3月の中古マンション新規売出数(マンションリサーチ調べ)

~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分000003
~徒歩3分00917733
~徒歩5分0310143084
~徒歩7分00351360
~徒歩10分04202327126

板橋駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別中古マンション坪単価(マンションリサーチ調べ)

~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分356万円/坪
~徒歩3分457万円/坪502万円/坪334万円/坪397万円/坪
~徒歩5分392万円/坪356万円/坪370万円/坪346万円/坪291万円/坪
~徒歩7分388万円/坪380万円/坪311万円/坪224万円/坪
~徒歩10分440万円/坪377万円/坪381万円/坪347万円/坪259万円/坪

板橋駅周辺800m駅徒歩×築年帯別中古マンション単価(60㎡換算)(マンションリサーチ調べ)

~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分6,468万円
~徒歩3分8,291万円9,103万円6,071万円7,198万円
~徒歩5分7,110万円6,462万円6,714万円6,287万円5,288万円
~徒歩7分7,035万円6,891万円5,637万円4,057万円
~徒歩10分7,980万円6,834万円6,921万円6,301万円4,709万円

東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」によると、東京23区の中古マンションの平均成約坪単価は約381.72万円でした。

板橋区の中古マンション坪単価は、東京23区の平均成約坪単価よりやや高いものの、千代田区・港区・中央区の都心3区ほどの値段ではありません。

しかし、板橋区各地でおこなわれている再開発が終わりに近づくと、住環境や交通利便性の向上により、マンション市場が高まる可能性もあります。

板橋区にあるマンションの購入を検討する際には、市場の動向を常にチェックしておきましょう。

再開発エリア内外のマンションの選び方

再開発エリア内で物件を探す場合も、外で探す場合も新築・築浅・中古の違いを理解してから進めることが大切です。

新築・築浅・中古の違いは、以下のとおりです。

種別特徴
新築・3つの種別のなかでもっとも価格が高い
・最新の設備が整っている
・誰も住んだことのない部屋に入居できる
・長期間の建物保証が受けられる
築浅・築10年程度であり新築よりも1~2割ほど安く購入できる
・設備は新築に近い性能がある
・コミュニティが形成されており入居者の質を確認できる
中古・築年数が経過するほど安く購入できる
・設備は古いがリフォーム
・リノベーションで最新のものに変えられる
・開発できる土地が多かった時期に建築されており利便性が高い地域に建っている傾向にある

それぞれに特徴があるため、自分に適した種別を選択できるよう知識を得ておきましょう。

なお、再開発の完了前と後ではマンション探しの戦略が変わる点には注意しなければなりません。

再開発後は、不動産の需要の高まりから競合が激化するおそれもあります。気に入った物件があっても、すぐに成約する確率が高くなるため、即決するための準備が欠かせません。

