【2023年3月】住宅ローン金利は金融機関によって対応が異なる結果に!フラット35は引き続き上昇

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2023年3月の住宅ローン金利は、変動金利に大きな変化は見られませんでした
一方、固定金利は、金融機関ごとに対応が異なります

2023年4月には、新しい日銀総裁が就任する予定です。新体制への移行により、金融政策の方針が見直されて、住宅ローン金利に影響が生じると考える人は少なくありません。

本記事では、2023年3月における金利タイプごとの最安金利と、日銀総裁の交代による住宅ローン金利への影響を解説します。

目次

2023年3月の住宅ローン金利

まずは、固定金利の指標となっている10年国債の金利の推移をみていきましょう。

※財務省「国債金利情報」をもとに筆者作成

2022年12月に開催された金融政策決定会合で、日銀は長期金利の変動幅を±0.25%から±0.5%に拡大することを決めました。

10年国債の金利が0.5%を超えそうなとき、日銀は指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」をして、金利上昇を抑えようとします。日銀が10年国債の金利を操作する政策のことを「イールドカーブ・コントロール(YCC)」といいます。

2023年3月における10年国債の金利は、日銀が許容する幅の上限である0.5%をわずかに超える値で推移しました。

では、各金融機関は2023年3月の住宅ローン金利をどのように設定したのでしょうか。前月までと同様に、金利上乗せなしで加入できる団信の保障内容とあわせてご紹介します。団信の保障内容は、以下の通りです。

  • 一般:死亡または所定の高度障害状態の場合に住宅ローン残高を保障する団信
  • がん50%保障:所定のがんと診断されると住宅ローンの残高が半分になる団信
  • 全疾病保障:病気やけがで働けない状態が一定期間続いたとき
    ※金融機関によって保障内容は異なります。

変動金利

2023年3月における各金融機関の変動金利は、以下の通りです。

スクロールできます
適用金利金利上乗せなしの団信
三菱UFJ銀行年0.475%(±0%)一般のみ
三井住友銀行年0.475%(±0%)一般のみ
みずほ銀行年0.375%(±0%)一般のみ
りそな銀行年0.47%(±0%)一般のみ
SBI新生銀行年0.32%(±0%)一般または一般+介護保障
PayPay銀行年0.349%(±0%)一般+がん診断一時金+先進医療給付金または一般+がん50%保障
auじぶん銀行年0.389%(±0%)一般+がん50%保障
住信SBIネット銀行年0.44%(±0%)一般+全疾病保障
ソニー銀行年0.397%(±0%)一般+がん50%保障
楽天銀行年0.55%(+0.011%)一般+がん50%保障+全疾病保障
イオン銀行年0.38%(±0%)一般+全疾病保障

※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
※イオン銀行は借入額が物件価格の80%以内である場合
※SBI新生銀行は変動フォーカスを選択した場合

楽天銀行がわずかに引き上げたものの、その他の金融機関に変化はありませんでした。

もっとも金利が低いのは、SBI新生銀行の年0.32%です。SBI新生銀行は、前月と前々月に引き続き、3か月連続でもっとも金利が低い金融機関となりました。
また、SBI新生銀行に続いて低金利である金融機関はPayPay銀行(年0.349%)であり、みずほ銀行(年0.375%)それに続く点も、先月と同様です。

auじぶん銀行は変動金利を0.389%としていますが、住宅ローンとあわせて「au回線」と「じぶんでんき」をセットで契約すると、借入金利が年0.289%に引き下げられます。

一方の借り換えについては、先月まで年0.33%に設定していたPayPay銀行が、今月から新規借り入れと同じ年0.349%に引き上げました。

そのため、借り換えの金利は三菱UFJ銀行の年0.345%がもっとも低い値となっています。

固定期間選択型

続いて、2023年3月の固定期間選択型(10年固定金利)をみていきましょう。各金融機関の最安金利は、以下の通りです。

適用金利金利上乗せなしの団信
三菱UFJ銀行年1.08%(-0.07%)一般のみ
三井住友銀行年1.19%(+0.05%)一般のみ
みずほ銀行年1.45%(+0.05%)一般のみ
りそな銀行年1.225%(+0.04%)一般のみ
SBI新生銀行年1.05%(±0%)一般または介護保障付団信
PayPay銀行年1.21%(+0.02%)一般+がん診断一時金+先進医療給付金または一般+がん50%保障
auじぶん銀行年1.185%(-0.07%)一般+がん50%保障
住信SBIネット銀行年1.66%(±0%)一般+全疾病保障
ソニー銀行年1.088%(-0.075%)一般+がん50%保障
楽天銀行年1.714%(-0.013%)一般+がん50%保障+全疾病保障
イオン銀行年1.44%(±0%)一般+全疾病保障

