【2024年11月】住宅ローン金利は変動金利が一部で上昇・固定金利は全体的に上昇

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2024年11月は、一部の金融機関が変動金利を引き上げています。一方、他行に対抗するために引き下げをした金融機関もあります。

固定金利については、全体的に上昇している状況です。

本記事では、2024年11月の住宅ローン金利や今後の動向について解説します。

目次

2024年11月の住宅ローン金利

まずは、固定金利の指標である10年国債の金利の推移をご紹介します。

※財務省「国債金利情報」をもとに筆者作成

2024年10月の10年国債金利は、9月と比較して全体的に上昇しました。この背景には、米国の長期金利の上昇があります。

9月に発表された米国の雇用統計の結果がよく、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げをするペースが緩やかになる観測が広がり、米国の長期金利が上昇しました。

この影響により、日本の10年国債金利を始めとした長期金利も上昇したと考えられます。

このような状況のなか、各金融機関は住宅ローンの借入金利をどのように設定したのでしょうか。金利タイプごとに、各金融機関の最優遇金利をみていきましょう。

また、金利上乗せなしで加入できる団信の保障内容とあわせてご紹介します。団信の保障内容は、以下のとおりです。

  • 一般:死亡または所定の高度障害状態の場合に住宅ローン残高を保障する団信
  • がん50%保障:所定のがんと診断されると住宅ローンの残高が半分になる団信
  • 全疾病保障:病気やけがで働けない状態が一定期間続いたとき

※金融機関によって保障内容は異なります。

2024年11月の変動金利とランキング

まずは、2024年11月の変動金利をみていきましょう。

結果は、以下のとおりです。

スクロールできます
適用金利金利上乗せなしの団信
三菱UFJ銀行年0.345%(±0%)一般のみ
三井住友銀行年0.625%(+0.15%)一般のみ
みずほ銀行年0.375%(±0%)一般のみ
りそな銀行年0.39%
(-0.1%)
一般のみ
SBI新生銀行年0.43%(+0.01%)一般または介護保障付団信
PayPay銀行年0.465%(±0%)一般または一般+がん診断一時金+先進医療給付金または一般+がん50%保障+先進医療特約+全疾病保障(入院限定)など
auじぶん銀行年0.479%(±0%)【満50歳以下の方】一般または一般+がん50%団信            ※がん診断保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障が無料付帯
【満51歳以上の方】一般団信のみ
住信SBIネット銀行年0.448%(±0%)一般または一般+全疾病保障または一般+全疾病保障+3大疾病保障     ※契約者が40歳未満である場合のみ
ソニー銀行年0.647%(+0.15%)一般または一般+がん50%保障
楽天銀行年0.844%(+0.01%)一般または一般+がん50%保障+全疾病保障               ※契約者が51歳以上の場合、がん50%保障はなし
イオン銀行年0.53%(±0%)一般または一般+全疾病保障

※SBI新生銀行は手数料定率型を選択した場合

※イオン銀行は物件価格の80%以内で住宅ローンを組んだ場合

※PayPay銀行は自己資金10%以上の場合

※住信SBIネット銀行は借入金額が物件価格の80%以下の場合

りそな銀行が引き下げているのに対し、SBI新生銀行、ソニー銀行、楽天銀行は引き上げています。

最優遇金利のランキングは、以下のとおりです。

スクロールできます
1(→)三菱UFJ銀行:年0.345%(±0%)
2(→)みずほ銀行:年0.375%(±0%)
3(↑)りそな銀行:年0.39%(−0.1%)
4(↓)SBI新生銀行:年0.42%(+0.13%)手数料定率型を選択した場合
5(↓)住信SBIネット銀行:年0.448%(+0.15%)※借入金額が物件価格の80%以下の場合

