小岩の再開発とは?北口エリアを中心とした街の変化と不動産動向を徹底解説

東京都江戸川区の北端に位置し、千葉県市川市と江戸川を挟んで隣接する小岩エリア。

小岩エリアはJR総武線小岩駅や京成小岩駅を中心に活気ある商店街と閑静な住宅街が広がり、下町ならではの親しみやすさと暮らしやすさが魅力です。

また、近年は駅周辺を中心に大規模な再開発が進み、街の景観や住環境が大きく変わりつつある注目のエリアでもあります。

本記事では小岩エリアの再開発の中心となる北口エリアを軸に、再開発の概要と街に与える変化や不動産動向について解説します。

目次

小岩再開発の概要

出典:江戸川区

まずは小岩エリアの特徴に軽く触れつつ、再開発の概要や目的、現在の進捗状況について見ていきましょう。

小岩再開発の背景と目的

小岩エリアは一般的に、「北小岩」「西小岩」「東小岩」「南小岩」の4つの町の総称として呼ばれています。

江戸時代には小岩を通る佐倉道(現在の千葉街道)に関所が設けられ、江戸と房総(千葉)交通の要衝として栄えていた歴史があります。

明治時代に関所が廃止された後も、戦後のJR総武線や京成線の開通により現在も東京・千葉間の交通を結ぶ拠点としての役割を果たしながら歓楽街や商業の街として発展してきました。

しかし下町らしい魅力を残す味わい深い街として親しまれてきた一方で、小岩では古くから栄えた歴史ある街ならではの課題も顕在化しています。

出典:江戸川区 JR小岩駅周辺地区まちづくり基本計画2019

そのため今回の再開発は地域課題である「駅周辺の老朽化した建物や狭い道路による災害リスク」「人口減少・高齢化によるコミュニティ維持の懸念」を解決する目的で行われています。

小岩駅周辺の再開発計画と進捗状況

小岩駅北口再開発の対象となるのは、JR小岩駅の北口側徒歩2分に位置する2ヘクタールのエリアです。

再開発事業は「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」として、三井不動産レジデンシャルや日鉄興和不動産を中心とした「JR小岩駅北口地区市街地再開発組合」によって進められています。

その再開発の中心となるのが、6,000 ㎡超の交通広場と731戸の分譲住宅、商業施設、業務施設、保育所が入る地上30階建て地下1階建ての複合ビルが一体化したエリア「COIWA PARKs」の建設です。

出典:東京都都市整備局

小岩駅北口の再開発は2021年に東京都によって権利変換計画(土地建物の権利の整理・転換)が認可され、2023年に着工されました。

現在は工事が進行中の状態で、2027年に建物竣工予定、交通広場の整備も含めた全工事の完了予定は2031年とされています。

小岩再開発がもたらす街の変化と魅力

出典:東京都都市整備局

小岩駅の再開発は北口だけでなく南口側でも行われており、再開発が完了した暁には駅周辺は大きく変化します。

次に、再開発による街の変化と新しい魅力について南口側についても触れつつ解説します。

 魅力① 住環境の向上と利便性の進化

小岩駅の再開発では、目的の一つである「人口減少・高齢化によるコミュニティ維持の懸念」の解消に向けた街づくりが進んでいます。

北口側にできる前述の「COIWA PARKs」では、商業施設や分譲住宅がペデストリアンデッキで駅と直結します。

利便性だけでなく移動の安全性も大きく高まり、子連れファミリーや高齢者でも安心です。

また「CO=共に、相互の」という意味を込めて「『CO』IWA」と名付けられた同エリアは、緑豊かなオープンスペースや屋上広場を備え、人と人とのつながりによる新たな街づくりを目指して設計されています。

また、南口側には再開発に伴い2021年に「FIRSTA小岩」が一部開業しています。

現在開業済みのⅠ街区の複合商業施設とⅡ街区の分譲マンション「プラウドタワー小岩ファースト」に加え、2026年1月にはⅢ街区の分譲マンション「プラウドタワー小岩フロント」が竣工し全面開業する予定です。

