
赤羽駅周辺では現在、「赤羽駅西口地区第一種市街地再開発事業」や「赤羽台団地再整備事業」をはじめとする大規模な再開発が進行中です。これらの再開発プロジェクトは街の景観や利便性を向上させるだけでなく、マンション市場にも大きな影響を与えています。
本記事では、赤羽再開発の全体像とその進捗状況、再開発がもたらす街の変化、そしてマンション価格や資産価値への影響について詳しく解説します。
赤羽再開発の概要
赤羽駅周辺では複数の再開発プロジェクトが進行中です。これらのプロジェクトが街をどのように変えていくのか見ていきましょう。
赤羽駅周辺の再開発とは?背景と目的
赤羽駅周辺の再開発は、東京都北区の都市計画マスタープランに基づいて進められているプロジェクトです。
この再開発は、駅周辺の老朽化した建物の建て替えや都市基盤の整備を通じて、地域の防災性向上と生活利便施設の充実を図ることを主な目的としています。
赤羽駅は北区の玄関口として重要な交通結節点であり、JR東北本線(宇都宮線)、JR京浜東北線、JR埼京線、東京メトロ南北線が乗り入れる交通の要衝です。しかし、駅前の建物の多くは築年数が経過し、防災面や機能面での課題を抱えていました。
再開発の基本方針としては、「安全で快適な歩行空間の確保」「商業・業務機能の強化による地域活性化」「良質な都市型住宅の供給」「防災機能の強化」が掲げられています。特に赤羽駅西口地区では、地区計画による街区の再編や高度利用を図り、商業施設と住宅の複合開発が進められています。
赤羽再開発の進捗状況と今後の予定
赤羽駅周辺の再開発プロジェクトの中で最も注目されているのが「赤羽駅西口地区第一種市街地再開発事業」です。
約0.7ヘクタールの区域で、2025年10月に除却工事が始まり、2026年10月から建設が本格化。
2029年6月の竣工を目指しています。
計画では、地上26階の住宅・商業複合ビルが建設され、低層階に商業施設、上層階には住宅が配置される予定です。
東口エリアの再整備が進むことで、赤羽駅全体の利便性もより高まることが期待されます。
一方、「赤羽台団地再整備事業」では、UR都市機構が段階的に団地を建て替え中です。

すでに複数の街区で整備が完了し、最終的には約4,500戸の住宅と商業・公共施設が整備される予定です。
街路や公園、公共施設の整備も並行して進み、「ヌーヴェル赤羽台」として新しい街並みが形成されています。
また、志茂エリアでは、駅周辺のバリアフリー化工事が進められており、エレベーター設置や歩道整備が完了しました。今後も周辺道路の改良や小規模な再開発が続きます。
再開発がもたらす赤羽の街の変化
赤羽の再開発により、街の姿は大きく変わりつつあります。ここでは具体的にどのような変化が起きているのかを見ていきましょう。
駅前エリアの整備と商業施設の充実
赤羽駅西口では、駅前広場の整備が進められ、バスやタクシー乗り場が整備されました。
また、駅直結の歩行者デッキの新設も計画されており、雨天時でも快適に移動できる環境が整備されつつあります。
再開発ビルの低層階には商業施設の設置が予定されており、食品スーパーや飲食店、アパレルなどの店舗が入居する計画です。これにより、駅前の買い物環境が整い、生活の質が向上することが期待されています。
既存の「ビビオ赤羽」「アピレ」などの商業施設も、再開発に合わせてリニューアルが進んでいます。
特に「ビビオ赤羽」では近年リニューアルが進められ、新たな店舗が続々とオープンしています。
これらの商業施設の充実により、赤羽駅周辺は単なる通過点ではなく、買い物や食事を楽しめる目的地としての魅力を高めています。
防災・防犯機能の向上
赤羽の再開発では、利便性の向上とあわせて、防災・防犯といった“安心して暮らせるまちづくり”の実現も重視されています。
たとえば「赤羽駅周辺地区まちづくり基本計画」では、「安全・安心で快適に過ごせるまち」を方針のひとつに掲げており、災害時の対応力向上や防犯環境の整備が目標として示されています。
再開発により整備される建築物には、耐震性能の向上や非常用電源の確保、防災備蓄機能の導入が想定されており、災害発生時には一時的な避難場所としても活用できる設計が検討されています。
また、駅前広場や歩行者デッキなどの公共空間においても、防犯カメラの設置や夜間照明の強化といった安全対策が進められているのも特徴です。とくに駅周辺の歩行者動線の視認性が向上し、夜間の安心感を高める取り組みが広がっています。
こうした施策は、再開発を通じて「通勤・通学に便利な街」から「日々安心して暮らせる街」への進化を支える土台として、地域の信頼性向上にもつながるでしょう。
下町情緒と都市化のバランス
