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不動産投資ローンは、収益不動産(アパート・マンション・戸建住宅)を取得するためのローンです。
収益不動産は一般的に高額であるため、多くの投資家が金融機関から不動産投資ローンを借り入れて賃貸経営を始めます。不動産投資に成功するためには、不動産投資ローンの知識が不可欠と言っても過言ではありません。
本記事では、不動産投資ローンの種類や住宅ローンとの違い、審査に通過するためのポイントを解説します。
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不動産投資ローンとは、マンションやアパート、戸建て住宅などの投資用不動産を購入するときに借り入れるローンのことです。
不動産投資ローンには「プロパーローン」と「アパートローン」の2種類があります。主な違いは、以下のとおりです。
アパートローン | プロパーローン | |
資金用途 | 収益不動産の購入・建築 | 事業に幅広く利用が可能 |
保証会社 | 必要 | 不要※連帯保証人が必要になることがある |
審査期間 | 1〜3週間ほど | 1〜3か月以上 |
審査のハードル | 緩い | 厳しい |
融資条件 | 金融機関が商品ごとに定める範囲内 | 明確な決まりはなく案件ごとに決定 |
アパートローンとプロパーローンの違いをみていきましょう。
アパートローンは、アパートやマンションなどの収益不動産を購入・建築する際に利用できるパッケージ型の商品ローンのことです。
金利や融資期間、融資限度額などは、商品ごとにある程度の基準が設定されており、その範囲内でしか融資を受けられません。
また、アパートローンは一般的に保証会社による保証があります。ローンの契約者が返済できなくなったときは、保証会社が金融機関の債務を肩代わりする仕組みです。
そのため、アパートローンは基本的に保証人が不要である代わりに、保証会社に保証料を支払う必要があります。
審査の基準はプロパーローンと比較して緩い傾向にあるため、頭金が少ない人や不動産投資の初心者でも利用しやすいでしょう。
審査期間も比較的短く、早いケースでは申し込みから1週間ほどで結果がわかります。
プロパーローンとは、特定の金融商品名ではなく、金融機関が事業者向けに行う融資全般のことです。
オーダーメイド型の商品であるため、金利や融資金額、融資期間などに明確な決まりはなく、案件ごとに決められます。
取得する物件の収益性が高いと認められると、アパートローンよりも低い金利で借り入れできることもあります。
また、プロパーローンは保証会社を介さないため、保証料の支払いは発生しません。
一方、返済が滞るリスクを金融機関が負うため、融資審査はアパートローンよりも厳しい傾向にあります。
3割以上の頭金を準備できる人や、不動産投資の実績が豊富な人などでなければ、プロパーローンの利用は難しいかもしれません。
経営の安定性や収益性などが細かく審査されるため、融資の可否や融資条件が判明するまで数か月以上かかることもあります。
不動産を取得するため利用するローンには、不動産投資ローン以外にも「住宅ローン」があります。
不動産投資ローンと住宅ローンの主な違いは、以下のとおりです。
1つずつみていきましょう
住宅ローンを借り入れる目的は、借り入れる本人が住むための住宅の購入や新築、増改築などの資金を賄うことです。
一方、不動産投資ローンの借入目的は、賃貸マンションや賃貸アパートなど、他人に貸して家賃収入を得るための不動産を購入することです。
収益不動産を購入するために、住宅ローンを組むことは基本的にできません。※所定の条件を満たす賃貸併用住宅を除く
住宅ローンは、借り入れた人が働いて得られる収入をもとに返済されます。たとえば、会社員や公務員の場合、返済原資は給与収入となります。
一方で、不動産投資ローンの返済原資は、取得した収益不動産から得られる家賃収入です。
住宅ローンよりも、不動産投資ローンの方が融資金額の上限が高い傾向にあります。
住宅ローンは、年収の5〜7倍程度まで借り入れができるといわれています。それに対して、不動産投資ローンは年収の10倍以上を借り入れることも可能です。
