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「住宅ローンは、年収の何倍を目安に借り入れると良いのだろうか」とマイホーム購入時の資金計画を立てるときに悩む人は少なくありません。
住宅ローンの借入額を考えるとき、年収をもとにした目安は1つの参考となるでしょう。ただし、目安となる金額を金融機関が融資してくれるとは限りません。
そこで今回は、借入額の目安を知りたい方に向けて、金融機関が融資してくれる上限額の決まり方、無理なく返済するポイントなどを解説します。
一般的には、住宅ローンの借入額は年収の5〜7倍が目安といわれています。仮に年収が500万円であれば、借入額の目安は2,500万〜3,500万円です。
では、実際にマイホームを購入した人は、いくらの住宅ローンを組んでいるのでしょうか。自己資金の割合とあわせてご紹介します。
住宅金融支援機構の調査によると、住宅を購入するための借入金を世帯年収で割った値(年収倍率)は、以下の通りです。
〇住宅を取得した人の年収倍率
借入金 | 世帯年収 | 年収倍率(借入金÷世帯年収) | |
---|---|---|---|
土地付注文住宅 | 3,841万円 | 639万円 | 約6.0倍 |
建売戸建住宅 | 3,121万円 | 563万円 | 約5.5倍 |
マンション | 3,562万円 | 788万円 | 約4.5倍 |
中古戸建住宅 | 2,256万円 | 508万円 | 約4.4倍 |
中古マンション | 2,474万円 | 608万円 | 約4.1倍 |
調査結果をみると、新築住宅を取得した人の年収倍率は、約4.5〜6.0倍です。一方で、中古住宅の年収倍率は約4.1〜4.4倍であり、新築住宅よりもやや低い結果となりました。
上記調査は、住宅金融支援機構が民間金融機関と共同で提供する「フラット35」という住宅ローンを組んだ人が対象です。
民間金融機関が独自に取り扱う住宅ローンを組んだ人は調査に含まれていないため、一概にはいえませんが、調査結果を見る限りは、実際の借入額は年収の4〜6倍程度といえます。
続いて、住宅購入時に準備した自己資金の割合をみていきましょう。
住宅金融支援機構の調査によると、住宅の種類別の所要資金と自己資金の割合は、以下の通りです。
〇住宅購入時における自己資金の金額(カッコ内は自己資金の割合)
借入金 | 自己資金 | 所要資金 | |
---|---|---|---|
土地付注文住宅 | 3,841万円 | 615万円(13.8%) | 4,456万円 |
建売戸建住宅 | 3,121万円 | 484万円(13.4%) | 3,605万円 |
マンション | 3,562万円 | 966万円(21.3%) | 4,529万円 |
中古戸建住宅 | 2,256万円 | 359万円(13.7%) | 2,614万円 |
中古マンション | 2,474万円 | 552万円(18.2%) | 3,026万円 |
調査結果をみると、注文住宅や建売戸建住宅、中古戸建住宅を取得した人は、所有資金の13%程度の自己資金を準備していることが分かります。
一方で、新築マンションを購入した人は約21%、中古マンションの購入者は約18%の自己資金を準備しており、戸建住宅よりも割合が高い結果となりました。
住宅ローンの借入可能額は、金融機関の審査によって決まります。金融機関は借入可能額を計算する際に「審査金利」を利用します。
審査金利は金融機関によって異なりますが3〜4%程度といわれており、借入後の返済額を計算するときの金利(適用金利)よりも高く設定されるのが一般的です。
ここで、審査金利4.0%とする場合、借入可能額はいくらになるかを試算してみましょう。借入条件は、以下の通りです。
算出結果は、以下の通りとなります。
〇年収ごとの借入可能額(カッコ内は年収倍率)
審査金利を4.0%で仮定した場合、借入可能額は年収の約5.6〜6.6倍程度と算出されました。これは、一般的にいわれる借入額の目安とほぼ一致しています。
なお、金融機関は、年収だけでなく、他の借入状況や物件の担保価値も審査します。そのため、年収が同じであっても借入可能額が同じであるとは限りません。
