【2023年8月】住宅ローン金利は多くの金融機関が引き下げ!

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2023年8月の住宅ローン金利は、固定金利が全体的に引き上げられています。

変動金利については、ほとんどの金融機関が前月から据え置くなか、新しくキャンペーンを開始して引き下げてきた金融機関があり、さらに低金利化が進んでいる状況です。

本記事では、2023年8月の住宅ローン金利を金利タイプごとにご紹介します。

目次

2023年8月の住宅ローン金利

まずは、固定金利の指標である10年国債の金利の推移をご紹介します。

※財務省「国債金利情報」をもとに筆者作成

7月末に10年国債の金利が上昇しています。これは2023年7月28日に、日銀(日本銀行)がイールドカーブ・コントロール(YCC)をより柔軟に運用すると発表したためです。

10年国債の金利が上昇傾向にあるなか、各金融機関は住宅ローン金利をどのように設定したのでしょうか。

先月までと同様に、金利上乗せなしで加入できる団信の保障内容とあわせてご紹介します。団信の保障内容は、以下の通りです。

  • 一般:死亡または所定の高度障害状態の場合に住宅ローン残高を保障する団信
  • がん50%保障:所定のがんと診断されると住宅ローンの残高が半分になる団信
  • 全疾病保障:病気やけがで働けない状態が一定期間続いたとき
    ※金融機関によって保障内容は異なります。

変動金利

2023年8月の各金融機関の変動金利は、以下の通りです。

スクロールできます
適用金利       金利上乗せなしの団信
三菱UFJ銀行年0.345%(±0%)一般のみ
三井住友銀行年0.475%(±0%)一般のみ
みずほ銀行年0.375%(±0%)一般のみ
りそな銀行年0.37%(±0%)一般のみ
SBI新生銀行年0.29%(−0.13%)一般または一般+介護保障
PayPay銀行年0.319%(±0%)一般+がん診断一時金+先進医療給付金
または一般+がん50%保障
auじぶん銀行年0.319%(±0%)満50歳以下:一般+がん50%団信
※がん診断保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障が無料付帯

満51歳以上:一般団信
住信SBIネット銀行年0.32%(±0%)一般+全疾病保障または一般+全疾病保障+3大疾病保障
※契約者が40歳未満である場合のみ
ソニー銀行年0.397%(±0%)一般+がん50%保障
楽天銀行年0.55%(±0%)一般+がん50%保障+全疾病保障
イオン銀行年0.38%(±0%)一般+全疾病保障

※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
※イオン銀行は借入額が物件価格の80%以内である場合
※SBI新生銀行は変動フォーカスを選択した場合

変動金利の最低値は、SBI新生銀行の年0.29%です。SBI新生銀行は、今月から新規借入限定のキャンペーンを開始し、先月よりも年0.13%引き下げてきました。

次いで金利が低いのは、PayPay銀行とauじぶん銀行の2行であり、年0.319%と非常に低水準です。

また、auじぶん銀行については、住宅ローンとあわせて「au回線」と「じぶんでんき」を契約すると、キャンペーンにより年0.219%に引き下げられます。

auじぶん銀行は2023年7月1日から、がん50%団信の保障が手厚くなりました。具体的には、住宅ローンの契約者が50歳以下である場合、がんの診断時だけでなく、急性心筋梗塞や脳卒中などで所定の状態になったときにも残高の50%を保障されます。
また、すべての疾病で長期の入院したときに住宅ローン残高が0円となる「全疾病保障」も上乗せ金利なしで付帯されます。

借り換えについては、先月と同様にPayPay銀行とSBI新生銀行の年0.29%がもっとも低金利となっており、auじぶん銀行の年0.298%が次いで低い結果となりました。

このように、変動金利では0.2%台後半〜0.3%台前半で提供する金融機関が毎月少しずつ増えており、低金利に拍車がかかっています。

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固定期間選択型

続いて、2023年8月の各金融機関の固定期間選択型(10年固定金利)をみていきましょう。

スクロールできます
適用金利金利上乗せなしの団信
三菱UFJ銀行年0.78%(+0.09%)一般のみ
三井住友銀行年0.89%(+0.1%)一般のみ
みずほ銀行年1.20%(+0.05%)一般のみ
りそな銀行年1.335%(+0.05%)一般のみ
SBI新生銀行年1.10%(±0%)一般または介護保障付団信
PayPay銀行年1.00%(+0.05%)一般+がん診断一時金+先進医療給付金
または一般+がん50%保障
auじぶん銀行年0.915%(+0.03%)満50歳以下:一般+がん50%団信
※がん診断保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障が無料付帯