※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利

本記事に掲載している金融機関のうち、5行は前月から引き上げているのに対し、3行は前月から引き下げてきました。

もっとも金利が低いのは、前月と前々月に引き続きSBI新生銀行の年1.05%です。SBI新生銀行は、変動金利も最低値となっており、金融機関同士の金利引き下げ競争に積極的であるといえます。

次いで金利が低いのは、三菱UFJ銀行の年1.08%です。三菱UFJ銀行は、先月に固定期間選択型の適用金利を年0.1%引き上げましたが、今月は年0.07%引き下げています。

三菱UFJ銀行の次に低金利であるのは、ソニー銀行の年1.088%でした。
ただし、適用金利が年1.088%となるのは、10%以上の自己資金を準備して住宅ローンを借り入れたときです。自己資金10%未満の場合は、年1.138%となります。

全期間固定金利(フラット35・固定金利35年)

2023年3月のフラット35(買取型)の最低金利は年1.96%となり、先月の年1.88%からさらに年0.08%引き上げられました。※融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利

2021年10月から2023年3月までの推移は、以下の通りです。

【フラット35】借入金利の推移をもとに筆者作成
※上記は「買取型・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付き」の金利

2022年12月に長期金利の変動幅が±0.5%に見直された影響により、2023年3月のフラット35の金利は前月から年0.2%も引き上げられました。

今月も引き続き金利が引き上げられたことで、融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利は、2%にせまる値となっています。

一方の大手都市銀行が独自に取り扱う35年固定金利は、固定期間選択型と同様に各行の対応が異なる結果となりました。

  • 三菱UFJ銀行:年1.79%(-0.09%)
  • 三井住友銀行:年2.49%(±0%)
  • みずほ銀行:年1.69%(+0.02%)
  • りそな銀行:年1.465%(+0.02%)

みずほ銀行とりそな銀行は、35年固定金利を前月から年0.02%引き上げました。一方で三菱UFJ銀行は、先月から年0.09%引き下げています。

三井住友銀行は、前月に引き続き据え置きとなりました。

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2023年4月に日銀総裁が交代!住宅ローン金利への影響とは

現日銀総裁の黒田東彦氏は2023年4月8日で任期満了となります。翌日の4月9日には、経済学者の植田和男氏が新しく日銀総裁に就任する予定です。

日銀は、2023年3月現在も大規模な金融緩和政策を継続中であり、その影響により住宅ローン金利も歴史的な低水準で推移しています。

日銀総裁の交代によって、金融緩和政策や住宅ローン金利に変化はあるのでしょうか?

新日銀総裁は経済学者の「植田和男氏」が就任予定

次期日銀総裁に就任する予定である植田氏は、マクロ経済学や金融論を専門とする経済学者です。

母校である東京大学の教鞭を執った経験があるだけでなく、1998〜2005年には日銀の審査員も務めており、ゼロ金利政策や量的金融緩和政策の導入に携わりました。

2000年にゼロ金利政策の解除に反対したことがあるため、どちらかといえば金融緩和に前向きであるといわれています

日銀総裁の交代により住宅ローン金利が急上昇する可能性は低い

植田氏は、2023年2月4日に行われた所信聴取で、以下のような発言をしています。

  • 「現在行っている金融緩和政策は適切。金融緩和を継続してしっかりと経済を支え、企業が賃上げできる経済環境を整える」
  • 「(現在行っている金融緩和政策は)2%の物価安定目標に向けて必要かつ適切な手法である」

この発言を聞く限りは、日銀総裁が交代した直後に金融緩和政策の方針が急転換する可能性は低いと考えられます。

金融緩和政策が継続されるのであれば、住宅ローン金利は低水準のままでしょう。

副作用が生じると住宅ローン金利に影響する可能性も

一方で植田氏は、金融緩和政策について「様々な副作用がある」と述べています。

2022年12月に長期金利の変動幅が拡大されたのは、イールドカーブ・コントロールによって国債市場の機能が低下するという副作用に対処するためです。

金融政策の方針が転換されなかったとしても、副作用に対策する目的で再び変動幅が拡大されると、各金融機関は住宅ローンの固定金利を引き上げるかもしれません

日銀総裁の交代と住宅ローン金利への影響については、以下の記事で解説していますので、あわせてご一読ください。

まとめ

2023年3月の変動金利は、一部の金融機関がわずかに引き上げたものの、基本的には先月までと同様に歴史的な低水準となっています。

固定期間選択型と金融機関が独自に取り扱う全期間固定金利については、金融機関によって対応が異なる結果となりました。

一方のフラット35は、前月から0.8%引き上げられており、変動金利との差がさらに拡大しています。

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この記事を書いた人

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。

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