2025年5月時点

再開発に伴い商業施設が増え駅周辺の整備が進んでいる小岩エリアでは、マンション住民はもちろん周辺住民の利便性や住環境も大きく向上します。

魅力② 防災・防犯面の機能向上

小岩駅北口の再開発では、もう一つの目的である「駅周辺の老朽化した建物や狭い道路による災害リスク」を解消するための取り組みもいくつか行われます。

駅前に新たに整備される約6,100㎡「北口交通広場」には約3,500台分の公共駐輪場が設置され、駅周辺の交通環境が大きく改善される見込みです。

それに加えて、駅北側のシンボルロード「小岩駅北口通り」が従来の9mから18mへと大幅に拡幅され、歩道も広く整備されます。

見通しが良く開放的な空間が生まれることで、歩行者の安全性や安心感にも大きく寄与するでしょう。

また隣接する「COIWA PARKs」は耐震性・耐火性に優れた構造に加え、防災備蓄倉庫や非常用発電設備を備えることで高い防災性を実現します。災害時には一時的な避難場所としても活用される予定で、災害時の安全性も大きく向上します。

魅力③ 下町の魅力と再開発のバランス

小岩駅の南北には約200店舗が並ぶフラワーロードをはじめ昭和通り商店街やサンロードなど多くの商店街が集まり、日々多くの人でにぎわっています。

個人商店も多く、暮らしやすさと昔ながらの活気や下町らしさが息づく雰囲気は小岩の大きな魅力です。

小岩の再開発では、単に整備・建て替えを行い街の利便性と美観を向上させるだけでなく、「緑」や「空の広がり」、「にぎわい」などの「小岩らしさ」を残した再開発を目指しています。

出典:江戸川区 JR小岩駅周辺地区景観形成ガイドライン

実際に再開発で生まれた商業施設のスペースで地元商店街と連携したマルシェやイベントが開催されるなど、新旧の魅力が共存する街として一層価値や魅力が高まっています。

小岩再開発と不動産・マンション市場の関係

出典:東京都都市整備局

次に、小岩エリアのマンション価格と再開発が不動産市場に与える影響についてデータを基に解説します。

北口再開発がマンション市場に与える影響

小岩駅周辺では、現在「パークシティ 小岩 ザ タワー」や「プレディア小岩」、「プレシス小岩ヴェルデ」、「ユニハイム小岩」など複数の新築マンションが販売中です。

さらに今後「プラウドタワー小岩フロント」のほか複数の新築マンション計画が北口・南口側問わず進行中です。

また、利便性の高い小岩エリアは元々人気のエリアであり、中古マンションにおいても比較的流通量が多いことが分かります。

小岩駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別2024年4月~2025年3月の中古マンション新規売出数

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分000000
~徒歩3分128210812
~徒歩5分01722645
~徒歩7分0040533
~徒歩10分0586173
マンションリサーチ調べ

小岩駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別中古マンション坪単価

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分
~徒歩3分369.2万円/坪448.5万円/坪369.5万円/坪299万円/坪204.1万円/坪
~徒歩5分342.2万円/坪333.7万円/坪303万円/坪274.6万円/坪202.4万円/坪
~徒歩7分295.5万円/坪234.2万円/坪198.8万円/坪
~徒歩10分286.7万円/坪282.1万円/坪218.1万円/坪190万円/坪205.5万円/坪
マンションリサーチ調べ

小岩駅周辺800m駅徒歩×築年帯別中古マンション単価(60㎡換算)

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分
~徒歩3分6700万円8139万円6707万円5427万円3704万円
~徒歩5分6212万円6057万円5499万円4984万円3673万円
~徒歩7分5364万円4251万円3608万円
~徒歩10分5203万円5121万円3958万円3449万円3731万円
マンションリサーチ調べ

