MENU

新小岩の再開発とは?街の変化と再整備の進捗・注目ポイントを徹底解説

葛飾区の中で最も利用者が多いJR総武線「新小岩」駅周辺では、大規模な再開発が進められています。

駅前広場の整備などすでに完了している開発も見られ、駅周辺の景観や利便性、回遊性は一段と高まっています。

現在は南口エリアを中心に再開発が進められており、2032年度には地上39階建ての超高層タワーマンションが竣工する予定です。

目次

新小岩再開発の概要  

新小岩駅南口地区第一種市街地再開発事業 事業計画書
出典:新小岩駅南口地区市街地再開発組合「新小岩駅南口地区第一種市街地再開発事業 事業計画書

新小岩駅南口では現在、開発総面積約1.5haにおよぶ大規模な再開発が進められています。

新小岩再開発の背景と目的  

新小岩駅南口の再開発の主な目的は、次のとおりです。

  • 駅前・浸水想定エリアにおける防災の拠点づくり
  • 交通結節機能強化に資する基盤整備の実現
  • 多様な世代の居住促進を図りつつ「新しい生活様式」に対応した質の高い住宅整備
  • 賑わいある良好な景観形成

現在、新小岩駅南口は、低未利用地や建物の老朽化、未接道敷地の存在が課題となっています。

同エリアは葛飾区都市計画マスタープランにおいて「広域複合拠点」に位置づけられているものの、駅前に相応しい有効な土地利用がなされていません。

駅周辺の横断歩道撤去・新設、南北自由通路や駅前の整備などによって街の様相が変化している中、再開発によって新小岩駅南口の交通環境や防災性向上を図ることを目的としています。

新小岩再開発の進捗状況と今後のスケジュール

新小岩駅南口エリアにおける再開発事業は、2019年に準備組合が設立し、2022年11月に東京都知事に認可されました。2025年度に建設工事が開始され、完成は2032年を予定しています。

また、再開発事業を含む「新小岩駅周辺まちづくりプラン」では、以下の4つの方針の下、おおむね20年間の行政計画が立てられています。

  • だれもが安全で快適に移動できるウォーカブルなまち
  • 訪れて楽しい、住んで心地よいまち
  • 防災力を高め、安心して暮らし続けることのできるまち
  • 一人ひとりが生き生きと輝けるまち

2020年には駅前広場のバリアフリー改修工事が、2023年3月には新小岩駅の南北自由通路が完成し、利便性や回遊性が向上しました。

新小岩駅周辺の再開発で変わる街の姿

出典:葛飾区「新小岩駅周辺まちづくりプラン【概要版】

新小岩駅周辺では、駅前広場や道路の整備など、さまざまな取り組みが進んでいます。駅前広場の整備など、すでに完了している開発もあります。

駅前空間の整備と歩行者動線の改善  

2020年には駅前広場のバリアフリー改修工事が、2023年3月には新小岩駅の南北自由通路が完成し、利便性や回遊性が向上しました。

加えて、駅周辺道路の電線類の地中化などの基盤整備が進められており、歩行環境が改善しつつあります。

一方、新小岩駅は葛飾区内で最も自転車乗り入れ台数が多く、駅周辺の路上への放置自転車が問題視されています。

自転車駐車場も多数立地しているものの、駅利用だけでなく商店街の利用者も多いことから、さらなる整備が望まれます。

地域のにぎわいと下町文化の融合  

再開発によって超高層ビルの建築が予定されている新小岩駅周辺は、下町情緒も色濃く残るエリアです。

駅前ロータリーを挟んで伸びる全長420mの「新小岩ルミエール商店街」は飲食店や雑貨店など約140店舗が入居し、地元の方だけでなく多くの人を惹きつけています。

自治会や商工会の活動も活発で、新小岩駅周辺ではお祭りや季節のイベントなどが多数企画されています。

区内の外国人の約3割が新小岩地域に居住しており、国際交流もさかんです。

再開発によって駅周辺は大きく変わりつつありますが、既存の組織や団体の活動に対する支援を強化し、今後も地域特性を活かした持続可能なまちづくりを進めていく方針が示されています。

新小岩再開発とマンション・不動産市場の関係  

新小岩駅周辺は、交通利便性が高いといった元来持ち合わせているポテンシャルの高さもあって、マンション価格が上昇傾向にあります。

子育て世帯など若年層の人気も高く、再開発によって利便性も高まっていることから、今後一層の価値上昇が見込まれます。

住みやすさとファミリー層の支持  

新小岩駅周辺の人口・世帯数
出典:葛飾区「新小岩駅周辺まちづくりプラン

新小岩駅は東京駅まで約13分という利便性の高さから、駅利用者数が年々増加傾向にあります。

駅周辺には主要幹線道路の「平和橋通り」や「蔵前橋通り」が通っており、首都高速中央環状線「平井大橋IC」からも至近。千葉方面へのアクセスが良い一方、都心部と比べて地価や家賃が安い傾向にあります。