赤羽の魅力のひとつは、昔ながらの雰囲気が残る商店街にあります。「赤羽一番街」や「赤羽銀座」などはその代表で、とくに赤羽一番街は東京を代表する飲み屋街としても知られ、多くの人に親しまれています。
再開発においても、こうした下町情緒を大切にする方針は維持されており、商店街の雰囲気をできるだけ残しながら、新たな都市機能を取り入れる工夫が進められています。
北区の都市計画では、再開発エリアと既存商店街のつながりを強めるため、歩きやすい動線の整備や案内サインの設置が進められており、回遊性の向上が期待できるでしょう。
赤羽再開発とマンション市場への影響
再開発は赤羽エリアの不動産市場にも大きな影響を与えています。特にマンション価格の動向は注目されています。
赤羽駅周辺のマンション価格動向
現在の赤羽駅周辺のマンションの築年数・駅までの距離、価格の関係性は以下のとおりです。
赤羽駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別2024年4月~2025年3月の中古マンション新規売出数
~築1年 | ~築5年 | ~築10年 | ~築15年 | ~築20年 | 築21年以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
徒歩1分 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
~徒歩3分 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 5 |
~徒歩5分 | 0 | 6 | 15 | 14 | 10 | 64 |
~徒歩7分 | 0 | 10 | 6 | 8 | 11 | 35 |
~徒歩10分 | 0 | 6 | 5 | 20 | 10 | 38 |
赤羽駅周辺800m 駅徒歩×築年帯別中古マンション坪単価
~築1年 | ~築5年 | ~築10年 | ~築15年 | ~築20年 | 築21年以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
徒歩1分 | – | – | – | – | – | – |
~徒歩3分 | – | – | – | – | 369.3万円/坪 | 349.1万円/坪 |
~徒歩5分 | – | 491.4万円/坪 | 338.7万円/坪 | 390.7万円/坪 | 303万円/坪 | 280.5万円/坪 |
~徒歩7分 | – | 425.2万円/坪 | 356.5万円/坪 | 396.9万円/坪 | 310万円/坪 | 258.1万円/坪 |
~徒歩10分 | – | 417.3万円/坪 | 364.5万円/坪 | 347.5万円/坪 | 318.6万円/坪 | 240.9万円/坪 |
赤羽駅周辺800m駅徒歩×築年帯別中古マンション単価(60㎡換算)
~築1年 | ~築5年 | ~築10年 | ~築15年 | ~築20年 | 築21年以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
徒歩1分 | – | – | – | – | – | – |
~徒歩3分 | – | – | – | – | 6703万円 | 6336万円 |
~徒歩5分 | – | 8919万円 | 6147万円 | 7091万円 | 5500万円 | 5091万円 |
~徒歩7分 | – | 7717万円 | 6471万円 | 7204万円 | 5627万円 | 4684万円 |
~徒歩10分 | – | 7573万円 | 6615万円 | 6308万円 | 5783万円 | 4372万円 |
徒歩距離別に見ると、赤羽駅から徒歩5分圏内にある築15年以上の物件数は88戸、築20年以上に限定すると74戸にのぼります(2024年4月時点の調査データより)。
さらに、赤羽駅周辺のマンション価格は、再開発の進行とともに上昇傾向が続いています。特に駅から徒歩5分圏内の物件では、㎡単価が80万円台から100万円を超える例も見られます。
例えば、「プラウド赤羽」では、2025年2月に販売された8階の71.46㎡の住戸が7,580万円(㎡単価約106万円)で取引されました。また、同年4月から6月にかけて、65㎡の住戸が5,980万円(㎡単価約92万円)で販売されています。
駅近エリアでは新築・築浅物件が少ないため、中古マンションの資産性が注目されています。
築年数に対して適切に管理・修繕されているかどうかが、選定時の大きな判断材料となるでしょう。
こうした価格上昇は、赤羽エリア全体に対する将来性への期待感を示しており、今後も再開発の進展にあわせて緩やかな上昇が続くと見込まれています。

新築・中古マンションの選び方
赤羽でマンションを選ぶ際は、再開発の状況や将来計画を踏まえることが大切です。
