離婚時における公正証書の必要性とその効力とは

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離婚は心身ともに大きなストレスを伴います。
事情によっては慰謝料養育費財産分与など重要な取り決めを行う必要がありますが、
その場しのぎの口約束や簡易な書面で留めてしまい、後に大きなトラブルになることは少なくありません。

そこで有効なのが「公正証書」です。
この記事では離婚時に役立つ公正証書の活用方法について詳しく解説します。
将来起こりうるトラブルに事前に手を打ち、自身の権利を法的に守りましょう。

目次

公正証書とは?

公正証書は、法的な効力を持つ公文書で、国の機関である公証人がその権限に基づき作成します。
この文書は、合意された内容が正確であることを公証人が証明することにより、法的に保証されます。

原本は公証役場に保管される為、紛失や改ざんのリスクがありません
作成される内容としては、主に遺言書契約書取引など、正確な記録が求められる場面で用いられます。
公正証書には大きく三つの効力があります。

「証明力」

文書内容の正確さが証明されること。
公正証書は公証人が内容を確認し、署名・捺印をすることでその内容が正確であると法的に証明されます。これにより、文書に記された事実や合意が疑いようのないものとされます。

「強制執行力」

公正証書は、通常の私的契約書と異なり、裁判所の判決と同様に直接的な強制執行が可能です。

これは、公正証書に基づく合意事項について、当事者が履行を拒んだ場合、法的手続きを経ずに履行を強制することができることを意味します。

「安全性」

公証人の関与により、公正証書は改ざんや偽造から保護され、内容の信頼性が高まります。また、公証人は当事者の意思の自由と真正を確認するため、詐欺や強迫による契約の無効リスクを減少させます。

上記の効力によって、公正証書は法的なトラブルを予防し、当事者間の信頼を確保する重要なツールとなります。

離婚における公正証書の重要性

離婚をする際、公正証書を作成しておくことはとても重要です。
公正証書を用いることで、離婚協議における養育費財産分与慰謝料などの重要な合意が正式かつ法的に確実に記録されます。
この文書は、協議内容が両当事者によって公平に合意されたことを証明し、将来的な不一致や法的紛争を避けるために非常に役立ちます。
例えば、離婚時に取り決めた内容が履行されず、相手の給料を差し押さえる等の強制執行をしたい場合、通常は裁判所に訴訟を起こして勝訴してから初めて強制執行ができるのですが、公正証書があればその手順を省略できるのです。

公正証書がもたらす安心感

公正証書は、その法的な確実性により、離婚に関連する合意が将来にわたって守られることを保証するため、

当事者に大きな安心感をもたらします。
離婚後、安心した日々を過ごす上でも、公正証書の作成は有効な手段と言えます。

公正証書作成時の手続きと必要書類

公正証書を作成するための手続きは以下の通りです。

書類の準備

状況によって必要書類は変わりますが、主に離婚協議書(離婚内容が記載されたメモなど)、戸籍謄本、印鑑証明、実印、身分証明書、不動産がある場合は登記簿謄本、年金手帳や通知書等が必要になります。

公証人との予約

公証人の事務所に連絡し、予約を取ります。
内容の確認:公証人との面談で、公正証書の草稿を確認し、内容に誤りや修正が必要な点がないかを検討します。

署名と認証

すべての当事者が公正証書に署名した後、公証人がこれを認証します。

このような手続きを経ることで、公正証書は法的効力を持つようになり、記載内容が法的に保護されます。

離婚前に公正証書を作成するのが一般的

協議離婚の際は、一般的に離婚届を提出する前に公正証書を作成します。離婚届を出してしまうと後は会う機会がかなり少なくなるため、契約すると約束していたのにも関わらず、うやむやにされてしまうこともあるからです。

ただし離婚が成立した後で作成するのに問題があるわけではありません。双方が合意すれば、後から作成することもあり得ます。ただし完成させるには2人そろって公証役場に行く必要があるので、その点には注意しましょう。

公正証書については色々と誤解をしている人も多いのですが、契約を守るという点において非常に役立つものです。必要に応じて公正証書を利用できるように、その仕組みなどを覚えておきましょう。

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公正証書が使われるケース

公正証書は契約や遺言の際に使われるというイメージが強いかもしれません。しかし実は協議離婚をする際もよく使われているのです。では、どのような場合に使われるのでしょうか?

公正証書が使われるケース①:養育費の決定をする時

例えば離婚のときにまだ幼い子どもがいる場合、離婚してからも養育費などの支払いが必要になるでしょう。それも成人や大学卒業までとなるとかなり長い期間に及びます。

このような場合に、きちんと契約していないと途中で支払いが滞ることは珍しくありません。支払ってもらう側としては、しっかりと支払ってもらうことを望むでしょう。

公正証書が使われるケース②:財産分与・慰謝料を決める時

また離婚時には財産分与や慰謝料などの支払いもあります。その支払い条件を定める際も公正証書が利用されます金額によっては一括払いできないこともあるからです。

特に財産分与の対象に将来の退職金も含める場合は、実際に支払われたときに受け取ることが多いでしょう。しかしそれはかなり先のことなので、不安もあると思います。

こういったときに、支払いを確実なものにするために公正証書を作成するのです。そうすれば強制執行が可能となるので、契約に反することがあった場合に家庭裁判所に申し出て、調停や信販の申し立てができるのです。

強制執行となると、給与を差し押さえることもできます。支払える能力があるのに支払わない場合は、強制的に取り立てることができるのです。なぜ、こういった予防策が必要かというと、協議離婚では家庭裁判所が関与しないからです。

家庭裁判所では、協議離婚について調書を作成しません。また養育費の支払いなどの取り決めについても契約書を作成しなくてはいけないという法律もないので、お互いの合意による口約束で終わることも少なくないのです。

それではもし一方が取り決めを破ったとしても、それを証明することは難しくなります。そのため、大切な取り決めに関しては執行証書としての効力も備えている公正証書での契約がよく使われるのです。

よくある質問とその回答

公正証書は離婚に必須ですか?

必須ではありませんが、離婚協議の内容を法的に保証し、将来的なトラブルを防ぐために推奨されます。

公正証書の作成にどれくらいの費用がかかりますか?

費用は公証人の事務所や文書の内容によって異なりますが、一般的には数万円の範囲です。不動産等大きな財産分与が含まれる場合は手数料も上がっていきます。

詳しくは日本公証人連合会や各公証役場のHPを参考にしてください。

https://www.koshonin.gr.jp

日本公証人連合会
公正証書作成の手続きに必要な時間は?

書類が整っていれば、予約後の面談を経て数日内に完成することが多いです。

公正証書と離婚届の違いは何ですか?

公正証書は合意内容の法的保証を目的とし、離婚届は離婚を法的に成立させるためのものです。

公正証書は誰に作ってもらう?

士業者や銀行等を介して公証人に相談や作成の依頼をすることもできますが、それらを介することなく、当事者が直接公証役場へ連絡をとり依頼をしても問題ありません。

公正証書の保管期間はどれくらいですか?

公正証書の保存期間は、20年です。尚、特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間は保存しなければならないと定められています。

※遺言の場合は特別の事由に該当すると解釈されているため、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年または遺言者の生後170年間保存されます。

まとめ

離婚をする際はお互いに様々な取り決めを交わすことになります。
相手との離婚協議が円満に進んだとしても、将来約束したことが確実に守られる保証はどこにもありません。
多少の労力は必要になりますが、離婚後のトラブルを防ぐためにも、公正証書の作成はとても有効な手段です。

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