駅周辺には大きな商店街や公園、総合病院なども点在していることから、とくにファミリー層に人気があります。

2022年時点の15〜64歳の人口割合は、全国平均の59.5%より多い67.4%。世帯数も年々増加し続けています。

再開発によるマンション価格の動向  

新小岩駅周辺800m「駅徒歩×築年帯別」2024年4月~2025年3月中古マンション新規売出数

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分000000
~徒歩3分01000655
~徒歩5分0086717
~徒歩7分04001132
~徒歩10分01133647
マンションリサーチ調べ

新小岩駅周辺800m「駅徒歩×築年帯別」2024年4月~2025年3月中古マンション新規売出数坪単価

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分
~徒歩3分447万円/坪297万円/坪246万円/坪
~徒歩5分334万円/坪310万円/坪345万円/坪227万円/坪
~徒歩7分352万円/坪317万円/坪205万円/坪
~徒歩10分384万円/坪287万円/坪273万円/坪264万円/坪211万円/坪
マンションリサーチ調べ

新小岩駅周辺800m「駅徒歩×築年帯別」2024年4月~2025年3月中古マンション単価(60㎡換算)

スクロールできます
~築1年~築5年~築10年~築15年~築20年築21年以上
徒歩1分
~徒歩3分8,111万円5,392万円4,465万円
~徒歩5分6,061万円5,631万円6,269万円4,127万円
~徒歩7分6,388万円5,758万円3,719万円
~徒歩10分6,967万円5,218万円4,949万円4,798万円3,827万円
マンションリサーチ調べ

2024年4月~2025年3月にかけて新小岩駅周辺800m圏内で売り出されたマンションの数や単価は、上記のとおりです。売却されているマンションはほぼ築21年以上で、築浅物件の希少性が高いことがわかります。

また、駅近物件の数も少ないことから、開発中の駅前マンションは高い需要が見込まれます。

2025年公示地価上昇率

前年比上昇率
葛飾区住宅地平均5.4%
新小岩(葛飾ー23)5.6%

2025年の公示地価は、葛飾区の住宅地が前年比5.4%上昇したところ、新小岩駅周辺の地点の上昇率は5.6%と葛飾区の平均を上回っています。

葛飾区では京成立石や金町、小岩などで再開発が進んでおり、住宅地、商業地ともに地価は上昇傾向にあります。

再開発エリアでのマンション選びのポイント  

2032年には、駅前に総戸数543の超高層タワーマンションが竣工します。

大規模マンションやタワーマンションの開発が、周辺の中古マンション価格に影響することも少なくありません。

再開発への期待も重なり、駅近物件の資産価値はさらに上昇する可能性が高いといえるでしょう。

出典:葛飾区

ただし、新小岩駅周辺は大規模な大雨があった際に浸水や内水氾濫などが危惧されるエリアです。

昭和20年代には、台風によって利根川が決壊し、深刻な被害を受けました。

地盤沈下による「広域ゼロメートル市街地」にも位置することから、大規模な水害が発生した際に甚大な被害が生じる可能性があります。

危険性があることはもちろんですが、大規模災害発生後に資産価値が大きく下落するリスクもあります。

マンションの購入を検討する場合は、ハザードマップなどで自然災害リスクおよび避難場所を確認しておくことが大切です。

新小岩再開発で注目のエリアと物件

2025年現在、再開発が進められているのは南口エリアですが、北口エリアもまちづくり構想に着手しています。

北口エリアの注目プロジェクト  

新小岩駅北口周辺は現在、対象区域の不動産所有者や商店会などで形成される「新小岩北口ReDESIN会議」によってまちづくり構想が進められています。

現在は構想段階ですが、職住商学が集積された新たな文化を創出するエリアとして、以下を基本方針とする将来像が描かれています。

  • 新たな時代の「駅まち空間」にふさわしい商業・業務・文化・教育・居住など多様な都市機能の誘導
  • 快適で、居心地の良いパブリック空間の創出
  • 回遊性が高く、誰もがより安全安心に歩きたくなる歩行者空間の形成
  • 治安が維持され、居住者のみならず来街者も惹きつける、更なる魅力ある商店街の形成
  • 震災や水害への対応に配慮した、レジリエントな「駅まち空間」の形成
  • 誰もが活躍できる機会の創出やまちづくりに参画しやすい環境づくり

今後は、検討組織の設立と具体的なまちづくりの検討が想定されています。

南口エリアの整備内容と今後の展望  

新小岩 再開発
出典:葛飾区「新小岩駅南口地区第一種市街地再開発事業

新小岩駅南口地区の再開発は現在、A地区とB地区に分けて進められています。駅前広場の整備など、すでに完了している開発も見られます。

駅広場北側「A地区」

駅広場の北側に位置する「A地区」は、駅近接の立地環境にふさわしい、駅利用者の利便性向上及び駅前の活力を高める商業・業務・サービス機能の導入を基軸に開発が進められています。

