マンション投資で節税できる仕組みとは?節税効果シミュレーションも解説

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「節税できる」と聞いて、マンション投資に興味を持った人も多いのではないでしょうか?マンション投資で毎月の不労所得を得ながら、節税効果も見込めるとなると、税金負担を重く感じている人にとっては特に魅力的に感じるでしょう。

しかし、節税目的でマンション投資をしても、入居者がつきにくい物件を選んでしまったり、相場より高い価格で購入してしまうと失敗してしまいます。

本記事ではマンション投資の節税の仕組みや失敗例、注意点について詳しく解説していきます。

目次

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マンション投資は節税に活用できる理由とは?仕組みを解説

マンション投資で節税するための代表的な方法は、損益通算によって納める所得税・住民税を少なくすることです。課税所得を圧縮することで、支払う税金を少なくできます。この方法以外にもいくつか節税になる仕組みがあるので、ここでは3つ紹介します。

  • マンションの購入費用を減価償却で損益通算して節税できる
  • 不動産にして相続税を節税できる
  • 事業規模によっては法人化することでより節税できる

それぞれの節税の仕組みを解説します。

①購入したマンション費用を減価償却で損益通算して節税できる

マンションの購入費用を減価償却費で計上して不動産所得を赤字にし、損益通算で課税所得を減らすことで節税ができます。

まず、減価償却とは、固定資産の取得にかかった費用を一定期間に渡って分割して計上することです。マンション購入時に支出自体は一括して行われますが、法定耐用年数に分けて減価償却費として計上します。

この減価償却費は会計上、経費としてカウントされますが、毎年実際支出されるわけではありません。多くの場合、減価償却費の計上により、実際のマンション投資のキャッシュフローにかかわらず、会計上は赤字となります。損益通算によって、この不動産所得の赤字と他の黒字所得を合算できるため、課税所得を少なくできます。

仮に給与所得が900万円、マンション投資が会計上100万円赤字だとすると、課税所得は800万円です。本来課税される対象が900万円から800万円になり、納める税金が減るために節税となるのです。

②現金を不動産にして相続税を節税できる

マンション投資は、相続税の節税にもなります。

仮に現金1億円を相続すると、相続税評価額は1億円です。しかし、1億円で購入した不動産を相続すると、購入金額の1億円ではなく評価額に対して課税されるために相続税を減らせるのです。

このように不動産にすることで、課税価格を減らせるため、マンション投資は相続税の節税も可能です。

③事業規模によっては法人化することでさらに節税できる

マンション投資の事業規模や収益が大きくなると、法人化によって節税できるケースもあります。所得税は累進課税のため、一定の収入規模に達すると、法人の方が税率が低いため節税に繋がるのです。

個人の所得税と住民税の合計税率は最大55%となるのに対し、法人税率は高くても30%台です。

個人の所得税率を超える可能性がある場合に、法人への切り替えの検討が必要になります。しかし、法人化を焦る必要はありません。法人化には、法人設立費用だけではなく、毎年の税理士費用等も必要になります。追加費用だけで数十万にもなるため、法人化した際のコストも加味して、トータルで節税になるかを検討しましょう。

マンション投資で軽減できる税金一覧

続いて、マンション投資をすると節税に繋がる税金を解説していきます。

 ①所得税・住民税

所得税は、個人が一年間に得た所得に対して国が課す税金です。住民税は都道府県や市町村が課す地方税で、前年所得に基づいて計算されます。マンション投資によって得られた家賃収入から減価償却費を含めた経費を差し引くと、不動産所得は会計上赤字になるケースが多いでしょう。損益通算により課税所得が少なくなるため、支払うべき所得税・住民税を減らせます。

②相続税

相続税とは死亡した人の遺産を相続した際に課される税金です。相続の際、現金としてより、不動産として受け取った方が相続税評価額が低くなります。そのため、支払うべき相続税を減らすことができます。

③法人税

法人が一定の期間に得た所得に対して課される税です。一定の所得を超えると、個人で所有したときに課される所得税等よりも、法人の方が納める税金を減らせます。ただし、法人設立に伴う経費や会計費用等も加味して慎重に判断する必要があります。

マンション投資による節税効果シミュレーション

損益通算のイメージ

続いて、マンション投資で所得税と住民税を節税できる仕組みについて解説します。

会社員は自分の給与から経費を使えるシーンは少ないため、所得を赤字にするのはイメージしづらいかもしれません。しかし、不動産投資においては、収入から必要経費を差し引いて不動産所得を赤字とし、給与収入などその他の所得と「損益通算」するのががオーソドックスな節税方法です。

