日経平均株価と不動産価格の関係 マンションと戸建ての相関性の違いは?もっとも相関が強いエリアは?

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日経平均株価は、2023年3月中旬以降急上昇しました。3月中旬時点では27,000円程度でしたが、現在(2023年9月上旬)は33,000円前後となっており、半年ほどで2割増しとなっています。

不動産価格は、日経平均株価と相関関係があると言われていますが、どのくらい影響を受けているのでしょうか。また、物件種別やエリアによって相関性に違いはあるものなのでしょうか。

今回はマンションリサーチさんにデータを提供頂き、物件種別やエリアで絞り込みをしながら日経平均株価と不動産価格の相関について考察します。

目次

マンションと戸建てにおける日経平均株価と不動産価格の相関性の違い

まずは以下グラフをご覧下さい。

「東京都内全体マンションの成約坪単価推移と日経平均の相関」

相関係数:0.931

上記グラフは2007年1月から2023年7月までの「東京都内のマンションの成約坪単価推移と日経平均の相関グラフ」です。相関があることは一目瞭然ですが、具体的な相関係数は「0.931」となり、「正の非常に強い相関関係」にあることがわかります。

続いて、以下グラフをご覧ください。

「東京都内全体戸建の成約単価推移と日経平均の相関」

相関係数:0.776

上記グラフは2007年1月から2023 年7月までの「東京都内全体戸建の成約単価推移と日経平均の相関グラフ」※です。マンションと同様に相関関係があることが読み取れます。具体的な相関係数は「0.77」となり、マンションほど相関が強くはないものの、戸建も同様に「正の強い相関関係」にあることがわかります。
※マンションは成約坪単価、戸建は集計元データの関係上成約単価となっております。

上記の結果より、マンションも戸建も日経平均株価と相関関係があるが、マンションの方がより強い相関があると言えます

なぜ日経平均株価が上がることで不動産価格は上がるのか?

そもそも、なぜ日経平均株価が上がることで不動産価格が上がるのでしょうか。

一般的には投資余力が増すことで手元資金が増えるため、不動産購入に踏み切る方が増えるからと言われています。

が、私の感覚は少し異なります。

日経平均が上がることで、不動産を買えるほどに余剰資金が増える方は一体どのくらいいるでしょうか。それはごく一部の富裕層だけであって、今の働く20代・30代の現役世代からすると少々浮世離れしているように感じます。

余剰資金が増えるからという教科書のような理論ではなく、大衆心理というか、結局は気持ち・感情の面が大きいと思います。

株価が上がることで景気への期待感が増すことはもちろん、今後不動産価格がさらに上がっていくかもしれないという焦りも生まれます。したがって需要が増幅され、結果として不動産価格が上がるのだと考えます。

それがまさに今の状況であり、景気とは読んで字の如く、人々の気持ちの問題が大きいのでしょう。

なぜ戸建よりマンションの方が日経平均株価との相関が強いのか

さて本題ですが、なぜ戸建てよりもマンションの方が日経平均株価との相関が強いのでしょうか。

投資用として選ばれる機会が多い

それはおそらく、マンション購入の方が居住用としてだけではなく、株と同様に値上がりを期待できたりと、投資用としても選ばれる機会が多いからでしょう。

長く住むために居住用として購入されることが多い戸建てと異なり、マンションの場合は投資家が短期間での転売目的で購入をすることもあります。また、投資家でなく一般の方でも資産性に注目をしたマンション選びが主流になっており、半住半投の目線でマンションを購入する方も増えました。

現在は、SNS等でも気軽にマンションの情報を収集できます。そのため、資産性が高いとされるエリアやマンションに、以前よりもさらに需要が集中し、マンション価格が高騰していくという理屈です。

流動性が高い

また、投資用・資産性重視の方にとってマンションが選ばれやすいもうひとつの理由は、流動性の高さです。

戸建てはオーダーメイドの商品ですが、マンションはパッケージ商品です。よって、構造や専有部のグレードも画一化されているマンションの方が、相場もわかりやすく取引件数が多いという安心感もあるため、必然的に流動性が高くなります。