不動産投資ローンや住宅ローンを借り入れた場合、借入元金の返済とあわせて利息を支払っていかなければなりません。毎月の返済額や利息額は「金利」をもとに計算されます。
不動産投資ローンの方が住宅ローンよりも、金利は高めに設定されています。
これは、返済原資である家賃収入が、空室や滞納などで減るリスクがある分、融資金が回収できなくなる可能性が住宅ローンよりも高いためです。
2023年10月現在、住宅ローンの金利相場は年0.3%〜年2.0%程度です。一方、不動産投資ローンの金利相場は、年2.0〜年5.0%程度となっています。
住宅ローンは、年収や年齢、貯蓄金額、勤続年数、信用情報などが審査対象です。信用情報とは、クレジットカードやローンの契約や申し込みに関する情報のことです。
また、取得予定の物件に担保として十分な価値があるかどうかも審査されます。
一方、不動産投資ローンは、個人の属性や物件の担保価値に加えて、物件の収益性も審査対象です。加えて、審査のハードルは住宅ローンよりも高いといわれています。
不動産投資ローンの主なメリットは、以下のとおりです。
1つずつ解説します。
レバレッジ効果とは「テコの原理」のことです。不動産投資におけるレバレッジ効果は、不動産投資ローンを活用して、少ない資金で投資効果を上げて、収益性を高めることをいいます。
賃貸用のマンションやアパートなどの不動産は、一般的に高額です。高い家賃収入が期待できる物件に投資をする場合、数千万〜数億円の資金が必要になることもあります。
不動産投資ローンを借り入れることができれば、少ない自己資金でより高い収益が期待できる魅力的な物件に投資しやすくなります。
自己資金のほとんどを使って収益用不動産を購入すると、手元の資金が著しく減ってしまい不測の事態に対処できなくなるかもしれません。
たとえば、物件の外壁部分や設備などが破損したとき、資金が不足して修繕・メンテナンスの費用が捻出できなくなる可能性があります。
また、自分自身が病気で入院や手術をすることになったとき、手持ち資金が少ないと医療費や当面の生活費の支払いに苦労してしまうかもしれません。
不動産投資ローンを組むと、まとまった資金を手元に残すことができるため、賃貸経営が始まったあとの不測の事態に備えやすくなります。
収益不動産を購入するとき、まとまった頭金を入れて不動産投資ローンの借入額を少なくできれば、毎月の返済負担を減らすことができます。
その一方で、頭金を準備するために長い時間が必要になるかもしれません。
安定した家賃収入が期待できる魅力的な物件を見つけたとしても、頭金の支払いに充てる資金を準備しているあいだに、他の投資家に先を越されてしまう可能性があります。
不動産投資ローンの借入額を増やすと、頭金を準備するための期間が短くなるため、狙っている物件をすぐに購入しやすくなるでしょう。
団体信用生命保険とは、返済の途中でローンの契約者が亡くなったときや所定の高度障害状態になったときに、ローン残高を保障する保険のことです。
団体信用生命保険に加入すると、オーナーの身に万一のことがあったときは、保険金によってローンが完済されるため、配偶者や子どもなどに返済義務のない収益不動産を残せます。
収益不動産から得られた家賃収入を、生活費や教育費などの支払いに充てることで、残された家族の生活が楽になるかもしれません。
また、収益不動産が不要なときは、売却をしてまとまったお金に換えることも可能です。
不動産投資ローンの金利には「変動金利」と「固定金利」の2種類があります。
変動金利は、返済の途中で世の中の金利相場や政府の金融政策などによって、借入金利が変わる可能性がある金利タイプです。
固定金利は、借り入れから一定期間の金利を固定する金利タイプを指します。
変動金利と固定金利の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
〇変動金利の主なメリット
メリット | ・借り入れた当初の金利が低い ・完済までに借入金利が上がらなければ総返済額を少なくできる |
デメリット | ・途中で返済負担が増える可能性がある ・借入時に毎月の返済額や総返済額が確定しないため返済計画を立てにくい |
