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マイホームは、人生でもっとも大きな買い物といわれていることもあり、住宅ローンを組んで購入するのが一般的です。購入する物件によっては、住宅ローンの借入額が5,000万円以上になることもあります。
年収や年齢、勤続年数などが金融機関の定める基準を満たしていれば、5,000万円の住宅ローンを組めます。ただし、借入後に返済が苦しくならないよう、慎重に返済計画を立てた上で住宅ローンを組むことが大切です。
本記事では、5,000万円の住宅ローンを組むために必要な年収や借入時の注意点などをわかりやすく解説します。
5,000万円の住宅ローンを組むためには、どのくらい年収が必要なのでしょうか。住宅ローンの借り入れ額の目安とともにご紹介します。
住宅ローンの借入額は、年収の5〜7倍程度が目安といわれています。たとえば、年収が700万円である場合、借入額の目安は3,500万〜4,900万円です。
では、実際にマイホームを購入した人は、いくらの住宅ローンを組んでいるのでしょうか。
国土交通省の調査によると、注文住宅やマンションを取得した人の借入金や自己資金、購入資金の平均は、以下の通りです。
〇住宅購入時における自己資金の金額(カッコ内は自己資金の割合)
借入金 | 自己資金 | 購入資金 | 自己資金比率 | |
---|---|---|---|---|
注文住宅※土地の取得をともなう | 3,772万円 | 1,665万円 | 5,436万円 | 30.6% |
分譲戸建 | 3,054万円 | 1,160万円 | 4,214万円 | 27.5% |
分譲マンション | 3,020万円 | 2,259万円 | 5,279万円 | 42.8% |
中古戸建 | 1,908万円 | 1,432万円 | 3,340万円 | 42.9% |
中古マンション | 1,492万円 | 1,450万円 | 2,941万円 | 49.3% |
注文住宅や分譲戸建住宅、マンションを取得した世帯の借入金は、平均3,000万円を超える結果となりました。一方で、中古住宅の平均額は2,000万円を下回っています。
新築住宅の方が中古住宅よりも価格が高い傾向にある分、住宅ローンの借入額も高くなると考えられます。
一方、借入額の平均は新築住宅が3,000万円台、中古住宅が1,000万円台であることを踏まえると、5,000万円という借入額は比較的高めであるといえるでしょう。
住宅ローンの借入額の目安が年収の5〜7倍であることを踏まえると、5,000万円の住宅ローンを組むためには、約700万〜1,000万円の年収が必要と考えられます。
ただし、十分な年収があったとしても、5,000万円のローンを組めるとは限りません。住宅ローンの借入可能額は金融機関の審査によって決まるためです。
住宅ローンの審査では、借り入れる人の年収や年齢、勤続年数、過去の借入状況などが確認されます。
たとえば、過去にクレジットカードの支払いを長期間にわたって滞ったことがあると、年収が1,000万円を超えていたとしても、5,000万円の借り入れは困難でしょう。
5,000万円の住宅ローンが組める人の現実的な年収は「返済負担率(返済比率)」をもとに考える方法があります。
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。たとえば、世帯年収が700万円、年間返済額が200万円であれば、返済負担率は「200万円÷700万円≒28.6%」です。
一般的には、返済負担率が25%を下回っていれば、無理なく返済できるといわれています。
しかし、近年の住宅ローン金利は非常に低水準なこともあり、金融機関の審査に通過できる借り入れ額であれば、返済負担率は25%を下回るケースがほとんどです。
また、返済負担率は税込年収で計算をしますが、実際は所得税や住民税、社会保険料が差し引かれた手取り年収から返済をしていきます。そこで、住宅ローンを組める現実的な年収を考えるときは、返済負担率20%以下を1つの基準にすると良いでしょう。
仮に、借入金利1.5%、返済期間35年、返済方法は元利均等方式(毎月の返済額を同一にする返済方法)で、5,000万円の住宅ローンを組んだとしましょう。
・借入金利1.5%
・返済期間35年
・元利均等方式(毎月の返済額を同一にする返済方法)
年間の返済額は約183万円になるため、
返済負担率が20%になる年収は「184万円÷20%=920万円」
よって、上記の条件で5,000万円の住宅ローンを組む場合、現実的な年収は920万円以上と考えられます。
5,000万円の住宅ローンを組むときは、以下の点に注意が必要です。