※カッコ内の記号の意味は、以下のとおり

・(→):先月と同じ

(↑)前月から上昇

(↓)前月から下落

もっとも金利が低いのは、先月に引き続き三菱UFJ銀行の年0.345%であり、みずほ銀行の年0.375%がそれに続きます。この点は先月と同様です。

みずほ銀行に次いで金利が低いのは、りそな銀行の年0.39%です。

同行は、政策金利の引き上げにともない、10月に変動金利を年0.49%に引き上げました。

しかし、三菱UFJ銀行とみずほ銀行は10月の変動金利を据え置いたため、これに対抗するためか、りそな銀行は10月に変動金利を年0.1%引き下げています。

auじぶん銀行はランク外となってしまいましたが、キャンペーンを適用すると最優遇金利は年0.329%に引き下げられ、低金利での借り入れが可能です。

借り換えの最低金利についても、先月と同様に三菱UFJ銀行の年0.345%です。

これまで、ネット銀行は金利の低さが主な魅力でしたが、利上げ後も低金利を維持する大手都市銀行に逆転される状況となっています。

2024年11月の固定期間選択型とランキング

続いて、2024年11月の固定期間選択型(10年固定金利)をみていきましょう。各金融機関の最優遇金利は、以下のとおりです。

スクロールできます
適用金利金利上乗せなしの団信
三菱UFJ銀行年1.12%(+0.01%)一般のみ
三井住友銀行年1.8%(+0.1%)一般のみ
みずほ銀行年1.4%(+0.05%)一般のみ
りそな銀行年1.695%(+0.11%)一般のみ
SBI新生銀行年0.95%(±0%)一般または介護保障付団信
PayPay銀行年1.165%(+0.05%)一般または一般+がん診断一時金+先進医療給付金または一般+がん50%保障+先進医療特約+全疾病保障(入院限定)など
auじぶん銀行年1.285%(+0.09%)【満50歳以下の方】一般または一般+がん50%団信            ※がん診断保障・4疾病保障・全疾病長期入院保障が無料付帯
【満51歳以上の方】一般団信のみ
住信SBIネット銀行年1.303%(+0.1%)一般または一般+全疾病保障または一般+全疾病保障+3大疾病保障
※契約者が40歳未満である場合のみ
ソニー銀行年1.419%(+0.075%)一般または一般+がん50%保障
楽天銀行年1.742%(+0.032%)一般または一般+がん50%保障+全疾病保障               ※契約者が51歳以上の場合、がん50%保障はなし
イオン銀行年1.26%
(-0.24%)
一般または一般+全疾病保障

※住信SBIネット銀行は借入金額が物件価格の80%以下の場合

10年国債金利の上昇にともない、今月の10年固定金利は全体的に引き上げられていますが、イオン銀行のみ引き下げています。

上位5行のランキングは、以下のとおりです。

スクロールできます
1(→)SBI新生銀行:年0.95%(±0%)
2(↑)PayPay銀行:年1.165%(+0.05%)
3(↓)三菱UFJ銀行: 年1.12%(+0.01%)
4(↑)イオン銀行: 年1.26%(−0.24%)
5(↓)auじぶん銀行: 年1.285%(+0.09%)

※カッコ内の記号の意味は、以下のとおり

・(→):先月と同じ

(↑)前月から上昇

(↓)前月から下落

もっとも金利が低いのは、先月までと同様にSBI新生銀行でした。最優遇金利は年0.95%であり、年1.0%を下回る金利での借り入れが可能です。

次点はPayPay銀行の年1.165%であり、三菱UFJ銀行の年1.12%がそれに続きます。どちらも金利を引き上げていますが、上昇幅が異なるため先月と順位が入れ替わっています。

2024年11月の全期間固定金利(フラット35・固定金利35年)

2024年11月のフラット35(買取型)の最低金利は年1.84%であり、先月から年0.02%上昇しました。※融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利

2021年10月から2024年11月までの推移は、以下のとおりです。

【フラット35】借入金利の推移をもとに筆者作成

※上記は「買取型・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付き」の金利

先月までと同様、2024年におけるフラット35の金利は、ほぼ横ばいの状況が続いています。

続いて、大手都市銀行が独自に取り扱う35年固定金利の最優遇金利をみていきましょう。

  • 三菱UFJ銀行:年1.95%(+0.18%)
  • 三井住友銀行:年2.69%(+0.12%)
  • みずほ銀行:年1.85%(+0.06%)
  • りそな銀行:年1.845%(+0.13%)

すべての金融機関が全期間固定金利を引き上げました。

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住宅ローン金利は今後どうなる?12月や2025年の動向

では、今後住宅ローンの金利はどのように推移するのでしょうか。現時点の状況をもとに12月以降の金利がどうなるのかを考察します。

12月の変動金利はさほど変化しない

10月30日と31日に行われた金融政策決定会合で日銀は、政策金利を+0.25%で据え置くことを決めました。

住宅ローンの変動金利は、政策金利の影響を受けます。また、次の会合が開催されるのは、12月18日・19日です。

そのため12月の変動金利は、11月とほぼ同じ水準になると考えられます。

会合の総裁記者会見で「時間的余裕がある」という表現は外された

10月の会合では政策金利が据え置かれた一方で、総裁記者会見で日銀の植田総裁は「時間的余裕(という表現)が不要になる」と発言しました。

9月19日・20日に開催された会合で植田総裁は「(政策金利を引き上げるべきか判断する)時間的な余裕はあると考えている」と述べました。

このような見解が示されたのは、2024年8月に米国経済に対する懸念やそれによる市場の荒い動きが、日本経済にとっての重要なリスクと判断されたためです。

今後の動向を注意深く観察し、利上げをすべきか慎重に判断するということを示すために、時間的余裕はあるという表現が用いられました。

しかし、10月に開催された会合では、米国経済の不安は和らぎ市場も安定を取り戻していました。
リスクが軽減され、日本の経済や物価の動向に応じて利上げをしやすい状況となったため、今回の会合では時間的余裕という表現は用いられず、今後も不要になっていくのではないかという見解が示されています。

2025年の変動金利は予測が困難

これまでも日銀は経済・物価が順調に推移すれば政策金利を段階的に引き上げる方針を示しています。

「時間的余裕」という表現がなくなったことで、次回12月の会合や来年1月の会合で、経済や物価が見立て通りに伸びていることが確認されれば、日銀は追加の利上げに踏み切るかもしれません。

一方、10月27日に行われた衆議院選挙で自民党が大敗し、与党の議席が過半数を割ったことで政局は不透明になっています。

また、議席数を大きく伸ばした国民民主党は金融緩和を重視しています。このような状況であるため「日銀はすぐに利上げをしないのではないか」という考えも根強いです。
2025年に政策金利がいつ引き上げられるのか予想が難しい状況であり、変動金利が上昇するタイミングも見極めが困難となっています。

まとめ

2024年11月の変動金利は、一部のネット銀行が引き上げをしましたが、りそな銀行については引き下げています。

10年固定金利と全期間固定金利は、全体的に上昇しました。フラット35の借入金利もやや引き上げられています。

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この記事を書いた人

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。

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