では、年収ごとの借入可能額を可能な限り借りた場合、返済額はいくらになるのでしょうか。以下の借入条件で試算してみましょう。
本シミュレーションでは、返済額とあわせて「返済負担率」も記載しています。
返済負担率とは、年収に対して住宅ローンの年間返済額がどれほど占めているのかを示す割合のことです。
たとえば、年間返済額が150万円、年収が600万円である場合、返済負担率は「150万円÷600万円=25%」です。
それでは、借入可能額を借り入れたときの返済額をみていきましょう。
〇借入可能額で借り入れたときの返済額(カッコ内は返済負担率)
変動金利 | 固定金利 | |
---|---|---|
借入可能額 | 1,690万円 | |
毎月の返済額 | 43,127円 | 53,416円 |
年間返済額 | 約51万円(約17%) | 約64万円(約21.3%) |
返済総額 | 約1,811万円 | 約2,243万円 |
うち利息額 | 約121万円 | 約553万円 |
〇借入可能額で借り入れたときの返済額(カッコ内は返済負担率)
変動金利 | 固定金利 | |
借入可能額 | 2,630万円 | |
毎月の返済額 | 67,115円 | 83,127円 |
年間返済額 | 約81万円(約20.2%) | 約100万円(約25%) |
返済総額 | 約2,819万円 | 約3,491万円 |
うち利息額 | 約189万円 | 約861万円 |
〇借入可能額で借り入れたときの返済額(カッコ内は返済負担率)
変動金利 | 固定金利 | |
借入可能額 | 3,290万円 | |
毎月の返済額 | 83,957円 | 103,988円 |
年間返済額 | 約101万円(約20.2%) | 約125万(約25%) |
返済総額 | 約3,526万円 | 約4,367万円 |
うち利息額 | 約236万円 | 約1,077万円 |
〇借入可能額で借り入れたときの返済額(カッコ内は返済負担率)
変動金利 | 固定金利 | |
借入可能額 | 3,950万円 | |
毎月の返済額 | 100,800円 | 124,849円 |
年間返済額 | 約121万円(約20.2%) | 約150万円(約25%) |
返済総額 | 約4,234万円 | 約5,244万円 |
うち利息額 | 約284万円 | 約1,294万円 |
〇借入可能額で借り入れたときの返済額(カッコ内は返済負担率)
変動金利 | 固定金利 | |
借入可能額 | 4,610万円 | |
毎月の返済額 | 117,642円 | 145,710円 |
年間返済額 | 約141万円(約20.1%) | 約175万円(約25%) |
返済総額 | 約4,941万円 | 約6,120万円 |
うち利息額 | 約331万円 | 約1,510万円 |
一般的には、返済負担率が25%以下になるような借り入れであれば、安全であるといわれています。
しかし変動金利の場合、借入可能額を最大限借りたとしても返済負担率は25%を下回るケースがほとんどです。これは、適用金利が審査金利よりも著しく低いためです。
そのため、変動金利で住宅ローンを組むのであれば、返済負担率25%以下という基準には、さほどこだわらなくて良いでしょう。
固定金利については、借入時の適用金利が変動金利よりも高いため、借入可能額を借りたときに返済負担率が25%を超えるケースもあると考えられます。
またフラット35の場合、適用金利と審査金利が同じであるため、借入可能額を最大限に借りると返済負担率は30%や35%になることがあります。
固定金利型の住宅ローンを組む場合は、返済負担率が25%を超えていないか、念のために確認しておくと良いでしょう。
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住宅ローンを組んでマイホームを購入するときは、税金や手数料などの諸費用を支払う必要があります。諸費用の例は、以下の通りです。
諸費用の金額は、以下が目安です。
たとえば、5,000万円の新築マンションを購入する場合、諸費用の目安は150万〜350万円となります。
また、マイホームに入居したあとは、固定資産税を毎年支払っていきます。マンションであれば、管理費や修繕積立金などもかかるでしょう。