〇固定金利の主なメリット
メリット | ・借り入れから一定期間は毎月の返済額が変わらない ・一定期間の返済額が固定される分、変動金利よりも返済計画を立てやすい |
デメリット | ・借入当初の金利が高い ・取り扱っている金融機関が少ない |
不動産投資ローンを組むときは、特徴やメリット、デメリットを比較し、自分自身にあった金利タイプを選ぶことが重要です。
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不動産投資ローンを組むためには、少なくとも700万円の年収が必要といわれています。
また、不動産投資ローンの借入額は、年収の7〜10倍程度が目安です。借入可能額の目安を年収ごとに算出した結果は、以下のとおりです。
借入可能額の目安 | |
700万円 | 4,900万〜7,000万円 |
800万円 | 5,600万〜8,000万円 |
900万円 | 6,300万〜9,000万円 |
1,000万円 | 7,000万〜1億円 |
1,500万円 | 1億500万〜1億5,000万円 |
2,000万円 | 1億4,000万〜2億円 |
目安をもとに計算すると、1,000万円以上の年収があれば、1億円以上の物件に投資をすることも可能ということになります。
ただし上記はあくまで借入額の目安であり、実際にいくらの融資を受けられるのかは、金融機関の審査次第です。
たとえば、年齢が高い人やローンの返済を長期間滞納したことがある人などは、700万円を超える年収があっても不動産投資ローンを組めない可能性があります。
一方、規模が大きな企業に勤めている会社員や公務員などは、年収が500万円ほどでも不動産投資ローンを組めることもあります。
不動産投資ローンの審査に通過しやすくなる方法はいくつかありますが、なかでも押さえておきたいものは、以下のとおりです。
1つずつ解説します。
不動産投資ローンは、物件から得られる家賃収入が主な返済原資です。物件の収益性が高ければ高いほど、返済が滞りにくくなるためローンの承認が下りやすくなります。
物件の収益性の高さを判断するうえで、とくに重要なのが「空室リスク」です。空室リスクが低い物件の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
不動産投資ローンを借り入れて不動産投資を始めるときは、収益不動産の取引実績が豊富な不動産会社に相談し、高い収益性が期待できる物件を選ぶことが大切です。
自己資金を多く準備すると、不動産投資ローンの借入額が減って毎月の返済負担は軽くなります。その結果、返済が滞りにくくなるため、金融機関の審査に通過しやすくなります。
不動産投資ローンを利用するのであれば、できるだけ多くの自己資金を準備すると良いでしょう。
また2023年10月現在、金融機関の融資審査はひと昔前と比較して厳しくなっており、物件購入資金のすべてを不動産投資ローンで賄うのは困難です。
不動産投資ローンを組むのであれば、少なくとも物件価格の2〜3割程度の自己資金を準備するのが望ましいといえます。
個人の信用情報は、個人信用情報機関に一定期間保存されています。
クレジットカードの支払いやローンの返済などを長期間にわたって滞った履歴が個人信用情報機関に残されていると、いわゆる信用情報に傷がついた状態になる可能性があります。
たとえ1,000万円を超える年収があり、収益性が高い物件を取得する予定であったとしても、信用情報に傷がついていると不動産投資ローンを利用するのは困難です。
不動産投資ローンを組む予定の人は、信用情報に傷をつけないためにもクレジットカードの支払いやローンの返済を滞納しないようにすることが大切です。
不動産投資ローンを借りる際の主な注意点は、次のとおりです。
それぞれについて解説します。
不動産投資ローンや住宅ローンの審査では、他の借り入れ状況が確認されます。すでに借り入れているローンの借入額が高いと、ローンの審査に通過できない可能性があります。
そのため、先に多額の不動産投資ローンを組んでしまうと、マイホームを購入するときに住宅ローンを申し込んでも審査に通過できなくなるかもしれません。
