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2022年12月に開催された金融政策決定会合で、日銀は長期金利の変動幅を±0.25%から±0.5%に拡大しました。この影響により、2023年1月に各金融機関は固定金利を引き上げています。
一方の変動金利は、固定金利とは対照的に金利の引下げ競争が激化しており、先月から金利を引き下げた金融機関もありました。
本記事では、2023年1月における金利タイプごとの最安金利や今後の動向を解説します。
日銀が長期金利の変動幅を±0.25%から±0.5%へと拡大したことにより、固定金利の主な指標である10年国債の金利は以下のとおり12月半ばから急上昇しました。
※財務省「国債金利情報」をもとに筆者作成
これまで日銀は、10年国債の金利が0.25%を超えることのないよう、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」をしてコントロールしてきました。
指し値オペは、金利の上昇を抑えるために日銀が指定する利回りで国債を買い入れることです。
国債には価格が上昇すると金利が下がるという特徴があります。
金利が上昇する局面で日銀が10年国債を買い入れると、価格が上がるため金利の上昇を抑えられます。
しかし今回、指し値オペをする金利の基準が0.5%に引き上げられ、事実上の利上げが行われたことで10年国債の金利が大きく上昇しています。
このような状況のなか、2023年1月の住宅ローン金利はどのように変化したのでしょうか。金利上乗せなしで加入できる団信の保障内容もあわせてみていきましょう。団信の保障内容は、以下の通りです。
2023年1月における各金融機関の変動金利は、以下の通りです。
適用金利 | 金利上乗せなしの団信 | |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 年0.475%(±0%) | 一般のみ |
三井住友銀行 | 年0.475%(±0%) | 一般のみ |
みずほ銀行 | 年0.375%(±0%) | 一般のみ |
りそな銀行 | 年0.47%(±0%) | 一般のみ |
SBI新生銀行 | 年0.32%(−0.03%) | 一般または一般+介護保障 |
PayPay銀行 | 年0.349%(±0%) | 一般+がん診断一時金+先進医療給付金または一般+がん50%保障 |
auじぶん銀行 | 年0.389%(±0%) | 一般+がん50%保障 |
住信SBIネット銀行 | 年0.44%(±0%) | 一般+全疾病保障 |
ソニー銀行 | 年0.397%(±0%) | 一般+がん50%保障 |
楽天銀行 | 年0.535%(±0%) | 一般+がん50%保障+全疾病保障 |
イオン銀行 | 年0.38%(−0.14%) | 一般+全疾病保障 |
※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
※イオン銀行は借入額が物件価格の80%以内である場合
※SBI新生銀行は変動フォーカスを選択した場合
2023年1月の最安金利は、SBI新生銀行の年0.32%となりました。SBI新生銀行は、先月まで変動金利を年0.35%としていましたが、今月は年0.03%引き下げています。
2番目に低金利であるのは、先月まで首位であったPayPay銀行の年0.349%であり、長らく最安金利であったみずほ銀行の年0.375%がそれに続く結果となりました。
また、イオン銀行は新規借入時の金利を先月の0.52%から引き下げました。具体的には、借入額が物件価格の80%以内である場合は年0.38%、物件価格の80%を超える場合は0.43%となっています。
なお、auじぶん銀行は引き続き「au金利優遇割」を実施しており、住宅ローンと同時にau回線とauじぶん電気を契約すると、年0.289%での借入が可能です。
借り換えの金利は、先月に引き続きPayPay銀行の年0.33%が最安となっています。また三菱UFJ銀行は、借り換え時の変動金利の最低値を年0.345%に引き下げました。
SBI新生銀行は、借り換え時の変動金利を年0.42%としています。そのため、借り換えの場合は、SBI新生銀行よりもPayPay銀行や三菱UFJ銀行を選んだほうが返済負担を抑えられる可能性があります。
このように、2023年1月の変動金利は金融機関の競争が激化する結果となりました。
固定金利は10年国債の金利を指標に決められているため、2023年の固定期間選択型(10年固定金利)の金利は以下の通り全体的に引き上げられました。
適用金利 | 金利上乗せなしの団信 | |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 年1.05%(+0.18%) | 一般のみ |
三井住友銀行 | 年1.14%(+0.26%) | 一般のみ |
みずほ銀行 | 年1.4%(+0.3%) | 一般のみ |
