【2023年9月】住宅ローン金利は多くの金融機関が引き下げ!

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2023年9月の住宅ローン金利は、固定期間選択型と全期間固定金利が全体的に引き上げられています。

一方の変動金利については、依然として歴史的な低水準となっています。

では、各金融機関は住宅ローンの金利をどのように設定したのでしょうか。本記事では、2023年9月の住宅ローン金利を金利タイプごとにご紹介します。

目次

2023年9月の住宅ローン金利

まずは、固定金利の指標である10年国債の金利の推移をご紹介します。

※財務省「国債金利情報」をもとに筆者作成

2023年7月28日に開催された金融政策決定会合で、日本銀行(日銀)は、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用方針を変更しました。

方針の変更により、10年国債金利の上限が0.5%から事実上1.0%に引き上げられました。その影響により、金融政策決定会合の終了後から10年国債金利は上昇しています。

後述しますが、10年国債金利が上昇したことで、2023年9月は固定金利が全体的に引き上げられています。

先月までと同様に、金利上乗せなしで加入できる団信の保障内容とあわせてご紹介します。団信の保障内容は、以下の通りです。

  • 一般:死亡または所定の高度障害状態の場合に住宅ローン残高を保障する団信
  • がん50%保障:所定のがんと診断されると住宅ローンの残高が半分になる団信
  • 全疾病保障:病気やけがで働けない状態が一定期間続いたとき
    ※金融機関によって保障内容は異なります。

変動金利

2023年9月の各金融機関の変動金利は、以下の通りです。

スクロールできます
適用金利       金利上乗せなしの団信
三菱UFJ銀行年0.345%(±0%)一般のみ
三井住友銀行年0.475%(±0%)一般のみ
みずほ銀行年0.375%(±0%)一般のみ
りそな銀行年0.37%(±0%)一般のみ
SBI新生銀行年0.29%(±0%)一般または介護保障付き団信
PayPay銀行年0.38%(+0.061%)一般
または一般+がん診断一時金+先進医療給付金
または一般+がん50%保障
auじぶん銀行年0.319%(±0%)満50歳以下:一般または一般+がん50%団信
※がん診断保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障が無料付帯

満51歳以上:一般団信のみ
住信SBIネット銀行年0.32%(±0%)一般
または一般+全疾病保障または一般+全疾病保障+3大疾病保障
※契約者が40歳未満である場合のみ
ソニー銀行年0.397%(±0%)一般または一般+がん50%保障
楽天銀行年0.55%(±0%)一般または一般+がん50%保障+全疾病保障
イオン銀行年0.38%(±0%)一般または一般+全疾病保障

※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
※イオン銀行は借入額が物件価格の80%以内である場合
※SBI新生銀行は変動フォーカスを選択した場合

変動金利については、本記事で紹介している金融機関のほとんどが先月から据え置きとなりました。PayPay銀行のみ、先月から引き上げています。

もっとも金利が低いのは、SBI新生銀行であり最優遇金利は年0.29%です。

次いで低金利なのが、auじぶん銀行。最優遇金利は年0.319%であり、次点の住信SBIネット銀行の借入金利0.32%との差は、わずか0.001%です。

ただし、auじぶん銀行は「au回線」と「じぶんでんき」を契約すると、キャンペーンにより年0.219%となり、SBI新生銀行の借入金利を下回る低金利での借り入れができます。

さらにauじぶん銀行は、ケーブルテレビの「JCOM」を利用すると金利が引き下げられる住宅ローンの取り扱いを、年内に開始する予定です。

auじぶん銀行は2023年7月1日から、がん50%団信の保障が手厚くなりました。具体的には、住宅ローンの契約者が50歳以下である場合、がんの診断時だけでなく、急性心筋梗塞や脳卒中などで所定の状態になったときにも残高の50%を保障されます。
また、すべての疾病で長期の入院したときに住宅ローン残高が0円となる「全疾病保障」も上乗せ金利なしで付帯されます。

借り換えについては、auじぶん銀行の年0.298%がもっとも低金利となりました。

また、住信SBIネット銀行は年0.299%と低金利に設定しており、新規借入と同様にauじぶん銀行との差はわずか年0.001%となっています。

固定期間選択型

続いて、2023年9月の各金融機関の固定期間選択型(10年固定金利)をみていきましょう。

スクロールできます
適用金利金利上乗せなしの団信
三菱UFJ銀行年0.88%(+0.09%)一般のみ
三井住友銀行年1.09%(+0.2%)一般のみ
みずほ銀行年1.35%(+0.15%)一般のみ
りそな銀行年1.515%(+0.18%)一般のみ
SBI新生銀行年1.05%(±0%)一般または介護保障付団信
PayPay銀行年1.23%(+0.23%)一般+がん診断一時金+先進医療給付金
または一般+がん50%保障
auじぶん銀行年1.115%(+0.2%)満50歳以下:一般+がん50%団信
※がん診断保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障が無料付帯