戸建住宅に住む場合は、外壁や屋根などの修繕に備えて計画的に資金を準備するのが望ましいです。
そのため、住宅ローンを組んでマイホームを購入するときは、購入時にかかる諸費用や入居したあとに支払う費用も踏まえて、返済計画を立てることが重要です。
住宅ローンの返済期間は、一般的に20年から30年と長期に渡ります。 無理なく最後まで住宅ローンを返済していくためには、どのように借入額を決めると良いのでしょうか
ここでは、住宅ローンを無理なく返済するために押さえておきたいポイントをみていきましょう。
今後のライフイベントやそのときに必要となる金額を考慮せずに住宅ローンを借り入れると、将来的に資金不足が生じるかもしれません。
そのため、借入額を決めるときは、子どもの進学や車の購入など、将来的に起こりうるライフイベントに支障がないかを確認することが重要です。
そこで、作成したいのが「ライフイベント表」です。ライフイベント表には、自分や家族の年齢、将来的に起こりうるライフイベント、そのときに必要となる費用を記載します。
ライフイベント表の例は、以下の通りです。
〇ライフイベント表の例
年 | 家族の年齢 | ライフイベント | 必要なお金 | |||
夫 | 妻 | 長男 | 長女 | |||
2023 | 35 | 35 | 5 | 2 | 車購入 | 300万円 |
2024 | 36 | 36 | 6 | 3 | 長女、幼稚園入園 | 10万円 |
2025 | 37 | 37 | 7 | 4 | 長男、小学校入学 | 30万円 |
2026 | 38 | 38 | 8 | 5 | ||
2027 | 39 | 39 | 9 | 6 | ||
2028 | 40 | 40 | 10 | 7 | 長女、小学校入学 | 30万円 |
2029 | 41 | 41 | 11 | 8 | ||
2030 | 42 | 42 | 12 | 9 | ||
2031 | 43 | 43 | 13 | 10 | 長男、中学校入学 | 30万円 |
2032 | 44 | 44 | 14 | 11 | 車の買い替え | 300万円 |
2033 | 45 | 45 | 15 | 12 | ||
2034 | 46 | 46 | 16 | 13 | 長女、中学校入学 | 30万円 |
2035 | 47 | 47 | 17 | 14 | ||
2036 | 48 | 48 | 18 | 15 | 長男、大学入学 | 500万円 |
住宅ローンの返済計画を立てるときは、ライフプラン表とあわせて「キャシュフロー表」も作成すると良いでしょう。
キャッシュフロー表とは、現在の収入や支出、今後のライフプランをもとに、将来の家計収支や貯蓄状況を予測するための表のことです。
キャッシュフロー表の例は、以下の通りです。
〇キャッシュフロー表の例
年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 | 2027年 |
夫の収入 | 500万円 | 500万円 | 500万円 | 500万円 | 500万円 |
妻の収入 | 300万円 | 300万円 | 300万円 | 300万円 | 300万円 |
収入合計(A) | 800万円 | 800万円 | 800万円 | 800万円 | 800万円 |
生活費 | 360万円 | 360万円 | 360万円 | 360万円 | 360万円 |
住居関連費 | 120万円 | 120万円 | 120万円 | 120万円 | 120万円 |
その他の支出 | 200万円 | 200万円 | 250万円 | 220万円 | 220万円 |
一時的な支出 | 300万円 | 10万円 | 30万円 | ||
支出合計(B) | 980万円 | 690万円 | 760万円 | 700万円 | 700万円 |
年間収支(A-B) | -180万円 | 110万円 | 40万円 | 100万円 | 100万円 |
貯蓄残高 | 1,000万円 | 1,110万円 | 1,150万円 | 1,250万円 | 1,350万円 |