価格についても見てみましょう。東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」によると、東京都区部の中古マンションの成約坪単価は約381.72万円です。

成約平均築年数の25年で比較すると、小岩エリアの不動産価格は23区のなかではかなり割安であるといえます。

マンションリサーチ

マンション価格の推移で見ても、小岩がある江戸川区のマンションの売却相場は3年前から15%、9年前と比較すると+45.4%と急激に上昇しています。特に北口再開発の権利変換が認可された2021年から上昇のペースが上がっており、再開発がマンション価格にプラスの影響を与えていると考えてよいでしょう。

ファミリー層に人気の理由と今後の住みやすさ

江戸川区は水と緑が多い良好な住環境に加え、「えどがわ50の子育てプラン」と呼ばれる子育て支援施策が充実していることがファミリー層にとって大きな魅力の一つです。

例えば、保育ママを含む幼保小中の給食費無償化や全国初の長期育休支援制度、病児・病後児保育の無償化など子育てファミリーを支援する施策がそろっています。

ほかにも中高生が集える共育プラザ、新婚夫婦にクーポンを配布する結婚パスポートなどの多彩な施策が用意されており、乳幼児だけでなく幅広い世代が切れ目ない支援が受けられます。

また、共働きの多い現代では通勤の利便性も家探しに欠かせない要素です。

小岩はJRで東京駅・新宿駅や千葉方面にダイレクトにアクセスできるという交通利便性に対して、価格が都心部より抑えられている点も幅広い層の購入意欲を後押ししています。

さらに現在進行中の再開発では、駅前の交通広場や歩道の拡幅、緑豊かな広場や公共施設の整備が進み、駅周辺の安全性や利便性、街の美観が大きく向上します。

こうした都市基盤の進化と子育て支援の充実により、今後もファミリー層にとってますます住みやすい街へと発展していくことが期待されています。

 投資用不動産としての注目ポイント

再開発による街としての利便性やブランド力の向上により、小岩エリアは居住用だけでなく不動産投資の対象としても注目されています。

実際、小岩駅周辺の標準的な賃貸マンションの賃料は直近3年間で約5%上昇しており、東京都平均よりは緩やかとはいえ堅調な推移を示しています。

再開発エリアは商業・公共施設の新設・整備により住環境や街の魅力が高まることで、今後も賃貸市場における安定した入居需要や賃料の底堅さが期待できます。

また、今後の再開発の進展に伴うマンション建設による人口流入により、保有不動産の将来的な利回りや資産価値の向上も見込まれます。

再開発エリアの物件すべてが必ずしも値上がりするわけではなく、市場動向や物件選びには慎重な判断が必要です。

しかし、今後の街の成長や賃貸市場の安定性という観点から小岩エリアは引き続き注目すべき投資対象といえるでしょう。

小岩再開発で注目のエリアと物件情報

次に、小岩の再開発で注目すべきエリアと人気のマンションについて見てみましょう。

北口再開発エリアの中心地とは?

ここでは、北口再開発エリアで特に注目される「北口駅前地区(地図内A・2エリア)」の位置関係について、地図的な視点から改めて整理します。

小岩駅北口を出るとすぐに約6,100㎡の交通広場が広がり、その先、蔵前橋通りとの間に再開発の中心となる複合ビル「COIWA PARKs」が位置しています。

ペデストリアンデッキは駅から広場を越えてビルの2階部分に直接つながり、歩行者は駅からそのままビルの2階部分にアクセスできる設計です。「COIWA PARKs」の低層部には商業エリアや屋上庭園、中層部に共用施設、高層部に分譲マンションが配置されています。

出典:江戸川区 JR小岩駅周辺地区景観形成ガイドライン

北口駅前地区が再開発の象徴である一方、南口側でも駅にほど近い「六丁目地区」「七丁目地区」を中心に複数の大規模再開発が進行中です。

七丁目地区では44階建てタワーマンションを含む新しい住宅・商業複合施設の建設が進められており、今後南口でも再開発の中心となるような複合施設が増えていく見込みです。

