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2022年10月の住宅ローン金利は、変動金利に大きな変化はみられませんでしたが、固定金利についてはおおむね引き上げられています。
本記事では、2022年9月1日時点の住宅ローン金利と今後の動向を解説します。金利タイプごとの最安金利についても紹介していますので、ぜひご覧ください。
2022年10月の住宅ローン金利について、金利タイプごとの最安金利と金利上乗せなしで加入できる団信の保障内容をみていきましょう。金利の一覧表に記載している団信の保障内容は、以下の通りです。
上記のほかにも、PayPay銀行では所定の悪性新生物と診断されたときや、がんの先進医療を受けたときに給付金を受け取れる「一般団信プラス」を選択できます。
がん診断時の給付金は100万円です。また、先進医療を受けたときは1回あたり500万円まで(通算1,000万円まで)を限度に実際の治療費が保障されます。
それでは、金利タイプごとの最安金利をご紹介します。
各行が取り扱う変動金利の最安値は、以下の通り先月と変わらない結果となりました。
適用金利 | 金利上乗せなしの団信 | |
三菱UFJ銀行 | 年0.475%(±0%) | 一般のみ |
三井住友銀行 | 年0.475%(±0%) | 一般のみ |
みずほ銀行 | 年0.375%(±0%) | 一般のみ |
りそな銀行 | 年0.47%(±0%) | 一般のみ |
PayPay銀行 | 年0.38%(±0%) | 一般+がん診断一時金+先進医療給付金 または 一般+がん50%保障 |
auじぶん銀行 | 年0.389%(±0%) | 一般+がん50%保障 |
住信SBIネット銀行 | 年0.44%(±0%) | 一般+全疾病保障 |
ソニー銀行 | 年0.397%(±0%) | 一般+がん50%保障 |
楽天銀行 | 年0.537%(±0%) | 一般+がん50%保障+全疾病保障 |
イオン銀行 | 年0.52%(±0%) | 一般+全疾病保障 |
※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
引き続きみずほ銀行の年0.375%が、もっとも低い結果となりました。PayPay銀行の年0.38%とauじぶん銀行の年0.389%がそれに続きます。
先月と変化がないように思われますが、実はauじぶん銀行は金利を引き下げています。先月までは、2022年9月末までに借り入れをした人が対象であるキャンペーンの適用により、金利が年0.389%に引き下げられていたためです。
今月からは、通常の適用金利が年0.389%となっています。一方で、住宅ローンと同時に「au回線」と「auじぶん電気」を契約すると、適用金利が年0.289%に引き下げられるキャンペーンについては継続されています。
借り換えの金利は、PayPay銀行の年0.349%が最安です。先月までPayPay銀行は、借り換えの金利を年0.33%に設定していたため若干上昇しています。
借り入れから一定期間が経過しているのであれば、金利が低い住宅ローンに借り換えることで、毎月の返済負担を軽減できる可能性があります。すでに住宅ローンを組んでいる人は、借り換えを検討してみてはいかがでしょうか。
固定期間選択型と全期間固定金利に影響を与える新発10年物国債(10年国債)の金利は、以下の通りに推移しています。
※財務省「国債金利情報」をもとに筆者作成
2022年9月1日以降、10年国債の金利は上昇傾向にあるため、多くの金融機関が固定金利を引き上げる可能性が高いと考えられます。
固定期間選択型のうち10年固定金利の最安値は、以下の通りとなりました。
適用金利 | 金利上乗せなしの団信 | |
三菱UFJ銀行 | 年0.83%(▲0.06%) | 一般のみ |
三井住友銀行 | 年0.83%(▲0.06%) | 一般のみ |
みずほ銀行 | 年1.05%(+0.1%) | 一般のみ |
りそな銀行 | 年0.995%(+0.15%) | 一般のみ |
PayPay銀行 | 年0.89%(+0.11%) | 一般+がん診断一時金+先進医療給付金または一般+がん50%保障 |
auじぶん銀行 | 年0.865%(+0.12%) | 一般+がん50%保障 |
住信SBIネット銀行 | 年1.31%(+0.3%) | 一般+全疾病保障 |
ソニー銀行 | 年0.8%(+0.05%) | 一般+がん50%保障 |
楽天銀行 | 年1.274%(+0.159%) | 一般+がん50%保障+全疾病保障 |
イオン銀行 | 年0.93%(±0%) | 一般+全疾病保障 |
※ソニー銀行は自己資金10%以上で借り入れをしたときの金利
全体的に金利は引き上げられていますが、三菱UFJ銀行とみずほ銀行のみ引き下げています。イオン銀行のみ先月と変わりはありません。
もっとも金利が低いのは、ソニー銀行の年0.8%です。それに続くのは、先月より引き下げた三菱UFJ銀行と三井住友銀行の年0.83%となりました。
ただし、ソニー銀行の10年固定金利が年0.8%となるのは、10%以上の自己資金を準備してマイホームを取得する場合です。自己資金が10%未満である場合は、年0.85%となります。
