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2023年10月の住宅ローン金利は、変動金利で金融機関同士の金利引き下げ競争がさらに激しさを増しています。
一方、固定金利については、指標となる10年国債金利の上昇にともない、多くの金融機関が先月から引き上げをしました。
では、各金融機関は住宅ローンの金利をどのように設定したのでしょうか。本記事では、2023年10月の住宅ローン金利を金利タイプごとにご紹介します。
まずは、固定金利の指標である10年国債の金利の推移をご紹介します。
※財務省「国債金利情報」をもとに筆者作成
2023年7月28日の金融政策決定会合で、日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用方針を変更したあと、10年国債金利は上昇傾向にありました。
2023年9月に入ったあとも金利は少しずつ上昇しており、下旬には年0.7%台後半に達しています。
先月までと同様に、金利上乗せなしで加入できる団信の保障内容とあわせてご紹介します。団信の保障内容は、以下の通りです。
2023年10月の各金融機関の変動金利は、以下の通りです。
適用金利 | 金利上乗せなしの団信 | |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 年0.345%(±0%) | 一般のみ |
三井住友銀行 | 年0.475%(±0%) | 一般のみ |
みずほ銀行 | 年0.375%(±0%) | 一般のみ |
りそな銀行 | 年0.34%(-0.03%) | 一般のみ |
SBI新生銀行 | 年0.29%(±0%) | 一般または介護保障付き団信 |
PayPay銀行 | 年0.315%(-0.065%) | 一般 または一般+がん診断一時金+先進医療給付金 または一般+がん50%保障 |
auじぶん銀行 | 年0.319%(±0%) | 満50歳以下:一般または一般+がん50%団信 ※がん診断保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障が無料付帯 満51歳以上:一般団信のみ |
住信SBIネット銀行 | 年0.32%(±0%) | 一般 または一般+全疾病保障または一般+全疾病保障+3大疾病保障 ※契約者が40歳未満である場合のみ |
ソニー銀行 | 年0.397%(±0%) | 一般または一般+がん50%保障 |
楽天銀行 | 年0.55%(±0%) | 一般または一般+がん50%保障+全疾病保障 |
イオン銀行 | 年0.38%(±0%) | 一般または一般+全疾病保障 |
※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
※イオン銀行は借入額が物件価格の80%以内である場合
※SBI新生銀行は変動フォーカスを選択した場合
変動金利については、本記事で紹介している金融機関のほとんどが先月から据え置くなか、PayPay銀行とりそな銀行は先月から引き下げています。
もっとも金利が低いのは、先月に引き続きSBI新生銀行であり最優遇金利は年0.29%です。
次点は、PayPay銀行の年0.315%です。PayPay銀行は先月、一時的に最優遇金利を年0.38%に引き上げていましたが、今月から自己資金を10%以上準備した人を対象に、借入金利を引き下げています。
3番目に低金利なのは先月2位であったauじぶん銀行で、最優遇金利は年0.319%です。
auじぶん銀行は10月から新たなキャンペーンを開始しており、要件を満たすと年0.169%という非常に低金利での借り入れが可能となります。
借り換えについても、最低金利で提供しているのはauじぶん銀行です。借入金利は年0.298%ですが、新規借入と同様にキャンペーンの対象であるため、要件を満たすと年0.148%まで引き下げられます。
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続いて、2023年10月の各金融機関の固定期間選択型(10年固定金利)をみていきましょう。
適用金利 | 金利上乗せなしの団信 | |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 年0.94%(+0.06%) | 一般のみ |
三井住友銀行 | 年1.14%(+0.05%) | 一般のみ |
みずほ銀行 | 年1.45%(+0.1%) | 一般のみ |
りそな銀行 | 年1.595%(+0.08%) | 一般のみ |
SBI新生銀行 | 年1.05%(±0%) | 一般または介護保障付団信 |
PayPay銀行 | 年1.215%(-0.08%) | 一般+がん診断一時金+先進医療給付金 または一般+がん50%保障 |
auじぶん銀行 | 年1.195%(+0.08%) | 満50歳以下:一般+がん50%団信 ※がん診断保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障が無料付帯 満51歳以上:一般団信 |
