日本で不動産投資をする魅力とは?動向やポイントを解説

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日本の不動産投資には、割安な不動産価格や相対的なリスクの低さなど、国内外の投資家を惹きつける多くの魅力があります。

2023年における日本の不動産投資市場は、世界的な逆風にさらされながらも、力強さを見せつけました。

また、2024年の不動産市場も堅調な推移が期待されています。

本記事では、2023年における日本の不動産投資市場や2024年の動向、海外投資家から選ばれる主な理由を解説していきます。

目次

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日本の不動産投資市場の魅力!海外投資家からも支持される理由

日本の不動産市場は、国内投資家だけでなく海外投資家からも注目を集めています。

その主な理由は、以下のとおりです。

◆ 不動産価格が割安                                        ◆ 不動産の価格変動リスクが低い                                   ◆ 外国人であっても所有権が得られる                                 ◆ カントリーリスクが低い

1つずつ解説します。

不動産価格が割安

日本の不動産は、国際的にみても割安な価格水準にあります。

日本不動産研究所の調査によると、東京の高級住宅地である港区元麻布のマンション価格を100とした場合、各国の主要都市の価格指数は以下のとおりとなります。

※出典:一般財団法人 日本不動産研究所「第22 回 国際不動産価格賃料指数(2024 年 4 月現在)の調査結果

調査結果をみると、東京のマンション価格を100としたときの価格指数は、香港268.2、ロンドン207.5、ニューヨーク144.6となっています。

つまり、東京の一等地に建てられているマンションでさえ、世界の主要都市と比べるとまだまだ割安感があるということです。

また、近年の円安により、海外投資家から見た日本の不動産の魅力が増していることも投資を拡大させる要因となっています。

円安となった背景には、強烈なインフレを抑えるために金利を上げる米国などと、金融緩和を続ける日本との金利差があります。

たとえば、1ドル=100円のときに1億円の不動産を買う場合、100万ドルが必要です。しかし、1ドル=150円になると、1億円の不動産が約66.7万ドルで購入できます。

このように、円安が進むと不動産価格が相対的に割安になるため、米ドル建てで取り引きする海外投資家にとって日本の不動産は、投資対象として魅力的に写るのです。

また、2023年における日本のGDP(国内総生産)は、アメリカ、中国に続く3位であり、経済基盤は安定しています。

それに加え、世界のなかでもとくに治安が良く、不動産の購入や運用でトラブルも生じにくいため、日本の不動産に投資をする投資家は国内だけでなく海外にも多く存在します。

不動産の価格変動リスクが比較的低い

日本の不動産は、ほかの国にある不動産よりも相対的に価格変動リスクが低く、価格が下がりにくいといわれています。

その理由の1つは、日本で長らく実施されている金融緩和政策です。

日本では、2016年1月から「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」という政策が始まり、政策金利がマイナスになり、低金利の環境が続いています。

2020年に新型コロナウイルス感染症が世界的に流行した際、多くの国では景気の後退を防ぐために大規模な利下げが実施されました。

利下げされた国の不動産価格は、基本的に上昇します。

しかし、2022年ごろに新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、モノの需要が回復して物価の上昇(インフレ)が始まると、諸外国ではそれを抑えるために急激な利上げが行われました。

