正直不動産2 第十話（最終回）のあらすじと内容に関する解説！登坂不動産の一大プロジェクトとは

第10話　主な登場人物 【登坂不動産】 主人公・永瀬財地（山下智久）：登坂不動産のエース営業マン。嘘がつけない呪いにかかっており、正直すぎる営業を武器に不動産業界を生き抜いている 若手社員・月下咲良（福原遥）：カスタマーファーストを第一に行動する登坂不動産の若手社員であり、永瀬のよきパートナーでもある 新入社員・十影健人（板垣瑞生）：マダムの継孫として登坂不動産に入社することになったZ世代の新入社員。仕事よりもプライベートが第一で、残業せずにさっさと帰宅してしまう 【光友銀行】 榎本美波：登坂不動産が提携する光友銀行の融資担当。永瀬と同棲中。 【ミネルヴァ不動産】 営業・神木涼真（ディーンフジオカ）：元登坂不動産の営業マンで、長年にわたってナンバーワンをとり続けた永瀬の師匠。悪魔じみた営業手法を武器に永瀬のライバルとして立ちはだかる 営業・花澤涼子（倉科カナ）：育ち盛りの息子を育てるシングルマザー。大手ゼネコンで現場監督をするも、女性差別が激しく嫌気がさしていたところ、鵤に声をかけられミネルヴァ不動産へ。月下とは良きライバルか。 【ゲスト】 狭山純一：遊休農地の地権者の1人、八起第二中学校で社会科の教師をしている

とある地鎮祭で石碑を壊して以降、嘘がつけなくなってしまった不動産仲介会社の営業マンが、海千山千の不動産業界で奮闘する姿を描くNHKドラマ『正直不動産2』。

山下智久が演じる登坂不動産の敏腕営業マンである永瀬財地は、嘘八百を並べて売上トップを誇り、“ライアー永瀬”という異名をとっていました。

しかし、ある日地鎮祭でほこらを壊してしまったことで嘘がつけない呪い（嘘をつこうとすると不思議な風が吹き、本音が飛び出す）にかかり、一転して正直すぎる営業マンとして舵を切ることに。

本記事では2024年3月12日の夜10時に最終回として放映された、『正直不動産2』の第十話のレビューと話のポイントについて解説します。

正直不動産第十話あらすじ

登坂不動産では勤務中に暗号資産の投資に勤しむ中、永瀬と大河部長はどこか嬉しそうな様子。6年越しのプロジェクトがようやく日の目を見そうだと話しています。

6年前、2万坪の土地をまとめあげる大規模開発（物流倉庫建設計画）が立ち上がり、登坂社長が親交のあるゼネコンと手を組んで、武蔵村山市にある2万坪の土地をまとめ、倉庫用地として大手不動産会社に売却することを計画。

結果としてゼネコンが40億で土地を購入し、造成工事を経て、大手不動産会社に88億円で売却することになりました。

登坂不動産の役割は地権者からゼネコンへの売買取引を両手仲介することになり、仲介手数料は2億6,000万円、ようやく行政の許可が下りて、本契約が結べそうとのことです。

登坂不動産の噂を聞きつけたミネルヴァ不動産

一方、ミネルヴァ不動産では神木が登坂不動産の計画を聞きつけ、鵤社長に報告していました。

登坂不動産が遊休農地（かつて農地だったが現在は農地として活用されていない土地のこと）に巨大倉庫を建てることを知った神木は、「登坂不動産の6年越しのプロジェクト、これを頓挫させれば致命的なダメージが与えられる」と鵤社長に話したのです。

そしてその夜、バーで神木の横に座っていたのはまさかの十影。

登坂不動産のプロジェクトを神木に伝えたのは十影だったようで、十影は神木から現金の入った封筒を受け取ってしまいます。

後日、永瀬は月下と十影を連れ、巨大倉庫の建設予定現場である遊休農地を訪れていました。

広さは2万坪、東京ドームより大きいその土地は、80世帯のほとんどが後継者問題で農業をやめてしまい、ずいぶんと荒れ果てている様子。

農地を他の用途に転用すること（農地転用）は非常に大変な作業であり、当時の永瀬は地権者80人の説得にあたったのでした。

そして永瀬はおもむろに黒い手帳を取り出し、「地権者全員の趣味とか、好きな食べ物とかパーソナルな情報を調べて、相手に合わせて口説いた。今回のプロジェクトの生命線。」だと月下と十影に秘策を明かしたのです。