給与所得900万円で、不動産所得が100万円の赤字のケースを想定してシミュレーションしてみましょう。会社員としての給与収入(課税所得)とマンション投資による不動産所得を損益通算する過程をわかりやすく解説します。

シミュレーション条件
  • 給与所得900万円
  • 不動産所得-100万円

不動産所得は損益通算の対象となる所得のため、赤字が発生した場合、給与所得などのプラスの所得と損益通算できます。損益通算とは、簡単に言えば「相殺」という意味です。

900万円(給与所得) ― 100万円(不動産所得)=800万円(課税される所得)

プラスの所得とマイナスの所得を相殺し、所得を減らすことができました。課税所得が減るため、納める税金が減らせます。

不動産所得の算出方法

不動産所得は、家賃収入から必要経費を引いて算出します。入居者からの家賃は、マンションを売却しない限り基本的に唯一の収入となります。毎年発生する経費は以下の通りです。

  • 管理委託費
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 修繕費
  • 広告宣伝費(入居者募集費用)
  • 税理士費用
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災・地震保険料

減価償却費を含めた必要経費が家賃収入を上回ると、不動産所得がマイナスとなります。その結果、課税所得を減らすことができ、節税に繋がります。

また、マンション購入初年度の仲介手数料や不動産取得税なども経費として計上可能です。

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マンション投資で節税できる人とできない人

マンション投資において、損益通算によって課税所得を減らすことで節税ができると説明しましたが、誰でも大きな効果を得られるわけではありません。マンション投資で節税できるのは、課税所得が900万円を超える人です。

所得が900万以下の人は、減価償却の期間中の所得税率・住民税率と、不動産売却時の譲渡所得税率の差があまりないので、節税重視の視点だとあまりメリットがありません。マンション投資では、金利上昇、資産価値の下落、災害など様々なリスクで、収益が下振れする可能性もあります。そのため、所得が900万円以下の人は、節税だけを目的としたマンション投資はおすすめできません。

課税所得が900万円を超えない場合は、節税をマンション投資の目的とするのではなく、収益性を重視して物件選びを行いましょう。

マンション投資での失敗事例3選

次に、マンション投資で節税を目的としたために失敗した例を紹介していきます。

  1. 節税できるといわれて購入したもののあまり効果がなかった
  2. 節税目的で購入した物件で空室が続いてしまった
  3. 節税のために過剰に経費を使ってしまった

不動産会社の担当者は、巧みなセールストークで物件購入を勧めてくるケースもあるため、内容をしっかり見極めることが大事です。あまり効果が見込めないのにもかかわらず、節税を全面に押し出してくる担当者も中にはいます。自分自身で内容を理解してから購入判断をしましょう。それぞれの失敗例を解説していきます。

①節税できるといわれて購入したもののあまり効果がなかった

「減価償却費で会計上赤字にできて節税になるからおすすめ」といわれてマンション投資をしてしまう人は多いでしょう。毎年とられる税金を負担に感じている会社員は多く「節税」という言葉に飛びついてしまう気持ちも理解できます。

しかし、節税できるからといって、相場より高い金額で物件を購入させられている事例も珍しくありません。中には会計上の赤字だけではなく、実際のキャッシュフローも赤字になり、毎年持ち出しが発生するケースもあります。減価償却を含めなくても家賃収入よりも経費の方が高くなっている状態です。

毎年手元の現金が減ってしまっていては元も子もないので、「節税」という言葉に食いついて慌ててマンションを購入するのは避けましょう。

②節税目的で購入した物件で空室が続いてしまった

不動産会社によっては、節税した金額も加味して説明されるケースもあります。シミュレーション上では、節税額を含めると利益が出ていてもその通りに進むとは限りません。

例えば、家賃が相場と合っていなかったり、入居率100%が続く前提で試算されていたりする可能性もあります。家賃は周辺物件と面積や駅距離など、似たような条件の物件を見れば相場は分かるので、確認しましょう。

仮に、相場8万円のエリアで10万円の家賃設定でシミュレーションしていたら、実際には入居者がつかないでしょう。また、周辺環境などから借り手が付きにくいエリアの物件の可能性もあります。

節税を強調してセールスをする担当者もいます。そのため、もらったシミュレーションの家賃設定や立地などの諸条件が相場と離れていないか、自分で確認するようにしましょう

③節税のために過剰に経費を使ってしまった

減価償却費以外でも、事業のために使った経費を計上すれば所得を減らせます。しかし、節税のためだけに経費を過剰に使うことはおすすめできません。たとえば、50万円の経費を使ったとしても、節税できるのはその50万円に対して課税される税率を乗じた分のみです。不動産投資では、金利上昇や修繕箇所の発生などに備えて一定の手元資金を残しておく必要もあります。