利上げが行われたことで、不動産価格の上昇は止まるとともに、下落するリスクも高まりました。

とくに中国では、不動産開発企業に対する銀行融資の規制などの影響もあり、不動産価格の下落が続いている状況です。

一方、日本はコロナ禍のあいだも追加の利下げは実施されなかったため、不動産価格の急上昇は起こっていません。

また、コロナ収束後も金融緩和政策は継続されており、欧米諸国のような利上げは実施されておらず、2024年7月現在も低金利が続いている状況です。

以上の点から、日本は諸外国と比較して不動産価格が変動するリスクが相対的に低いと考えられるため、国内外の投資家にとっては魅力的に感じられるのです。

外国人であっても所有権を得られる

日本では、海外に在住する投資家でも、基本的に不動産の所有権を得られます。

世界には、外国人による不動産の所有を制限している国が存在します。

たとえば、シンガポールでは、国外に住む人がシンガポール国内の土地や土地付き住宅などを所有することはできません。

また中国では、国民であっても不動産の所有権を得られません。

不動産の所有権は、国家所有または農民の集団所有に属すると法律で定められているためです。

その点、日本では不動産を取得した人の国籍にかかわらず所有権を得られます。

所有権を得たからといって、日本人とは異なる税金が課せられることもありません。

また、所有権に対する規制や制限もなく、購入のほかにも、売却や相続も自由にできます。

外国人であっても所有権を得られることは、日本の不動産投資の大きな魅力といえます。

カントリーリスクが低い

カントリーリスクとは、投資対象の国や地域で、政治・経済の変化により、投資した資産の価値が変動する可能性のことです。

OECD(経済協力開発機構)は、債務返済状況、経済・金融情勢などの情報をもとに、国・地域のリスク・カテゴリーを評価しています。

OECDのリスク評価において、日本は最高のA評価となっています。

アジア・中近東エリアでA評価であるのは、日本とシンガポールのみです。

※出典:株式会社日本貿易保険「国カテゴリー表

カントリーリスクが低い国は、政権の崩壊による政情不安や、経済危機による通貨価値の大暴落などの影響で、不動産価格が下がりにくいといえます。

そのため日本の不動産は、安定した投資対象として海外投資家から評価されています。

【2023年】日本の不動産投資市場の動向

2023年の日本の不動産市場は、世界的な金利上昇や景気後退懸念などの影響を受けながらも、比較的好調でした。

ここでは、ジョーンズ ラング ラサール株式会社(以下、JLL株式会社)が発表する調査レポートをもとに、2023年における日本の不動産投資市場を解説します。

【投資エリア】東京の投資額は世界5位

JLL株式会社の調査によると、2023年を通じた東京の不動産投資額は138億ドルです。

世界の都市別ランキングでは、ロサンゼルス、ニューヨーク、ダラス・フォートワース、パリに次ぐ第5位となっています。

2022年を通じた東京都の不動産投資額は、世界16位であったため、2023年は大幅に順位を上げたといえます。 

また、ロサンゼルスやニューヨークなど、世界の主要都市の多くで投資額が前年比マイナスとなるなか、東京は前年比プラスでした。

なお、大阪の投資額は38億ドルであり、世界の都市別ランキングで36位となっています。

※出典:ジョーンズ ラング ラサール株式会社「インベストメント マーケットサマリー 2023年第4四半期

【投資対象】オフィスビルがもっとも高い割合を占める

投資対象となる物件の分類(セクター)別に投資額をみると、オフィスビルの割合が33%ともっとも高くなりました。

ただし、前年の割合は46%であったため、13%減少しています。

また、リテール(商業施設)の割合は11%であり、前年の13%から若干減少しました。

一方、物流施設は25%となっており、前年度の17%から上昇しています。ホテルは14%であり、前年の9%から大幅に上昇しました。

マンションやアパートなどの賃貸住宅が占める割合は14%であり、前年の12%からわずかに上昇しています。

調査結果をみると、日本における不動産投資の投資対象は、オフィスビルや商業施設、ホテルなど、個人では投資が難しい不動産が大半を占めていることが見て取れます。

これらの不動産に投資をしているのは、主に機関投資家(例:生命保険会社・損害保険会社)や、事業会社、一部の富裕層などです。

個人の投資家が、オフィスビルや商業施設などに投資をするのは困難ですが、REIT(不動産投資信託)や不動産小口化商品などを用いることで間接的に投資することは可能です。