それぞれについて詳しく解説します。
住宅ローンの返済期間は、20〜30年と長期にわたるのが一般的です。
返済開始当初は問題がなかったとしても「転職をした」「パートナーが育産休を取得した」などの理由で世帯収入が減り、途中で返済が苦しくなるかもしれません。
また、定年退職後も住宅ローンの返済が続く場合は、 主な収入源が年金となったことで世帯収入が減って、返済負担が家計を大きく圧迫する可能性があります。
そのため、5,000万円の住宅ローンを組むときは、現在の生活だけでなく将来的に起こりうるライフイベントも考慮して返済計画を立てることが重要です。
住宅ローンの金利タイプには「変動金利」と「固定金利」の2種類があります。
変動金利は、借入時の金利が低く設定されていますが、途中で市場金利や政府の金融政策などに応じて金利が見直され、返済額が増減する可能性があります。
返済途中で借入金利が上昇すると、毎月の返済額が増えて生活が苦しくなるかもしれません。変動金利型の住宅ローンを組むときは、毎月の返済額が上昇しても返済を続けられるように、 余裕のある金額を借りることが大切です。
また、返済途中で金利が上昇したときに備えて、繰り上げ返済資金を貯めておくこともおすすめします。金利が上昇したとき、繰り上げ返済をしてローン残高を減らすと、返済額の上昇を抑えることができるためです。
マイホームを購入したあとは、住宅ローンの返済以外にも税金や保険料などの支払いが発生します。
たとえば、毎年1月1日時点で住宅を所有している人には、固定資産税が課せられます。住んでいる地域によっては、都市計画税も納税しなければなりません。
また住宅ローンを組む場合、火災保険の保険料も支払う必要があります。ほとんどの金融機関は「建物部分が補償対象である火災保険への加入」を、融資条件としているためです。
さらに、マンションを購入したあとは、管理費や修繕積立金を毎月支払わなければなりません。駐車場や駐輪場を契約した場合はその利用料もかかります。
戸建てであれば、外壁や屋根などの修繕・メンテナンスに備えた費用を計画的に貯蓄しておくのが望ましいです。
5,000万円の住宅ローンを組めるか検討するときは、税金や保険料、維持費用なども問題なく支払えるかを考えることが大切です。
では、5,000万円の住宅ローンを組むと毎月の返済額や返済総額は、いくらになるのでしょうか。シミュレーションで確認してみましょう。
試算条件は、以下の通りです。
上記の条件で、変動金利(年0.4%)と、全期間固定金利(年1.7%)で5,000万円の住宅ローンを組む場合、毎月の返済額や返済総額は以下の通りです。
金利年0.4%(変動金利) | 金利年1.7%(全期間固定金利) | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 127,595円 | 158,037円 |
年間返済額 | 1,531,140円 | 1,896,444円 |
返済総額 | 53,589,900円(うち利息分3,589,900円) | 66,375,540円(うち利息分16,375,540円) |
変動金利の方が全期間固定金利よりも、毎月の返済額は30,442円、返済総額は約1,279万円少ない結果となりました。
ただし変動金利には、返済の途中で借入金利が上昇する可能性があるため、借入当初の返済額が完済まで変わらないとは限りません。
その点、全期間固定金利であれば、完済まで毎月158,037円の返済額は変わらず、約6,638万円の返済総額も確定します。しかし、完済まで世の中の金利相場にあまり変化がなかった場合、変動金利を借り入れたときよりも返済負担は重くなってしまうでしょう。
金利の選択に、絶対的な正解はありません。不動産会社や金融機関ともよく相談し、返済シミュレーションも確認したうえで、自分自身に合った金利タイプを選ぶことが大切です。
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5,000万円の住宅ローンを組んだ場合、返済負担が家計を圧迫しやすいです。また、借入額が多い分、審査のハードルも上がります。
そこで、5,000万円を借り入れるときは、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
上記のポイントについて、1つずつ解説していきます。
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、所定の要件を満たすと住宅ローン控除の対象となります。
住宅ローン控除を適用できれば「年末時点の住宅ローン残高×控除率」を所得税と一部の住民税から控除することが可能です。