住信SBIネット銀行 | 年1.28%(+0.1%) | 一般+全疾病保障 または一般+全疾病保障+3大疾病保障 ※契約者が40歳未満である場合のみ |
ソニー銀行 | 年1.15%(+0.075%) | 一般+がん50%保障 |
楽天銀行 | 年1.702%(+0.14%) | 一般+がん50%保障+全疾病保障 |
イオン銀行 | 年1.21%(±0%) | 一般+全疾病保障 |
※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
もっとも低金利で10年固定金利を提供するのは、先月までに引き続き三菱UFJ銀行という結果でした。最優遇金利は、年0.94%です。本記事で紹介する金融機関の中では、唯一金利が年0.1%を下回っていますが、先月からは年0.06%引き上げられています。
その次に低金利であるのがSBI新生銀行であり、最優遇金利は年1.05%です。多くの金融機関が金利を引き下げるなか、SBI新生銀行は先月から据え置きとなっています。次点は、三井住友銀行の年1.14%です。
このように、本記事で紹介している金融機関のほとんどが、10年固定金利を引き上げてきました。一方、PayPay銀行についてはわずかに先月から引き下げています。
ソニー銀行の10年固定金利を年0.895%で借り入れるためには、10%以上の自己資金を準備しなければなりません。自己資金10%未満の場合、借入金利は年0.945%となります。
2023年10月のフラット35(買取型)の最低金利は年1.88%でした。先月の年1.80%から0.08%引き上げられています。※融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利
2021年10月から2023年10月までの推移は、以下の通りです。
※【フラット35】借入金利の推移をもとに筆者作成
※上記は「買取型・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付き」の金利
フラット35の金利は、2か月連続で年0.08%引き上げられました。また、2年前の2021年10月の金利(年1.3%)と比較すると、年0.55%上昇しています。
大手都市銀行が独自に取り扱う35年固定金利の借入金利は、以下の通りです。
三井住友銀行のみ先月から引き下げをしていますが、残りの3行については先月から引き上げました。
ほとんどが年1.0%台後半で提供するなか、りそな銀行の最優遇金利は年1.485%であり、10年固定金利に迫る水準となっています。
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最後に、2023年9月における市場の動向をもとに、11月以降の住宅ローン金利がどのようになるのかを考察します。
米連邦準備理事会(FRB)は、9月19日と20日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、追加の利上げを見送りました。また、日銀は9月21日と22日に開催された金融政策決定会合で、金融緩和政策の維持を発表しています。
一方で、FRBは、FOMCで発表した声明で年内に追加で利上げする可能性があることを示唆しました。これにより「次回のFOMCでは利上げが行われるだろう」と多くの投資家が予測したために、米国債の利回りが上昇しました。
その影響により、日本でも10年国債金利を始めとした長期金利も上昇しています。
2023年10月もこの傾向が続き、10年国債の金利がさらに上昇すれば、11月も住宅ローンの固定金利が引き上げられるかもしれません。
物価が年に2%ずつ緩やかに上昇する状態にならない限り、日銀はマイナス金利政策を解除しないでしょう。また、この日銀が掲げる物価安定の目標は、原則として賃金の上昇をともなっていなければなりません。
総務省統計局の調査によると、2022年8月から2023年8月までの消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の前年同月比は、おおむね3〜4%で推移しています。※出典:総務省「2020年基準 消費者物価指数」
現在の日本は、物価は上昇しているものの賃金は上昇していないため、マイナス金利政策を解除できるような状態ではないでしょう。
マイナス金利政策が解除されない限り、短期金利は上昇しないため、住宅ローンの変動金利もしばらくは引き上げられないと考えられます。
今月の変動金利は、PayPay銀行とりそな銀行が引き下げをしており、年0.3%台前半で提供する金融機関がさらに増えました。
対して10年固定金利については、ほとんどの金融機関が先月から引き上げをしており、年1.0%を超える水準となっています。
全期間固定金利のフラット35についても、先月から年0.08%引き上げられており2%に迫る値となっています。
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保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。
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