板橋周辺にはどのようなマンションがあり、自分に適した物件はないかあらかじめ調べておくとよいでしょう。

そして、再開発エリアに住宅が整備されるのか、いつ完成するのかを知っておくことも重要です。

すぐに物件購入の決断ができるようにすることこそが、再開発エリア周辺で物件と購入するポイントです。

投資用マンションとしての板橋の可能性

板橋エリアの再開発が完了すると、商業施設やオフィスが整備され、近隣の住宅需要が高まると予測されています。

住宅需要が高まると賃貸需要も伸び、投資用マンションの取り引きも活発になります。

また、板橋駅は「池袋駅」まで約4分で到着し「新宿駅」「渋谷駅」も15分圏内で乗り換えなしという交通アクセスに優れた立地です。

そのため、東京都心部へ通勤する人にとっても居住に適した立地といえます。

しかも、都心部よりもマンション価格が安い傾向にあり、高い利回りが期待できるでしょう。

再開発で注目の板橋エリアとおすすめ物件

板橋区でおこなわれている再開発のなかでとくに注目されているのは、板橋駅西口エリアと板橋口エリア、大山エリアです。

各地でおこなわれている再開発の内容や、板橋エリアでおすすめの物件を紹介しますので、物件探しの参考にしてみてください。

板橋駅前・大山エリアの再開発注目スポット

引用:大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発組合「大山町クロスポイントの再開発とは

注目されているのは板橋駅「西口エリア」「板橋口エリア」と、大山エリアの「大山町クロスポイント」の再開発です。

板橋駅の西口エリアと板橋口エリアでは、高層建築物が建設されて数多くのオフィスや住戸が整備される予定です。

商業施設や子育て支援施設なども完成するため、住環境の向上も期待されています。

また、大山町クロスポイントの再開発は「ハッピーロード大山商店街」の活性化や都心部へのアクセスがよい住宅地の供給を目的に施工されました。

ハッピーロード大山商店街の利用者の休憩所として憩いの場を整備したり、専用駐車場・駐輪場を整備して利用しやすい環境を提供したりとさまざまな施策を実施しています。

そして、345戸にも及ぶファミリー向け住宅も整備されました。

地域の人口が増えれば、住まいの近くで金銭を消費しやすくなるため、地域活性化につながると期待されています。

板橋エリアで注目されるマンション

板橋エリアではいくつものマンションが建築されており、それぞれに特徴があります。

板橋エリアのおすすめマンションは、以下のとおりです。

マンション名価格板橋駅からの距離築年数
セレナハイム上池袋9,850万円徒歩3分1998年2月
ライオンズステーションプラザ板橋・滝野川8,880万円徒歩3分1998年3月
パレステージ板橋6,480万円徒歩4分2011年2月
シスナブ池袋本町8,680万円〜8,980万円徒歩6分1997年3月
モアクレスト上池袋3,980万円〜6,950万円徒歩7分1996年3月

※2025年5月17日現在

板橋駅徒歩圏内のマンションはやや築年数が経過しており、直近で分譲される新築マンションの数は「ルジェンテ板橋」「オープンレジデンシア 板橋グランデ」などがあるものの決して多くありません。

新しいマンションを希望するなら、早めに物件探しを始めたほうがよいといえるでしょう。

「大山駅」や「上板橋駅」では新築マンションの分譲がおこなわれる予定もあるため、新築を希望する場合は地域を広げて探すとよいかもしれません。

また、既存マンションだとしても、板橋駅徒歩圏内のマンションは多いとはいえず、早めに検討して購入するか判断する必要があります。

再開発が完了し、競合が激しくなってから購入を検討すると、ほかの人に先を越されるというケースも増加するおそれがあります。

板橋再開発に関するよくある質問

板橋の再開発はいつ終わる予定?

板橋駅西口エリアは2029年度、板橋口エリアは2027年に終了する予定です。

板橋駅の再開発以外にも、上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業や大山まちづくり総合計画がおこなわれています。

ただし、これらの計画が完了するには多くの手続きや工事が必要であり、完了予定日が定まっていません。

また、旧板橋区保健所跡地の整備構想がまとめられており、今後も再開発地区が増えると予測されています。そのため、板橋の再開発がいつ終わるかはわからないといえるでしょう。

板橋エリアのマンション価格は今後どうなる?

板橋エリアのマンション価格は、今後上昇すると考えられています。

板橋区では、板橋駅再開発を中心に各地でおこなわれます。

区の中心部から町並みが変化し、住環境の向上や交通利便性の改善が区全体に波及していくことでしょう。

住環境の向上や利便性の改善は、買い手の増加をうながしてマンション市場の高騰につながります。

再開発によって板橋エリアの住みやすさはどう変わる?

再開発によって、板橋エリアの住みやすさは向上すると予測されています。

板橋駅西口エリアと板橋口エリアの再開発では、高層建築物が建てられて商業施設やオフィスなどが整備される予定です。商業施設が駅前に整備されれば帰宅後の買い物も楽になったり、オフィスができれば雇用機会が増大して近所に働く場所が増えたりします。

買い物するにも便利、働く場所も増えれば、住みやすい町になることでしょう。

「板橋 再開発」まとめ

板橋再開発は、板橋駅の再開発を中心にいくつもの地区でおこなわれています。

板橋区は歴史ある地区として下町の雰囲気が残る行政区です。

しかし、昔ながらの町であることにはメリットもあれば、老朽化した建物が増えると治安や防災面に悪影響を及ぼし、整備されていない細い道路は交通利便性の低下などを招いてしまいます。

板橋区ではこれらの問題を解消しようと、いくつものエリアで再開発を計画しています。

再開発により問題が解決すれば、よりよい町へと変貌を遂げるでしょう。

住みよい町になれば、マンション市場は今よりも高くなると予測されています。

もし板橋エリアで物件探しするなら、板橋再開発の進捗と不動産価格上昇をチェックしつつ進めましょう。

価格が高騰する前に購入できれば、余裕ある生活が手に入るはずです。

すみかうるの記事をシェアする

この記事を書いた人

保有資格:宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター
大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などを行う。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。

目次