また、地方銀行のなかにはさらに低金利で提供しているところもあります。
たとえば、香川銀行では「給与振込10万円以上」「公共料金口座振替2件以上」などの要件を満たすと、Web申し込み限定で10年固定金利を年0.6%での借り入れが可能です。
2022年10月のフラット35(買取型)の最低金利は年1.48%であり、前月の年1.52%から0.04%引き下げられました。
※融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付きの金利
2021年10月からの推移は以下の通りです。
※【フラット35】借入金利の推移をもとに筆者作成
※上記は「買取型・融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下・新機構団信付き」の金利
2022年9月に引き続きフラット35の金利は引き下げられているものの、2021年12月以前と比較すると依然として高水準が続いています。
ちなみにフラット35は、2022年10月から「ポイント制」が始まりました。これにより、住宅性能やエリアなどで決まるポイントの合計に応じて、フラット35の適用金利が引き下げられる仕組みとなっています。
一方の金融機関が独自に取り扱う35年固定金利については、以下の通り全体的に引き上げられています。
主要4行のすべてが全期間固定金利を引き上げてきました。その一方で、各行の金利は大きく異なっています。
みずほ銀行とりそな銀行は年1%台前半で提供しているのに対し、三菱UFJ銀行は年1.64%、三井住友銀行は年2.19%となっています。
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2022年10月の住宅ローン金利は、変動金利が先月から引き続き低水準である一方で、固定期間選択型と全期間固定金利は上昇傾向にあります。2022年11月以降も、しばらくこの傾向は変わらないでしょう。
最後に、今後の住宅ローン金利がどのように推移するのかを考察します。
変動金利が上昇する兆候がみられないのは、日銀が9月21日と22日に実施した金融政策決定会合で「2%の物価安定の目標に向けて金融緩和政策を継続する」と発表したためです。
日本では、2022年4月から8月までの5か月にわたって物価上昇率が2%を超えていますが、これは原油や穀物などの価格高騰が主な原因です。景気の回復で物価が上昇したわけではなく「2%の物価安定の目標」は達成されていないため、金融緩和政策は継続となりました。
変動金利の指標は「無担保コールレート・オーバーナイト物」という金利が大元になっており、これは日銀の金融政策によってコントロールされています。
日銀が金融緩和政策を続ける限り、無担保コールレート・オーバーナイト物は引き下げられたままであるため、変動金利も今後しばらくは低水準で推移するでしょう。
固定金利については、アメリカと日本の金利差が続く限り、2021年と比較して不安定かつ高金利の状態が続くと考えられます。
アメリカでは歴史的なインフレが続いており、それを抑えるために中央銀行にあたるFRBは金利の引き上げを行っています。
直近の2022年9月21日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.75%の大幅な利上げが決められました。また、11月と12月に予定されているFOMCでも利上げが行われると予測されています。
一方の日本は景気の低迷により金利を上げたくても上げられない状況です。もし金利を上げてしまうと、住宅ローンをはじめとした借り入れの利息負担が増えてしまい、景気が悪化する恐れがあるためです。
アメリカと日本の金利差が拡大したことにより、10年国債の金利が上昇しました。歴史的に考えると低水準といえますが、この状況が変わらない限りは固定金利の2021年と比較して高い傾向が続くと考えられます。
2022年10月も、先月に引き続き変動金利に大きな動きはありませんでした。日本が金融緩和政策を続ける限り、次月以降も変動金利は低水準のままでしょう。
一方の固定期間選択型と全期間固定金利は、10年国債の金利上昇の影響によっておおむね引き上げられました。フラット35の最安金利は年1.48%となっており、2022年9月から2か月連続で引き下げられましたが、昨年の同時期と比較すると高く設定されています。
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保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後人材会社で転職したのちに副業としてwebライターを始める。お金に関する正しい知識をたくさんの人々に知って欲しいとの思いから、2019年1月よりwebライターとして独立。これまで保険、不動産、税金、音楽など幅広いジャンルの記事を、多数のメディアで執筆・監修している。
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