十影が黒い手帳の存在を電話で神木に報告すると、神木は「その手帳を盗めないか？100万円だす、500万。暗号資産でだいぶ溶かしたんだろう？タムパをかんがえたら悪くないと思わないか？」と迫ります。

十影は神木に肩を貸してしまうのでしょうか。

私が彼と離れたくないんです。永瀬への想いを固めた榎本

前話の終わりでニューヨークへの異動を打診された榎本は、先輩の愛原と共にもんじゃ焼きのお店でご飯を食べていました。

榎本の異動を推薦したのは愛原であり、なぜ異動を断ったのかと榎本に尋ねます。

榎本は「結婚を考えている、私が彼と離れたくないんです。彼と一緒にいたいんです。一秒でも長く。」と話すと、愛原に頭を下げました。

つづけて相手が永瀬だと伝えると、愛原は「あいつは正直すぎる、絶対喧嘩になる」と反対。

しかし榎本が「バカ正直で嘘がつけない永瀬さんが私は大好きなんです、絶対に後悔しません。」というと、

「わかった、もうこれ以上何も言わない。全力で幸せになりなさい。」と愛原も背中を押すのでした。

一方、行きつけの居酒屋ではプロポーズをすることを明かした永瀬を店主たちが祝っていました。

そこへ十影が訪れ、酔い潰れた永瀬のスーツから手帳を取り出します。

地権者に迫る神木の影

遊休農地の地権者の一人で中学校教師をしている狭山純一のもとを神木が訪れ、田中角栄の言葉をもって揺さぶりをかけます。

「田中角栄の言葉をご存じですか？口説き文句にこういったそうです、

『女好きには女を。金好きには金を。女も金もいらんなら、俺が寝てやると。』さあ、あなたのお望みは？」

その数日後、狭山から登坂不動産に売買契約の解除通知書が届きます。

今回のプロジェクトの真ん中に位置する土地が解除となれば、計画はすべて破綻してしまいます。

永瀬は慌てて狭山を引き留めようとしますが、

「私は中学校の教師です、教師として地域のことを思って決めた。私にも息子がいる。あそこに倉庫ができたら大型車の交通量が増えて子どもたちが危険。安全面が第一。」

と狭山は聞く耳をもちません。そこへ、風に吹かれた永瀬が

「（安全面については）5年前に何度も話をした。それなのに狭山さんが『安全じゃ腹は膨れねえ！高級寿司屋に連れて行け』って！だからお連れしたじゃありませんか、2年先まで予約が埋まっていた超高級なお寿司屋さんに！」

と反撃してしまいます。

そしてさらに、「イタリア産の最高級白トリュフ、カスピ海産の幻のキャビア、伝説のグレードＡのフォアグラ。そのたびに私が接待しまくったのをお忘れですか？フォアグラ嫌いなのに！！」とつづけ、狭山はそそくさとその場を去ってしまうのでした。

「このプロジェクトが流れたら、うちの評判は地に落ちる」とうなだれる登坂社長に、

「このプロジェクトは登坂不動産が長い年月をかけてつみかさねてきた努力の結晶です。絶対に破綻になんかさせません。」と告げる永瀬。

他のメンバーも立ち上がり、プロジェクトの破綻回避に向けて動き出します。

そのころ、ミネルヴァ不動産では神木が大手ゼネコンの大規模開発担当者である大村厚と話をしていました。

狭山の土地をミネルヴァ不動産が買い取る予定であることを告げ、

「建設担当者の大村様ならこの土地の重要性をよくおわかりですよね？いくらで買い取っていただけますか？」

「あの一角がなければ、6年越しの計画が破綻する。よいお返事をお待ちしております。」と脅しにかかったのでした。

桐山と対峙する月下、十影の心を掴んだマダムの言葉とは

月下が永瀬と共に狭山の説得に向かおうとする途中、なぜか喫茶店で桐山と話す狭山の姿を目撃します。

「なんで狭山さんと一緒にいたんです？ああいう大規模開発のプロジェクトって不動産ブローカーにとって格好の稼ぎ場所だと聞きました。まさか、桐山さんが裏で動いているんですか？」