具体的には、以下の2棟の建築が予定されています。

  • 9階建てのオフィス・商業等複合施設
  • 11階建てのオフィス・商業等複合施設

駅広場南側「B地区」

新小岩 再開発 タワーマンション
出典:三井不動産レジデンシャル・首都圏不燃建築公社

一方、駅広場の南側に位置するB地区では、低層部は商業施設やオフィス、高層部は住宅が入居する超高層複合タワーマンションの建設が進められています。

地上39階建てで、高さは約160m。住宅階は7〜39階で、総戸数は543戸を予定しています。

事業者は、三井不動産レジデンシャルと首都圏不燃建築公社に決まっています。

住宅棟は「ZEH-M Oriented」の取得を予定しています。

ZEH-M Orientedとは、断熱性能を向上させ、高効率の設備を導入することでマンション全体の一次エネルギー消費量を一定程度削減するマンションです。

夏は涼しく、冬はあたたく、光熱費削減にも寄与します。

南口エリアの工事着工は2025年度、竣工は2032年度を予定しています。

新小岩エリアのおすすめマンション情報  

新築

レーベン新小岩CENTERPLACE
  • 所在:江戸川区中央1丁目
  • 交通:JR.総武線快速「新小岩」駅徒歩21分
  • 引き渡し予定:2025年11月下旬
  • 総戸数:47
  • 価格:4,100万円台〜6,100万円台(予定)
  • 間取り:2LDK〜3LDK
  • 平米数:56.54㎡〜74.11㎡
  • その他:一部旧法借地権

中古

シティテラス新小岩
マンション名シティテラス新小岩
(CITY TERRACE新小岩)
住所東京都葛飾区新小岩2丁目1-9
ストリートビューで見る
管理会社住友不動産建物サービス
土地権利所有権
用途地域商業地域
第一種住居地域
建物構造RC(鉄筋コンクリート)
修繕積立金
※最新売出事例より算出
約114円/㎡ 〜 133円/㎡  (2025年05月事例参照)
修繕積立金の推移グラフを見る
管理費
※最新売出事例より算出
約256円/㎡ 〜 295円/㎡  (2025年05月事例参照)
管理費の推移グラフを見る
築年数2022年5月(築3年)
階数15階
総戸数(棟総戸数)268戸
旧分譲主住友不動産
施工会社長谷工コーポレーション
間取り2LDK, 3LDK
専有面積61.01㎡ 〜 70.02㎡
バルコニー面積11.42㎡ 〜 11.82㎡

シティテラス新小岩の情報をチェック

レーベン新小岩INNOVIA
マンション名レーベン新小岩INNOVIA
(LEBEN新小岩INNOVIA)
住所東京都江戸川区本一色1丁目34ー16
ストリートビューで見る
最寄り駅総武・中央緩行線「新小岩駅」徒歩17分
総武本線「新小岩駅」徒歩17分
管理会社レーベンコミュニティ
土地権利所有権
用途地域準工業地域
近隣商業地域
建物構造RC(鉄筋コンクリート)
修繕積立金
※最新売出事例より算出
約82円/㎡ 〜 88円/㎡  (2025年05月事例参照)
修繕積立金の推移グラフを見る
管理費
※最新売出事例より算出
約214円/㎡ 〜 230円/㎡  (2025年05月事例参照)
管理費の推移グラフを見る
築年数2017年2月(築8年)
階数11階
総戸数(棟総戸数)197戸
旧分譲主タカラレーベン
施工会社ライト工業
間取り3LDK, 4LDK
専有面積65.96㎡ 〜 80.91㎡
バルコニー面積11.83㎡ 〜 15.75㎡

レーベン新小岩INNOVIAの情報をチェック

葛飾区新小岩のマンション売買価格相場をチェック

新小岩再開発に関するよくある質問  

新小岩再開発はいつ完了予定?

現在進められている南口エリアの再開発は、2032年度に完了する予定です。

駅前の商業施設はどう変わる?

南口駅広場の北側に位置する「A地区」では、地上9階・11階のオフィス・商業等複合施設が開発中です。

駅広場南側の「B地区」でも、商業施設も入る超高層タワーマンションの建設が決まっています。

新小岩のマンション価格は今後上がる?

再開発が進むエリアでは、地価の上昇やマンションの需要向上が見られます。

新小岩駅周辺も再開発への期待の高まりとともに、マンション価格の上昇が見込まれます。

まとめ

新小岩駅周辺は、再開発によって生まれ変わろうとしています。

2032年には、南口駅前に地上39階建ての超高層タワーマンションが竣工し、景観も大きく変わることでしょう。

23区の中では比較的マンション価格が安い一方で、交通利便性は高く、住環境も良好であることから、今後ますます人気のエリアになっていくかもしれません。

再開発への期待感がさらにこの動きを助長する可能性があります。

すみかうるの記事をシェアする

この記事を書いた人

亀梨奈美のアバター 亀梨奈美 不動産ジャーナリスト/株式会社realwave代表取締役

大手不動産会社退社後、不動産ライターとして独立。
2020年11月 株式会社real wave 設立。
不動産会社在籍時代は、都心部の支店を中心に契約書や各書面のチェック、監査業務に従事。プライベートでも複数の不動産売買歴あり。
不動産業界に携わって10年以上の経験を活かし、「わかりにくい不動産のことを初心者にもわかりやすく」をモットーに各メディアにて不動産記事を多数執筆。

目次