満51歳以上:一般団信
住信SBIネット銀行年0.99%(+0.08%)一般+全疾病保障
または一般+全疾病保障+3大疾病保障
※契約者が40歳未満である場合のみ
ソニー銀行年0.995%(+0.1%)一般+がん50%保障
楽天銀行年1.502%(+0.09%)一般+がん50%保障+全疾病保障
イオン銀行年1.21%(-0.24%)一般+全疾病保障

※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利

ほとんどの金融機関が、先月から10年固定金利を引き上げました。唯一、イオン銀行が引き下げていますが、同行の借入金利が決まるのは毎月10日ごろであるため、次月は他の金融機関と同様に引き上げをする可能性があります。

もっとも低金利である金融機関は、先月に引き続き三菱UFJ銀行です。借入金利は年0.78%と先月から年0.09%引き上げられましたが、全体と比較すると低水準といえます。

三菱UFJ銀行に次ぐのは三井住友銀行の年0.89%であり、それに次ぐ低いのはauじぶん銀行の年0.915%という結果でした。

変動金利はネット銀行が上位を占めていましたが、10年固定金利については大手都市銀行の方が金利は低い傾向にあります。

ソニー銀行の10年固定金利を年0.895%で借り入れるためには、10%以上の自己資金を準備しなければなりません。自己資金10%未満の場合、借入金利は年0.945%となります。

全期間固定金利(フラット35・固定金利35年)

2023年8月のフラット35(買取型)の最低金利は年1.72%でした。先月の年1.73%から-0.01%とわずかに引き下げられています。※融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利

2021年10月から2023年8月までの推移は、以下の通りです。

【フラット35】借入金利の推移をもとに筆者作成
※上記は「買取型・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付き」の金利

2023年4月以降、フラット35の金利はゆるやかに低下していますが、2022年と比較すると高い水準といえます。

とはいえ、日本銀行が実質的に金利の引き上げを行った2022年12月以前と比較すると、フラット35の借入金利は依然として高い水準です。

大手都市銀行が独自に取り扱う35年固定金利の借入金利は、以下の通りです。

  • 三菱UFJ銀行:年1.43%(+0.09%)
  • 三井住友銀行:年1.80%(+0.06%)
  • みずほ銀行:年1.48%(+0.09%)
  • りそな銀行:年1.295%(+0.04%)

すべての大手都市銀行が、先月と比較してわずかに全期間固定金利を引き上げています。また、上記の4行は10年固定金利についても先月から引き上げをしています。

先月と先々月は多くの金融機関が固定金利を引き下げていましたが、今月は一転してほとんどの金融機関が固定金利を引き上げる結果となりました。

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今後はどうなる?これからの住宅ローン金利を考察

2023年7月に日銀がYCCの運用を柔軟化すると発表したことで、9月以降の住宅ローン金利はどのように変わる可能性があるのでしょうか。

ここでは、日銀の金融緩和政策で変更された点と、今後の住宅ローン金利を解説します。

日銀がYCCの運用を柔軟化!変更された点とは?

2023年7月27日と28日に、日銀は金融政策決定会合を開き、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用をより柔軟化することを決めました。

YCCは「10年国債の金利が0%程度で推移するように誘導し、±0.5%までは許容する」という方針で運用されています。この基本的な方針に変更はありません。

一方で、変動幅の±0.5%が上限や下限ではなく「めど」という表現に変更されています。

これまでは、10年国債の金利が0.5%を超えそうなとき、日銀は国債を無制限に買い入れて金利上昇を厳格に抑えようとしていました。
それが今後は、0.5%を超えても厳格に抑えこもうとはせず、1.0%を超えたときに初めて国債を無制限に買い入れるという方針でYCCは運用されます

9月に固定金利が上昇する可能性がある

YCCの柔軟化を「変動幅の上限が0.5%から1.0%に引き上げられた」と解釈した投資家もいたためか、7月末には10年国債金利が一時0.6%台前半まで上昇しました。

8月においても、10年国債の金利が0.6%前後で推移するようであれば、9月にはフラット35の借入金利が引き上げられる可能性があります。

また、10年国債金利の上昇幅次第では、民間金融機関が独自に取り扱う固定金利が今月よりもさらに引き上げられるかもしれません。

住宅ローンの返済額は、融資が実行されたときの借入金利で決まります。2023年8月にマイホームの売買契約を結ぶと、融資の実行が9月になる可能性があります。
固定金利型の住宅ローンを組む場合、契約時の金利から0.1〜0.2%程度上昇した場合の返済シミュレーションも確認し、返済計画を立てるとよいでしょう

まとめ

2023年8月の変動金利は、SBI新生銀行が新たなキャンペーンを開始して、年0.29%に引き下げました。

金融機関が独自に取り扱う10年固定金利と全期間固定金利は、全体的に先月から引き上げられています。

フラット35の借入金利は、先月からわずかに引き下げられましたが、8月の10年国債の金利次第では、9月に引き上げられる可能性があります。

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この記事を書いた人

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。

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