と問い詰める月下に、

「だとしたらどうする？」と返す桐山。しかし月下は怯むことなく

「許しません。社長や永瀬先輩が大切にしてきたプロジェクトを横取りするつもりなら、私絶対許さないですから。」

と真っ直ぐな気持ちを桐山にぶつけたのでした。

一方その頃、十影はマダムの元を尋ねていました。

十影がなにかに迷っていることを見透かしたマダムは十影に問いかけます。

「健人、こんなことわざ知ってる？『一日だけ幸せでいたいなら床屋に行け。一週間幸せでいたいなら車を買え』」、

そこまで聞いて十影は続けます

「知ってるよ。『一ヶ月だけ幸せでいたいなら結婚しろ、一年だけ幸せでいたいなら家を買え』でしょ？永瀬さんがよくいってた」と。

しかし、マダムはこう続けたのです

「その続きがあるのよ。『一生幸せでいたいなら正直でいろ』よ」。

自分の息子のために誇れる父でいろ

その夜、十影は神木に黒い手帳を差し出します。

しかし、その中身は落書きだらけ。どういうことだと問う神木に、

「俺、どうやら嘘がつけない人間になっちゃったみたいです」と十影は答えるのでした。

一方、狭山邸では永瀬と狭山が交渉中。

「あんなところに巨大な倉庫を作ろうとしたことが間違っている。大型トラックが出入りするようになれば子どもたちが危険なんです。子どもたちを守るのが私たち教師の務め。」

と主張する狭山に、風に吹かれた永瀬はこう述べたのです。

「立派なお考えだなんて1㎜も思いません。あなたが大切に思っているのは子どもたちなんかじゃない。マネーマネーマネー、お金でしょうが！私だってマネーは大好きです。

正直、6年前に狭山さんと交渉したとき、契約が欲しくて心にもないきれい事ばかり並べていました。マネーがほしかったからです。でもいまは違う。お金じゃなくて土地のことを考えてお願いしているんです！」

永瀬の勢いに圧倒される狭山の前に、突然神木が現れ、こう言います。

「狭山さん、この男の口車に乗ってはいけません。建設を担当するゼネコンと話をつけました。狭山さんの土地を買い取るためならいくらでも払うそうです。」

「ここに白紙の小切手があります。狭山さんの好きな金額を書いてください。1億ですか？10億ですか。いくらでも構いません。」と。

永瀬は神木が狭山に差し出したペンを奪い取ると、狭山に続けて語りかけます。

「狭山さん、私は先日久しぶりにあの土地へいってきました。私がはじめて訪れた6年前よりも加速度的にあの土地を農地といて活用する住民が減っている。このままではあの土地が荒れ果てていく。しかし、巨大倉庫ができれば道ができ、人が増え、税収もあがり、あの土地がよみがえるんです。」