満51歳以上:一般団信
住信SBIネット銀行年1.18%(+0.08%)一般+全疾病保障
または一般+全疾病保障+3大疾病保障
※契約者が40歳未満である場合のみ
ソニー銀行年1.075%(+0.8%)一般+がん50%保障
楽天銀行年1.562%(+0.06%)一般+がん50%保障+全疾病保障
イオン銀行年1.21%(±0%)一般+全疾病保障

※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利

先月から動きがなかった変動金利と比較して、固定期間選択型についてはほとんどの金融機関が引き上げています。

もっとも金利が低いのは三菱UFJ銀行です。最優遇金利は年0.88%であり、本記事でご紹介する金融機関のなかでは、借入金利が唯一年1.0%を下回っています。

次いで金利が低いのは、SBI新生銀行です。最優遇金利は年1.05%です。SBI新生銀行に次ぐのは三井住友銀行であり、最優遇金利は年1.09%となっています。

このように、10年固定金利はほとんどの金融機関が先月から引き上げたことで、最優遇金利は全体的に年1.0%を超える結果となりました。

ソニー銀行の10年固定金利を年0.895%で借り入れるためには、10%以上の自己資金を準備しなければなりません。自己資金10%未満の場合、借入金利は年0.945%となります。

全期間固定金利(フラット35・固定金利35年)

2023年9月のフラット35(買取型)の最低金利は年1.8%でした。先月の年1.72%から年0.08%と引き上げられています。※融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利

2021年10月から2023年9月までの推移は、以下の通りです。

【フラット35】借入金利の推移をもとに筆者作成
※上記は「買取型・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付き」の金利

フラット35の金利は先月まで緩やかに低下していましたが、10年国債金利の上限が引き上げられたことで、今月は引き上げられました。

大手都市銀行が独自に取り扱う35年固定金利の借入金利は、以下の通りです。

  • 三菱UFJ銀行:年1.58%(+0.15%)
  • 三井住友銀行:年2.08%(+0.28%)
  • みずほ銀行:年1.69%(+0.21%)
  • りそな銀行:年1.445%(+0.15%

すべての金融機関が全期間固定金利を引き上げています。とくに三井住友銀行については、年2.0%を超える値に設定しています。

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今後はどうなる?これからの住宅ローン金利を考察

日銀が金融緩和政策の一部を修正したことで、今月は固定金利が全体的に引き上げられました。では、次月以降はどのように推移するのでしょうか。2023年9月4日現在で判明している情報をもとに考察します。

1.0%までの緩やかな金利上昇は容認された

日銀は、7月28日にYCCの運用方法を見直し、長期金利の上昇のキャップ(上限)を事実上1.0%に拡大しました。

一方で、日銀は.5〜1.0%のあいだで長期金利が緩やかに上昇することは容認する考えを示しています。

実際に、運用方法の見直しの発表後、7月31日と8月3日には10年国債金利の急上昇を抑えるために、臨時の国債買い入れオペが実施されました。

10年国債の金利は緩やかな上昇を続ける可能性がある

10年国債の金利が上昇する主な要因は、米国のインフレが原因で発生している日米の金利差です。

米国のインフレはピークを迎えて鈍化したといわれてはいるものの、完全に収束したわけではありません。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、8月26日に開催されたジャクソンホール会議での講演で「インフレ率は依然として高すぎる。適切ならさらに利上げする必要がある」と発言しています。

米国の高金利が続き日米の金利差が縮小しないようであれば、日本の10年国債の金利は、今後も緩やかな上昇を続ける可能性があります。

固定金利は借入時の金利上昇を想定した資金計画を

10年国債の金利が0.7%や0.8%台になれば、住宅ローンの固定金利はさらに上昇するかもしれません。

とはいえ、金利というのは複雑な要素で決まります。「10年国債の金利が今後どうなるのか」を予測して、住宅ローンを借り入れるタイミングや借入額などを決めるのは、現実的ではないでしょう

不動産取引では、不動産の売買契約を結んでから融資が実行されるまで1か月以上開くのが一般的です。

住宅ローンの借入金利は、融資が実行されるタイミングで決まります。

固定金利型の住宅ローンを組むときは、融資の実行時に金利が上昇したとしても、返済に問題がないかを返済シミュレーションでよく確認することが大切です。

まとめ

2023年9月の固定期間選択型(10年固定金利)は、ほとんどの金融機関が引き上げました。本記事でご紹介する金融機関では、三菱UFJ銀行を除いて年1.0%超に設定しています。

全期間固定金利については、大手都市銀行4行がすべて引き上げました。フラット35の借り入れ金利については、年1.8%に引き上げられています。※融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利 

変動金利に、大きな動きはありませんでした。しかし、年内に新たな金利引き下げキャンペーンを開始する金融機関もあるため、金利引き下げ競争が今後さらに激化する可能性があります。

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この記事を書いた人

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。

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