2026年に赤羽駅西口の再開発が完了すれば、周辺の利便性は大きく向上し、物件価値も高まると予想されます。
新築では、再開発エリア内の大規模タワーマンションと、周辺の中小規模マンションが選択肢となるでしょう。
前者は共用施設が充実していますが、管理費や修繕費が高め。後者は設備は控えめながら、価格が抑えられています。
中古物件を選ぶ場合は、築年数に加えて大規模修繕の実施状況や、管理組合の運営体制も確認しておきたいポイントです。1990〜2000年代築のマンションが多く、すでに修繕を経験している物件がおすすめです。
さらに、新設の歩行者デッキや新商業施設に近いなど、再開発の恩恵を受けやすい立地かどうかも重要な判断材料のひとつでしょう。
投資対象としての赤羽エリアの魅力
赤羽が投資先として人気なのは、都心へのアクセスの良さです。
JR埼京線で新宿まで約18分、JR京浜東北線で東京駅まで約20分と、通勤・通学に便利な立地でありながら、周辺エリアと比較して相対的に手頃な価格帯が魅力となっています。
また、単身世帯からファミリー層まで幅広いニーズがあり、特に若手社会人や新婚世帯からの需要が高いエリアです。
さらに、再開発によるエリア価値の上昇も見逃せません。
駅前整備や防災機能の強化など、生活利便性が高まることで、将来的な資産価値の安定や上昇が見込まれます。
特に再開発完了後は、エリアのブランド力強化による価格上昇が期待されるでしょう。
投資戦略としては、再開発の恩恵を受ける立地の中古マンションを購入し、軽微なリノベーションを行った上で賃貸に出す方法が、初期投資を抑えつつ安定したキャッシュフローを得られる選択肢として人気です。
再開発による成長ポテンシャルと、交通利便性を兼ね備えた赤羽は、居住用にも投資用にもバランスの取れたエリアといえるでしょう。
再開発で注目される赤羽エリアとおすすめ物件
赤羽の再開発は特定のエリアで重点的に進められています。ここではその主要エリアの特徴と、注目のマンション情報を紹介します。
赤羽駅西口・赤羽台・志茂エリアの特徴
赤羽エリアの再開発は、駅西口・赤羽台・志茂の各エリアで個性豊かに進行しています。
赤羽駅西口では、駅近に地上26階・約108mの商住複合施設が建設され、商業施設と住宅が一体となった新たなランドマークが誕生予定です。

また、赤羽台エリアでは、駅徒歩5分の立地に地上29階・約95mのタワーマンションを中心とした「赤羽台ゲートウェイ計画」が進行中で、緑豊かな住環境と多世代交流の場が特徴です。

志茂エリアは落ち着いた住宅街として知られ、バリアフリー化やインフラ整備が進み、利便性と住みやすさが向上しています。各エリアとも今後の資産価値や快適性に注目が集まっています。
赤羽エリアの注目マンション情報
赤羽エリアでは、再開発により注目マンションが続々と登場しています。
まず、赤羽駅東口では「赤羽一丁目第一地区第一種市街地再開発事業」という名称で、地上26階・地下1階、高さ約108m、総戸数約270戸のタワーマンションが2026年度着工、2029年度竣工予定です。
低層部には商業施設が入り、駅前の利便性が大きく向上します。
また、赤羽台エリアでは「赤羽台ゲートウェイ計画」が進行中で、地上29階・地下2階、高さ約95m、総戸数553戸の大規模分譲タワーマンションが2025年着工、2029年竣工予定です。
カフェやグローサリー、コワーキングスペース、クリニックなど生活利便施設を併設し、緑豊かな住環境と快適な都市生活の両立を叶えてくれるでしょう。
さらに、駅徒歩7~8分の「シティテラス赤羽 THE EAST/THE WEST」は全438戸の大規模レジデンスで、2駅7路線利用可能なアクセスの良さと子育て環境の充実が特徴です。
これらの新築マンションは、赤羽エリアの新たなランドマークとして注目されています。
赤羽再開発に関するよくある質問
赤羽の再開発に関して、多くの方が気になる質問とその回答をまとめました。これから赤羽エリアでの住まい探しや投資を検討している方の参考になれば幸いです。
まとめ
赤羽の再開発は、防災性と生活利便性を高める街づくりプロジェクトです。
2026年から2030年にかけて、駅西口や赤羽台などで再開発が進み、駅前の整備や商業施設の拡充、住宅の高層化が進行中です。
下町のにぎわいを残しつつ、新しい都市機能を取り入れたまちづくりが特徴で、暮らしやすさと将来性の両立が期待されています。
また、マンション市場では再開発の影響で価格上昇が続いており、利便性の高さや今後の資産価値の向上への期待から、居住用・投資用どちらの視点からも注目を集めています。
再開発とともに進化を続ける赤羽は、住みやすさと将来性の両方を兼ね備えた、都内でも特に注目すべきエリアのひとつといえるでしょう。