不動産投資ローンを組むのであれば、ご自身や家族の意向をもとに今後のライフプランを立て、マイホームの取得に支障が出ないかどうかをよく検討することが大切です。
住宅ローンで収益不動産を取得することは、不正利用にあたります。不正利用が発覚すると、残債の一括返済を求められるだけでなく、詐欺罪にも問われてしまうかもしれません。
悪徳な事業者から「契約書を2つ作成しましょう」「金融機関には自己居住用と説明すれば問題ありません」といった誘いを受けて、不正利用をしてしまうケースもあります。
そのため、不動産投資ローンよりも低い金利で借り入れができるからといって、住宅ローンで収益不動産を取得するのは絶対に避けましょう。
不動産投資ローンは、借入額が高くなりやすいだけでなく、返済期間も20年や30年など長期にわたりやすいです。
返済計画をきちんと立てないと、無理な借り入れをしてしまい、家賃収入の減少や修繕費の増加などが原因で、返済が苦しくなってしまうかもしれません。
返済が苦しくなって赤字が発生すると、自分自身の貴重な財産を食いつぶしてしまう恐れがあります。
そのため不動産投資ローンを組むときは、返済計画を入念に立てたうえで借入額や金利タイプ、返済期間などを慎重に決めることが重要です。
金融機関の審査に落ちてしまったとしても、諦める必要はありません。以下のいずれかの対処方法を行うと、不動産投資ローンを借り入れられる可能性があります。
金融機関は、不動産投資ローンが不承認となった理由を教えてくれることはありません。審査に落ちた要因を考えて、自分自身の状況にあった対策を検討することが重要です。
金融機関によって、不動産投資ローンの審査基準が異なります。
希望する借入額や返済期間などが同じであっても「A銀行では審査に落ちたが、b銀行では審査に通過できた」といったことが起こり得ます。
そのため、審査に落ちてしまったときは、別の金融機関に相談をすると良いでしょう。
大手銀行や地方銀行、信用金庫など、さまざまな金融機関に相談をすることで、融資先が見つかりやすくなります。
また、不動産会社と提携する金融機関を紹介してもらうのも方法です。
不動産投資ローンを申し込む人の属性を高めることで、金融機関の審査に通過できる可能性が高まります。
たとえば、希望する借入額が高かったために、金融機関の審査に落ちたと思われるのであれば、自己資金を増やして申し込みをするのも1つの方法です。
また「昇進・昇格で年収を増やす」「他のローンを完済する」などの方法で、個人の属性が高まり金融期間からの評価が上昇する可能性があります。
一般的に、物件の築年数が古くなればなるほど、担保としての価値は下がっていき、金融機関の審査に通過しにくくなります。
物件の築年数が原因で審査に落ちたと考えられるのであれば、新築物件や築浅物件を検討すると、審査に通過しやすくなる可能性があります。
物件の収益性の低さが審査に落ちた原因であるのなら、物件を取得するエリアを見直すのも方法です。
立地や周辺施設の利便性が良く、高い収益性が期待できる物件を見つけることができれば、審査に通過しやすくなるでしょう。
金融機関から不動産投資ローンを借り入れることができれば、自己資金を超える価格の収益不動産に投資できます。また、資金を手元に残せるため不測の事態に備えやすくなるだけでなく、物件をスピーディーに購入することも可能です。
一方で、不動産投資ローンを組むと、あとで住宅ローンを組みにくくなる可能性があります。返済計画をきちんと立てずに不動産投資ローンを借り入れると、途中で返済が苦しくなってしまうかもしれません。
不動産投資ローンを利用するときは、不動産会社や金融機関などの専門家に相談し、今後のライフプランも踏まえて完済が見込める返済計画を立てることが大切です。
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大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。
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