りそな銀行 | 年1.125%(+0.1%) | 一般のみ |
SBI新生銀行 | 年1.1%(+0.05%) | 一般または介護保障付団信 |
PayPay銀行 | 年1.05%(+0.09%) | 一般+がん診断一時金+先進医療給付金または一般+がん50%保障 |
auじぶん銀行 | 年1.135%(+0.25%) | 一般+がん50%保障 |
住信SBIネット銀行 | 年1.71%(+0.4%) | 一般+全疾病保障 |
ソニー銀行 | 年0.945%(+0.045%) | 一般+がん50%保障 |
楽天銀行 | 年1.442%(+0.044%) | 一般+がん50%保障+全疾病保障 |
イオン銀行 | 年1.44%(+0.45%) | 一般+全疾病保障 |
※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
2023年1月の10年固定金利でもっとも金利が低いのは、ソニー銀行の年0.945%でした。
ただし、ソニー銀行の10年固定金利が年0.945%となるのは、自己資金を10%以上準備した場合です。自己資金が10%未満である場合、10年固定金利は年0.995%となります。
ソニー銀行に次いで金利が低いのは、三菱UFJ銀行とPayPay銀行の年1.05%でした。
三菱UFJ銀行は、先月まで3か月連続で最安金利でしたが、2023年1月に年0.18%引き上げて年1%を超える金利となっています。
変動金利とは対照的に、固定期間選択型はほぼすべての金融機関が1%以上に引き上げる結果となりました。
全期間固定金利についても、金融緩和政策の修正の影響を受けています。
2023年1月のフラット35(買取型)の最低金利は、年1.68%に引き上げられました。先月の年1.65%から年0.03%引き上げられています。※融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利
2021年10月から2023年1月までの推移は、以下の通りです。
※【フラット35】借入金利の推移をもとに筆者作成
※上記は「買取型・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付き」の金利
2022年1月からフラット35の金利は上昇傾向にあり、2023年1月には前年の最高値を上回る結果となりました。
一方で、10年国債金利の上昇幅に比べると、フラット35の金利は微増であるといえます。そのため、2023年2月にはフラット35の金利がさらに引き上げられるかもしれません。
また、大手都市銀行が独自に取り扱っている35年固定金利も、すべて引き上げられています。
三井住友銀行とみずほ銀行は、先月よりも年0.2%以上引き上げています。とくに三井住友銀行の借入金利は、2%台なかばまで上昇しました。
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2022年の最後に日銀の金融緩和政策が修正されたことにより、2023年1月には全期間固定金利と固定期間選択型が全体的に引き上げられました。
また、2023年4月には日銀の黒田総裁が任期満了となるため、日銀総裁が交代されるタイミングで金融政策が修正され、さらに金利が上昇するという意見もあります。
しかし金融政策は、日銀総裁の意見だけで決まるわけではありません。また、景気が上向いていないにもかかわらず金融緩和政策をやめると、ますます景気が後退する恐れがあります。
そのため、2023年になってからもしばらくは金融緩和政策の方針が大きく変更されることはなく、金利の急上昇が起きる可能性は低いといえるでしょう。
ただし、2023年においても世界的なインフレやロシア・ウクライナ情勢は続いており、非常に不安定な状態となっているため、専門家でも正確な予測は困難です。
金利の高低だけで住宅ローンを選ぶのではなく、不動産会社や金融機関、ファイナンシャルプランナーなどに相談をし、ご自身に合った借入方法を慎重に検討しましょう。
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2023年の住宅ローン金利については、以下の記事で詳しく解説していますのでご一読ください。
2023年1月は、長期金利の変動幅拡大を受け、多くの金融機関が固定金利を引き上げました。とくに10年固定金利は、ほとんどの金融機関が1%を超える金利で提供しています。また、フラット35については来月も引き上げられるかもしれません。
一方で変動金利については、SBI新生銀行と三菱UFJ銀行が金利を引き下げており、金融機関同士の金利競争がますます激しくなっています。
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保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。
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