「元々あの土地はあなたのご両親が朝から番まで畑を耕し、あなたを育ててきた大切な農地です。

その大切な土地を、もう一度よみがえらせましょう。あなたのお子さんや、大切な生徒たちを守るために」

そこに月下が狭山の父を伴って姿を表します。父は息子である狭山純一を真っ直ぐ見つめ、

「あの土地はお前にやった。だから好きにしたらいい。だが、ひとことだけ言っておく。

お前も教師なら人の道から外れることだけはするな。自分の息子のために誇れる父親でいろ。」と伝えたのです。

狭山は父の言葉に何も返すことができず、ただただその場にうなだれるばかり。

結果として契約解除は取り下げられることになり、登坂不動産の6年越しのプロジェクトは破綻せずに済んだのでした。

1位を逃した神木の前から家族の幻影が消える

後日、神木に呼び出される永瀬の姿。神木は

「永瀬いってたよな、1位になるよりも大切なことを見つけたって。なんだそれは？」

「今月はそのことで頭がいっぱいで花澤に負けて、営業成績も2位に落ちた。

1位になるよりも大切なものってなんだ？」と問いかけます。それを聞いた永瀬は

「誰かの幸せの役に立つことだと思います。たとえ1位になれなくても、自分のやったことで一人でも幸せだと感じてくれたらそれでいい。そう思えるようになりました。」

と告げたのです。

誰かの幸せか･･･と考え込む神木に、

「神木さんも変われると思います」と声をかけ、永瀬はその場を後にしました。

残された神木の目の前に妻の香織と息子の翔太の幻影が現れますが、2人の姿は徐々に消えて言ってしまいます。

「翔太なあ、一緒に踊ろう。パパと一緒に踊ろう。なあ、翔太！！」泣き叫びながらステップを踏み続けるも、2人の幻影は完全に消えてしまいました。

絶望に打ちひしがれる神木。しかし、そこへ

「ねえ、もっと踊って！」と子どもの声。

顔を上げるとそこにいたのは花澤と一人息子の北斗でした。

「おじさん、もう一度踊って！」という北斗の声に、神木はタップダンスを披露し続けたのでした。

結末と第十話のポイント

後日、正直不動産に和菓子職人の石田が訪れ、永瀬の嘘をつけない呪いを解く方法を見つけたことを明かします。

ただし、一度呪いを解いてしまったら、もう二度と風が吹くことはないといいます。

それを聞いて、迷う永瀬。

永瀬は呪いを解くことにしたのでしょうか、それとも今のまま嘘がつけない人間として生きていくのでしょうか。

あくまで私見ですが、私は呪いを解くことはしないのではないかと感じています。

さて、今回は「農地転用」がキーワードとなるお話でした。

農地転用は農地を他の用途に転用することを指します。

農地の売買は「農地法」という法律によって規定があり、農地から他の目的に使用する場合には農業委員会に申請して都道府県知事や市区町村らの許可を取らなければなりません。

概要	農地法	申請者	許可権者
農地を農地のまま他人に売るまたは賃貸する	3条許可	譲渡人と譲受人	農業委員会
農地を転用して自分で使う	4条許可	所有者	都道府県知事指定市町村長
農地転用を目的として他人に売る	5条許可	譲渡人と譲受人

農地法第3条には土地の権利およびその移転に関してかかれており、農地や牧草放牧地の所有権を移転する場合には農業委員会の許可が必要です。

農地法第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。

また、話の中で月下が永瀬に行っていたように、農地は農家以外に売ることができません。

新規就農者として認められるためには以下4つの条件を満たす必要があります。

・取得する農地のすべてを耕作すること ・農作業に常時従事すると認められること ・周辺農地に対し支障を生じるおそれがないこと

なお、農地転用（農地法第4条）や権利移転後の農地転用（農地法第5条）では、いずれも農業委員会に許可申請書を出したうえで、都道府県知事もしくは指定市町村長の許可が必要です。

【30a（アール）以下の農地を転用する場合】

申請者が「農業委員会」へ許可申請書を提出農業委員会が意見を伏して「知事または指定市町村長」へ送付（※）知事または指定市町村長から「申請者」へ許可等を通知

【30a（アール）超の農地を転用する場合】

申請者が「農業委員会」へ許可申請書を提出農業委員会が「都道府県農業委員会ネットワーク機構」に意見聴取農業委員会が意見を伏して「知事または指定市町村長」へ送付知事または指定市町村長は「農林水産大臣」と協議（4haを超える農地を転用する場合）知事または指定市町村長から「申請者」へ許可等を通知

なお、申請者に対して発行される転用許可証は、地目変更登記をする際に必要となります。なくさないよう、大切に保管しておきましょう。

上記の手続きを開始してから通知がくるまでには、およそ6週間ほどの時間がかかります。

自身で申請することも可能ですが、必要書類等が多いほか、手続きが煩雑となるでしょう。

費用はかかりますが、自分で手続きを行うことに不安がある方は行政書士に依頼することをおすすめします。

【開発行為の規制対象規模】

都市計画区域	線引き都市計画区域	市街化区域	1,000㎡以上（三大都市圏は500㎡以上）
		市街化調整区域	原則として全ての開発行為
	非線引き都市計画区域		3,000㎡以上
準都市計画区域			3,000㎡以上
都市計画区域および準都市計画区域			1ha以上

また、開発行為の許可権者は都道府県知事、政令指定都市の長、中核市の長、特例市の長、事務処理市町村の長と定められており、開発行為の申請許可を通すには非常に多くの時間と労力を要します。

もし、農地転用と開発許可の同時申請を必要とするケースに直面している場合には、行政書士等の専門家に相談した上で、余裕を持って手続きを進めるようにしましょう。