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マンションを売ろうと思ったとき、まず悩むのが売り方の選択です。一般的な「仲介」で売るか、最近増えている「買取」で売るか。どちらを選んだほうがいいのか、具体的な違いを知らないと不安に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では「仲介」と「買取」における価格の差や売却期間、手間のかかり方など、実際に売るときに気になるポイントについて、わかりやすく解説します。
マンション売却の方法には、主に仲介販売と買取販売があります。まずは、それぞれの基本的な違いを確認しましょう。
仲介 | 買取 | |
---|---|---|
取引形態 | 不動産会社が売主と買主をつなぐ | 不動産会社が直接買い取る |
売却期間 | 3~6ヶ月 | 2~4週間 |
売却価格 | 市場価格に近い | 市場価格の7~9割 |
諸費用 | 仲介手数料あり | 仲介手数料なし |
仲介販売とは、不動産会社が売主と買主の間に入り、取引を仲介する形式です。一般的な不動産取引で最も多く採用されている方法で、市場価格での売却が期待できます。不動産会社は適切な買主を探し、価格交渉から契約までの過程をサポートします。
一方、買取販売には2種類の方法があります。
即時買取:不動産会社が即座に買い取る一般的な方式
買取保証付き:一定期間内に指定価格で売却できない場合、保証価格で買い取る方式
ただし、すべての不動産会社が買取を行っているわけではなく、特に買取保証付きのサービスを提供している会社は限られています。そのため、買取を検討する場合は、まず対象の不動産会社がそのようなサービスを提供しているかどうかを確認するようにしましょう。
仲介と買取では、売却価格や所要期間、手間など、様々な面で大きな違いがあります。ここでは、売主として特に重要な3つのポイントについて、取り上げてみました。
マンション売却において最も気になるのが売却価格の違いです。仲介と買取では、最終的な売却金額に大きな開きが生じる可能性があります。その具体的な差額と、なぜそのような差が生まれるのか、それぞれ解説します。
買取価格が仲介価格よりも低くなる主な理由は、不動産会社が負担するリスクとコストにあります。具体的には以下のようなリスクとコストが発生します。
【不動産会社が負担するリスクとコスト】
在庫保有コスト | 固定資産税(年間で固定資産評価額の1.4%程度)管理費・修繕積立金(月額2〜3万円程度)光熱費・保険料等の諸経費 |
市場変動リスク | 不動産市況の変動による価格下落リスク金利変動による取引への影響競合物件の出現による価格競争 |
転売時の経費 | リノベーション費用(平均300〜500万円程度)広告宣伝費(数十万円程度)仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税) |
資金コスト | 買取資金の金利負担運転資金の機会損失資金回転率の低下 |
これらを考慮した上で、不動産会社が適切な利益を確保するためには、市場価格よりも低い価格での買取が必要となります。
具体的な価格差は、物件の状態や地域性、市場環境によって変動します。以下、典型的な価格差のケースを見ていきましょう。
仲介売却の場合 | 買取の場合 |
---|---|
想定売却価格:3,000万円 仲介手数料:約100万円 売主手取り額:約2,900万円 | パターン1(市場価格の90%):2,700万円 パターン2(市場価格の80%):2,400万円 パターン3(市場価格の70%):2,100万円 ※買取の場合は仲介手数料なし |
価格差が生じる要因として、主に物件の状態と地域性の2つの観点が挙げられます。まず物件状態については、以下のケースにおいて仲介と買取の価格差が縮小する傾向にあります。
理由として、買取後のリノベーションを前提とした買取価格の提示が可能なことがいえるでしょう。
地域性については、都心部や人気エリアでは仲介売却の方が高値が期待できます。これは購入希望者が多く、適正価格での取引が成立しやすいためです。一方、過疎地域では買取の方が安定的な売却が見込めます。また、再開発が予定されている地域では、将来の開発計画次第で買取価格が大きく変動する可能性がある点に注意しましょう。
売却期間は、売主の生活設計に大きく関わります。仲介と買取では、売却完了までの期間に数ヶ月単位の違いが生じることも少なくありません。それぞれの方法における具体的な期間の違いと、その過程で必要となる作業を詳しく解説します。
売却期間は、仲介と買取で大きく異なります。それぞれの売却にかかる流れについて、見ていきましょう。
【売却までの期間】
仲介売却の場合 | 買取の場合 |
---|---|
査定・価格設定:1週間程度 販売準備期間:1〜2週間 募集開始から内見対応:2〜3ヶ月 価格交渉・契約:2〜3週間 決済・引渡し:1〜2ヶ月 | 査定・価格提示:1〜3日 価格交渉:1〜3日 契約準備:1週間程度 決済・引渡し:2〜3週間 |
合計:4〜6ヶ月程度 | 合計:1ヶ月程度 |
仲介売却の場合、市場価格での売却を目指すため、適切な買主が見つかるまでに一定期間が必要です。特に人気のない立地や相場より高めの価格設定の場合は、さらに期間が延びる可能性があります。
一方、買取では不動産会社が直接購入するため、価格さえ合意できれば比較的短期間で売却が完了します。特に即時買取の場合、最短で2週間程度での決済も可能でしょう。
売却時には様々な費用が発生します。仲介と買取では、必要となる費用の種類や金額が大きく異なるため、慎重な比較検討が必要です。それぞれの方法で発生する具体的な費用と、その計算方法について見ていきましょう。