取得したマイホームに、2022年1月1日以降に入居した場合、控除率は0.7%です。たとえば、 年末時点の住宅ローン残高が4,500万円であった場合、住宅ローン控除を申請すると所得税から最大で31.5万円が控除されます。
住宅ローン控除を適用するためには、所定の要件を満たしたうえで、確定申告をしなければなりません。住宅ローンを組むときは、不動産会社や最寄りの税務署などに、住宅ローン控除の制度内容や要件、申請方法を確認しておきましょう。
ヘアローンとは、夫婦や親子などがそれぞれ契約者となり、2本の住宅ローン契約を結ぶ方法です。
収入合算は、配偶者や子ども、親など一定の収入がある人を契約者の収入に合算して、1本の住宅ローン契約を結ぶ方法です。収入を合算する人は、連帯保証人となります。
ペアローンや収入合算を利用すると、金融機関の審査時に2人分の年収が合算されるため、住宅ローンの借入額を増やすことが可能です。
1人の契約者で5,000万円の住宅ローンを組むのが難しい場合は、ペアローンや収入合算を利用するのも1つの方法です。
2023年7月現在は、歴史的な低金利が続いていることもあり、まとまった頭金を準備しなくても、住宅購入価格のすべてを住宅ローンで賄うことができます。
とはいえ、5,000万円の住宅ローンを組むと、毎月の返済負担が重くなりやすいです。
そのため、マイホーム購入時の資金計画を立てるときは、頭金を準備して借入額を減らせないか検討することが大切です。
では、頭金を準備すると毎月の返済額や返済総額は、どれほど軽減できるのでしょうか。
金利1.7%、返済期間35年、元利均等方式で5,000万円の住宅ローンを組む場合、頭金の額で返済額がどのように変わるのかをみてみましょう。
〇金利1.7%・返済期間35年・元利均等方式で借り入れた場合の返済額
頭金 | 借入額 | 毎月の返済額 | 総返済額(うち利息額) |
---|---|---|---|
0円 | 5,000万円 | 158,037円 | 約6,638万円(約1,638万円) |
100万円 | 4,900万円 | 154,876円 | 約6,505万円(約1,505万円) |
200万円 | 4,800万円 | 151,716円 | 約6,372万円(約1,372万円) |
300万円 | 4,700万円 | 148,555円 | 約6,239万円(約1,239万円) |
400万円 | 4,600万円 | 145,394円 | 約6,107万円(約1,107万円) |
500万円 | 4,500万円 | 142,233円 | 約5,974万円(約974万円) |
頭金が増えれば増えるほど、毎月の返済額や総返済額は減少しているのがわかります。
とくに、500万円の頭金を準備できれば、頭金が0円であるケースと比較して、毎月の返済額は15,804円、総返済額は約664万円も軽減されます。
預貯金を保有資産で頭金を増やすのが難しいときは、父母や祖父母などから資金を贈与してもらうのも方法です。
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(以下、住宅取得資金の非課税の特例)」を適用できると、最大1,000万円までの資金贈与に贈与税がかからなくなります。
住宅取得資金の非課税の特例は、2023年(令和5年)12月31日までに贈与された、父母や祖父母などから住宅を取得するための資金が対象です。
また、特例を受けるためには、所得金額や年齢などの要件を満たす必要があります。
不動産会社や最寄りの税務署にも確認し、住宅取得資金の非課税の特例を利用できるようであれば、親族から資金を援助してもらえないかを相談してみると良いでしょう。
頭金を多く入れると住宅ローンの借入額が減り マイホーム購入後の返済負担を軽減することができます。しかし、頭金を多く準備すればいいというものでもありません。
頭金を準備しているあいだに、欲しい物件が売れてしまい購入の機会を逃してしまう可能性があります。また、住宅価格が高くなり、資金計画の見直しが必要になるかもしれません。
今後のライフプランも踏まえて資金計画を立てた結果、完済できる見込みがあるのであれば、頭金を少なくして借り入れるのも方法です。
入念に計画を立てることなく、5,000万円の住宅ローンを組むと失敗してしまうことがあります。ここでは、代表的な失敗事例をご紹介します。
借り入れ当初は問題がなくても、返済開始後に世帯収入が減ってしまったことで、返済が苦しくなることがあります。
たとえば「勤務先が倒産した」「業績悪化によりボーナスが減少した」「病気で働けなくなった」などの理由で、世帯収入が減少するケースもあります。