上記の例では5年分しか掲載していませんが、住宅ローンの返済計画を立てるときは35年など長期にわたるキャッシュフロー表を作成すると良いでしょう。
希望する金額を借り入れたと仮定してキャッシュフロー表を作成し、完済までに大幅なマイナスが発生するようであれば、希望する借入額や予算を見直した方が良いと考えられます。
無理なく返済できる借入額を判断するためには、今後のライフプランを考えてライフプラン表とキャッシュフロー表を作成するのが有効です。
とはいえ、ライフイベントが発生したときにかかる費用や収入と支出の推移などを、予測するのは難しく感じられるかもしれません。
そこで、住宅ローンを組むときは、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持った人に相談すると良いでしょう。
FPは、金融や税金、不動産、住宅ローンなど、お金に関する幅広い知識を持っています。FPに相談することで、今後のライフプランを踏まえた返済計画を立てて、無理のない借り入れがしやすくなります。
マイホーム購入を検討するときは、不動産会社や金融機関の担当者がFPの資格を保有していないか確認してみると良いでしょう。また、企業に所属していない独立系といわれるFPに相談する方法もあります。
「自己資金が足りない」「希望する金額の住宅ローンを借り入れるのが難しい」など、住宅を取得するための資金が不足したときは、どのような方法で対処すると良いのでしょうか。
ここでは、住宅を取得するときの資金が不足したときの対処方法をみていきましょう。
希望する金額の借り入れが難しいときは、マイホームに求める条件を見直した方が良いのかもしれません。
たとえば、新築住宅のみを検討しているときは、中古物件も選択肢に含めてみてはいかがでしょうか。
中古物件であれば、間取りや立地などが同じ新築物件よりも価格が割安です。そのため、中古物件も選択肢に含めることで、予算内で希望に合った物件が見つかりやすくなります。
他にも「エリアを見直す」「床面積がより狭い住宅を検討する」などの方法があります。
マイホームに希望する条件のうち、譲れる部分については見直すのも方法です。
夫または妻の年収だけで、希望する金額の住宅ローンを借り入れることができない場合は、夫婦で住宅ローンを組むのも方法です。
基本的には、住宅ローンを申し込んだ人の年収が高いほど借入可能額も増えていきます。
夫婦で住宅ローンを申し込むと、お互いの収入が合算されて審査されるため、単独で申し込むよりも借入額を増やせる可能性があります。
夫婦で住宅ローンを組む方法は、以下の通りです。
ただし、ペアローンや収入合算で住宅ローンを組むと、夫婦のどちらかが育産休を取得したり転職したりして世帯収入が減ったときに、返済が苦しくなりやすいです。
夫婦で住宅ローンを組むときは、今後のライフプランも踏まえてより慎重に返済計画を立てることが大切です。
手持ち資金が不足しているときは、父母や祖父母からマイホームを取得するための資金を援助してもらうのも1つの方法です。
通常、1年間で贈与された財産が110万円を超えると贈与税がかかりますが、「住宅取得等資金の非課税の特例」を適用できれば、最大1,000万円までの贈与が非課税となります。
特例を受けるためには、2023年(令和5年)12月31日までに父母や祖父母などから、住宅を新築・購入するための資金を贈与してもらい、かつ所定の要件を満たす必要があります。
不動産会社や最寄りの税務署などで要件を確認し、非課税の特例を受けられる可能性があるときは、親族に資金を援助してもらえないか相談してみると良いでしょう。
住宅ローンの借入額は、年収の5〜7倍が目安とはいわれているものの、あまり気にする必要はないでしょう。
現在の年収だけでなく今後のライフプランも踏まえて計画を立てたうえで、借入額を検討することが大切です。
無理なく返済できる金額を、より正確に知りたいときは、ファイナンシャルプランナーの資格を持った人に相談をすると良いでしょう。
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え?そんなに高く売れたの!?
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