マンションナビマガジンZERO2024_winterで取り上げた「EMLabo榎本代表とマンションリサーチ代表山田の対談」の 続編となります。
会社を大きくするより、一人ひとりと強くつながっていたい

EMLaboさんは、採用はしているんですか?



私はお互いが「一緒に仕事したい」と思えるかどうかをとても大切にしているので、こちらから「採用するから来てください」ということはしていないです。
弊社のエージェントは、皆さんご縁があって出会った方ばかりです。



事業を拡大するから人を集めるのではないということですね?



父の会社がどんどん大きくなっていくのを見てきたこともあって、最初は「会社は大きくしていくもの」と考えていました。でも、理想の経営者像を考えたとき、私は一緒に働いてくれる人の家族を知っていたいし、体調もわかっていたいと思ったんです。
大きい会社であっても実現可能なのかもしれないけど、人を増やして会社を大きくするより、ひとり一人と強くつながっていたいんですよね。



多くの不動産会社は「営業担当者の数=売り上げ」と考えて、事業が軌道に乗ってきたら人を増やし、事業を広げていくと思うのですが、榎本さんは「同志を増やしたい」という気持ちが強いのかなぁ。



そうかもしれないです。
「共に豊かに」というのが私のコンセプトなので、別の業者さんとコラボさせていただく機会も多いですよ。共同仲介ではなく、たとえば物件調査だけをうちがやるとか。
心から信頼する方は、たとえ別業者さんであっても同志だと思っています。講座を受講していただいた方も同じです。



講座は同志を集めることを目的に始めたんですか?



いえ、同志が増えてくれたのは結果論で、この仕事を長く楽しく続けていける人を増やしたいという気持ちから始めました。
会社は存続させることに意味があります。父の会社が倒産しているのを見ているので、これは強く思います。



やはり、資格を持っているだけでは稼げないじゃないですか。
「利益が出ないから辞めようと思います」「免許を返納します」という方を見ると、いやいやちょっと待ってと。やり方教えるから頑張ろうよ、という気持ちになってしまって。



男前ですね(笑)



「やり方がわからない」「もう辞めようかな」という方は、過去の自分なんです。
未経験の私ができたのだから、他の人にも必ずできると思っています。
重視するのは「人」としての部分



「同志」と呼ぶのはどんな方が多いですか?



共通するのは「時間を守る」「乱暴な言葉を使わない」ということを当たり前にできる方でしょうか。
経験や能力は伸ばせるものなので、重要ではありません。
不動産営業で差別化できるのも「人」の部分じゃないですか。



私もまったく同意です。
弊社も採用するときは、まず履歴書はノールック。一次面談は私が担当するのですが、ここでもやってきたことや資格は関係なく、「今から飲みに行こう」と誘えるかどうかを合否の基準にしています。
どういう人を求めているかと聞かれれば、素直で利他的で、感謝できる人。これだけです。
入社後もこれは口を酸っぱくして言っています。



榎本さんのおっしゃっていることはよく理解できる反面、これって簡単なようですごく難しくないですか?



難しいです。だからこそ、発信を頑張っているということもあります。
自分の思いを深掘りして、言語化して、SNSで発信する。
心を開いてもらえるのは、私という人間を知ってもらってこそだと思うんです。



これも同感ですね。
やはりうちで働きたいと考えてくれる方は、会社から社長の名前まで全て調べ上げますからね。私の投稿を見て「合わない」と感じてもらったら、むしろラッキーというか。
良いことばかり書かず、ありのままを知ってもらうことが大事ですよね。
「自分事」として動いているから、フォローしあえる



一緒に働く方の教育はされていますか?
チーム制となると、エージェント同士でフォローしあうのも大変そうなイメージがあります。



教育というか、「相手の時間を奪わない」という社内ルールはあります。「了解」という連絡ならスタンプだけでいいとか、本当に些細なことです。
それ以外は個人のノルマがない代わりに数字的な業務目標が存在します。
フォローしあえるのは…みんなが自分事として動いているからでしょうか。



「自分事」はすごく重要なキーワードですね。
先日、社内でミッション・ビジョン・バリューを変える・変えないでディベートしていたのですが、入社半年の社員が「なぜこんなに大切なバリューを変えるんだ!」と熱く語ってくれていたのを見て、泣きそうになりました。
私は社員にけっこう厳しいことを言う経営者だと思うのですが、思いが伝わっているんだな…と感傷に浸ってしまいましたね。



それは嬉しいですね。
会社のミッション・ビジョン・バリューって、社長が作ったものだとしても、いつの間にか社長の手から離れていくものなんですよね。
エージェントみんなが主役



最後に、榎本さんの考える「社長の役割」をお聞かせいただけますか?



社長の役割…私は、ディズニーランドでいえばミッキーマウスだと思っているんですよ。他のエージェントさんは、ミニーマウスやドナルドダック。つまり、みんなが主役です。
ミッキーが好きな人もいれば、ミニーやドナルドが好きな人もいる。
みんなで創るパレードは、誰が主役でもなく、パレード自体が素晴らしいですよね。



この役割は今後変わっていくこともあるかもしれませんが、今はみんなが一緒にステージに上がるプレイヤーだと考えています。



将来的に、榎本さんが裏方に回ることもあるんですかね?



そういう時代も来るかもしれませんね。
ただ、チーム制を変えるつもりはなくて、小さなチームをいくつも作っていきたいですね。管理業、仲介業、リフォーム業…それぞれのチームをディレクションしていけると楽しいだろうなと思います。



ディズニーランドだけでなくディズニーシーも作って、榎本さんはウォルト・ディズニーになっていくわけですね(笑)
私も、雇用関係は対等だと思っています。魅力ある会社、魅力ある社長であり続けて、ベットしたいと思い続けてもらわないことには、こちらも働いてくれる方にベットできませんからね。



本日はありがとうございました!またぜひお話を聞かせてください。