※出典:ジョーンズ ラング ラサール株式会社「インベストメント マーケットサマリー 2023年第4四半期

【海外投資家の投資額】前年から減少傾向

2023年における海外投資家の投資額(インバウンド投資額)は5,758億円です。

前年の8,536億円から33%減少しました。

2023年を通してみると、日本国内の不動産投資額の全体に占めるインバウンド投資額の割合は約17%でした。

2022年におけるインバウンド投資額の割合は約26%であったため、2023年は約9%低下しています。

一方、日本の不動産投資額の全体では3兆3,947億円であり、前年から4%増加しました。

そのため、海外投資家の投資額は減ったものの、国内投資家の投資額が増加したために、日本の不動産市場全体としては前年から進展したと考えられます。

※出典:ジョーンズ ラング ラサール株式会社「インベストメント マーケットサマリー 2023年第4四半期

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2024年はどうなる?日本の不動産投資市場の今後

2024年の日本は、急激な金利上昇が起こりにくい環境にあります。

そのため、不動産市場は堅調に推移するといえるでしょう。

株式会社JLLの調査結果でも、2024年1〜3月における日本の不動産市場は、前年と比較して好調であったことが示されています。

低金利が続くと市場は堅調に推移する可能性がある

日本銀行(日銀)は、2024年3月にマイナス金利政策を解除し、政策金利を0〜0.1%の範囲で推移するように誘導する政策に移行しました。

年内にあと1回の利上げが見込まれてはいるものの、大幅な引き上げは困難であり、当面は低金利の環境が続くという見方が市場では有力です。

金利上昇が緩やかであれば、不動産投資に必要な資金を低コストで調達できるため、投資家にとっては良好な投資環境といえます。

一方、世界では先進国を中心に高金利が続いており、米国や中国などでは景気の後退も懸念されているため、不動産投資の市場はどちらかといえば停滞している状況です。

2024年の日本では、低金利による良好な資金調達環境が続くと予想されているため、海外投資家からの需要が高まり、国内の不動産市場は堅調に推移すると考えられます。

2024年1〜3月の不動産投資額は好調

株式会社JLLの調査によると、2024年第一四半期(1〜3月)における日本の不動産投資額は1兆7,046億円でした。

この金額は、前期比で+178%、前年同期比では+45%であり、コロナ禍を迎える直前の2020年1〜3月の推移まで回復したとされています。

また、世界の都市別投資額ランキングでは、東京が76.5億ドルで1位となりました。

海外投資家の投資額については、1,773億円となっています。

前年同期と比較すると−34%ではあるものの、前期比では+293%と大幅に回復しており、海外投資家からの底堅い需要が伺えます。

※出典:ジョーンズ ラング ラサール株式会社「インベストメント マーケットサマリー 2024年第1四半期

日本国内で不動産投資をする際に押さえておきたいポイント

日本で不動産投資を行う場合は、地震のリスクや人口の減少、為替相場の変動をもとに運用戦略を立てることが重要となります。

ここでは、日本で不動産投資の戦略を練る際に押さえておきたい3つのポイントをわかりやすく解説します。

地震の被害に遭うリスクがある

日本は、世界有数の地震大国です。

1995年1月の阪神淡路大震災、2011年3月の東日本大震災、2024年1月の能登半島地震など、これまで複数回の大地震に見舞われてきました。

また、日本では将来的に南海トラフ地震が発生すると予測されています。

政府によると、2020年1月24日の時点で、今後30年以内にマグニチュード8~9クラスの大地震が70~80%の確率で発生するとされています。

もし南海トラフ地震が発生した場合、エリアによっては最大震度7となるだけでなく、太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波が襲来すると想定されています。

大地震が発生すると、建物や設備が被害を受け、修理や交換などに多額の費用がかかるかもしれません。

また、建物が貸し出せない状態になり、賃料収入が得られなくなる事態も起こりえます。

そのため、日本で不動産投資をする際は、地震のリスクを考慮し、適切に対策をすることが必須と言っても過言ではありません。

地震が発生したときに想定される被害状況や建物の耐震性能などをよく確認し、投資するエリアや物件を選ぶことが重要です。

また、地震保険への加入も検討すると良いでしょう。

地震保険に加入していると、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害が補償されるため、震災発生時の経済的な損失を抑えられます。

エリアによっては人口の減少が進む

日本では、少子高齢化の影響により、全国的に人口の減少が進んでいます。

総務省統計局の調査によると、2023年10月1日時点での総人口は1億2,435万人であり、前年よりも約59.5万人減少しました。

また、人口の減少は13年連続で続いています。

※出典:総務省統計局「人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口‐2024年4月12日公表

また、日本の総人口は今後も減少を続け、2050年には9,515万人となり、そのうちの約4割を高齢者が占めるとされています。

※出典:総務省「我が国における総人口の長期的推移

人口の減少が進むエリアは、需要の低下により、空室率の上昇や家賃の下落が起きやすくなります

そのため、日本で不動産投資をする際は、今後の人口動態を考慮したうえで、投資するエリアを選ぶことが大切です。

人口が集中しやすく、エリアによっては今後も増加が期待できるのは、日本の経済や政治の中枢である東京都です。

東京都は日本の首都であり、大企業の本社や知名度の高い大学、政府機関などがあります。

推計人口は、2024年(令和6年)6月1日時点で約1,417.8万人であり、日本の総人口の約11%を占める、圧倒的な多さとなっています。

※出典:東京都総務局統計部「東京都の人口(推計):毎月

東京都以外の選択肢としては、神奈川県や千葉県などの周辺都市、大阪府や愛知県などの政令指定都市が挙げられます。

国や都道府県・市区町村が公表するデータを確認したり、投資用不動産の取扱実績が豊富な不動産会社に相談したりするなどして、投資するエリアを慎重に選びましょう

円安がさらに進むと不動産価格が下落する可能性がある

円安になると、海外から見た日本の不動産価格は割安となります。

しかし、円安が進み続けるとドル建てで不動産投資を行う海外投資家の資産が目減りしてしまいかねません。

たとえば、1億円の不動産を購入したとします。円安が進む前の為替レートが1ドル100円だったとすると、物件の価値は100万ドルです。

しかし、円安が進んで1ドル150円になると、物件の価値は約66.7万ドルに下落します。

近年は、円安が進行しています。2021年7月時点の為替相場は1ドル110円台であったのが、2024年7月には160円台まで円安が進みました。

今後も円安が進行し続ける場合、円建てでは価値が変わらなくてもドル換算では目減りすることがあります。

そのため、今後も円安が進み続けると考えられる場合、海外投資家からの需要が低下し、日本の不動産価格が下落するかもしれません。

日本の不動産に投資をする場合は、為替相場が将来的にどのようになるのかをよく考えることも重要となります。

まとめ

日本の不動産市場は、国内投資家だけでなく海外投資家にとっても魅力的な投資先となっています。

海外投資家から注目される理由は、不動産価格が割安であること、価格変動リスクやカントリーリスクが比較的低いこと、外国人でも所有権が得られることが挙げられます。

一方、日本で不動産投資を行う際には、地震の発生や人口減少、為替相場の変動といった点に注意しなければなりません。

日本特有のリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要となります。

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この記事を書いた人

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。

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