その最たるものがタワーマンションです。タワーマンションの場合は総戸数も多いため、年間で30件〜40程度の成約があるマンションも珍しくありません。

現場の肌感覚的には、今は特にマンションの取引が過熱しており、物件にもよりますが相場価格で募集をすれば少なくとも1ヶ月以内には売却ができる可能性が高いです。

この流動性の高さこそがマンションの魅力であり、投資用・資産性重視の方から選ばれる要因と言えます。

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エリアによる日経平均株価との相関性

前述では、マンションと戸建の相関について触れました。次はエリアによる相関性の違いを見ていきます。

以下の3つのグラフを比べてみてください。

一都三県マンションの成約単価推移と日経平均

相関係数は「0.92」になっています。

東京都のマンションの成約単価推移と日経平均

相関係数は「0.93」です。

都心3区(千代田区・港区・中央区)のマンションの成約単価推移と日経平均

相関係数は「0.94」になっています。

相関係数の比較

一都三県(0.92)<東京都全体(0.93)<都心3区(0.94)

上記より、エリアを広げても非常に相関が高いという前提ではあるものの、より細かくみると、都心に近づくほど相関がより強くなるという傾向が読み取れます。

その理由もやはり、東京都心部の方が資産価値が高いとされているため、投資需要が集まりやすいからだと考えます。

よって、今回のマンションリサーチ様より提供頂いたデータより、「日経平均株価との連動において、最も相関が強いのは東京都心部のマンション」ということが言えそうです。

まとめ

個人的には上記の結論ではやや不十分であると感じています。

なぜかというと、2007年から2023年までの間の動きを見ていると、リーマンショック・チャイナショック・コロナショックはあるものの、基本的に株価は上昇傾向となっています。

つまり、この十数年間は景気拡大期が長かった訳ですが、景気拡大期と後退期では、不動産価格と日経平均の相関の構図も異なるのではないかと考えています。

一般的に不動産価格は「好景気には都心から上がるが、不景気には郊外から下がる」と言われています。

よって、今回のデータの結果において都心部と日経平均の相関が一番強かったのは、「好景気という前提条件があったから」なのかもしれません。

確かにグラフを再度見てみると、リーマンショックの2008年頃の不動産価格の推移をみてみると、一都三県の不動産価格に比べて、都心3区の方はそれほど価格が下がっていないように見えます。

日経平均株価と不動産価格は相関関係があることは間違いなさそうですが、より細かく条件を絞り込むことで、一般論の根拠付けだけでなく、景気と不動産価格の関係における新しい発見も生まれる気がしています。

今後もマンションリサーチさんと連携し、データを根拠に、読者様の役に立つような情報発信をしていければと思います!

ご精読頂きありがとうございました。

日経平均株価と不動産価格に関するよくある質問

なぜ日経平均株価が上がることで不動産価格が上がるのですか?

一般的には手元資金が増えて不動産購入に踏み切る人が増えるからと言われています。しかし、余剰資金が増えるのはごく一部の富裕層のみのため、実際には「今後さらに不動産価格が上がるのではないか」という大衆心理によって、需要が増え価格が上昇していると思われます。

戸建てよりもマンションの価格の方が、日経平均株価と相関が強いのはなぜですか?

マンションの方が戸建てよりも投資用として選ばれることが多いためです。最近では投資家だけでなく一般の方でも資産性に注目して、半住半投の目線で物件を選ぶ人が増えました。そのためマンションの取引が過熱しており、流動性がさらに高くなっていることが大きな魅力です。

日経平均株価ともっとも相関が強いのはどこのマンションですか?

マンション価格を東京都心部(千代田区・港区・中央区)、東京都全体、一都三県でそれぞれ比較すると、東京都心部がもっとも相関係数が大きいことが分かりました。


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この記事を書いた人

不動産コンサルティングマスター、株式会社FJリアルティ 代表取締役社長

2022年MBA取得。現場で仲介営業を10年経験済。取引件数500件以上。賃貸・売買どちらにも精通。多数メディア出演経歴あり(NHKクローズアップ現代・ABEMA TV・香港TV等)。不透明な不動産取引業界を透明化させ、失敗のない購入・売却のサポートをすることが使命。

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