査定額を大きく下回る金額で投資用マンションを売却~マンション売却失敗談

マンションの売却は、多くの方がそう何度も経験するものではありません。とはいえ、高額な資産であるマンションの売却で失敗すると、大きな損失と後悔が生じてしまうおそれがあります。

そこで、すみかうる編集部は実際にマンションを売却されて後悔している方のインタビューを敢行。包み隠さず、売主様のリアルな声をお届けします。

今回は、神戸市の投資用マンションを売却されたCにお話をお伺いしました。C様は、6年間所有していた投資用マンションをご売却。査定額の1,200万円を大幅に下回る850万円で売却したことを後悔されているようです。なぜ、売値が査定額を大幅に下回ってしまったのでしょうか?

この記事で分かること

・査定額より大幅に安く売却してしまった理由とその背景

・「早く売りたい」気持ちが招く価格交渉の落とし穴

・実際に感じた教訓と対策ポイント

お話を伺った方

30代男性C様 

6年間所有した投資用マンションを850万円で売却

  • 物件種別:マンション
  • 査定種別: 売却
  • 所在:兵庫県神戸市
  • 築年: 2001年(平成13年)
  • 専有面積:19㎡

査定価格1,200万円 →売却価格 850万円

  • 売却にかかった期間:査定から契約まで約2か月、売り出し時期から引き渡し時期まで約7か月
  • 不動産会社の決め手:当初査定額の妥当性や仲介手数料無しなどの条件
  • 担当者の特徴:動きが早く、連絡をこまめにしてくれたりとサポートが手厚い印象
目次

査定では1,200万円だったのに売値が850万円になってしまった理由

編集部

マンションを売却した理由を教えてください。

C様

2018年に節税目的で購入した投資用ワンルームマンションだったのですが、修繕積立金や金利が上昇し始めたこともあって、あまり利益が出ていなかったので売却しようと思いました。

編集部

どのように不動産会社を探したのですか?

C様

最初は、マンションの管理会社に買い取ってもらえないか聞いてみたんですよ。このときの買取査定額は、1,050万円。ローン残債は1,070万円程度だったものですから、もう少し高く売りたいと考え、このときは売却を見送りました。

編集部

その後、売却に向けて動き出したのはいつ頃でしょうか?

C様

買取査定をお願いしてから半年ほど経った頃でしょうか。今度は、複数の不動産会社に売却査定をお願いしました。査定結果は各社で差があって、900万円〜1,200万円程度。最も査定額が高く、最も動きが早かった不動産会社に売却をお願いすることにしました

編集部

1,200万円という査定額を出した不動産会社にお願いしたということですね。でも、実際に売れた金額は850万円……これはどうしてなのでしょうか?

C様

後日、「金融機関に審査してもらったところ評価額が600万円だった」と言われて。売主さんが250万円しか現金で出せないということで、850万円で着地したという感じです。

編集部

評価額について、他の不動産会社の見解は聞かなかったのですか?

C様

そうですよね……今振り返ると、そこで他の不動産会社の見解が聞けなかったことが失敗の要因だったと思います。

不動産会社の担当者と初見で売買契約書に署名

C様

1,200万円の査定額を出してくれた不動産会社さんと都内の喫茶店でお会いすることになり、そこで評価額を聞き、その場で担当者さんが電話で買主さんと交渉を始めたんですよ。買主さんは250万円を現金で出してくださるということで、その場で契約を決めました。

編集部

他の不動産会社も1,000万円前後の査定額を出してくれていたのに他社に相談しなかった理由は?

C様

持ち帰ることもできたのですが、金融機関の評価額が600万円と言われてしまったら他の不動産会社で売っても同じだろうと考え、思考が停止してしまったんですよね。

また、担当者さんの「1,000万円という査定額を出した他社であっても、その金額では売れないでしょう」という言葉にも「そういうものなのか」と納得してしまったんです。

編集部

ローン残債もまだ1,000万円前後あったと思いますが、マンションを売ったお金で完済できないことは妥協したのですね?

C様

そうですね。損切りという形で売却を決めました。

一括査定しないと
500万円以上損をするかも!?

複数の不動産会社に査定依頼すればいいというわけではない

編集部

すぐに売買契約は結ばれたのでしょうか?

C様

はい、その場で署名しました。

編集部

その場で署名!「もう少し高く売れたかもしれない」と考え始めたのは、いつ頃からですか?

C様

「1,000万円以上で売れます」「実際に1,000万円以上で売れました」といったDMやチラシを見たときですかね。実は一度、契約を解除したくて弁護士さんに相談したんですよ。ただ、弁護士費用も高額なので、たとえ契約を解除できて、1,000万円以上で売れたとしても結局手残りは同程度だろうと考え、見送りました。

編集部

手付け解除は検討されましたか?

C様

手付金がなく、解約金は売買契約の2割という契約だったんです。つまり、170万円ということです。この場合も、1,000万円で売れたところで得にはならないので選択しませんでした。

編集部

今回の失敗は、何が要因だったと考えますか?

C様

自分が無知だったということに尽きると思います。思い返せば、このマンションを購入したときから失敗していたのかもしれません。当時1,250万円で不動産会社からこのマンションを購入したのですが、後から相場を大きく上回っていたことを知りました。適正値は1,100万円程度だったようです。

仮に1,100万円で購入し、6年後に当初の買取査定額1,050万円で売れていれば、十分利益が出ていたはずです。第三者の信頼できる人に相談することができれば、高く買い、焦って安く売ることも避けられたかもしれません。本当に正しい情報を得るのは、本当に難しいですよね。

編集部

たしかにそうかもしれませんね。マンションを売る方法や費用、物件選びのコツなどを解説しているメディアはたくさんありますが、自分のシチュエーションずばりの解決方法はどこを探してもないですからね。

C様

最低限、お話を伺ってその場で決断するのは避けるべきでしたね。複数の不動産会社さんに査定依頼するだけでなく、しっかり話を聞き、買主さんともコミュニケーションを取ることが大事だと思いました。

喫茶店で担当者さんが電話で話していた相手が買主さんではなかった可能性もあると思います。一方、本当に金融機関の評価次第では1,200万円で売れたのかもしれません。今となっては真偽はわかりませんが、他の方には僕のような後悔やモヤモヤが残らないようにマンションの売買をしていただきたいと心から思います。

まとめ

この事例のポイント
  • 複数の不動産会社に対して査定を依頼
  • 最も査定額が高かった不動産会社と直接会って話したところ評価額が安いということを知らされる
  • 担当者が電話で買主とやり取りしているところを見て、その場で売買契約書に署名
  • 結果として査定額を350万円下回る金額で成約
  • 解約を検討するも弁護士費用や解約金が高額のため断念

投資用ワンルームマンションを売却されたC様は、複数の不動産会社に査定を依頼したものの、実際に話を聞いたのは1社のみ。その場ですぐに売却を決断し、結果として査定額を350万円下回る金額で成約となりました。金融機関の評価額や買主の状況などの真偽はわかりませんが、C様は「もっと高く売ることができたのではないか」と後悔しているようです。

一括査定によって複数の不動産会社に一括で査定を依頼することができますが、査定額はあくまで不動産会社が売れると推測する金額にすぎず、実際にその金額で売れることが保証されたものではありません。納得できる売却をするには、査定額だけでなく、各社の調査結果や提案された売却方法などを比較することが大切です。

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この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

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