夫婦共働き世帯がペアローンを組んだ場合、返済が始まったあとに配偶者が育産休を取得したり退職したりしたことで、世帯年収が低下してしまうかもしれません。
「子どもが成長した」「単身赴任が決まった」などの理由でひと月の支出が増えたことで、住宅ローンの返済が苦しくなるケースもあります。
たとえば、子どもが高校や大学に進学したとき、教育資金を計画的に準備していなかったために進学費や授業料などの支払いが家計に負担となり、返済が苦しくなることがあります。
マイホーム購入後に単身赴任をすることが決まったときも、生活拠点が2つになることで、家賃や食費、水道光熱費などは基本的に増えてしまうでしょう。
単身赴任によってひと月の支出が増えると、勤務先から補助を受けられたとしても、住宅ローンの返済が苦しくなるケースがあります。
金融機関の多くは、完済時の年齢が80歳未満であれば、返済期間が最長35年の住宅ローンを組めます。2023年7月現在は、返済期間が40年を超えるローンを取り扱う金融機関も増えてきました。
返済期間を長くすると、毎月の返済負担を軽減することができます。しかし、返済期間を長くしたことで老後生活も返済が続く場合、途中で返済が苦しくなる可能性があります。
老後生活になると、主な収入源は給与から年金となり、 世帯収入が減少するのが一般的であるためです。
総務省の調査によると、 2人以上の世帯における実収入の平均は、以下の通りです。
※出典:総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」
調査結果をみると、65歳以上の夫婦のみの世帯の実収入は、勤労者世帯の約40%に減少しています。
将来的な収入減少を考慮せず、返済期間が長期にわたる住宅ローンを組んでしまうと、老後生活が入ったあとに 返済が苦しくなって失敗してしまうかもしれません。
5,000万円の住宅ローンを組んだものの、途中で返済が難しくなったときは、以下の対処方法を検討すると良いでしょう。
1つずつ解説します。
住宅ローンの返済負担が大きく家計が苦しいときは、保険料や水道光熱費、通信料などの固定費を見直すと良いでしょう。
たとえば、携帯キャリアを格安SIMに変更することで、毎月の通信料金を抑えられる可能性があります。
大手キャリアの通信網を利用したいのであれば、 インターネット申し込み限定で提供される格安の料金プランに変更するのも方法です。
生命保険や医療保険などに加入している場合は、保証内容を見直すことで毎月の保険料を削減できることがあります。
ただし、保険料を削減できたとしても、万が一のときの保障が不足してしまっては本末転倒です。
保険会社の担当者や ファイナンシャルプランナーにも相談のうえ、 ご自身の生活背景にあった保障内容に見直しをすることが前提となります。
住宅ローンの返済を続けるのが難しくなったのであれば、借り入れ先の金融機関に相談をしましょう。「リスケジュール」を認めてもらえると、一時的に返済負担を軽減できる可能性があるためです。
リスケジュールが認められると、一定期間は毎月の返済を利息のみにしてもらえる場合があります。
また、金融機関が定める上限を超えない範囲で返済期間を伸ばしてもらい、 毎月の返済額を減らせることもあります。
住宅ローンの返済が苦しく、家計の改善や金融機関への相談でも状況の改善が見込めないときは、マイホームを売却するのも方法です。
マイホームを売却し、より安価な物件に住み替えることで、返済負担が軽減されて生活が楽になるかもしれません。新たに住宅ローンを組むのが難しいときは、賃貸マンションや賃貸アパートなどに住み替える方法もあります。
マイホームを売却しても住宅ローンを完済できないときは、金融機関の承諾を得て「任意売却」をするのも選択肢の1つです。
住宅ローンを組んで購入した住宅は、売却代金や自己資金などで住宅ローンを完済できなければ、原則として売却できませんが、任意売却が認められれば売却が可能となります。
5,000万円の住宅ローンを組むためには、700万〜1,000万円ほどの年収が必要であると考えられます。ただし、実際に借り入れができるかどうかは、金融機関の審査によって決まるため、十分な年収があっても5,000万円のローンを組めないケースもあります。
5,000万円という高額な借り入れをするときは、将来的なライフイベントを考慮して返済計画を立てることが重要です。
また、税金や保険料、管理費などの支払いとあわせて、5,000万円の住宅ローンを返済していけるかどうかを検討しましょう。
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