マンション投資で事業に関わる経費であれば、使える金額に上限はありませんが、無理やり支出してキャッシュフローがマイナスになってしまっては本末転倒です。節税目的で経費を使うのではなく、無駄な支出は徹底的に削減する意識でいるのが経営上もいいでしょう。

マンション投資を節税のために行う場合の注意点

マンション投資で節税をするときの注意点を5つ説明します。

  1. 売却タイミングに気をつける
  2. 節税のために余計な経費を使わない
  3. 物件をしっかりと選定する
  4. 赤字経営は追加融資を受けにくくなる
  5. トラブルにならないために共有名義は避ける

節税のメリットは大きいものの、節税のみを目的としてマンション投資を行うと失敗する可能性が高まるので注意しましょう。

①売却のタイミングに気をつける

節税効果を減らしてしまう可能性もあるため、マンション投資後の売却タイミングには気を付けましょう。

所有して5年以上経ってから売却した場合には「長期譲渡所得」に分類され、譲渡所得税の税率は20.315%です。しかし、5年以内に売却すると「短期譲渡所得」に分類され、税率は39.63%になってしまいます。ここでいう「所有期間」は、。売却する年の1月1日の時点で5年を経過しているかで判断されます。実際は5年以上経過していても購入日によっては短期譲渡所得に分類される場合もあるので注意しましょう。

また、減価償却期間が終わると、減価償却費を経費計上できないために課税所得が大きくなってしまいます。そのため、多くの税金を支払うことになります。会計上の利益よりも実際の手残りが少なくなってしまうので、減価償却期間が終わるタイミングも売却を検討する時期としてふさわしいといえるでしょう。すぐに買い手が見つかるとは限らないので、早めに一括査定をして相場を把握しておくなど、売却の準備をしておくのがおすすめです。

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②節税のために余計な経費を使わない

節税のためとはいえ、無理やり経費を使うのは経営面でもキャッシュフロー面でも健全ではありません。移動用の社用車など、事業のための支出であれば経費にできますが、収益に繋がらなければ意味がありません。

マンション投資の利益を上げられるかという視点で支出の必要性を慎重に見極めましょう。

③物件をしっかりと選定する

節税のためとはいえ、シミュレーション条件を精査しないうえでの数字だけを見てマンション投資をするのは絶対にやめましょう。節税ができたとしても、相場より高い価格で購入してしまったり、人気がないエリアで入居があまり見込めない物件を選んでしまったりすると、手元のキャッシュフローも赤字になってしまう可能性があります。

「節税」という言葉に惑わされず、収益が見込める物件かを慎重に見極めましょう。

④赤字経営は追加融資を受けにくくなる

マンション投資をした後に、さらに追加で物件購入を検討する人も中にはいます。多額の借り入れをしているときに赤字経営が続いていると、さらに物件を購入したいときや大規模な修繕費用が発生したときに融資を受けられません。特に節税目当てで購入したものの、入居者の入らない期間が続く状態だと金融機関の目は厳しく、追加融資は難しくなるでしょう。

設備等が老朽化した物件で修繕できないと、ますます入居者が入りづらくなります。

⑤トラブルにならないために共有名義は避ける

マンション投資は、共有名義で行うことも可能です。しかし、共有名義はトラブルの元になるケースが多いため、親子や夫婦、兄弟であっても避けるのが無難です。

共有名義の物件では、リフォームをするにも共有者の過半数の合意が必要になるなど、自由度は個人所有の時と比べて格段に下がります。特に売るときは全員の合意が必要なため、例えば5人で共有している場合、4人が賛成していても、1人反対していたら売却できません。なにか意思決定をする都度、共有者と話す必要があり意見の相違から揉めるケースも多いため、共有名義での取得はおすすめしません。

「マンション投資で節税できる?」まとめ

マンション投資では所得税、住民税、相続税などの節税効果が狙えます。不動産所得を赤字にして損益通算により課税所得を減らし、所得税や住民税を低くするのが、マンション投資で一般的な節税方法です。

しかし、「節税のみ」を目的にマンション投資をして失敗することは珍しくありません。試算上では節税できたとしても、家賃設定や経費の見積もりが甘いと会計上で赤字になるだけでなく、キャッシュフローも赤字に転落してしまう可能性もあります。「節税できる」というセールストークに惑わされず、物件の収益性を見極めることが大切です。

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この記事を書いた人

ファイナンシャルプランナー。学生時代から資産運用に興味を持ち、自身でも株式、暗号資産、不動産に投資している。大手メディアで金融、不動産関連の記事執筆や金融系インフルエンサーのライティングなど、幅広く活動中。自身の投資体験をもとに、初心者にもわかりやすく説明することが得意。

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