小岩エリアのおすすめマンション

小岩エリアでは今後も分譲マンションの販売が予定されていますが、ここでは現在販売中の分譲マンションについていくつかピックアップして紹介します。

(※物件情報は2025年5月時点で掲載)

北口エリア

パークシティ小岩 ザ タワー

2025年5月時点

JR小岩駅北口より駅直結で徒歩3分、地上30階建て「COIWA PARKs」内、総戸数731戸の大規模タワーマンション。

間取り:1LDK~3LDK(44.18㎡~75.20㎡)

価格帯:6298万円(1戸)~1億3990万円(1戸)

入居予定:2027年4月下旬以降

プレディア小岩

2025年5月時点

JR小岩駅徒歩6分、地上14階建て・総戸数56戸の「和」のテイストを取り入れた品のあるデザインの中規模マンション。

間取り:3LDK(66.87㎡~73.68㎡)

価格帯:7,858万円

入居予定:2026年1月下旬

南口エリア

ユニハイム小岩

2025年5月時点

JR小岩駅徒歩4分、総戸数45戸の人目を惹くデザインと高いセキュリティ設備が特徴のマンション。

間取り:2LDK+S(納戸)(58.02㎡〜74.98㎡)

価格帯:6,590万円~8,990万円

入居予定:2026年5月下旬

また現在販売中の物件はありませんが、JR小岩駅徒歩3分の「アルファグランデ小岩スカイファースト」も好立地と充実した共用施設が人気のマンションです。

小岩エリアでのマンション購入を検討している方はチェックしておくのがおすすめです。

小岩再開発に関するよくある質問

最後に、小岩エリアの再開発に関する疑問について簡単にまとめました。

小岩駅北口の再開発はいつ完了予定?

小岩駅北口の再開発は2023年に着工し、建物竣工は2027年、交通広場の整備を含めた全体の完了は2031年の予定です。今後数年で変わっていく街並みに期待が寄せられます。

再開発で商店街や地元文化はどうなる?

小岩エリアの再開発では、既存の商店街や下町らしい雰囲気を残しつつ利便性・安全性が向上する街づくりが進められています。

現在も再開発エリアの商業施設やイベントスペースを通じた地元文化との交流が行われており、新旧融合した新たな魅力が今後も生まれてくるでしょう。

小岩エリアの不動産価格は今後上がる?

元々高い交通利便性に加えて、北口・南口一体となった再開発による利便性や住環境の向上、商業施設の充実などを背景に今後小岩エリアは幅広い層から需要が集まると考えられます。

また、全体的に価格が高騰している東京23区のなかで、小岩エリアのマンション価格は利便性の割には価格が抑えられている「お買い得エリア」といえるでしょう。

そのため、小岩エリアの不動産価格は今後も上昇傾向が続くと見込まれています。

まとめ

小岩エリアでは「100年栄えるまちづくり」を掲げ、官民一体となった大規模な再開発を中心に据えた街づくりが進められています。

北口・南口の両エリアで駅近・大型・多機能な新築マンションが続々と誕生し、駅直結や商業施設併設による高い利便性と、下町らしい暮らしやすさが共存する街へと進化しています。

生活や交通の利便性が高く、新旧の魅力を織り交ぜながらさらなる発展を続ける小岩駅エリアのマンションは新たな住まいとしても投資対象としても注目です。

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この記事を書いた人

不動産会社での賃貸管理業務・一般事務経験と親族保有のマンションの管理業務経験を持つ不動産メインのライターで、2024年1月に個人事業主として開業。宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・ファイナンシャル・プランニング技能士2級をはじめ不動産・金融を中心に多くの資格を保有し、資格や学習系の執筆もあわせ500記事超を執筆。
パソコンインストラクター経験も活かした「分からない状態で読んでも理解できる記事作り」に日々取り組む。

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