売却時にかかる費用は、仲介と買取で構造が大きく異なります。この違いは最終的な手取り額に直接影響するため、慎重に検討する必要があるでしょう。
仲介売却の場合、主な費用として仲介手数料が発生します。これは売却価格の3%に6万円を加えた金額(上限)に消費税が加算されます。たとえば、売却価格3,000万円の場合、仲介手数料は以下のように計算されます。
3,000万円×3%+6万円=96万円96万円×1.1(消費税)=105.6万円
これに加えて、登記費用として売却価格の約1%(30万円程度)が必要です。その他、ローン残債がある場合は繰上返済手数料、固定資産税の精算金なども発生する可能性があります。
一方、買取の場合は仲介手数料が不要となり、登記費用のみが主な費用となります。ただし、買取価格自体が低くなるため、総合的な比較が必要です。以下、具体的な計算例を見てみましょう。
【3,000万円の物件を売却する場合の費用比較】
仲介売却 | 買取(市場価格の80%で買取と仮定) |
売却価格:3,000万円 仲介手数料:約106万円 登記費用:約30万円 合計費用:約136万円 | 売却価格:2,400万円 登記費用:約24万円 合計費用:約24万円 |
手取り概算:約2,864万円 | 手取り概算:約2,376万円 |
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前章までで、仲介と買取の「売却期間」「売却価格」「諸費用」の3点を比較しました。その点を踏まえた上で、仲介・買取のどちらを選べば良いか?を解説します。
選ぶ基準は、以下のように何を重視するかという点です。
・売却価格を重視するなら仲介
・即金性を重視するなら買取
・売却活動をしたくないなら買取
詳しく解説していきます。
まず、売却価格を重視するなら仲介が良いでしょう。上述のように、仲介を選択すると相場並に売却できる可能性は高いですが、買取だと相場の7~9割程度まで価格が下がります。
買取の場合は、「買取後に転売する」という目的がある以上、価格が大きく下落するのは避けられません。
しかし、内装が劣化しているマンションは、買取でも仲介と大きく変わらない場合があります。たとえばペットを飼っていて、クロスやフローリングがボロボロなマンションなどです。
このようなマンションでも、リノベーションを前提として買い取ってもらうなら、クロスやフローリングなどは買い取り後に張り替えます。そのため、内装が劣化していても問題ないのです。
一方、仲介で内装が劣化していると購入検討者が嫌がるので、売却価格が大きく下落する可能性があります。
ただ、それでも買取の方が仲介よりも売却価格が高くなる可能性は、極めて低いでしょう。もし買取も検討したい場合は、仲介と買取どちらも査定依頼することをおすすめします。
急ぎの資金需要がある場合や、早期売却を優先したい場合には、買取による売却が有効です。たとえば、住宅ローンの返済に困難を感じている場合や、相続税の納付期限が迫っているケースなどが該当するでしょう。また、転勤や移住に伴う売却では、スケジュールの確実性が重要となるため、買取が選択されやすい傾向にあります。
とはいえ、買取は売却価格が下がるので、そう簡単に選択できないのも事実です。買取を検討している人は、少しでも高く買い取ってもらうために以下のポイントを知っておきましょう。
・複数社へ査定依頼する
・マンション売却に強い査定サイトで査定依頼する
・すぐ査定依頼する
買取価格は不動産会社によって大きく異なるので、必ず複数社へ査定依頼しましょう。また、その際は「マンション売却」に強い不動産会社に査定依頼しないといけません。
さらに、マンション売却を検討しているなら、すぐ査定依頼した方が良いです。理由は、マンションの売却価格は周辺の競合状況によって変わるからです。つまり、「今」マンションが売り時の可能性があるため、すぐに査定依頼して確認することをおすすめします。
売却活動に伴う手間や、プライバシーの保護を重視する場合も、買取が適しています。特に高齢者の方や、身体的な理由で内見対応が困難な方にとって、この点は大きな判断材料となるでしょう。また、賃借人が居住している物件の場合も、現況のまま売却できる可能性が高い買取は、有効な選択肢となります。
・少しでも高く売りたい人は仲介
・少しでも早く現金化したい人は買取
・売却活動が嫌なら買取
マンションを売るとき、「仲介」と「買取」にはそれぞれ良いところがあります。仲介なら高く売れる可能性が高く、買取なら早く確実に売れるのが特徴です。どちらを選ぶかは、「高く売りたい」「早く売りたい」「手間をかけたくない」など、売主さんの希望によって変わってきます。
大切なのは、最初から一つの方法に決めつけないことです。複数の不動産会社に相談して、仲介と買取の両方の可能性を探ってみましょう。特に買取は会社によって買取価格が大きく違うことがあるので、できるだけ多くの会社から査定を取ることをおすすめします。
また、仲介と買取のどちらを選択するか決めかねている場合には、仲介と買取のどちらも査定依頼をした方がよいでしょう。査定する際は、マンション売却に特化したマンションナビの利用をおすすめします。
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元信託銀行員。宅建士・ 2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。
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